LRTKレフィクシア株式会社

地籍調査で崖地を含む土地は?安全に進める4確認

崖地を含む土地で地籍調査が行われる場合は、平坦な宅地や農地とは異なり、境界の確認と現場の安全確保を分けて計画する必要があります。境界標らしい物を確認するためであっても、急斜面や崖際へ無理に近づいてよいわけではありません。

崖の上端や下端、擁壁、石積み、排水施設、柵、樹木の並びなどは、現地では境界のように見えやすい要素です。しかし、現在の地形や工作物が、そのまま登記上の筆界を示しているとは限りません。造成、浸食、盛土、切土、災害復旧、構造物の改修などによって、地形と筆界の見え方が変わっている場合もあります。

また、崖地では降雨、湧水、落石、表土の緩み、倒木などにより、事前踏査時と立会い当日の状況が変化することがあります。資料をそろえるだけでなく、当日の現場状態を確認し、危険があれば作業を縮小、中止または延期する判断が欠かせません。

この記事では、崖地を含む土地の地籍調査を安全かつ円滑に進めるために、実務担当者が確認しておきたい四つのポイントを解説します。具体的な手順や安全装備、測量方法は、地籍調査の実施主体が定める作業規程、仕様書、安全管理計画などに従ってください。

崖地を含む土地で地籍調査が難しくなる理由

地籍調査は、主に市町村などが実施主体となり、一筆ごとの土地について所有者、地番、地目を調査し、境界の位置と面積を測量して、地籍図と地籍簿に取りまとめる調査です。一般的な一筆地調査では、土地所有者その他の関係者に、資料と現地の状況を基に境界を確認してもらい、その後に地籍測量を行います。

ただし、境界確認の方法は、必ずしも全員が危険な境界点の直近まで移動する方法に限られません。実施主体の手続に従い、現地写真、図面、航空写真、測量成果などを用いて、安全な場所や現地以外で確認する方法が採られる場合もあります。崖地では、境界確認の必要性と、境界点へ直接接近できるかどうかを切り分けて検討することが重要です。

崖地で作業が難しくなる第一の理由は、見通しを確保しにくいことです。樹木、竹、つる植物、低木、落ち葉、堆積土砂などにより、境界標や工作物が隠れていることがあります。標識を探すことに集中すると、足元や頭上の危険を見落としやすくなります。

第二の理由は、足場が不安定になりやすいことです。乾いて見える斜面でも、落ち葉の下が湿っていたり、表土が浮いていたりする場合があります。崖上では転落や縁部の崩れ、崖下では落石、土砂、枯れ枝などへの警戒が必要です。

第三の理由は、地形や構造物が境界のように見えやすいことです。崖の上端、下端、傾斜の変化点、擁壁の天端、石積みの端、排水溝、柵の列などは線状に見えますが、造成や防災工事、土地利用上の都合によって設けられた可能性があります。

第四の理由は、過去の資料と現在の地形が一致しないことです。浸食、盛土、切土、擁壁工事、道路整備、災害復旧などにより、現況が変化している場合があります。現在の崖の位置だけを基準にすると、既存の測量成果や周辺筆との関係に整合しないことがあります。

このため、崖地を含む土地では、現地で分かりやすい線をそのまま筆界として扱わず、公図、地積測量図、過去の測量成果、境界標、関係者の説明、地形の成り立ち、周辺筆との連続性を総合して調査します。

確認1 現地に入る前に地形と危険箇所を把握する

崖地の地籍調査では、立会い当日に初めて地形や進入経路を確認する進め方は避けます。まず、対象筆と隣接筆の資料を集め、土地のおおまかな形状、崖の位置、道路や水路との関係、進入できそうな経路を把握します。

確認する資料としては、公図、登記事項、地積測量図、過去の境界確認資料、既存の測量成果、地形図、道路や水路の管理資料、造成図面、擁壁の図面、災害復旧工事の記録、過去の写真などが考えられます。すべての資料がそろうとは限らないため、入手できた資料ごとに作成時期、目的、縮尺、精度、対象範囲を確認します。

公図は土地のおおまかな位置関係を把握する資料として有用ですが、地域や作成経緯によっては、現地の形状や距離と正確に一致しない場合があります。地積測量図や過去の測量成果についても、作成年、測量方法、基準点、座標の有無などを確認し、一つの資料だけで現地の筆界位置を断定しないことが大切です。

