地籍調査で賃借人がいる土地の確認が複雑になる理由
地籍調査は、主に市町村などが実施主体となり、一筆ごとの土地について所有者、地番、地目を調査し、境界の位置と面積を測量する調査です。調査結果は地籍図と地籍簿にまとめられ、閲覧や認証などの手続きを経た後、その写しが登記所へ送付されます。([地籍ポータル][1])
所有者自身が土地を使用している場合は、土地の利用状況や過去の境界確認の経緯を把握していることがあります。一方、第三者に貸している土地では、登記上の所有者、契約上の賃借人、現地を実際に使用している人が異なることがあります。そのため、所有者の説明と賃借人の認識が一致しない場合があります。
例えば、所有者は契約書に記載された地番や添付図面を基準に貸しているつもりでも、賃借人はフェンス、舗装の端、側溝、植栽、駐車区画などを使用範囲の目印としていることがあります。長期間使用されている土地では、現在の利用線が土地の境界だと理解されている場合もあります。
しかし、賃貸借契約上の使用範囲と、地籍調査で調査する一筆の境界である筆界は、同じとは限りません。一筆の一部だけを貸している契約もあれば、複数の筆をまとめて一つの敷地として貸している契約もあります。
したがって、実務では次の三つを分けて整理する必要があります。
- 登記上の土地と筆界
- 賃貸借契約上の使用範囲
- 現地で実際に占有・利用されている範囲
この三つを混同すると、日常的に使用されている線や工作物の位置を、そのまま筆界として扱うおそれがあります。
また、賃借人がいる土地では、現地への立入り方法や連絡経路も重要です。所有者と連絡が取れていても、店舗、工場、資材置場、農地、駐車場などを賃借人が管理している場合、作業日時や安全上の条件を賃借人と調整しなければ、調査が滞ることがあります。
国土調査法では、調査の実施に必要がある場合、土地の所有者その他の利害関係人またはその代理人を現地に立ち会わせることができるとされています。ただし、賃借人が当然に所有者の代理人になるわけではありません。賃借人が利害関係人としてどのように関与するか、所有者に代わる確認権限があるか、委任状が必要かは、個別事情と実施主体の案内を確認する必要があります。([e-Gov 法令検索][2])
事前確認1 所有者と賃借人の関係を整理する
最初に確認したいのは、登記上の所有者、契約上の賃借人、実際の利用者が誰であり、どのような関係にあるかです。現地の看板や建物に表示された名義人が、土地を直接借りているとは限りません。転貸、関連会社による使用、管理会社による運営などが行われている場合もあります。
まず、登記事項証明書、登記所備付地図または地図に準ずる図面、地積測量図などを確認し、土地の所在、地番、所有者、所有権以外の登記の有無を整理します。賃借権が登記されていれば登記記録から確認できる場合がありますが、賃貸借関係が常に登記されているわけではありません。登記情報だけで賃借人の有無や使用範囲を判断せず、契約書と現況も照合します。
賃貸借契約書では、契約当事者の氏名・名称だけでなく、対象地番、契約面積、添付図面、契約期間、使用目的、転貸に関する条項などを確認します。「敷地の一部」とだけ記載されている場合や、簡略な現況図しかない場合は、その線が筆界を示すのか、単なる使用区画を示すのかを区別しなければなりません。
契約更新が繰り返されている土地では、当初の契約内容と現在の利用状況が合わなくなっていることがあります。空地として貸した後に、駐車場、倉庫、資材置場、通路などへ用途が変わり、口頭の了解によって使用範囲が広がっている場合もあります。
共有地では、誰が賃貸借契約を管理し、誰が地籍調査への対応権限を持つのかを分けて確認します。共有者の一人が賃借人との窓口になっていても、他の共有者から境界確認に関する権限まで委任されているとは限りません。
所有者が立会いに出席できず、賃借人に対応を任せたい場合も注意が必要です。賃借人は現況利用や設備の経緯を説明できますが、所有者に代わって筆界を確認する権限があるかは別問題です。代理人として参加させる場合は、実施主体が求める委任状や本人確認書類を準備し、委任の範囲を明確にします。自治体によって様式や必要書類が異なるため、通知書や担当窓口で確認してください。自治体の案内でも、所有者本人が立ち会えない場合に委任状による代理人選任を認める例があります。([横浜市役所][3])
