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地籍調査で土地が所有者不明土地管理命令対象なら?確認5点

地籍調査の対象地について登記事項を確認した際、所有者不明土地管理命令の登記が見つかることがあります。この場合、登記名義人や相続人だけを前提に連絡先を整理すると、現在その土地を管理する権限を持つ者を見落とすおそれがあります。一方で、管理人が選任されているからといって、所有者や筆界が確定しているわけでもありません。

所有者不明土地管理制度は、所有者を知ることができない、または所有者の所在を知ることができない土地について、必要があると裁判所が認めたときに、利害関係人の請求により特定の土地を対象として管理人を選任する制度です。共有地では、所在などが分からない共有者の共有持分だけが対象になる場合もあります。制度は令和3年の民法改正で創設され、2023年4月1日に施行されました。

管理命令は、対象土地を適切に管理し、必要に応じて処分できる状態を整えるための制度です。地籍調査は、一筆ごとの所有者、地番、地目、筆界、面積などを調査し、地籍図と地籍簿を作成する手続です。両者は関係しますが、管理命令そのものが筆界を決めるものではなく、管理人の選任だけで地籍調査上の筆界確認が完了するものでもありません。

実務では、管理命令の対象、管理人の現在の資格と権限、所有者探索の状況、通知手続、筆界資料、判断記録を分けて確認する必要があります。この記事では、地籍調査の実施者、受託事業者、測量担当者、用地担当者が確認したい5点を、現行制度に沿って整理します。

所有者不明土地管理命令と地籍調査の関係を整理する

所有者不明土地管理命令の対象は、所有者の氏名が全く分からない土地に限られません。所有者の氏名は分かっていても所在を知ることができない土地が含まれます。また、土地が共有である場合には、共有者を知ることができない、または共有者の所在を知ることができない共有持分だけを対象として命令が発せられることがあります。根拠となるのは民法264条の2です。

裁判所が管理命令を発するときは、所有者不明土地管理人を選任します。命令が発せられると、対象土地または対象共有持分について管理命令の登記が嘱託されます。登記事項証明書は、対象筆、対象持分、命令の存在を確認する重要な入口資料です。ただし、登記には筆界の判断根拠が全て記載されるわけではないため、地積測量図、過去の境界確認資料、道路や水路の管理資料、現地の境界標などを別に確認する必要があります。

所有者不明土地管理人には、管理命令の対象となった土地または共有持分などを管理し、処分する権利が専属します。もっとも、裁判所の許可を得ずに行えるのは、保存行為と、対象財産の性質を変えない範囲での利用または改良行為です。その範囲を超える行為には、原則として裁判所の許可が必要です。土地の売却は典型例ですが、筆界に関する合意も、単に既存の筆界を資料に基づいて確認するのか、争いのある権利範囲について譲歩や和解を行うのかによって法的評価が変わり得ます。

したがって、地籍調査担当者が管理人の権限を一律に断定することは避けるべきです。調査実施者は、筆界案の根拠、既存資料との差、隣接者の主張、面積への影響、未解決事項を管理人に示し、管理人側で裁判所の許可の要否を検討できる状態をつくる必要があります。疑義がある場合は、管理人を通じた裁判所への確認や、調査実施者の法務担当、管轄登記所、専門家への照会を検討します。

地籍調査は、土地の所有権を新たに発生させたり、所有権の帰属を裁判のように最終確定したりする制度ではありません。登記所資料、過去の測量成果、境界標、現況、所有者等の説明その他の情報を総合し、筆界を調査します。所有者不明土地管理命令も筆界を決定する裁判ではないため、管理命令対象地であっても筆界の根拠を積み上げる作業は省略できません。

管理人は所有者本人ではありません。裁判所に選任され、対象財産の管理処分権を法律上行使する立場です。この区別を明確にすると、管理人の氏名を所有者欄に記載する、管理人が選任されていることだけを理由に現況線を筆界とする、所在が判明している共有者を連絡対象から外すといった誤りを防ぎやすくなります。