資料上で、境界候補が崖上、斜面途中、崖下のどこに位置するかを整理します。斜面途中に筆界点がある場合や、崖上から視認できない位置に標識がある場合は、直接接近以外の確認方法を早い段階で検討します。

現地への進入経路も重要です。土地所有者が日常的に使用している踏み跡であっても、調査参加者全員が安全に通行できるとは限りません。腐食した木製階段、固定状態が不明なはしご、細い踏み跡、崩れた路肩、私設通路などを、当然に使用できる経路として扱わないようにします。

隣接地や公共施設側から確認する方が安全な場合もあります。ただし、隣接地への立入りや施設区域内での作業には、所有者または管理者への説明、許可、日程調整が必要になることがあります。調査上必要であることだけを理由に、無断で立ち入ることはできません。

事前踏査を行う場合は、境界をその場で決めることよりも、現場条件を把握することを優先します。崖上の亀裂、陥没、張り出し、浮石、倒木、枯れ枝、湧水、排水の集中、擁壁の傾き、亀裂、はらみ出し、石積みの崩れなどを、立入り可能な範囲から確認します。

新しい土砂の堆積、濁った湧水、根元から傾いた樹木、新しい落石などが見られる場合は、斜面の状態が変化している可能性があります。地籍調査の担当者が斜面や構造物の安全性を診断する立場にない場合は、原因や危険度を断定せず、実施主体の安全管理担当者、施設管理者、土木や防災の専門部署などへ相談します。

天候履歴も確認します。立会い当日が晴れていても、直前の降雨や融雪によって斜面内部の含水状態や湧水量が変化していることがあります。土地ごとの反応時間は異なるため、雨が止んだことだけをもって安全と判断しないようにします。

把握した危険箇所は、現地図や案内図に記録します。立入を避ける範囲、安全な集合場所、待機場所、車両の位置、崖上と崖下の移動を分ける場所などを整理しておくと、当日の混乱を抑えられます。

確認2 境界資料と現地の地形を切り分けて確認する

崖地の境界確認で避けたいのは、地形上の分かりやすい線を筆界と決めつけることです。崖の上端や下端が土地利用上の区切りとして認識されていても、登記上の筆界と一致するとは限りません。

境界候補を検討するときは、対象筆だけでなく、隣接筆、道路、水路、法定外公共物などとの位置関係も確認します。公共用地に接する部分では、民有地の所有者同士だけでなく、所管する行政機関や施設管理者との調整が必要になる場合があります。

崖上の平坦地から斜面までが一筆に含まれる土地もあれば、崖の途中や崖下で別の筆に分かれている土地もあります。現地で一続きに見える山林が複数筆に分かれている場合も、擁壁や柵で区切られている範囲が同一筆である場合もあります。

既存の境界標が見つかった場合は、種類、材質、刻印、状態、周囲の状況、他の境界点との位置関係を記録します。ただし、標識を発見しただけで、その位置を直ちに筆界点として採用するのは適切ではありません。工事による移設、地盤の移動、傾斜、脱落、再設置などの可能性を検討する必要があります。

擁壁の端部にある金属標、鋲、塗装印などは、工事管理用の印、測量基準点、施工位置を示す印である場合があります。形状だけで土地境界標と判断せず、設置経緯や既存資料と照合します。

土地所有者や隣接所有者からの聞き取りも重要です。どの範囲を管理してきたか、過去に境界確認をしたことがあるか、擁壁や柵を誰が設置したか、以前の境界標を見たことがあるかなどを確認します。

ただし、草刈りや補修を続けてきた管理範囲と筆界が一致するとは限りません。聞き取りは重要な参考情報ですが、確認済みの測量成果や筆界位置と同じ扱いにはせず、資料や現地状況との整合性を検討します。

斜面に沿う境界は、一本の曲線として存在するのではなく、複数の筆界点を順に結んだ折れ線として表されることがあります。崖上と崖下の二点だけを直線で結ぶと、中間の筆界点や周辺筆との接続関係を見落とす可能性があります。資料上の折れ点、中間点、三筆以上が接する点の有無を確認します。

災害や浸食で崖が後退したり、崖下へ土砂が堆積したりしても、その現象だけで筆界が現在の崖位置へ自動的に移ると判断することはできません。地形の変化と筆界の調査を分け、災害前の資料、既存座標、周辺の筆界点、工事記録などを照合します。

地籍調査は、現在の使い方に合わせて新しい境界線を任意に作る手続ではありません。原則として、資料、現地の標識や占有状況、土地所有者等の確認などを基に、既存の筆界を調査します。判断が難しい場合は、実施主体の手続に従って追加資料の確認や再調査を行います。

