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地籍調査で土地が高度利用地区なら?事前確認する5点

地籍調査の対象地が高度利用地区に含まれる場合は、筆界の確認と都市計画上の区域・建築条件を分けて整理する必要があります。高度利用地区は、用途地域内の市街地において、土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図るために定められる地域地区です。都市計画では、建築物の容積率の最高限度と最低限度、建ぺい率の最高限度、建築面積の最低限度、壁面の位置の制限が定められます。([e-Gov 法令検索][1])

ただし、高度利用地区は、単に高層建築を自由に建てられる区域ではありません。小規模な建築物の建築を抑制し、敷地の統合や敷地内の有効な空地の確保を促しながら、都市機能の更新を進めることが制度の中心です。具体的な数値、区域、壁面位置、適用条件は地区ごとに異なるため、一般的な都市計画図だけで建築可能な規模を判断することはできません。

一方、地籍調査は、主に市町村などが一筆ごとの土地について所有者、地番、地目を調査し、筆界の位置と面積を測量して、地籍図と地籍簿を整備するものです。都市計画上の建築条件を決定する手続ではありませんが、敷地統合、建替え、道路整備、市街地再開発などを検討する際の基礎情報になります。([地籍調査 rete][2])

高度利用地区では、筆界、道路境界、壁面位置、再開発区域、将来の道路計画線など、目的の異なる線が近接して表示されることがあります。これらを同じ線として扱うと、立会いや成果整理の段階で誤解が生じます。地籍調査で扱う筆界と、都市計画や建築行政で扱う区域・制限を区別し、必要な場面で相互に照合できる資料を準備することが重要です。

本記事では、地籍調査の実務で立会いや資料調査に入る前に確認したい内容を五つに整理します。法令、都市計画決定、条例、運用基準、事業の進捗は地域や時期によって異なるため、最終的な判断は対象地を所管する自治体、登記所、道路管理者などの最新資料に基づいて行ってください。

高度利用地区と地籍調査の関係を先に整理する

最初に押さえたいのは、高度利用地区の確認と地籍調査では、同じ土地を扱っていても目的と法的な位置付けが異なることです。高度利用地区は都市計画上の地域地区であり、建築物の規模や配置を通じて土地の高度利用と都市機能の更新を図る仕組みです。地籍調査は、一筆ごとの土地の所有者、地番、地目、筆界、面積などを調査・測量し、土地に関する基礎情報を整備する手続です。

地籍調査の成果だけで容積率や壁面位置が決まるわけではありません。反対に、都市計画図に高度利用地区の区域が表示されていても、その表示だけで個々の筆界が決まるわけではありません。筆界は登記された一筆の土地を区画する境界であり、所有権の及ぶ範囲を示す所有権界と一致しない場合があります。建物の利用範囲、塀の位置、舗装の切れ目、賃貸借の範囲とも常に一致するわけではありません。([法務局][3])

都市部では、現地で一体利用されている土地が登記上は複数筆に分かれていることがあります。一棟の建物が複数筆にまたがっている場合や、隣接する筆を駐車場、通路、広場状空地として一体的に使用している場合もあります。反対に、一筆の土地の近くを高度利用地区の区域線や都市計画道路の計画線が通っているように見えるケースもあります。

このような場所で、一般公開されている都市計画情報の画面だけを見て、筆全体が区域内または区域外であると断定するのは安全ではありません。都市計画図は、作成目的、縮尺、背景図、更新日が地籍図や測量成果と異なります。区域の端に位置する土地では、都市計画決定図書を確認し、必要に応じて所管部署に区域線の読み方を照会する必要があります。

また、高度利用地区に指定されていることだけを理由に、直ちに共同建替えへの参加、土地の処分、既存建物の撤去が必要になるわけではありません。高度利用地区の指定、市街地再開発事業の都市計画決定、事業認可、組合や施行者による具体的な事業、民間の共同化計画は、それぞれ別の段階と手続です。地籍調査の場では、これらを混同せず、確認できた事実と未確認事項を分けて記録します。

地籍調査担当者が建築可否や再開発への参加条件を判定する必要はありません。重要なのは、筆界確認に用いた資料、現地で確認した境界標や地物、関係者の説明、都市計画資料との位置関係を、後から検証できる状態にすることです。数センチメートル程度の位置差が直ちに建築計画の可否を決めるとは限りませんが、敷地面積、道路との接し方、壁面位置、事業区域の検討に影響する可能性があるため、根拠を明確にしておく必要があります。