確認1 登記事項証明書と管理命令の対象範囲を一致させる

最初の確認点は、管理命令の対象を筆と持分の単位で正確に特定することです。地籍調査地区に含まれる土地について、所在、地番、地目、地積、登記名義人、共有持分を整理し、どの土地または共有持分に管理命令の登記があるかを照合します。隣接する複数筆が同じ名義であっても、命令が一部の筆だけを対象としている場合があります。

共有地では、土地全体に関する管理命令なのか、所在などが分からない共有者の持分だけに関する管理命令なのかを必ず区別します。持分だけが対象であれば、所在が判明している他の共有者の権利と地籍調査上の手続は別に残ります。管理人だけに連絡し、他の共有者への通知や確認を省略できるとは限りません。

登記事項証明書は、できるだけ調査時点に近いものを使用します。管理命令は、所有者が権利を証明して取消しを求めた場合や、管理を継続する必要がなくなった場合などに取り消されることがあります。取消しの裁判があれば、管理命令の登記の抹消が嘱託されます。古い証明書だけを使うと、管理人の交代や命令の取消しを見落とす可能性があります。

最新情報の確認は、調査開始時だけでなく、現地調査前、筆界案の送付前、成果閲覧前などの節目でも行うと安全です。地籍調査が複数年度に及ぶ地区では、当初の連絡先や権限関係が変わることを前提に、確認日を記録します。

登記事項と併せて、管理人から提示を受けられる範囲で、管理命令の裁判書、選任を確認できる資料、事件番号、命令日、対象財産を示す資料を確認します。裁判記録は誰でも自由に取得できるとは限らないため、調査実施者の権限や手続に応じて確認し、必要以上の書類提出を求めないことも重要です。

旧地番、合筆前の地番、字名の変更、地図に準ずる図面と現況のずれがある場合は、地番だけで対象を判断しません。位置図、隣接筆、道路や水路との位置関係、地番変更の履歴を重ねて、管理命令の対象と地籍調査の対象筆が一致しているかを確認します。

土地上に建物がある場合は、土地の管理命令と建物の管理命令を混同しないようにします。土地について管理命令があっても、地上建物の所有者や管理権限まで同一とは限りません。土地と建物の双方を管理対象とするには、それぞれに対応する命令が必要となる場合があります。現地への立入りや工作物への対応が必要なときは、建物所有者や占有者など別の関係者との調整が必要かを確認します。

確認2 管理人の身分、連絡先、権限の範囲を確認する

二つ目の確認点は、現在の所有者不明土地管理人が誰であり、対象筆についてどの立場で対応するのかを明確にすることです。氏名、事務所、正式な送付先、連絡方法だけでなく、選任を裏付ける資料、対象土地または持分、確認日を記録します。担当者名を口頭で聞いただけで、管理人本人、補助者、代理人の別を確認せずに進めることは避けます。

管理人は、対象土地などの所有者のために、善良な管理者の注意をもって権限を行使する義務を負います。また、管理する土地が共有に属する場合には、共有持分を有する者全員のために誠実かつ公平に権限を行使しなければなりません。隣接者や事業者の都合だけで筆界案を受け入れる立場ではないため、資料の追加提出や説明を求めることは制度上不自然ではありません。

地籍調査では、現地立会いだけでなく、図面、写真その他の資料を用いる図面等調査が採用される場合があります。管理人が遠方にいることだけを理由に、直ちに調査不能と判断する必要はありません。ただし、図面等調査を利用できるか、どの通知を行うか、どの方法で確認を得るかは、地籍調査の実施者が作業規程準則や運用基準に沿って判断します。

管理人に筆界案を示すときは、候補線だけを送るのでは不十分です。使用した登記所資料、過去の境界確認資料、現地で確認した境界標、座標、辺長、現況構造物との位置関係、隣接者の意見、資料間の不一致を併せて示します。管理人が、従来の筆界を確認する場面なのか、権利関係の譲歩や和解を含む場面なのかを判断できる情報量が必要です。

