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地籍調査でブロック塀が境界付近なら?見るべき5点

地籍調査でブロック塀を境界と決めつけてはいけない理由

地籍調査の対象地にブロック塀があると、日常の土地利用では、その塀が隣地との境界を示しているように見えます。住宅地では、塀の内側を自分の敷地として長年使用していることも多く、塀の位置と登記上の土地境界が同じだと考えやすいものです。

しかし、現地にあるブロック塀と筆界が一致しているとは限りません。筆界は、土地が登記された際にその土地の範囲を区画するものとして定められた境であり、所有者同士の合意だけで自由に変更できるものではありません。また、所有権の及ぶ範囲を示す所有権界とは一致しない場合があります。([法務局][1])

地籍調査は、主に市町村などが一筆ごとの所有者、地番、地目を調査し、境界の位置と面積を測量するものです。地籍調査ではブロック塀のような現況物だけを見るのではなく、登記簿、登記所地図、附属書類、地形や地物、地域の慣習など、筆界に関する情報を総合的に検討します。国の運用上も、工作物、囲障、境界標その他の地物の設置経緯は、筆界を検討する情報に含まれるとされています。([地籍情報提供システム][2])

ブロック塀は、防犯、目隠し、敷地管理などを目的として設置される構造物です。施工時に境界標や測量図を確認している場合もありますが、施工や維持管理の都合から、所有者が自分の敷地側へ控えて設置していることもあります。

反対に、古い垣根、石積み、舗装端などを目安に築造した結果、筆界とずれている可能性もあります。隣接所有者同士が費用を出し合って設置した塀であっても、その費用負担や維持管理の合意が、筆界位置の確認まで意味するとは限りません。

さらに、ブロック塀には厚みがあります。塀の中心線、対象地側の面、隣地側の面、根元に見えるコンクリートの端は、それぞれ位置が異なります。「塀が境界にある」という説明だけでは、どの位置を指しているのか分かりません。

地籍調査で重要なのは、ブロック塀を境界そのものと決めつけるのではなく、筆界位置を検討するための現況情報として扱うことです。境界標、既存図面、周囲の土地とのつながり、設置経緯などと照合し、塀との位置関係を具体的に記録する必要があります。

見るべき1点目は境界標とブロック塀の位置関係

最初に確認したいのは、境界標とみられる標識の有無と、ブロック塀との位置関係です。境界標には、コンクリート杭、石杭、金属標、鋲などがありますが、土、砂利、舗装、植栽に覆われて見つけにくくなっている場合もあります。

境界標らしい物を見つけても、直ちに対象筆の筆界点を示すものと判断してはいけません。工事用の測量点、道路施設の管理標、建物配置のための印などが近くに存在することがあるためです。標識の形や刻印だけでなく、既存資料上の点、隣接地番、周囲の境界点との対応を確認します。

境界標がブロック塀の端部付近にある場合は、標識が示す測点と塀の中心線または外面との関係を確認します。標識が塀の角に接しているように見えても、そこから伸びる筆界の方向によって、塀との関係は変わります。

直線と考えられる区間では、その区間を構成する筆界点を確認し、それらを結ぶ線と塀の位置を比較します。一方の端で近接していても、反対側へ向かうにつれて塀が離れている場合があります。途中に折れ点がある土地では、両端だけでなく中間の筆界点も確認しなければなりません。

標識が塀に埋め込まれているように見える場合は、塀の築造時に既存標が残されたのか、後から別の標示が設けられたのかを確認します。工事で標識が覆われた、撤去された、移動したという疑いがあるときは、その標識だけを根拠に結論を出さず、工事前の写真や測量資料も照合します。

境界標が傾いている場合、見えている頭部と元の設置位置が一致しない可能性があります。ただし、境界点を標識の上端、中心、根元のどこで読むかは標識の種類や測量記録によって異なるため、所有者が外観だけから代表位置を決めるのは適切ではありません。正確な位置確認は、調査実施者の説明や測量成果に基づいて行います。