事前確認1 都市計画決定図書で対象地の区域を特定する

一つ目の確認点は、対象地が高度利用地区のどの区域に含まれるかを、都市計画決定図書で確認することです。一般向けの都市計画情報画面や用途地域図は初期調査に役立ちますが、筆界付近の区域判定まで保証するものではありません。表示縮尺、背景図の精度、更新時期、画面上の線幅によって、区域端の位置が曖昧に見えることがあります。

確認する資料は、自治体が公表または保管する計画書、計画図、総括図、告示、変更履歴、運用基準などです。高度利用地区では、容積率の最高限度と最低限度、建ぺい率の最高限度、建築面積の最低限度、壁面の位置の制限が都市計画で定められます。地区内が複数の部分に区分され、それぞれ異なる数値や壁面位置が設定されている場合もあるため、一覧表だけでなく計画図と注記まで確認します。

高度利用地区の境界は、国の技術的な指針では、原則として道路、河川その他の土地の区域を明示するのに適した地形や地物などにより定める考え方が示されています。したがって、区域線が必ず筆界に沿うとは限りません。道路境界、道路中心線、河川、街区の外周、都市計画施設の線など、何を基準に区域が定められているかを読み取る必要があります。([国土交通省][4])

実務では、最初に対象筆の地番とおおよその位置を公図や登記所備付地図で確認し、道路、河川、鉄道、街区、公共施設などの位置関係を整理します。そのうえで都市計画決定図書と重ね、区域線がどの地物を基準としているかを確認します。図面だけで判断できない場合は、都市計画担当部署に照会し、照会日、使用資料、回答した部署、回答内容を記録します。

変更履歴の確認も欠かせません。高度利用地区は、駅前整備、市街地再開発、公共施設の更新、街区再編などに合わせて区域や数値が変更される場合があります。過去の建築確認資料や古い事業説明図を参照するときは、現行の都市計画決定と一致しているかを確認します。資料ごとに決定年月日、告示年月日、取得日を記録し、現行資料と参考資料を区別してください。

区域端の土地では、筆界と高度利用地区の区域線を同じ縮尺で表示した照合図を作ると、論点を共有しやすくなります。ただし、この照合図は区域や筆界を新たに決める図面ではありません。座標系、縮尺、背景図、作成時期、変換方法が異なれば位置ずれが生じます。画面上で線が一致したことだけを根拠にせず、出典と精度を明記し、判断できない部分は要照会として残します。

事前確認2 登記、公図、既存測量成果から筆の履歴を読む

二つ目の確認点は、対象地を構成する筆の履歴です。高度利用地区が指定される中心市街地や駅周辺では、道路拡幅、土地区画整理、市街地再開発、分筆、合筆、敷地統合などが重なっている場合があります。現況では一体の建物敷地や駐車場に見えても、登記上は複数の地番に分かれ、所有者、地目、地積、権利関係が異なることがあります。

事前に確認する資料としては、登記事項証明書、地図または公図、地積測量図、過去の境界確認資料、道路境界に関する図面、土地区画整理や市街地再開発の成果図、過去の地籍調査成果などが考えられます。ただし、資料の有無や取得方法は地域と案件によって異なるため、入手できた一つの図面だけを絶対視してはいけません。

公図、地積測量図、道路境界図、事業図面は、それぞれ作成目的と精度が異なります。地積測量図が存在していても、現在の測量基準によって対象筆の全周を測った図面とは限りません。座標値の有無、基準点との関係、作成年月日、測量方法、隣接筆との整合、現地に対応する境界標の残存状況を確認します。

地籍調査は、既存図面を現地へ機械的に当てはめる作業ではありません。登記所の図面には、作成時期が古く、現況の境界や形状と一致しないものもあります。資料間に差がある場合は、図面の精度差、分合筆、換地、道路工事、境界標の亡失や移動など、考えられる原因を整理したうえで、一筆地調査と測量を進めます。([地籍調査 rete][2])