確認3 立会い方法と安全管理の条件を決める

崖地での立会いは、境界の確認方法と参加者の安全確保を一体で計画します。現地へ到着してから役割や立ち位置を決めるのではなく、誰がどこまで入るか、どの地点から説明するか、危険時に誰が中止を判断するかを事前に整理します。

土地所有者が日常的に斜面を歩いている場合でも、調査担当者や隣接所有者が同じ経路を安全に移動できるとは限りません。土地所有者が通れることを理由に、全員を境界点の近くへ案内する進め方は避けます。

参加者には、現場条件に応じた服装や履物を事前に案内します。調査業務に従事する担当者の保護具は、実施主体の安全管理計画や現場のリスク評価に基づいて選定します。装備があることは、危険な崖際や不安定な斜面へ立ち入れることを意味しません。

崖上では、縁に近づかない範囲を決めます。草が生えていると地面が続いているように見えても、縁部が張り出していたり、下部が浸食されて空洞化していたりする場合があります。境界標を見るために身を乗り出す、足元を掘りながら縁へ進むといった行動は避けます。

崖下では、落石や土砂、枝が到達する可能性のある場所に長時間とどまらないようにします。上部斜面で人が動くと石や枝が落ちることがあるため、崖上と崖下で同時に移動や探索を行う運用は避けるのが安全です。

急斜面や見通しの悪い区域では、単独行動を避け、安全確認を担当する者を配置できる体制を検討します。境界標の探索や測量に集中している担当者は、周囲の変化を見落としやすいためです。具体的な人数や監視方法は、現場条件と実施主体の安全基準に従います。

参加者が多い場合でも、全員を境界点の直近へ集める必要はありません。安全な場所で図面や現地写真を示し、現地へ入る者を限定して、その確認内容を共有する方法があります。実施主体の手続に適合する場合は、図面等による確認を組み合わせることも検討します。

境界候補を示す仮の目印を設置する場合は、確認済みの境界標と混同されないようにします。仮表示であること、誰がいつ設置したか、撤去または本設へ移行する条件を記録し、関係者へ説明します。

立会い開始前には、安全な移動経路、待機場所、立入を避ける範囲、作業の中止条件を共有します。参加者が個別に斜面へ入り、別々の場所で境界標を探し始めないよう、行動方法も明確にします。

天候の悪化、視界不良、新しい落石、湧水の増加、亀裂の発生、倒木、進入路の崩れなどが見られた場合は、事前計画にこだわらず作業を縮小、中止または延期します。中止基準は、気象情報、現場状態、実施主体の安全管理基準を踏まえて事前に定めます。

危険な場所に境界標がある場合は、直接触れる方法だけにこだわりません。安全な位置からの観測、既知点との関係を利用した確認、過去の座標や写真との照合、航空写真や地形データの利用などを検討します。ただし、採用する測量方法は、地籍調査の作業規程準則、実施主体の仕様、必要な精度管理に適合していなければなりません。

どうしても境界候補へ接近できない場合は、確認できなかった理由、範囲、当日の現場状態を記録し、追加調査や図面等による確認の可否を検討します。未確認事項を明確に残すことは、調査を曖昧に終わらせることとは異なります。

確認4 測量記録と危険箇所の情報を残す

崖地の地籍調査では、測量結果だけでなく、どのような条件と方法で確認したかを記録することが重要です。後から成果を確認する人が、境界点の位置、現場の制約、確認できた範囲と未確認範囲を区別できる状態にします。

境界標や境界候補は、近接写真と周辺写真を分けて撮影します。標識だけを大きく写した写真では、崖上か崖下か、どの方向から撮影したか、周辺のどの構造物と関係するかが分からなくなることがあります。

写真には、撮影日時、撮影方向、対象点の名称、撮影位置を関連付けます。同じような斜面が続く土地では、写真だけで場所を特定しにくいため、平面図や現地略図に撮影位置と方向を記録します。

樹木や草は変化しやすいため、それだけを位置の目印にしません。擁壁、道路、建物、排水施設など比較的確認しやすい物との位置関係も残します。ただし、これらの固定物が筆界を示すとは限らないため、位置説明の補助情報として扱います。

測量記録では、直接観測した点、別位置から観測した点、資料や既知点との関係から検討した点を区別します。採用した方法、使用した基準点、観測条件、精度確認の結果を、実施主体の様式に従って整理します。