現地写真は、標識の形が分かる近接写真だけでなく、ブロック塀、道路、建物、側溝などとの位置関係が分かる全景写真も残します。撮影方向と対象地側を記録しておくと、後から図面と照合しやすくなります。

境界標が見つからない場合でも、無断で地面を掘ったり、ブロック塀を削ったりしてはいけません。隣地や公共用地へ立ち入る場合も、所有者または管理者の了解が必要です。探索は調査実施者の案内に従い、安全と権利関係に配慮して進めます。

見るべき2点目は公図や地積測量図など既存資料との整合

2点目は、ブロック塀の位置と既存資料がどのように対応しているかです。地籍調査では、現況だけでなく、登記所に備え付けられた地図や図面、過去の測量資料、関係行政機関や土地所有者が保有する資料などが検討材料になります。

代表的な資料には、公図、地積測量図、過去の境界確認図、分筆時の測量図、土地取得時の現況図、外構工事の図面、工事前後の写真などがあります。ただし、作成目的、作成年代、縮尺、測量方法、対象範囲が異なるため、すべてを同じ精度の資料として扱うことはできません。

公図は地番の配列や隣接関係を知るために重要ですが、地域や作成経緯によっては、現地の形状や距離を十分な精度で再現できない場合があります。国の地籍調査案内でも、登記所に備え付けられた古い図面には、現実の境界や形状と異なるものがあると説明されています。([地籍情報提供システム][2])

地積測量図がある場合は、作成年月日、対象地番、辺長、方位、基準となる点、隣接地番、測量成果の表示方法を確認します。図面が比較的新しくても、今回問題となる境界辺が直接測量されたのか、参考線として描かれているのかを区別する必要があります。

過去の境界確認資料では、図面だけでなく、対象地番、確認日、当事者、標識の種類、作成者などを確認します。現在の所有者と当時の所有者が異なっていても、当時の現況や確認経緯を知る手掛かりになります。

建物配置図や外構図面も参考になりますが、建築や施工のために作成された敷地線が、地籍調査で確認される筆界と当然に一致するわけではありません。設計図と完成位置が異なる場合や、後年の増築、外壁改修、舗装工事によって基準となる現況物が変わっている場合があります。

ブロック塀と照合するときは、塀のどの部分を基準にしているかを明記します。塀の中心線、対象地側の面、隣地側の面では比較結果が変わるため、「図面と塀が合う」という表現だけでは不十分です。

資料同士が一致しない場合は、古い資料を直ちに排除したり、新しい資料だけを採用したりせず、作成目的、測量範囲、現地復元性、周辺点との整合を整理します。違いがある区間と、その違いの方向を事前に把握しておけば、立会時に確認すべき事項を明確にできます。

見るべき3点目はブロック塀の所有者と設置経緯

3点目は、ブロック塀を誰が、いつ、どのような前提で設置したかです。所有者や設置経緯だけで筆界が決まるわけではありませんが、塀の位置を評価するための補助情報になります。

現在の所有者が設置した塀であれば、工事図面、見積書、契約書、施工前後の写真、測量資料が残っていないか確認します。土地取得前から存在する場合は、売買時の資料、前所有者からの引継書、古い写真などが手掛かりになります。

「測量して建てた」という記憶がある場合も、どの図面や標識を基準にしたのかまで確認します。測量を行った事実だけでは、塀を筆界線上に建てたのか、敷地内へ控えたのかは分かりません。

隣接所有者同士が費用を出し合って設置した場合でも、塀の中心線が筆界であるとは限りません。塀の共有、修繕費の負担、使用方法に関する合意と、筆界位置の確認は分けて整理します。

一方の所有者が単独で設置し、長年維持管理してきた場合も、塀全体がその所有者の敷地内にあると直ちに判断することはできません。施工時の認識違い、既存構造物の位置、施工誤差などにより、筆界との関係が想定と異なる場合があります。

