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地籍調査で所有者が信託銀行名義なら?準備する5書類

地籍調査で所有者が信託銀行名義のときに確認すべきこと

地籍調査の通知に記載された登記名義人が信託銀行である場合は、個人名義の土地とは異なり、信託関係と代理権限を分けて整理する必要があります。通知を信託銀行へ転送するだけでは、対象不動産を担当する部署、現地事情を把握している管理者、筆界の確認について意思表示できる者が判明しないことがあるためです。

地籍調査は、一筆ごとの土地について所有者、地番、地目、筆界などを調査し、筆界点を測量して地籍図と地籍簿を作成する事業です。一筆地調査では、登記所に備え付けられた登記簿、公図、地積測量図などの資料と現地の状況を照合し、土地所有者等の立会いを求めながら筆界を確認します。調査成果は閲覧、認証、承認などの手続を経て登記所へ送付され、登記記録や地図の整備に利用されます。([地籍情報サイト][1])

信託銀行名義の土地では、登記名義人である受託者、信託から利益を受ける受益者、信託を設定した委託者、資産管理会社、建物管理会社、現地管理者、立会代理人などが関係することがあります。しかし、これらの関係者が同じ権限を持つわけではありません。現地の状況を詳しく説明できる人と、土地所有者側として筆界案に意見を述べられる人が別であることも珍しくありません。

最初に整理したいのは、誰へ連絡するかという一点だけではありません。現在の登記名義人は誰か、その土地は信託財産か、受託者側の担当部署はどこか、誰が現地事情を把握しているか、誰にどこまでの代理権が与えられているかを順番に確認することが重要です。

この記事で挙げる5書類は、信託銀行名義の土地で確認漏れを防ぐための実務上の準備資料です。全国の地籍調査で5種類すべての提出が一律に義務付けられているわけではありません。委任状の様式、法人関係書類の要否、押印、原本か写しか、提出時期などは実施主体である市町村等の取扱いによって異なります。最終的には、通知書と案内文を確認し、地籍調査担当部署へ照会して必要書類を確定してください。

信託銀行名義だからといって同じ対応になるとは限らない

権利部の所有権登記名義人に信託銀行の名称が記録されていても、その土地が必ず信託財産とは限りません。信託銀行が自社の店舗、事務所、研修施設などのために通常の法人所有地として取得している可能性もあります。

信託財産かどうかを確認するときは、土地の登記事項証明書で所有権取得の原因、信託の登記の有無、信託目録番号などを確認します。所有権移転とともに信託の登記がされている場合は、信託銀行が受託者として登記名義人になっていると考えられます。信託の登記がなければ、通常の法人所有地として担当部署と権限関係を確認するのが基本です。

信託法では、受託者は信託行為の定めに従い、信託財産に属する財産の管理または処分その他の信託目的達成に必要な行為を行う義務を負う者とされています。不動産が信託されると、受託者がその不動産の所有権登記名義人となり、信託財産として管理します。したがって、地籍調査で登記名義人側の正式な対応を確認する際は、原則として受託者である信託銀行を起点に連絡経路を整理します。([e-Gov 法令検索][2])

ただし、筆界に関する判断を信託銀行のどの部署が行うか、受益者や資産運用会社への照会が必要か、現地管理会社にどこまで委任されているかは、信託契約や内部規程、管理委託契約によって異なります。信託銀行名義であることだけを理由に、一般の支店窓口が担当部署であると判断するのは適切ではありません。

受益者や委託者の名称が分かっても、その者が当然に登記名義人として立会いや意思表示をできるとは限りません。受益者は信託から利益を受ける立場ですが、受託者と同じ権限を持つわけではありません。一方で、信託目録や信託契約に受益者等の指図や承諾に関する定めがある場合は、受託者内部の判断だけで手続を完結できない可能性があります。

実務では、受託者、受益者、委託者、資産管理会社、現地管理会社、立会代理人を混同しないことが大切です。現地管理会社が日常管理を行っているという理由だけで筆界確認の権限まであると判断したり、受益者側の担当者から口頭の了解を得ただけで正式な確認が済んだと扱ったりしないよう注意します。