機器の設置場所についても、安定性を確認します。崖際、軟弱な盛土、落ち葉が厚く堆積した場所などでは、機器が沈下または傾斜する可能性があります。観測中に設置状態が変化していないかを確認し、必要に応じて再観測します。

測量値に不自然な差がある場合は、資料上の数値に近いという理由だけで採用しません。観測点の取り違え、標識中心の読み違い、視通不良、機器設置の変化、既存標識の移動などを検討し、周辺点や閉合条件との整合性を確認します。

危険箇所の情報も記録します。崖上の亀裂、崩れやすい表土、新しい落石、倒木、擁壁の損傷、進入できなかった範囲などを残しておけば、再調査時の安全計画に役立ちます。

ただし、地籍調査の記録で斜面や擁壁の安全性を保証するような表現は避けます。目視で目立つ変状が見つからなかった場合でも、安全が確認されたと断定するのではなく、確認日時、確認範囲、確認方法、目視できた状況を具体的に記載します。

土地所有者から聞き取った内容は、担当者が現地で確認した事実と区別します。過去に崩れた場所、雨後に水が出る場所、以前に境界標があった場所などは有用ですが、記憶違いや認識差の可能性があります。

現地作業後は、資料、測量結果、写真、略図、聞き取り、危険箇所、未確認事項の関係を確認します。崖地では再訪が容易でないこともあるため、当日の記録を整理してから不足に気づくのではなく、現場を離れる前に記録の欠落がないか確認することが有効です。

崖上と崖下で確認すべき内容の違い

同じ崖地でも、崖上側と崖下側では危険の種類と境界の見え方が異なります。作業計画では、崖上、崖下、斜面途中を別の区域として整理すると、安全管理と確認方法を決めやすくなります。

崖上では、転落と縁部の崩れが主な危険です。崖の上端が明確な線に見えても、草や低木に隠れて実際の縁が分からない場合があります。地表が張り出している場所では、見た目より内側まで支持地盤が失われている可能性もあります。

崖上の境界標を探す場合は、崖際へ向かって一直線に歩くのではなく、安全な側から位置を絞り込みます。過去の写真、既知点、概略座標、周囲の固定物を利用し、探索範囲を必要以上に広げないようにします。

崖下では、落石、土砂、枯れ枝、排水の集中に注意します。崖面を見上げながら長時間作業すると足元への注意が薄れるため、確認時間を区切り、安全な退避方向を確保します。

崖下に擁壁や排水溝がある場合、構造物の端が境界のように見えることがあります。しかし、擁壁が敷地内に設置されている場合や、施工上の理由で筆界から離れている場合もあります。側溝の外側、中心、構造物端のいずれかを外観だけで境界と決めないようにします。

崖上から見た境界候補と崖下から見た候補が一致しない場合は、どちらかを感覚で選びません。高さの差がある斜面では水平位置を誤認しやすいため、測量成果と資料を照合します。

斜面途中に境界候補がある場合は、直接到達できるかどうかを慎重に判断します。標識らしい物が見えていても、安全な接近経路がなければ無理に触れず、離れた位置からの観測や既知点との関係を利用して検討します。

擁壁や石積みがある場合の注意点

崖地には、擁壁、石積み、法面保護施設、排水施設などが設けられていることがあります。これらは境界確認の参考になる一方、筆界と誤認しやすい構造物でもあります。

最初に確認したいのは、誰が、いつ、どのような目的で設置したかです。対象土地の所有者、隣接所有者、道路管理者、開発事業者など、設置主体によって構造物と筆界の関係は異なります。

擁壁の見えている壁面が筆界線とは限りません。擁壁には基礎や背面部分があり、外から見える面より広い範囲に構造が存在する場合があります。また、施工や維持管理のため、筆界から離して設置されていることもあります。

擁壁の天端も、明確な直線に見えるため境界と誤認されやすい部分です。造成時の図面、確認済みの境界標、既存の測量成果、隣接筆との関係を照合します。

古い石積みについても、境界を示す目的で積まれたのか、斜面保護、耕作地の造成、排水などのために設けられたのかを確認します。古くから存在することだけでは、筆界を示す根拠として十分とは限りません。

崩れた石積みでは、落下した石や現在残る端部から元の線を安易に推定しないようにします。過去の写真、工事記録、周辺の境界点などを確認します。

構造物の所有者や管理者が不明な場合は、土地所有者への聞き取りだけでなく、行政資料や工事記録の有無を確認します。公共施設に関連する擁壁や法面であれば、所管部署への照会が必要になることがあります。