仕上げ面、控え壁、笠の向きなど、外観から設置者を推測できるように見えることもあります。しかし、補修や改修で形状が変わっている可能性があるため、外観は聞き取りの手掛かりにとどめ、所有関係や筆界の根拠として確定的に扱わないようにします。

土地取得時の説明書類に、塀の所有関係、越境の可能性、修繕負担などが記載されている場合があります。これらは当時の当事者の認識を知る資料になりますが、その記載だけで筆界位置が確定するものではありません。

聞き取りでは、「昔からこの位置だった」という説明をそのまま確定事実とせず、いつ頃からか、以前は何があったか、建て替えはあったか、誰から聞いた話かを確認します。発言者、確認日、土地との関係、説明内容を記録し、資料や写真との整合を見ます。

見るべき4点目は塀の中心線、外面、基礎の位置

4点目は、ブロック塀のどの位置を筆界候補線と比較するかです。「塀までが土地」「塀が境界」という言葉だけでは、塀を土地に含むのか、塀の手前までなのか、中心線を指すのかが分かりません。

ブロック塀には厚みがあるため、中心線と両側の外面は異なる位置にあります。境界標が塀の中心線付近に並んでいれば、中心を意識して施工された可能性はありますが、それだけで筆界と断定することはできません。

境界標が塀の片面付近に並ぶ場合は、塀全体を一方の敷地側へ設置した可能性があります。ただし、仕上げ材の追加や補修により、現在見えている面が施工当初の面と異なることがあります。

根元に見えるコンクリートにも注意が必要です。地中の基礎は地上の壁体より広い形状で施工されることがありますが、露出しているコンクリートが塀の基礎なのか、舗装、排水施設、別の構造物なのかは外観だけでは分からない場合があります。

基礎の張り出しの有無は、塀の構造や越境の可能性を検討する問題であり、地上の筆界位置を決める基準そのものではありません。また、地籍調査で地中基礎を通常どこまで確認するかは、現場条件や実施主体の判断によって異なります。

基礎を確認するために、所有者や隣接所有者の了解なく掘削してはいけません。塀の安定性を損なうほか、配管や電線などの埋設物を傷つけるおそれがあります。必要性がある場合は、調査実施者や関係者と方法を協議します。

塀が途中で厚くなる、異なるブロックが継ぎ足されている、補修部分だけ位置が変わるといった場合は、区間ごとに施工時期と位置を確認します。一本の均一な構造物と考えると、筆界との関係を誤って整理するおそれがあります。

敷地の角では、塀の外角、内角、中心線の交点がそれぞれ異なります。測定結果を記録するときは、「塀から何センチメートル」とだけ書かず、どちら側のどの面から、どの測点まで測ったのかを明示します。

見るべき5点目は傾きや建て替えによる位置の変化

5点目は、現在のブロック塀が設置当初と同じ位置と形状を保っているかです。経年劣化、地盤沈下、地震、樹木の根、車両の接触などにより、塀が傾いたり変形したりする場合があります。

塀が傾いていると、上端と根元の水平位置が異なります。上から見た印象だけで筆界との関係を判断せず、根元付近の状態、傾きの方向、ひび割れ、周辺地盤の変化を記録します。

写真は、塀に正対したもの、側面方向からのもの、周囲を含む全景を残します。一方向だけでは撮影角度によって傾きが強く見えたり、反対に分かりにくくなったりするためです。

目地の開き、補修跡、ブロックの色や種類の違いがある場合は、部分的な積み直しや交換が行われた可能性を検討します。補修された区間が以前とまったく同じ位置に再施工されたとは限りません。

塀全体の建て替え履歴がある場合は、工事前後の図面や写真を確認します。既存基礎を利用したのか、新たに基礎から施工したのか、敷地側へ控えたのかによって、現在の塀と筆界との位置関係は変わります。

「同じ位置に建て替えた」という説明があっても、施工方法や基礎寸法が変われば、外面や中心線の位置が異なる場合があります。口頭説明だけでなく、写真、図面、測量結果を照合します。