特に注意したいのは、現況の建築敷地と登記上の筆の集合が一致しないケースです。一棟の建物が複数筆にまたがる場合、筆の一部を通路として使用している場合、土地と建物の所有者が異なる場合、借地や地役権などが関係する場合があります。現況の利用範囲をそのまま筆界とみなさず、登記資料、境界標、既存測量成果、関係者の認識を照合します。

道路沿いでは、筆界、道路区域界、道路敷の境界、建築基準法上の道路後退線、民有地内の通路を区別します。舗装端、側溝、縁石、塀、建物外壁は、筆界と一致する場合もあれば一致しない場合もあります。歩道状に整備された民有地や、壁面後退によって確保された空地もあるため、外観だけで官民境界を判断しないことが重要です。

筆の履歴を整理するときは、現在の地番だけでなく、分筆・合筆前の旧地番、換地前後の表示、事業上の街区番号などの対応を可能な範囲で残します。関係者が古い地番や建物名で土地を認識していることもあるためです。履歴図には、どの時点でどの資料に基づき筆の表示が変化したかを記載し、確定情報と推定情報を分けます。

事前確認3 容積率や建築面積などの制限を土地情報と照合する

三つ目の確認点は、高度利用地区で定められた建築制限と、地籍調査で得られる土地情報を混同せずに照合することです。高度利用地区に関する都市計画では、容積率の最高限度と最低限度、建ぺい率の最高限度、建築面積の最低限度、壁面の位置の制限が定められます。建築基準法上、地区内の建築物は原則としてこれらの内容に適合する必要がありますが、法令上の例外や許可の仕組みもあるため、個別の建築可否は特定行政庁や建築確認を扱う専門部署に確認する必要があります。([e-Gov 法令検索][5])

容積率の最低限度が定められる点は、高度利用地区の大きな特徴です。一般の土地調査では容積率の上限に注目しがちですが、高度利用地区では、土地を一定以上の密度で利用するよう誘導するため、最低限度も設定されます。ただし、既存建物が最低限度に達していないことだけを理由に、直ちに違法な建築物であると断定することはできません。建築時期、工事の内容、既存不適格の扱い、法令上の例外、許可の有無などを個別に確認する必要があります。

建築面積の最低限度と敷地面積の最低限度も区別が必要です。建築面積は、建築物を水平投影した面積を基本とする建築法規上の指標であり、土地の面積である敷地面積や登記上の地積とは同じではありません。別の地区計画などで敷地面積の最低限度が定められている場合もあるため、資料の項目名を正確に読み分けます。

小さな筆が存在すること自体と、その一筆だけで建築できるかどうかも別問題です。複数筆を一体の建築敷地として利用する計画であれば、地籍調査では各筆の筆界と面積を調査し、建築行政側では建築敷地として扱う範囲を別途確認します。登記上の筆の集合と建築確認上の一敷地は、常に一致するとは限りません。

壁面の位置の制限は、道路沿いなどに有効な空地や歩行空間を確保する目的で定められることがあります。この壁面位置と筆界が一致するとは限りません。筆界から民有地側へ入った位置に制限線が設定される場合もあるため、境界標、塀、庇、柱、階段、設備、看板などの現況を記録するときは、それが筆界の根拠なのか、壁面位置との照合対象なのかを区別します。

地積は、建ぺい率や容積率を検討する際の基礎となり得ますが、登記地積と地籍調査による測量面積に差が生じたからといって、建築可能な面積がその場で自動的に変わるわけではありません。建築敷地の範囲、道路後退部分の扱い、複数の用途地域や都市計画区域にまたがる場合の算定、敷地と道路の関係など、建築法規上の確認が別に必要です。

地籍調査の成果を建築部門へ渡すときは、面積の数値だけでなく、その数値がどの筆、どの筆界、どの時点の成果に基づくかを明示します。暫定的な測量値、立会前の参考値、閲覧中の成果、認証後の成果を混在させないことも重要です。都市計画上の数値も、計画図、計画書、注記、運用基準を確認し、上限値だけを抜き出して建築可能規模として扱わないようにします。

事前確認4 再開発、道路、地区計画など周辺制度との重なりを確認する

四つ目の確認点は、高度利用地区以外の都市計画や事業との重なりです。高度利用地区が指定された区域では、市街地再開発事業、土地区画整理事業、都市計画道路、地区計画、防火地域、景観に関する制度などが重なっている場合があります。高度利用地区の計画書だけを確認しても、対象地に関係する条件をすべて把握できるとは限りません。