擁壁に亀裂、傾き、はらみ出し、漏水、排水不良などが見られる場合は、接近範囲を制限します。地籍調査は構造物の安全診断ではないため、担当者だけで異常の原因や危険度を断定せず、必要に応じて管理者または専門部署へ情報を共有します。

雨天後や災害後に地籍調査を行う際の判断

崖地の状態は、降雨、融雪、地震、強風などによって変化します。予定どおり調査を実施することよりも、安全に確認できる状態かを判断することを優先します。

雨天中は、斜面が滑りやすくなるだけでなく、視界が悪くなり、雨音で落石や土砂移動の音に気づきにくくなります。境界標や足元の段差も確認しづらくなるため、作業継続の可否を慎重に判断します。

雨が止んだ後も、直ちに安全になるとは限りません。斜面内部に浸透した水が時間を置いて湧き出すことがあります。新しい湧水、濁った水、排水溝のあふれ、表土の流出などが見られる場合は注意が必要です。

地震や強風の後は、浮石、倒木、枝の落下、地割れ、進入路の損傷などが生じている可能性があります。事前踏査時に通行できた経路でも、立会い当日に再確認します。

災害後に地形が変化している場合は、現在の崖位置だけで筆界を判断しません。崖の後退、土砂の堆積、擁壁の倒壊などがあっても、その地形変化だけで筆界位置を決めることはできません。災害前の測量成果、写真、工事記録、周辺の筆界点などを照合します。

災害復旧工事が予定または実施されている場合は、工事による立入制限、仮設物、掘削、盛土、測量標の移設などの有無を確認します。工事関係者や施設管理者と情報を共有し、調査と工事の工程が干渉しないようにします。

作業の中止または延期の条件は、できるだけ事前に決めます。気象警報や注意報だけでなく、現場で確認した新しい落石、湧水の増加、亀裂、異常音、視界不良などを判断材料にします。具体的な基準は、実施主体の安全管理基準に従います。

中止や延期をした場合は、安全上の理由、確認済みの範囲、未確認範囲、再調査に必要な条件を記録します。日程変更を避けるために無理をすると、事故だけでなく、確認漏れや誤測定につながるおそれがあります。

土地所有者への案内で伝えておきたい事項

崖地を含む土地の立会いでは、土地所有者への事前案内が安全管理に直結します。一般的な立会い通知に加え、急斜面や足場の悪い場所があること、現場へ入る人数や範囲を制限する場合があることを伝えます。

参加を依頼する際は、現場条件に適した服装と履物を案内します。高齢者、歩行に不安がある人、体調上の制約がある人には、危険な場所まで移動せず、安全な場所で図面や写真を確認する方法を検討できることを説明します。

境界点の近くへ全員が移動する必要はありません。実施主体の手続に従い、代表者による現地確認、図面等による確認、別日程での説明などを組み合わせる場合があります。

所有者が境界に関する資料を保管している場合は、事前に準備してもらいます。過去の測量図、境界確認書、工事図面、写真、隣接所有者との合意記録などがあれば、現地での探索時間を短縮できる可能性があります。

崖や擁壁に関する情報も聞き取ります。過去に崩れた場所、雨後に湧水が出る場所、落石があった場所、通行を避けている場所、工事で境界標を移した可能性などは、作業計画の参考になります。

一方で、所有者が安全だと考えている経路でも、実施主体や調査担当者が危険と判断した場合は立ち入りません。その可能性を事前に説明しておくと、当日の認識差を減らせます。

立会いの目的も共有します。地籍調査は、現在の擁壁や崖の位置をそのまま境界として登録する手続ではありません。資料、現地の標識や利用状況、関係者の確認などを基に筆界を調査します。

崖地では、立会い当日に結論が出ない場合があります。追加資料の確認、再測量、施設管理者との調整が必要になる可能性を伝え、当日に必ず筆界が確定するという誤解を防ぎます。

崖地の地籍調査を進める実務手順

実務では、最初に対象筆と隣接筆の資料を収集します。対象土地だけでなく、道路、水路、公共用地を含む周辺関係を確認します。

次に、資料ごとに筆界候補、崖の位置、構造物、既存の境界点を整理します。線の位置が資料間で異なる場合は、どの程度違うか、作成時期や精度がどう異なるかを記録します。

その後、可能な範囲で事前踏査を行います。安全な進入経路、崖上と崖下の状態、植生、排水、構造物、境界標らしい物を確認しますが、危険区域へ無理に入りません。

踏査結果を基に立会い計画を作成します。集合場所、待機場所、説明位置、現地へ入る担当者、立入を避ける範囲、作業の中止条件を整理します。必要に応じて、隣接地所有者や施設管理者と立入りや作業時間を調整します。