盛土、舗装、排水工事などで地表面が変化すると、以前見えていた境界標が埋まり、塀の根元や基礎の見え方も変わります。現況の高さだけで設置当初の位置を推測しないことが大切です。

樹木の根が塀を押している場合や、植栽が標識を覆っている場合もあります。隣地の植物を無断で切断したり、塀を強く押したりせず、所有者の了解を得て安全に確認します。

倒壊のおそれがある塀には近づきすぎないようにします。境界確認のためであっても、危険な塀へ寄りかかったり、上部を押したりするのは避けます。安全上の問題が疑われる場合は、境界の検討と安全対策を分けて関係者へ伝えます。

塀が古い、傾いている、補修されているという事情だけで、筆界と無関係だと判断することもできません。変化の可能性を示す情報として整理し、資料や境界標、周辺の筆界との連続性を含めて確認します。

道路や水路に接するブロック塀で注意すること

ブロック塀が道路、水路、公園などの公共用地に接している場合は、民有地間だけの問題として扱わず、公共用地の管理資料や過去の工事資料を確認する必要があります。

道路の舗装端、縁石、側溝、擁壁、フェンスなどは境界に見えやすいものの、必ずしも筆界や道路区域の境と一致しているわけではありません。構造物が維持管理や施工上の都合で境界から離れて設置されていることもあります。

道路拡幅、側溝改修、歩道整備などが行われている場合は、工事前後で構造物や塀の位置が変わっていないか確認します。塀が工事前から存在したのか、工事に合わせて移設されたのかも重要な情報です。

道路沿いにある鋲や標識も、すべて民地との筆界を示すとは限りません。道路施設の管理点や工事測量の点である場合があるため、管理者の資料と地籍調査資料を照合します。

水路沿いでは、水面の端、護岸上端、擁壁面、管理用通路の端など、境界に見える線が複数あります。現在最も目立つ構造物を筆界と決めつけないようにします。

古い水路では、改修、付け替え、暗渠化などにより、流路や護岸の位置が変わっている場合があります。現在の構造物が新しくても、筆界がどのような資料や経緯に基づくかは別に確認しなければなりません。

公共用地との境界では、地籍調査担当部署だけでなく、道路、河川、水路、公園などの管理部署が保有する図面が関係する場合があります。どの資料を誰が管理しているかを調査実施者へ確認し、独自判断で一つの図面だけを採用しないようにします。

交差点や道路曲線部では、隅切り、側溝の折れ、舗装端、塀の角が近接し、境界点の識別が難しくなります。対象地だけでなく、隣接区画や前後の筆界点との連続性を広い範囲で確認します。

地籍調査の立会前に準備しておきたい資料

立会を円滑に進めるには、当日初めて資料を見るのではなく、対象地とブロック塀に関する情報を事前に整理しておくことが重要です。

まず、調査実施者から届いた案内を確認します。対象地番、確認対象となる区間、日時、集合場所、持参物、問い合わせ先を把握します。住所表示と土地の地番が異なることがあるため、対象筆を取り違えないようにします。

複数の土地を所有している場合は、今回すべての筆を確認するのか、一部だけなのかを確認します。ブロック塀が複数筆にまたがっている場合は、地番ごとの位置関係を整理します。

公図、地積測量図、境界確認図、土地取得時の図面、工事資料、古い写真があれば、作成日、対象地番、作成目的を記録します。正式な測量成果と参考図面、施工用図面を区別して保管します。

ブロック塀の設置図、施工前後の写真、修繕記録があれば、塀の位置と建て替え履歴を確認します。設置年月が不明な場合は、推測で日付を作らず、「購入時には存在した」など確認できる範囲で整理します。

現地写真は、塀全体、両端、角、標識らしい物、根元、道路や水路との接続部を撮影します。撮影日、方向、対象区間を記録し、図面上に撮影位置を示すと分かりやすくなります。