実務では、次の関係者を分けて一覧化すると混乱を防げます。
- 登記上の所有者・共有者
- 契約上の賃借人
- 実際の利用者・転借人
- 現地管理者・鍵の管理者
- 境界確認について委任を受けた代理人
- 工作物や設備の管理担当者
法人が関係する場合、本社の契約担当者と現地責任者が異なることがあります。境界資料を確認できる担当者、入場を調整する担当者、設備の安全を管理する担当者の連絡先をそれぞれ確認しておきます。
事前確認2 賃貸借の対象範囲と現況利用を照合する
二つ目の確認点は、賃貸借契約で定められた範囲と、賃借人が現地で使用している範囲を照合することです。筆界、契約上の使用範囲、現況利用の範囲は、それぞれ異なる可能性があります。
確認には、登記所備付地図または地図に準ずる図面、地積測量図、地籍調査の調査図、境界確認書、既存の測量図などを用います。これらと、賃貸借契約書の添付図面、配置図、駐車区画図、耕作図、施設管理図などを見比べます。
契約書の図面に描かれた線を、直ちに筆界と判断してはいけません。契約図面は使用範囲を示す目的で作成されている場合があり、登記や測量のための図面とは作成目的、基準、精度が異なることがあります。道路、建物、フェンスなどが描かれていても、縮尺や測量方法が不明な場合は参考資料として扱います。
現地では、フェンス、塀、側溝、舗装端、縁石、法面、擁壁、畦畔、植栽、建物外壁、資材の置場などを確認します。ただし、構造物の位置と筆界が一致するとは限りません。所有者が自分の土地側へ控えて設置した可能性や、賃借人が利便性のために契約範囲の内側へ設けた可能性もあります。
反対に、長年の使用によって物品、車両、耕作範囲などが契約範囲を越えている場合もあります。地籍調査は、賃貸借契約違反や賃料、明渡しの可否を判断する手続きではありません。利用範囲のずれが判明したときは、筆界の調査と契約上の調整を分けて扱います。
一筆の一部だけを貸している場合、契約範囲の線は同じ一筆の内部に設けた使用区分線であり、筆界ではありません。例えば、一筆の道路側だけを駐車場として貸している場合、駐車場の奥側の区画線は契約上の線にすぎないことがあります。
複数筆を一体利用している工場、店舗、駐車場、資材置場、発電施設、農地などでは、賃借人が筆ごとの区分を認識していないことがあります。「敷地の端はここ」と説明された場合も、それが敷地全体の外周なのか、個別の筆界なのかを確認します。
賃借人が過去の経緯を知っている場合は、以前あった境界標、撤去された塀、舗装前の地形、前利用者が設けた目印などを聞き取ります。ただし、聞き取りだけで筆界を決めることはできません。地籍調査作業規程準則では、筆界に関する情報を総合的に考慮し、原則として土地の所有者等の確認を得て調査することとされています。([e-Gov 法令検索][4])
現況写真は、境界標の近接写真だけでなく、道路、建物、側溝、フェンスなどとの位置関係が分かる遠景・中景も残します。撮影日、撮影方向、対象地番、写っている工作物を記録し、後から場所を特定できるようにします。
事前確認3 立会いの参加者と現地への立入り方法を決める
三つ目の確認点は、立会いに誰が参加し、どのように現地へ立ち入るかを事前に決めることです。賃借人がいる土地では、所有者への通知だけで現地作業が円滑に進むとは限りません。
地籍調査では、所有者などの関係者が、登記所の公図等を基に作成した資料や現地の状況を確認しながら土地の範囲を確認します。調査方法や地域によっては、現地立会いだけでなく、図面等を用いた確認が行われる場合もあります。具体的な方法、参加者、必要書類は実施主体の案内に従います。([地籍ポータル][5])
賃借人や現地管理者には、現況利用、工作物の設置経緯、通路、車両出入口、鍵、危険箇所などの説明を依頼できます。一方、所有者または正式な代理人には、過去の境界確認や所有地の範囲に関する説明を求めます。両者の役割を混同しないことが重要です。
店舗や事業所では、来客や搬入車両が多い時間を避けます。工場や倉庫では、入場手続き、安全教育、保護具、立入禁止区域を確認します。農地では作物の生育や収穫時期を考慮し、畦畔や圃場を損傷しない経路を選びます。