管理人の回答書や押印が得られても、それだけで権限上の疑義が解消するとは限りません。資料と整合する筆界の確認であるか、裁判所の許可を要する可能性のある行為であるかを区別し、必要に応じて管理人側の確認結果を記録します。地籍調査担当者が裁判所の許可を代わりに判断するのではなく、判断に必要な事実を整理して提供することが重要です。

管理人から委任を受けた代理人が対応する場合は、委任状などにより権限の範囲を確認します。現地立会い、資料受領、意見提出、確認書への署名など、どこまで委任されているかを分けて見ます。現場に来た補助者が説明を聞く権限しか持たない場合、その場で最終確認を得たものとして扱わないようにします。

初回連絡では、地籍調査の実施主体、対象地区、対象筆、予定工程、確認を求める事項、回答期限、提供資料の一覧を簡潔に伝えます。管理人が検討する期間を確保し、直前に大量の資料を送り即日判断を求める運用は避けます。電話で調整した内容も、対象筆と図面の版を明記して文書化します。

管理人の交代、辞任、解任、命令の取消しに備え、連絡先と資格の確認日を残します。個人の電子メールだけに依存せず、事務所の正式な送付先、受領確認の方法、担当者変更時の引継ぎ先を整理しておくと、通知漏れや資料の散逸を防げます。

確認3 所有者探索と通知の履歴を分けて整理する

三つ目の確認点は、管理命令の申立てに先立つ所有者探索と、地籍調査として行う通知を別の記録として扱うことです。管理命令が発せられている場合、裁判手続では所有者や所在に関する調査が行われています。しかし、その調査がそのまま地籍調査作業規程準則に基づく通知を済ませたことになるわけではありません。

地籍調査の実施者は、登記名義人、登記上の住所、死亡の有無、相続関係、共有者、住所変更、法人の存続などを、適用される法令と運用に沿って確認します。閉鎖登記簿、旧土地台帳、住民票、除かれた住民票、戸籍の附票、固定資産課税台帳などが探索資料となる場合があります。利用できる資料と取得方法は実施主体の権限や地域の運用で異なるため、目的外利用や過剰な収集を避けます。

管理命令の申立て時点で所有者が不明であっても、その後に相続人、現所有者、住所移転先などが判明する場合があります。所有者が権利を証明して管理命令の取消しを求める可能性もあるため、過去の探索結果を固定情報として扱わず、重要工程の前に更新の有無を確認します。

通知記録では、所在不明と無反応を区別します。所在不明は、必要な探索を行っても通知先を把握できない、または通知の到達を確認できない状態です。無反応は、所定の通知が到達しているにもかかわらず必要な応答がない状態です。両者では利用を検討する手続が異なります。

令和6年の地籍調査作業規程準則改正により、2024年7月から土地境界のみなし確認制度が運用されています。現地調査等の通知に反応がない所有者等に対し、図面等調査に関する通知や報告・資料提出の求めを行い、それにも応じない場合、地籍調査実施者が筆界に関する情報を総合して筆界案を作成します。その筆界案を到達確認ができる方法で送付し、到達日から20日間に意見の申出がなければ、確認を得たものとみなして調査を進めることができます。

この制度は、要件を満たせば必ず適用されるものではなく、実施者が適用の可否を判断する手続です。土地所有者等が地籍調査への協力を明確に拒否している場合や、図面等調査の通知または筆界案の到達を確認できない場合は対象外です。発送した事実だけで適用せず、どの通知がいつ到達したかを確認します。

所在不明所有者等がいる場合には、所在が明らかな他の所有者等の確認を得て筆界案を作成し、その旨を所定の期間公告するなど、一定の要件を満たせば、所在不明所有者等の確認を得ずに調査を進められる手続があります。ただし、他の所有者等による確認がない場合や、筆界案を作成できるだけの資料がない場合まで、公告だけで自動的に処理できるわけではありません。