植物や荷物で根元が見えない場合は、自分の管理範囲で安全に整理できるか検討します。隣地の植栽や物品を無断で動かしてはいけません。

過去に隣接所有者と交わした文書がある場合は、筆界確認に関するものか、塀の所有、修繕、費用負担に関するものかを分けて整理します。

本人が参加できず代理人が対応する場合は、必要な手続きや委任書の有無を調査実施者へ確認します。代理人には、土地取得の経緯、塀の履歴、分からない事項を共有し、根拠のない内容を現地で断定しないよう伝えます。

現地立会で確認するときの進め方

現地立会では、最初から塀の中心や外面を筆界として主張するのではなく、調査実施者が示す対象筆、資料、筆界候補を確認します。

最初に、どの土地のどの区間を確認するのかを共有します。土地の全周を対象とするのか、ブロック塀のある一辺を重点的に確認するのかで、見るべき点が変わります。

次に、筆界線を構成する点を確認します。標識がある場合は、それがどの地番間の筆界点に対応するのか、図面上の点と整合するのかを確認します。

塀に沿う区間では、筆界候補線と塀の中心、両面、根元との関係を、端部だけでなく中央部でも確認します。塀が平行に離れているのか、途中で交差するのか、折れや継ぎ足しがあるのかを記録します。

距離を測るときは、測定の始点と終点を明確にします。塀の対象地側の面から標識が示す点までなのか、塀の中心線から筆界候補線までなのかを区別します。

説明に疑問がある場合は、結論を急がず、どの資料とどの現況が一致しないのかを具体的に伝えます。「塀と違うから納得できない」とだけ述べるより、過去の図面、標識、工事履歴との関係を示した方が確認しやすくなります。

地籍調査の境界確認は現地立会だけに限られず、図面や写真などによる図面等調査が行われる場合もあります。また、一定の要件を満たす無反応所有者については、筆界案を送付し、所定期間に意見がなければ確認があったものとみなす手続も設けられています。実際の進め方は調査地区と通知内容によって異なるため、実施主体の案内を確認します。

立会中に確認できない事項は、未確認として記録します。追加提出する資料、実施主体が再確認する事項、今後の連絡方法を整理し、その場で無理に結論を出さないようにします。

終了後は、確認した点、説明内容、保留事項を当日中に記録します。時間が経つと、どの区間でどの説明を受けたか分からなくなりやすいためです。

隣接所有者と認識が異なる場合の対応

ブロック塀をめぐっては、一方が塀の中心を境界と考え、もう一方が塀全体を自分の敷地内と考えているなど、認識が異なる場合があります。

認識の違いが分かったときは、無断で塀を動かしたり、標識を打ち直したりしてはいけません。現況を変更すると、設置経緯や従前の位置を確認する手掛かりが失われ、問題が複雑になる可能性があります。

まず、争点を分けます。筆界の位置、所有権の範囲、塀の所有、基礎などの越境、維持管理、修繕費の負担は、関連していても同じ問題ではありません。

それぞれの説明について、公図、地積測量図、境界確認資料、境界標、工事写真、土地取得時の書類を照合し、確認できる事実と推測を区別します。

記憶に基づく説明は、時期、情報源、建て替え履歴、当時の構造物を確認します。「昔からこの位置」という説明だけで筆界を確定しないことが重要です。

地籍調査で筆界を確認できない場合の取扱いは、資料の状況、当事者の対応、適用できる手続などによって異なります。一定の場合には筆界未定として扱われることがありますが、無反応所有者に対するみなし確認などの例外的な手続もあるため、実施主体の説明を確認します。([地籍情報提供システム][3])

筆界そのものについて公的な判断を求める制度として、法務局の筆界特定制度があります。これは新しい筆界を作る制度ではなく、各種資料、実地調査、測量などを踏まえ、もともと存在する筆界の位置を明らかにする制度です。ただし、所有権の範囲を確定する制度ではありません。([法務省][4])