月極駐車場では、境界標付近の車両を移動できるよう、管理者を通じて利用者へ早めに連絡します。資材置場で重機による移動が必要な場合は、当日に無理に動かさず、別日調査や見通しの確保方法を実施主体と協議します。
借地上の住宅や店舗では、土地の賃借人と建物の居住者・使用者が異なる場合があります。庭、建物裏、駐車スペースなどへ入る必要があるときは、実際の占有者や鍵の管理者にも連絡します。
立会いの案内では、調査の目的、対象地番、立ち入る予定範囲、所要時間の目安、移動してほしい物品、参加してほしい担当者を伝えます。地籍調査は筆界や面積などを調査するものであり、それ自体が直ちに賃貸借契約を変更したり、工作物の撤去を決めたりする手続きではないことも説明します。
現地への立入りについては、所有者の承諾の有無だけで一律に判断しないことが重要です。国土調査法第24条は、調査に必要な場合に従事者を他人の土地へ立ち入らせることができると定めています。また、宅地や垣・柵などで囲まれた土地に立ち入る場合は、原則として事前に占有者へ通知し、従事者は身分証明書を携帯して請求があれば提示する必要があります。賃借人が立入りに難色を示した場合は、担当者が独断で対応せず、実施主体が法令と安全管理に沿って通知、日程、方法を調整します。([e-Gov 法令検索][6])
事前確認4 工作物や設備の所有者を確認する
四つ目の確認点は、境界付近の工作物や設備を誰が設置し、誰が管理しているかです。塀、フェンス、看板、舗装、側溝、配管などが土地所有者の所有物とは限りません。
賃借人が設置したフェンスが外周に沿っていても、筆界上にあるとは限りません。所有者側へ控えて設置した可能性、契約範囲の内側へ設置した可能性、施工時の誤差で予定位置からずれた可能性があります。
工作物を筆界の参考とする場合は、設置者、設置時期、施工目的、根拠にした図面を確認します。古い塀や擁壁について、所有者も賃借人も経緯を知らない場合は、決定的な根拠として扱わず、ほかの資料と照合します。
駐車場では、区画線、車止め、照明柱、精算設備、看板、排水設備の管理者を確認します。区画線の端や舗装端が筆界に一致するとは限りません。境界標が舗装で覆われている可能性がある場合は、施工時期や施工図の有無も調べます。
店舗や工場では、受電設備、給排水管、ガス管、通信配管、消火設備、排水桝などが境界付近にあることがあります。地籍調査は地下設備の位置や所有権を確定する調査ではありません。掘削、土砂除去、設備周辺での測量が必要になりそうな場合は、設備管理者と実施主体の指示に従います。
農地では、畦畔、農業用水路、暗渠排水、給水栓、電気柵、防風網などを確認します。畦畔の中心、肩、裾のどこを境界と認識しているかについて、所有者と耕作者の説明が異なることもあります。現在の耕作線だけで判断せず、既存図面や隣接地の状況と照合します。
資材置場の仮囲い、コンテナ、土留め、仮設排水路などは、長期間設置されていても筆界標識とは限りません。仮設物と境界標を区別し、写真と図面に残します。
借地上の建物では、外壁、ひさし、雨樋、室外機、階段、基礎などが境界付近に接近している場合があります。調査の過程で越境の可能性が疑われても、その場で撤去や是正を約束しないようにします。筆界の調査、工作物の所有権、越境への対応、賃貸借上の責任は分けて検討します。
草刈り、土砂除去、工作物の移動などが必要な場合も、現場担当者や関係者が独断で行わず、実施主体の手続きと所有者・占有者との調整に従います。
事前確認5 確認結果と未解決事項を記録する
五つ目の確認点は、所有者と賃借人から確認した内容を記録し、確認済み事項と未解決事項を分けることです。関係者が多い土地では、口頭説明だけで進めると後から認識の違いが生じやすくなります。
事前確認では、地番、所有者、賃借人、実際の利用者、連絡担当者、立会予定者を記録します。あわせて、賃貸借の対象範囲、契約図面の有無、現況利用の範囲、境界付近の工作物、立入り制限、移動が必要な物品を整理します。
過去の経緯を聞き取った場合は、誰から、いつ、どのような説明を受けたかを残します。「昔からこの塀が境界だった」「前の所有者からここまで使ってよいと言われた」といった内容は、確認済みの事実ではなく、発言者の認識として記録します。
写真には、撮影日、方向、地番、境界標や工作物の説明を付けます。遠景、中景、近景を組み合わせ、道路や建物など動きにくい地物との位置関係が分かるようにします。