準備書類1 土地の登記事項証明書

最初に確認するのは、対象土地の最新の登記事項証明書です。内部確認用としては、表題部と権利部を確認できる全部事項証明書が基本的な候補になります。通知書に記載された土地の所在と地番、地目、地積、現在の所有権登記名義人、所有権取得の原因、信託の登記の有無などを確認します。

地籍調査の対象地は、一般に住居表示ではなく土地の所在と地番で特定されます。建物の住所と土地の地番は一致しないことがあるため、施設名や郵便上の住所だけで対象地を判断してはいけません。一つの施設として利用されていても、登記上は複数筆に分かれ、筆ごとに名義や信託関係が異なることがあります。

登記事項証明書では、信託銀行の商号、本店所在地、所有権取得の受付年月日と原因、信託目録番号などを確認します。商号変更、合併、本店移転などがあると、通知書に記載された名称や所在地が現在の法人情報と一致しない場合があります。名称の表記差だけで別法人と決めつけず、法人の履歴と登記記録を照合します。

信託の登記がある場合は、登記事項証明書を請求するときに信託目録を含めて確認できるようにします。信託目録番号が複数ある場合や、共同で管理されている複数筆で番号が異なる場合は、対象筆との対応を一筆ずつ確認します。

登記事項証明書には、抵当権、差押え、地上権、賃借権などの登記が記録されている場合もあります。ただし、そのような権利者が常に一筆地調査の立会者になるわけではありません。どの関係者へ通知し、誰の確認を求めるかは、権利の内容と実施主体の判断によります。

過去の売買資料や境界確認書に添付された登記事項証明書だけで判断するのは避けます。その後に受託者の変更、信託の終了、信託登記の抹消、所有権移転、商号変更などが生じている可能性があるためです。地籍調査の通知を受けた時点に近い情報を確認し、古い資料は履歴を知るための参考として扱います。

対象筆が多い場合は、地番、登記名義人、信託登記の有無、信託目録番号、担当部署、現地利用状況を整理した管理表を作ると便利です。ただし、管理表は確認作業の補助資料です。正式な権利関係を判断するときは、必ず各筆の登記記録に戻って確認します。

準備書類2 信託目録

対象土地に信託の登記がある場合は、登記事項証明書とあわせて信託目録を確認します。信託目録は、信託の登記に関する情報を記録したもので、委託者、受託者、受益者等に関する情報、信託の目的、信託財産の管理方法、信託の終了事由、その他の信託条項などを確認する手掛かりになります。法定の例外や記録方法によっては、受益者の氏名等がそのまま記録されない場合もあります。([法務省][3])

信託目録は、信託契約書の全文そのものではありません。登記上公示される事項を確認する資料であり、信託銀行内部の決裁経路、担当部署、管理会社、現地担当者まで網羅しているとは限りません。そのため、信託目録だけで立会者や代理権限を断定しないことが重要です。

確認の目的は、受益者の名称を知ることだけではありません。信託財産の管理方法に、受益者や指図権者の承諾、第三者の同意、処分権限の制限などが記録されていないかを確認し、筆界に関する対応を誰が判断すべきか検討するために使います。ただし、記載内容の法的評価が必要な場合は、受託者の法務担当者や司法書士、弁護士などへ確認します。

信託目録を取得したら、土地の登記記録に付された信託目録番号と一致しているかを確認します。同じ敷地内でも、取得時期や信託案件が異なれば信託目録番号が異なることがあります。一つの信託目録を敷地内の全筆へ機械的に適用しないよう注意してください。

信託目録の内容と、連絡を受けた担当者の説明が一致しない場合は、口頭説明だけで処理しないことが大切です。例えば、管理会社に任せていると説明された場合でも、現地案内だけを任せているのか、筆界案への意見申出や確認書類への署名まで委任しているのかは別に確認する必要があります。

信託目録だけでは権限関係を説明できない場合でも、信託契約書の全文を当然に地籍調査担当部署へ提出するとは限りません。信託契約には、地籍調査と関係のない取引条件、受益者情報、資金情報などが含まれる可能性があります。提出先と目的を確認し、必要な条項の抜粋、権限確認書、担当部署の証明書などで代替できるかを相談します。

信託関係書類には、個人情報や取引上の機密情報が含まれることがあります。資料を共有するときは、誰が何を確認するために必要としているのかを明確にし、不要な情報まで広く配布しないよう管理します。