管理人が選任されている案件では、管理人を正式な関係者として確認した上で通知します。管理人への通知が到達しているのに回答がない場合と、管理人の資格や送付先を確認できない場合を同じ処理にしません。管理人が存在するはずだという推測だけで、通常の所有者等調査や通知を省略しないことが重要です。

通知履歴には、送付日、送付先、送付方法、文書名、対象筆、添付図面の版、到達日、回答期限、回答内容、再送日を記録します。電話連絡も日時、相手方、説明内容、回答、保留事項を残します。所有者探索資料には個人情報が含まれるため、現場用資料と原資料を分け、閲覧権限、持出し、保管、廃棄のルールを定めます。

確認4 筆界資料と現地の利用境界を照合する

四つ目の確認点は、登記上の筆界を示す資料と、現地で見える利用境界を分けて評価することです。管理命令対象地では管理が長期間行われていない場合があり、境界標の埋没、塀や柵の倒壊、草木の繁茂、隣接者による利用などが生じていることがあります。現況は重要な情報ですが、現況だけで筆界を判断することはできません。

確認資料には、登記所の地図または地図に準ずる図面、地積測量図、過去の境界確認書、用地実測図、道路区域や河川・水路に関する図面、換地図、土地区画整理資料、過去の地籍調査成果、基準点や境界標の記録、航空写真、工事図面、現況写真などがあります。資料の有無だけでなく、作成年、作成者、測量方法、座標系、縮尺、精度、対象範囲を確認します。

地積測量図が存在しても、作成時期や測量方法によって復元性は異なります。一辺の長さだけを現地に合わせると、反対側や周辺筆で矛盾が生じることがあります。既知点からの復元、周辺筆との整合、道路や水路との関係、閉合、面積、既存境界標の種類と位置を総合して検討します。

塀、フェンス、側溝、法面の肩、樹木列、耕作線、舗装端などは、筆界と一致する場合もあれば、所有者が内側に控えて設置した利用境界である場合もあります。設置時期、設置者、工事資料、隣接者の説明、境界標との距離を確認し、構造物は複数資料の一つとして評価します。

管理人には、完成した一本の線だけを示すのではなく、その線を採用した理由を説明します。例えば、境界標二点と過去の地積測量図が整合し、道路区域資料とも矛盾しない一方、現況塀は候補線から一定距離内側に設置されているなど、資料ごとの関係を示します。不一致がある場合は、差の大きさと採用した資料の理由を隠さず記録します。

関係者間に明確な対立がある場合、地籍調査担当者が話合いだけで新しい境界線を作ることは避けます。追加資料を調査し、管轄登記所の登記官に助言その他の協力を求めることを検討します。なお確認できない場合には、筆界未定として扱う可能性、地方公共団体による筆界特定の申請、当事者による筆界特定や訴訟など、案件に応じた別手続を検討します。

土地境界のみなし確認制度や所在不明所有者等に関する手続を利用する場合も、客観的な筆界資料の検討は必要です。制度は根拠の弱い線を便宜的に採用するためのものではありません。地籍調査実施者が筆界に関する情報を総合的に考慮し、説明可能な筆界案を作成することが前提です。

現地写真には、撮影日、撮影方向、対象境界点、図面上の点番号を記録します。測量データ、写真、野帳、管理人への説明資料で同じ点番号を使うと、後から判断過程を追いやすくなります。境界標を発見したときは、材質、形状、刻印、埋設状態、周辺構造物との位置関係も記録します。

確認5 立会い、筆界案、閲覧までの記録を残す

五つ目の確認点は、調査開始から成果閲覧まで、判断と連絡の記録を連続させることです。管理命令対象地では、管理人、所在が判明している共有者、隣接所有者、申立人、裁判所、登記所、地籍調査実施者、受託事業者など関係者が増えやすく、記録が分散すると経緯を追えなくなります。