具体的な案件では、土地家屋調査士、弁護士など、問題の内容に応じた専門家への相談を検討します。筆界、所有権、越境、構造物の安全性では必要な専門分野が異なるためです。

話し合いでは、「塀のこの辺り」といった表現を避け、図面や写真に対象区間、始点、終点、塀のどの面を指すかを示します。感情的な対立がある場合ほど、事実、資料、推測を分けて記録します。

倒壊のおそれがある塀では、境界問題とは別に安全確保を優先します。現況を写真や測定記録で残し、所有者、隣接所有者、必要な関係者と安全な対応方法を協議します。

地籍調査後に境界情報を管理する方法

地籍調査後は、確認された成果と、途中で使用した参考資料を区別して保管します。地籍調査の成果は登記所へ送付され、登記情報や地図の更新に用いられますが、反映時期や取得できる資料は実施主体や手続の進行によって異なります。([地籍情報提供システム][2])

境界点ごとに、標識の形が分かる近接写真と、ブロック塀、道路、建物などとの位置関係が分かる全景写真を保存します。撮影日、方向、対象地番、点の名称や位置を記録します。

図面は、地籍調査で作成または交付された資料、登記所から取得した資料、工事用図面、個人のメモを分けます。途中の検討図を正式な成果と誤認しないよう、作成日と資料の位置付けを記載します。

ブロック塀が筆界と一致しない場合は、塀がどの区間で、どちら側へ、どの程度離れているのかを写真や現況図で分かるようにします。ただし、個人の簡易測定値は正式な測量成果と区別します。

塀を建て替える際は、工事前に境界標と周辺の状況を確認し、写真を残します。施工者にも標識や確認済みの筆界情報を共有し、基礎工事や資材搬入で標識に影響を与えないようにします。

境界標付近を掘削する必要がある場合や、標識を一時的に移す必要が生じた場合は、所有者だけで判断せず、調査実施者や必要な専門家へ相談します。

土地を売却、相続、賃貸するときは、「塀が境界」と単純に説明せず、確認済みの図面、写真、塀との位置関係、工事履歴を引き継ぎます。

デジタルで管理するときは、土地ごとに図面、写真、説明記録、工事履歴をまとめ、ファイル名と保存場所を統一します。更新時は過去のデータを上書きせず、日付と変更内容を追加します。

まとめ

地籍調査でブロック塀が境界付近にある場合、見た目だけで塀を筆界と判断することはできません。塀は筆界を検討する重要な現況情報ですが、筆界と一致する場合も、一方の敷地側へ控えている場合も、途中でずれている場合もあります。

見るべき5点は、境界標と塀の位置関係、既存資料との整合、塀の所有者と設置経緯、塀の中心線や外面と基礎の位置、傾きや建て替えによる変化です。

境界標があっても、その標識が対象筆の筆界点を示すか、移動や傾きの疑いがないかを確認します。標識の代表位置を外観だけで決めず、調査実施者の説明や測量成果に基づいて判断します。

公図や地積測量図も、作成目的、作成年代、測量範囲、現地との対応を確認します。ブロック塀の所有者や工事費用の負担者が分かっても、それだけで筆界が決まるわけではありません。

基礎の張り出しは、構造や越境の可能性を検討する情報ですが、地上の筆界位置を直接決めるものではありません。無断掘削は避け、必要な調査方法を関係者と協議します。

道路や水路に面する土地では、舗装端、側溝、護岸を筆界と決めつけず、公共用地の管理資料や工事履歴を含めて確認します。

隣接所有者と認識が異なる場合は、筆界、所有権、塀の所有、越境、維持管理を分け、現況を変更せずに資料を整理します。必要に応じて調査実施者、法務局の制度、専門家への相談を検討します。

地籍調査で得られた境界情報は、正式な成果と参考資料を区別し、写真、図面、工事履歴とともに管理します。将来の建て替え、売却、相続の際にも、塀の見た目だけではなく、確認済みの資料に基づいて正確に引き継ぐことが大切です。

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