地区計画では、地区施設、建築物の用途、容積率、建ぺい率、壁面位置、敷地面積、建築物の高さなどが定められることがあります。高度利用地区と地区計画が重なる場合は、それぞれの計画書と計画図を確認し、対象地に適用される内容を整理します。似た名称の線や数値があっても、根拠となる制度や適用条件が異なることがあります。

市街地再開発事業が関係する場合は、事業の施行区域、公共施設の配置、建築物の整備方針、事業の段階を確認します。ただし、高度利用地区に指定されているすべての土地で、具体的な再開発事業が決定または実施されているわけではありません。再開発の構想、都市計画決定、事業認可、権利変換、工事という段階を区別し、決定済み資料と検討中の案を混在させないようにします。

土地区画整理事業の区域では、事業の段階によって従前地、仮換地、換地処分後の土地表示が関係します。現地の使用位置と登記上の表示が一致しない時期もあるため、地籍調査の対象時点がどの段階に当たるかを確認します。換地処分が完了しているか、事業成果が登記に反映されているかによって、参照すべき図面と地番が変わります。

都市計画道路や駅前広場の計画がある場合は、現在の筆界、現在の道路区域界、将来の都市計画施設の計画線を分けて表示します。将来の道路計画線を現在の官民境界と誤認したり、現況の歩道端を道路区域界とみなしたりしないよう注意が必要です。道路管理者、都市計画担当、事業担当が保有する図面は、名称が似ていても作成目的が異なります。

地下通路、立体的な歩行者通路、共同溝、地下駐車場などがある地域では、地表面の筆界だけでは利用関係を説明しきれない場合があります。区分地上権、地役権、賃借権、管理協定などが関係する可能性もあるため、登記事項と事業資料を照合します。ただし、地籍調査の立会いで私法上の権利関係を確定するものではないため、必要な情報を整理して担当部署や専門家へ引き継ぎます。

複数制度の重なりを整理するには、照合用の総合図を作成すると便利です。筆界、現在の道路境界、高度利用地区の区域、壁面位置、再開発区域、都市計画道路、地区施設などを異なる線種で示し、各線の出典、基準日、作成主体を図面内に記載します。ただし、総合図は説明と照合のための資料であり、それぞれの原典に代わるものではありません。

事前確認5 現況構造物と将来計画を分けて立会資料を作る

五つ目の確認点は、現況構造物と将来計画を混同しない立会資料を作ることです。高度利用地区では、既存の建物、塀、舗装、側溝、階段、植栽、駐車設備などが、将来の建替えや街区再編に伴って撤去または移設される可能性があります。それでも、現在の地籍調査では、現況を正確に記録する必要があります。

立会資料には、筆界候補点、既存の境界標、構造物の角、道路施設、建物外壁、出入口などを表示し、それぞれが筆界の根拠なのか、位置を説明するための参照物なのかを区別します。塀が存在することと、塀の中心または側面を筆界として確認できることは同じではありません。関係者の説明、既存資料、境界標、隣接筆との整合を確認します。

写真を記録するときは、撮影日、撮影方向、対象点番号、写っている地物をひも付けます。写真だけを保存しても、後日どの位置を撮影したか分からなければ、境界確認の根拠として活用しにくくなります。現況平面図、点番号、写真、立会記録を相互に参照できる状態にします。

壁面後退によって生じた空地が歩道のように利用されている場合も、外観だけで道路や官有地と判断してはいけません。民有地でありながら一般の通行に供されている場合、建築上確保された空地である場合、管理協定などに基づいて利用されている場合があります。所有、筆界、道路区域、建築上の空地、管理上の利用を区別して確認します。

立会いの関係者も事前に整理します。登記上の所有者、共有者、相続関係者、法人の権限を有する者、隣接地の所有者や管理者、道路や水路の管理部署など、案件に応じて確認が必要な相手が異なります。通知先や権限の確認に時間を要する場合があるため、資料調査の早い段階から整理します。