準備書類3 法人の代表権と担当権限を確認できる書類

信託銀行は法人であるため、地籍調査への対応者がどの立場で行動するのかを説明できる資料が必要になる場合があります。代表者本人が対応する場合は、履歴事項全部証明書や代表者事項証明書などが候補になります。ただし、これらの書類を地籍調査のたびに必ず提出するという全国共通のルールがあるわけではありません。

実際には、信託銀行の代表者が現地立会いに出席することは通常想定しにくく、受託不動産の担当部署、法務部門、資産管理会社、現地管理会社、測量会社などの担当者が対応することがあります。その場合は、登記名義人である信託銀行から実際の立会者まで、権限がどのようにつながっているかを整理します。

社内で一定の決裁権限を持つことと、外部に対して土地所有者を代理する権限を持つことは同じではありません。社内規程上の担当者であっても、現地立会い、筆界案への意見申出、確認書への署名、成果閲覧などの行為を外部に対して行うには、委任状などの権限資料を求められる場合があります。

信託銀行から資産管理会社へ業務を委託し、さらに現地管理会社の担当者が立会う場合は、委任関係が複数段階になります。信託銀行から資産管理会社への権限付与と、資産管理会社から現地立会者への権限付与がそれぞれ確認できるかを見ます。

任意代理人がさらに別の人へ再委任できるかは、元の委任内容や本人の承諾などによって判断されます。元の書面で再委任が認められていない場合は、最終的な立会者の権限を説明できないことがあります。担当者から任せていると聞いただけで済ませず、誰が誰に何を委任したのかを書面で確認するのが安全です。

法人関係書類については、発行後何か月以内のものを求めるか、原本が必要か、写しでよいか、法人番号の確認で足りるかなどが実施主体によって異なります。過去の案件で使った書類をそのまま流用せず、今回の通知書と担当部署の案内を確認します。

土地の登記事項証明書と法人関係書類で商号、本店所在地、代表者の記載が一致しない場合は、変更の時期と経緯を確認します。単なる旧商号の記載か、合併や受託者変更を伴うのかによって、追加で必要になる資料が異なります。

準備書類4 現地立会いや確認手続を委任する委任状

信託銀行の代表者以外が現地立会いを行う場合は、委任状が重要になります。自治体の案内でも、登記名義人本人が立ち会わない場合に委任状で代理人を選任できる取扱いや、法人用の委任状記入例が示されています。ただし、様式、署名、押印、提出時期などは自治体ごとに異なるため、対象地区の様式を優先します。([横浜市公式サイト][4])

委任状では、委任者、受任者、対象土地、委任事項、作成日、連絡先などを明確にします。対象土地は施設名や住居表示だけでなく、登記上の所在と地番で特定します。複数筆を対象にする場合は、別紙を利用するなどして地番の漏れや重複を防ぎます。

委任事項は、単に地籍調査に関する一切の件と記載すれば足りるとは限りません。実施主体の様式に、現地立会い、筆界確認、承諾の可否、境界標識の設置、成果の閲覧、訂正の申出、書類の受領などが個別に記載されている場合があります。今回必要な行為が委任範囲に含まれているかを確認します。

現地を案内する権限と、土地所有者に代わって筆界案について意思表示する権限は区別しなければなりません。現地管理者が境界標や構造物の位置を説明できても、筆界案への承諾、不承諾、意見申出までできるとは限りません。

委任者欄には、信託銀行の商号、本店所在地、代表者の資格と氏名などを、指定様式に従って記載します。代表者印、会社印、担当部署印のどれが必要か、押印自体が不要かは実施主体と信託銀行の内部規程を照合します。別の自治体で受理された書式を、そのまま今回の案件へ流用するのは避けた方が安全です。

受任者が法人である場合は、法人名だけで足りるか、実際に立会う担当者の氏名まで指定する必要があるかを確認します。担当者が当日変更になる可能性がある場合は、社員証、名刺、身分証明書など、受任法人の担当者であることを示す資料が必要かも確認します。

信託銀行から資産管理会社、資産管理会社から現地担当者へ権限が移る場合は、委任状の連続性を確認します。途中の書面が欠けていると、最終的な立会者が誰を代理しているのか説明できません。再委任を行う場合は、元の委任内容が再委任を許容しているかも確認します。