立会い当日は、事前踏査時から現場が変化していないかを最初に確認します。雨、風、倒木、土砂、湧水、工事などに変化があれば、計画を見直します。

安全説明の後、資料と現地を照合します。境界標、地形、構造物、管理状況、関係者の説明を確認しますが、一つの要素だけで筆界位置を判断しません。

測量では、安定した場所に機器を設置し、作業規程準則や実施主体の仕様に適合する方法で観測します。直接接近できない点については、安全な位置から採用できる観測方法や図面等による確認方法を検討します。

現地作業後は、写真、略図、測量結果、聞き取り、危険箇所、未確認事項を整理します。資料間の整合性を確認し、不明点が残る場合は追加調査を計画します。

最後に、関係者へ確認結果を説明します。現地で確認した内容、資料上で検討した内容、危険のため確認できなかった内容を分けて伝えます。未確認事項がある場合は、その理由と次の対応を明確にします。

崖地を含む土地で起こりやすい判断ミス

崖地の地籍調査で起こりやすい判断ミスの一つは、崖の上端、下端、擁壁、柵などを筆界と決めつけることです。見た目に明確な線でも、造成や災害、土地利用上の都合によって形成された可能性があります。

次に、境界標らしい物を見つけた時点で確認を終えることです。崖地では標識の傾斜や移動、工事用の印との混同が起こり得ます。周辺点、既存資料、測量値との整合確認が必要です。

土地所有者の管理範囲だけを根拠にすることにも注意します。長年草刈りや擁壁補修をしてきた範囲は重要な聞き取り情報ですが、それだけで筆界位置を確定できるとは限りません。

安全面では、境界標へ直接到達することを優先しすぎるミスがあります。標識が見えていると、少し無理をすれば確認できると考えがちですが、転倒、滑落、落石は重大な事故につながります。

参加者を境界点の周囲へ集めすぎることも避けます。狭い斜面や崖際では、人数が増えるほど足元が見えにくくなり、接触や落石の危険も高まります。現地へ入る者を限定し、安全な場所で説明する方法を検討します。

事前踏査時の状態を信用しすぎることも問題です。崖地は短期間で状態が変わるため、立会い当日の再確認が必要です。特に降雨、強風、地震、工事の後は、進入経路と斜面の状態を見直します。

記録不足も手戻りの原因になります。境界標の近接写真だけでは、撮影位置や周辺状況が分かりません。危険のため近づけなかった場所を記録しないと、後から確認済みと誤解されるおそれがあります。

崖地の地籍調査では、分からないことを無理に確定させない姿勢が重要です。安全に確認できた範囲と、追加検討が必要な範囲を明確に分けることで、事故と判断誤りの両方を防ぎやすくなります。

まとめ

崖地を含む土地の地籍調査では、境界を調べる技術だけでなく、現場へ安全に接近し、確認できた情報と未確認情報を分けて整理することが求められます。

第一に、現地へ入る前に資料と地形を確認し、崖上、崖下、斜面途中のどこに危険があるかを把握します。進入経路、集合場所、待機場所まで計画することで、立会い当日の無理な移動を減らせます。

第二に、崖の上端、下端、擁壁、石積みなどの地形や構造物と、筆界を切り分けて考えます。見た目に分かりやすい線だけを根拠とせず、資料、境界標、測量結果、関係者の説明、周辺筆との連続性を総合して確認します。

第三に、立会い方法と安全管理の条件を事前に決めます。参加者全員が境界点の近くへ行く必要はありません。危険な場所では、安全な位置からの観測、写真や図面による説明、実施主体の手続に沿った図面等による確認を検討します。

第四に、測量値だけでなく、確認方法、現場条件、危険箇所、未確認範囲を記録します。崖地では同じ場所へ容易に戻れない場合があるため、位置関係が分かる写真や略図を十分に残します。

地籍調査の日程や作業効率は大切ですが、安全を犠牲にして進めることはできません。危険が疑われる場合は作業を縮小、中止または延期し、実施主体の安全管理担当者、施設管理者、測量や土木、防災の関係者と情報を共有しながら対応します。

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

LRTK Phoneの使い方・実例を見る
資料請求導入相談
現場をスマホで3DスキャンLRTK Phone実例を見る