所有者等が通知に反応しない場合でも、自己判断で立会いや確認を省略することはできません。現在の地籍調査では、所定の通知を行ったうえで筆界案を作成し、一定期間に意見の申出がない場合に確認があったものとみなす制度が設けられています。適用には手続要件があるため、現行の法令、作業規程準則、実施主体の運用に従う必要があります。([地籍調査 rete][6])

現地では、参加者の結論だけでなく、どの資料や現況を根拠に発言したかを記録します。「昔からここだった」という説明も調査資料の一つになり得ますが、それだけで筆界を確定できるとは限りません。古い境界標、建物基礎、既存測量図、道路資料、隣接者の認識などとの整合を確認します。

意見が一致しない場合は、その場で無理に結論を作らず、争点となる区間、各者が示した位置、根拠資料、追加で必要な調査を整理します。筆界を確認できない場合の処理は、地籍調査の作業規程と実施主体の判断に従います。地籍調査で扱う筆界と、当事者の権利範囲に関する所有権界は概念が異なるため、所有権に関する争いまで地籍調査の立会いだけで解決できるとは限りません。([法務局][3])

立会図に情報を詰め込み過ぎないことも重要です。筆界候補、都市計画区域線、壁面位置、将来道路線、現況構造物を一枚に重ねると、参加者が確認対象を誤認するおそれがあります。筆界確認用の図、都市計画照合用の図、現況写真図を分け、必要に応じて総合図を補助的に使用すると説明しやすくなります。

地籍調査の立会前から成果整理までの進め方

実務を円滑に進めるには、最初に調査範囲と確認目的を定めます。高度利用地区への該当を確認するだけなのか、区域端の筆を重点的に調査するのか、再開発や道路整備に関連して筆界資料を整理するのかによって、必要な資料と関係部署が変わります。目的が曖昧なままでは、建築条件の資料は集まっても筆界の根拠が不足するなど、調査の偏りが生じます。

次に、地籍調査で使用する資料と、都市計画、建築、道路、再開発などの照合に使用する資料を分けて収集します。各資料には、資料名、作成者、作成年月日、縮尺、座標系、取得先、取得日を記録します。原本に相当する資料、写し、閲覧画面、参考図、検討中の案を明確に区別してください。

資料がそろったら、対象筆ごとに確認票を作成します。現在の地番、旧地番、所有者、地目、登記地積、既存測量図の有無、境界標の有無、高度利用地区の地区名、区域端に位置する可能性、他制度との重なり、現地で確認したい事項を整理します。現場用のチェック資料と、成果として残す説明記録を分けると、確認漏れと記録不足を防ぎやすくなります。

現地踏査では、立会前に境界標や構造物の状況、観測の見通し、交通量、工事中の箇所、立入り許可の必要性を確認します。中心市街地では歩行者や車両が多く、店舗営業、建物管理、道路使用などへの配慮も必要です。測量の安全を確保し、必要な許可や調整を行ったうえで作業方法を決めます。

立会当日は、地籍調査で確認する対象と、都市計画や建築に関する説明を分けます。高度利用地区や再開発の話題が出ると、補償、建替え、事業参加、建築可能規模について質問される場合がありますが、地籍調査の場で判断できない事項は所管部署へつなぎます。参加者には、筆界確認の対象区間、使用資料、現況との対応を順に示します。

測量後は、観測結果と既存資料の差を確認します。差がある場合は、測量誤差、図面の精度差、境界標の移動や亡失、過去の分合筆、道路工事、座標変換などの可能性を検討します。異なる座標系の図面を重ねる場合は、変換方法と想定される位置差を記録し、見た目だけで整合を判断しません。

成果整理では、地籍調査で確認できた事項、都市計画資料から照合した参考情報、未解決の疑義を分けて記載します。都市計画の区域や数値は変更される可能性があるため、地籍調査の成果図に固定的な建築判断を書き込むのではなく、参照した都市計画決定図書の名称と時点を示す方法が安全です。

地籍調査の成果は、所定の手続、閲覧、認証、登記所への送付などを経て利用されます。([地籍調査 rete][7])調査途中の測量値と正式な成果を混同しないよう、資料の状態を明記します。関係部署へ共有するときも、確定前の参考値であるか、認証後の成果であるかを分かるようにします。