信託銀行内部では、委任状の文案確認、法務審査、押印申請、郵送などに時間を要することがあります。立会通知を受けてから担当部署の特定を始めると間に合わない可能性があるため、登記名義を確認した段階で指定様式と期限を入手し、早めに作成を依頼します。

準備書類5 筆界の判断に使える境界関係資料

登記事項証明書、信託目録、法人関係書類、委任状がそろっても、現地のどこが筆界かを判断できるとは限りません。5つ目の準備資料として、対象土地と隣接地の筆界を検討するための境界関係資料を集めます。

候補になるのは、公図または地図、地積測量図、過去の確定測量図、境界確認書、筆界確認書、道路や水路との境界に関する図面、分筆時の測量成果、売買時の添付図面、造成図、外構図、施設管理図、境界標の写真などです。これらの資料は、単独で現在の筆界を決定するものではなく、作成時期、作成目的、測量方法、当事者、現況との整合性を確認しながら利用します。

地積測量図が備え付けられていても、作成年代や測量方法によって精度や記載内容が異なります。辺長や座標値がある場合でも、現地の境界標が亡失、移動、再設置されている可能性があります。反対に、現地に杭、鋲、刻印があっても、それが筆界標なのか、工事用の基準点や管理上の目印なのかは資料と照合しなければ分かりません。

信託銀行は、信託設定時や受託時に取得した売買資料、鑑定資料、測量成果などを保管している場合があります。一方、資産管理会社や現地管理会社が造成図、外構図、過去の工事記録、境界立会い記録を保有していることもあります。資料の所在が分散している前提で、受託者側と現地管理側の双方へ確認します。

フェンス、塀、擁壁、側溝、舗装端、植栽帯などをそのまま筆界とみなすのは危険です。構造物は施工性、維持管理、越境回避、安全確保などの理由で、筆界から内側に控えて設置されることがあります。反対に、古い構造物が隣接地へ越境している可能性もあります。

過去の境界確認書が見つかった場合は、対象地番、隣接地番、確認した点、作成日、当事者、添付図面、署名や押印を確認します。その後に分筆、合筆、地番変更、道路整備、河川改修などが行われていれば、現在の地番や土地形状と対応しないことがあります。

資料を現地へ持参するときは、貴重な原本を不用意に持ち出さず、必要な部分の写しを用意します。図面には対象地、隣接地、確認対象の筆界点、現存する標識、標識が見つからない箇所、現況と図面が合わない箇所などを整理しておくと、立会い時の認識違いを減らせます。

地籍調査では、所有者側が持参した一枚の図面だけで筆界が決まるわけではありません。実施主体が登記所資料、既存の測量成果、現地状況、関係者の説明などを総合して調査します。資料は一方的な主張を通すためではなく、筆界を適切に調査するための情報として提示します。

5書類を準備する実務の進め方

書類準備は、土地の登記事項証明書から始めると整理しやすくなります。まず対象地番と現在の登記名義人を確認し、信託の登記があれば信託目録を確認します。その後、信託銀行の担当部署、現地管理者、立会予定者を特定します。

次に、地籍調査担当部署へ、委任状の指定様式、法人関係書類の要否、押印方法、原本と写しの取扱い、提出期限を確認します。委任状を先に作り始めても、対象地番や委任事項が不足していれば作り直しになるため、様式と必要範囲を先に確定することが重要です。

権限関係の確認と並行して、信託銀行、資産管理会社、現地管理会社へ境界関係資料の有無を照会します。委任状の社内決裁を待ってから資料収集を始めると時間を失うため、複数の作業を同時に進めます。

複数筆がある案件では、地番ごとに信託登記、信託目録番号、担当案件、委任状の対象、境界資料の有無を管理します。同じ敷地に、信託財産、信託銀行の固有財産、別法人名義、個人名義の土地が混在している可能性があります。

連絡の履歴も残します。いつ、誰が、どの地番について、誰へ連絡し、どの資料を依頼し、いつまでに回答する予定かを記録します。電話で確認した内容は、重要事項だけでも電子メールや議事メモに整理し、担当者間の認識差を防ぎます。

通知書、登記事項証明書、信託目録、法人関係書類、委任状、境界資料は、地番との対応が分かるように一つの案件ファイルで管理します。信託関係資料には機密情報が含まれることがあるため、共有先、閲覧権限、保存期間も定めます。