所有者と賃借人の説明が一致しない場合は、無理に一つの結論へまとめません。双方の説明と根拠を記録し、契約書、添付図面、過去の測量資料、隣接地の資料などを追加確認します。
地籍調査における筆界の調査と、賃貸借契約上の使用範囲に関する合意は別に管理します。地籍調査の成果によって筆界が明らかになっても、契約上の使用範囲が自動的に変更されるわけではありません。また、所有者と賃借人が使用範囲について合意しても、その合意だけで登記上の筆界が移動するものではありません。
立会当日に確認できなかった場所がある場合は、理由を具体的に記録します。車両を移動できなかった、鍵が開かなかった、危険区域へ入れなかった、作物があり境界標を確認できなかったなど、再確認に必要な準備が分かる形にします。
確認した資料は、資料名、作成時期、作成者、縮尺、座標や寸法の有無を整理します。図面間で線の位置が異なる場合は、現場だけで優先順位を決めず、実施主体へ提示して取扱いを確認します。
契約書には、賃料、取引条件、法人の内部情報など、地籍調査に不要な情報が含まれることがあります。必要な範囲だけを扱い、保管方法、閲覧者、複写の要否を決め、不要な情報を現場資料へ転記しないようにします。
地籍調査の立会当日に確認したい進め方
立会当日は、最初に参加者の氏名と立場を確認します。所有者、共有者、代理人、賃借人、現地管理者などが参加する場合は、誰が現況を説明し、誰が所有者等として確認を行うのかを明確にします。実施主体が委任状や本人確認書類を求めている場合は、提出状況も確認します。
次に、対象となる地番と確認範囲を共有します。複数筆を一体利用している土地では、賃借人が地番ごとの範囲を把握していないことがあります。調査図を用い、敷地外周だけでなく内部の筆界も対象になる場合があることを説明します。
現地では、既存の境界標、地形、工作物、過去の資料を順に確認します。賃借人が示した位置についても、契約書、口頭説明、日常の利用、既存工作物のどれを根拠としているかを聞き取ります。
「普段はここまで使っている」という説明は、現況利用を把握する重要な情報です。ただし、使用実態だけで筆界を判断せず、所有者等の説明や客観資料と照合します。
杭、鋲、プレート、刻印などが見つかった場合は、種類、状態、設置者、既存図面との整合を確認します。測量用の仮設点や工事用の印が境界標に見える場合もあるため、外観だけで断定しません。
意見が分かれた場合は、その場で結論を迫らず、相違する位置と根拠を図面に示します。追加資料、隣接地との照合、再調査が必要かを実施主体と確認します。
現地確認後は、確認できた位置、未確認の位置、追加資料、次回までの対応を共有します。物品移動や設備の開錠を依頼する場合は、対象箇所、担当者、期限を具体的にします。
土地の利用形態ごとに注意点を整理する
賃借人がいる土地でも、利用形態によって確認事項は異なります。契約範囲、現地管理、安全対策を用途別に整理します。
月極駐車場では、駐車区画と筆界を混同しないようにします。車両移動の連絡、車止めや看板の管理者、舗装で見えなくなった境界標の有無を確認します。
店舗では、来客用駐車場、荷さばき場、看板、植栽、屋外設備が境界付近に集中することがあります。営業時間外や休業日に調整し、外構工事の配置図や施工資料が残っていないか確認します。
工場や倉庫では、安全管理を優先します。車両動線、荷役作業、危険物取扱区域、立入禁止区域を事前に確認し、必要に応じて設備担当者の同席を求めます。
資材置場では、資材や土砂で境界標が隠れている場合があります。重機で移動する場合は、安全な作業場所と保管場所を確保し、早めに日程を調整します。
農地では、土地所有者と耕作者が異なることが多く、耕作上の区切りと筆界が一致しない場合があります。畦畔、用水路、農道、法面のどこを境界と認識しているかを聞き取り、作物を傷めない経路や時期を選びます。
借地上の住宅では、土地所有者、借地人、建物所有者、居住者の関係を整理します。庭や建物裏へ入る場合は、居住者への連絡、門扉、ペット、防犯設備にも配慮します。
転貸されている土地では、契約上の賃借人だけでなく、実際の利用者や鍵の管理者へ調査内容が伝わる連絡経路を確認します。
賃借人がいる土地で起こりやすいトラブル