高度利用地区で起こりやすい誤解と対応

よくある誤解の一つは、高度利用地区なら容積率が必ず緩和され、高層建築を自由に建てられるという考えです。高度利用地区では、容積率の最高限度だけでなく最低限度、建ぺい率の最高限度、建築面積の最低限度、壁面位置の制限が一体的に定められます。都市計画上の最大値だけを見ても、具体的な建築可能規模は判断できません。

二つ目は、高度利用地区と高度地区を同じ制度と考えることです。高度地区は、用途地域内で市街地の環境を維持し、または土地利用の増進を図るため、建築物の高さの最高限度または最低限度を定める制度です。高度利用地区は、容積率、建ぺい率、建築面積、壁面位置などを通じて土地の高度利用と都市機能の更新を図る制度であり、確認項目が異なります。

三つ目は、地籍調査によって再開発への参加条件、補償額、権利変換、建築計画の認定まで決まるという誤解です。地籍調査は、土地の所有者、地番、地目、筆界、面積などの基礎情報を整備するものであり、再開発事業や建築確認の判断を行う手続ではありません。ただし、筆界や地積が不明確なままでは事業調整に時間を要するため、重要な基礎資料になります。

四つ目は、現地の塀、側溝、舗装端、建物外壁がそのまま筆界だという考えです。これらの地物が筆界と一致する場合はありますが、常に一致するわけではありません。特に高度利用地区では、壁面後退部分が歩道状に整備され、民有地と道路が一体に見えることがあります。既存資料、境界標、道路資料、関係者の認識を照合する必要があります。

五つ目は、登記地積と測量面積に差があれば、その数値を直ちに容積率や建ぺい率の計算へ反映できるという考えです。建築上の敷地範囲は、筆の集合、道路後退、複数区域にまたがる場合の扱いなどを含めて判断されます。地籍調査の面積は重要ですが、建築法規上どの範囲を敷地として算定するかは別途確認が必要です。

六つ目は、将来の再開発で統合される予定の筆界なら、現在の確認を簡略化してよいという考えです。事業計画には変更、中断、段階施工の可能性があります。また、事業を進めるためにも現在の筆界と地積が基礎情報になります。将来計画線と現在の筆界を別の情報として正確に残すことが、後の権利調整に役立ちます。

七つ目は、都市計画図と地籍図を重ねれば、区域と筆界の関係を自動的に確定できるという考えです。両者は作成目的、縮尺、座標、更新時点が異なることがあります。重ね図は論点を発見するためには有効ですが、原典の確認や所管部署への照会を省略する根拠にはなりません。

このような誤解を防ぐには、一人の担当者がすべての制度を判断しようとしないことが大切です。地籍調査、都市計画、建築、道路、再開発、登記には、それぞれ確認すべき法令、図面、手続があります。照会先と回答内容を記録し、図面の線や数値に出典を付けることで、担当者が変わっても判断経緯を追えるようにします。

まとめ 高度利用地区では境界と都市計画を同じ図面で確認する

地籍調査の対象地が高度利用地区にある場合は、最初に都市計画決定図書で区域と地区区分を確認し、次に登記、公図、地積測量図、既存の境界資料などから筆の履歴を整理します。そのうえで、容積率、建ぺい率、建築面積、壁面位置といった都市計画上の条件を、地籍調査で扱う筆界や地積と区別しながら照合します。

さらに、市街地再開発事業、土地区画整理事業、都市計画道路、地区計画などが重なっていないかを確認し、現在の筆界、道路境界、将来計画線、壁面位置を別の線として管理します。現況構造物は、将来撤去される予定があっても現在の調査資料として記録し、筆界の根拠となるものと単なる参照物を分けます。

高度利用地区では、同じ場所に複数の意味を持つ線が集まりやすいため、照合用の総合図が役立ちます。ただし、一枚の図面へ線を重ねるだけでは不十分です。線の出典、基準日、作成目的、座標系、精度を明示し、地籍調査で確認した事項と都市計画上の参考情報を区別してください。

現場で取得した測量点、写真、立会記録、図面を位置情報とひも付けて整理すると、事務所での照合や関係部署との共有がしやすくなります。特定の機器やサービスを前提にせず、再現性のある記録方法を選び、立会前の準備から現地確認、成果整理まで一貫した情報管理を行うことが、高度利用地区における確認漏れや線の取り違えを防ぐ基本です。

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