信託銀行の担当部署が分からないときの確認方法

信託銀行の本店所在地へ連絡しても、対象不動産の担当部署がすぐに判明するとは限りません。信託銀行では、受託資産管理、不動産管理、法務、事務受任、営業窓口などの役割が分かれていることがあるためです。

最初の連絡では、単に境界の件と伝えるのではなく、地籍調査であること、実施主体の名称、対象土地の所在と地番、通知日、立会予定日、回答期限、確認したい内容を具体的に伝えます。登記記録に信託目録番号がある場合は、必要最小限の範囲で案件特定情報として伝えます。

現地施設に管理会社がいる場合は、管理会社へも確認します。ただし、管理会社を登記名義人側の正式窓口と決めつけてはいけません。受託者側の担当部署を把握しているか、境界資料を保管しているか、現地説明を担当できるか、筆界確認の委任を受けているかを分けて尋ねます。

受益者や資産運用会社が分かっていても、受託者への連絡を省略しないことが重要です。受益者側が実務上の判断を行う案件でも、登記名義人としての委任状発行や正式回答は受託者が行う場合があります。

過去の固定資産税、工事、売買、境界確認、賃貸借などの連絡先は参考になりますが、現在も同じ担当者や管理会社であるとは限りません。担当部署の変更、管理委託先の交代、受益権の移転、信託の変更などを前提に、現在の連絡経路を確認します。

立会日が迫っている場合は、信託銀行への照会と並行して、地籍調査担当部署へ進捗を報告します。実施主体が既に別の連絡先を把握している場合や、通知の送付状況、日程変更の可否、必要書類の代替方法を案内できる場合があります。

現地立会い当日に確認したいポイント

立会いの冒頭で、出席者の氏名、所属、役割を確認します。信託銀行の職員、資産管理会社の担当者、現地管理会社の職員、測量会社の技術者では、説明できる内容と代理権限の範囲が異なります。

代理人が出席するときは、委任状の対象地番と委任事項を確認します。委任状に記載されていない土地や行為について、その場で意思表示を求められても対応できない可能性があります。複数筆を連続して確認する場合は、通知書、図面、委任状の地番を読み合わせます。

現地では、既存の境界標、塀、擁壁、側溝、道路、水路、土地の高低差、工事跡、利用状況などを確認します。立入り制限がある施設では、入場申請、安全教育、保護具、撮影許可、立会可能時間を事前に調整します。

信託銀行側の担当者が現地事情に詳しくない場合は、現地管理者にも同席してもらうと確認が進みやすくなります。境界標の位置、構造物の施工時期、過去の改修、日常の管理範囲などは、現地担当者が把握していることがあります。

ただし、草刈りの範囲、警備の範囲、フェンスの位置、賃貸範囲などは、筆界と一致するとは限りません。管理実態は重要な参考情報ですが、それだけで筆界を判断しないようにします。

提示された筆界案に疑問があるときは、その場で無理に結論を出さず、疑問点、追加で必要な資料、社内確認の相手、回答期限を記録します。委任範囲外であれば、持ち帰って受託者側の正式な判断を得る手順を確認します。

写真を撮る場合は、境界標の接写だけでなく、道路、構造物、隣接地との位置関係が分かる全景も残します。撮影位置、方向、対象地番、筆界点番号、撮影日を関連付けて整理すると、立会後の社内確認に役立ちます。ただし、施設内の撮影制限や個人情報、機密設備の写り込みには注意します。

書類が間に合わない場合の対応

信託銀行内部の法務審査や押印手続に時間がかかり、立会日までに委任状や法人関係書類がそろわないことがあります。その場合は、権限が確認できないまま代理人として意思表示したことにせず、地籍調査担当部署へ早めに状況を伝えます。

実施主体によっては、立会日の変更、現地状況の確認だけを先に行う方法、正式な意思確認を後日に分ける方法、書類の後日提出などを検討できる場合があります。ただし、利用できる対応は調査工程と自治体の取扱いによって異なるため、自己判断せず担当部署の指示を受けます。

2024年6月28日に施行された地籍調査作業規程準則の改正では、現地調査等の通知を複数回行っても所有者等から反応がない場合に、一定の資料と手続に基づいて筆界案を送付し、20日以上経過しても意見の申出がなければ、筆界を確認したものとみなして調査を進められる制度が設けられました。単に立会日に欠席しただけで直ちに確認済みになる制度ではありません。([国土交通省][5])