よくあるトラブルの一つは、使用範囲と筆界を同じものだと考えることです。「フェンス内を使ってよい」と説明されていても、そのフェンスが筆界上にあるとは限りません。
二つ目は、所有者が賃借人へ連絡せず立会日時を決め、当日に入場や車両移動ができないことです。所有者、占有者、現地管理者の連絡経路を事前に整理します。
三つ目は、賃借人が所有者の代理人として参加しているものの、委任の範囲が不明なことです。現況説明だけを依頼されたのか、筆界確認に関する権限まで委任されたのかを確認します。
四つ目は、フェンス、舗装、区画線、耕作線などを筆界の決定的な根拠として扱うことです。設置時の資料、境界標、既存測量図、隣接地との関係を総合的に確認します。
五つ目は、地籍調査の成果によって賃貸借の使用範囲も自動的に変わると誤解することです。契約図面と筆界にずれがあれば、地籍調査とは別に所有者と賃借人で協議します。
六つ目は、境界付近の設備移動や工作物撤去をその場で約束することです。所有者、管理者、契約上の原状回復義務、隣接地との関係を確認してから対応します。
七つ目は、担当者間の引継ぎ不足です。法人所有地や法人賃借地では、担当変更で経緯が失われやすいため、図面、写真、説明内容、未解決事項を記録します。
調査後の閲覧と関係者への情報共有
現地調査と測量の後は、地籍図と地籍簿が作成され、調査結果の閲覧が行われます。国土調査法第17条では、公告の日から20日間、地図と簿冊を一般の閲覧に供し、測量・調査上の誤り等があると認める人は期間内に申し出ることができると定めています。([e-Gov 法令検索][2])
所有者が遠方にいる場合や代理人が立会いを行った場合は、誰が閲覧し、誰が結果を所有者へ報告するかを決めておきます。委任状が必要かどうかは、実施主体の案内を確認します。
閲覧では、土地の形状、隣接地番、境界点の配置、地番、地目、面積などを確認します。立会時に意見が分かれた箇所、追加資料を提出した箇所、確認できなかった箇所がどのように扱われているかを重点的に見ます。
賃借人の利用や工作物に影響がある場合は、必要な範囲で結果を共有します。ただし、地籍調査の成果を説明することと、賃貸借契約を変更することは分けて行います。
契約対象が一筆の一部で、使用範囲が不明確だと分かった場合は、所有者と賃借人で契約図面を見直すことが考えられます。現地で再現しやすい基準点、寸法、対象地番、作成日を図面に示すと、契約更新や担当者変更時の確認に役立ちます。
フェンスや区画線を変更する場合も、地籍調査の成果だけを見て直ちに移設せず、隣接地所有者、工作物の所有者、管理者、専門家と確認します。
閲覧等を経て確定した地籍調査の成果は、その写しが登記所へ送付され、登記記録の修正や登記所備付地図の更新に利用されます。([地籍ポータル][5])
調査後は、通知書、立会記録、写真、契約図面、測量資料、閲覧結果をまとめて保管します。書類ごとに作成時期、作成者、確認者を記載すると、売買、相続、契約更新、建替えの際に経緯を追いやすくなります。
まとめ
地籍調査で賃借人がいる土地を確認するときは、登記上の所有者だけでなく、契約上の賃借人、実際の利用者、現地管理者、代理人を整理することから始めます。
事前に確認したい五つの点は、次のとおりです。
- 所有者、賃借人、利用者、代理人の関係と権限
- 賃貸借契約の対象範囲と現況利用の範囲
- 立会いの参加者、連絡経路、現地への立入り方法
- 境界付近の工作物や設備の設置者・管理者
- 確認済み事項、関係者の説明、未解決事項の記録
賃借人が使用している範囲やフェンスの位置は、現況を把握するための重要な情報です。しかし、それだけで筆界を判断することはできません。登記資料、既存測量図、境界標、工作物の経緯、隣接地との関係などを総合的に確認します。
現地では、境界標だけでなく、道路、建物、側溝、フェンス、設備との位置関係も記録します。スマートフォンやカメラで写真を残す場合は、撮影日、方向、対象地番、説明を付け、個人情報や契約情報を必要以上に記録・共有しないよう配慮します。
地籍調査の参加方法、委任状、立入り、閲覧会場などの運用は実施主体によって異なります。通知書を確認し、不明点は市町村などの地籍調査担当窓口へ早めに相談してください。筆界や賃貸借をめぐる具体的な紛争がある場合は、土地家屋調査士、弁護士などの専門家への相談も検討します。