書類の準備が遅れているだけで、所有者側に対応する意思がある場合は、その旨を明確に伝えます。通知を放置せず、現在確認中であること、担当者名、連絡先、回答予定日、日程調整の希望を伝えることが重要です。

筆界を判断する資料が不足している場合も、分からないまま承諾するのではなく、確認できない理由を整理します。信託銀行、資産管理会社、現地管理会社、過去の所有者や工事関係者に資料がないかを確認し、実施主体が保有する公図、地積測量図、過去の調査資料などとも照合します。

最終的に筆界を確認できない場合の扱いは、個別の調査状況によって異なります。筆界未定となる可能性や、その後の登記手続への影響もあるため、必要に応じて土地家屋調査士、司法書士、弁護士などへ相談します。

信託銀行名義の土地で起こりやすい誤解

一つ目は、受益者が経済的利益を受けるため、受益者だけに確認すればよいという誤解です。登記名義人が受託者である場合、受益者から口頭で了解を得ただけでは、受託者の正式な対応や委任を代替できないことがあります。

二つ目は、現地管理会社が日常的に土地を管理しているため、筆界確認の権限も当然に持っているという誤解です。清掃、警備、草刈り、修繕、設備管理の委託を受けていても、土地所有者側として筆界案に意思表示する権限まで含まれるとは限りません。

三つ目は、信託銀行名義の土地はすべて同じ部署が管理しているという誤解です。同じ信託銀行の名義でも、信託案件、信託目録番号、受益者、資産管理会社、担当部署が異なることがあります。地番ごとの確認が必要です。

四つ目は、委任状が一枚あれば、地籍調査の全工程に対応できるという誤解です。現地立会いだけを委任しているのか、筆界案への意見申出、確認書への署名、成果閲覧、訂正申出まで含むのかで権限範囲は変わります。

五つ目は、フェンスや擁壁がそのまま筆界であるという誤解です。施設の管理境界、警備範囲、賃貸範囲、工事範囲と筆界は別の概念です。構造物の位置は参考になりますが、登記資料、測量成果、現地の他の証拠と照合する必要があります。

六つ目は、信託銀行から返答がなければ、地籍調査の手続が必ず止まるという誤解です。無反応所有者等については、法令上の所定手続により筆界のみなし確認制度が適用される場合があります。通知を受けたら、書類が未完成でも担当部署へ連絡し、対応状況を共有します。

七つ目は、地籍調査で筆界を確認すれば、越境、賃貸範囲、通行、配管、占有などの私法上の問題もすべて解決するという誤解です。筆界は公法上の土地の区画を示すもので、当事者間の所有権界や利用関係と一致しない場合があります。越境物や利用権の問題は、地籍調査とは分けて整理する必要があります。

まとめ

地籍調査の対象土地が信託銀行名義である場合は、登記名義だけで担当者や権限を判断せず、信託関係と代理関係を順序立てて確認することが重要です。

準備候補となる5書類は、土地の登記事項証明書、信託目録、法人の代表権や担当権限を確認できる書類、現地立会いや確認手続に関する委任状、筆界の判断に使う境界関係資料です。ただし、5種類すべてが全国一律の必須提出書類ではありません。実施主体の案内、信託の内容、立会者、委任範囲に応じて必要なものを確定します。

特に重要なのは、受託者、受益者、委託者、資産管理会社、現地管理会社、立会代理人の役割を混同しないことです。現地事情を説明できる人と、登記名義人側として意思表示できる人が異なる場合は、両者が連携できる体制を整えます。

通知を受けたら、最新の登記確認、信託目録の確認、担当部署の特定、委任状様式の入手、境界資料の収集を並行して進めます。判断できない事項を口頭だけで処理せず、対象地番、委任範囲、確認経緯、未解決事項を記録として残すことが、将来の引継ぎとトラブル防止につながります。

個別案件では、自治体の運用や信託契約の内容によって必要書類と判断権者が変わります。最終的な提出内容は地籍調査担当部署と受託者側の法務・管理担当者に確認し、筆界や登記、代理権に専門的な判断が必要な場合は、適切な専門家へ相談してください。

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