現地調査を行った場合は、日時、場所、参加者、資格、対象筆、確認方法、使用資料、現地で示した点、各人の意見、保留事項を記録します。代理人や補助者が参加した場合は、その権限を確認した資料とひも付けます。沈黙や判断保留を同意として記載せず、確認済み、意見あり、保留、回答待ち、所在不明、無反応など状態を分けます。

筆界案には、版番号、作成日、作成者、根拠資料、座標、辺長、隣接筆、変更履歴を付けます。管理人や隣接者の意見で修正したときは、修正前後の差、修正理由、再送先を残します。境界点を変更したのか、図面表現だけを直したのか、計算や測量誤差を整理したのかを区別します。

土地境界のみなし確認制度を利用する場合は、現地調査等の通知、図面等調査に関する通知、報告・資料提出の求め、筆界案、送付方法、到達日、20日間の期間計算、意見の有無を一連の資料として保存します。20日間は筆界案の発送日ではなく到達日を基礎に確認します。到達を確認できない案件や積極的な拒否がある案件を同じ処理コードで扱わないようにします。

所在不明所有者等に関する公告手続を利用する場合は、所有者探索の記録、所在が明らかな他の所有者等による確認、公告した筆界案、公告方法、公告期間、意見の有無を保存します。みなし確認と所在不明者への公告は要件が異なるため、記録上も明確に分けます。

地籍調査の成果は、地籍図案と地籍簿案として20日間閲覧に供され、誤りなどの申出があれば必要な修正が検討されます。みなし確認や公告手続を用いた案件でも、成果閲覧の工程は残ります。閲覧時に管理人、共有者、隣接者から意見が出た場合に、筆界案の根拠と通知経過をすぐ提示できる状態にします。

調査期間中に、所有者の判明、土地の処分、管理人の交代、命令の取消しなどが判明した場合は、関係者一覧、通知先、権限確認、筆界案の確認状況を更新します。以前の管理人が権限のある期間に行った対応が直ちに無意味になるとは限りませんが、誰が、いつ、どの権限に基づいて対応したかを説明できる必要があります。

記録の最終形は、第三者が見ても手続を追える状態です。対象筆を何で特定したか、管理人を何で確認したか、誰に何を通知したか、筆界案を何に基づいて作ったか、意見をどう処理したか、閲覧で申出があったかを時系列で示せれば、成果の認証や登記所への送付に向けた確認もしやすくなります。

所有者不明土地管理命令対象地の実務フロー

実務では、最初に地籍調査地区の最新の登記情報を確認し、管理命令の登記がある筆を抽出します。土地全体が対象なのか共有持分が対象なのかを確認し、合筆、分筆、地番変更の履歴、隣接筆との位置関係を整理します。

次に、管理人の氏名、正式な連絡先、選任を確認できる資料、命令の対象、命令が現在も有効かを確認します。土地上に建物がある場合は、建物について別の管理命令があるか、建物所有者や占有者との調整が必要かも確認します。

管理人への初回連絡では、実施主体、対象地区、対象筆、調査目的、予定工程、現地調査候補日、図面等調査の可能性、事前に確認してほしい資料をまとめて伝えます。管理人が遠方にいる場合の対応方法は、調査実施者が準則や地区の作業方法に沿って決めます。

その後、所有者探索資料と地籍調査の通知資料を分けます。所在が判明している者、所在不明の者、通知が到達しているが無反応の者、管理人が対応する対象持分を区分します。この区分によって、通常の現地調査、図面等調査、みなし確認、所在不明者に関する公告など、検討すべき手続が変わります。

筆界資料を収集し、現地調査前の検討線を作成します。登記所資料に加え、道路、水路、河川、公共用地、区画整理、土地改良、過去の用地取得などの資料があれば照合します。管理命令対象筆だけを単独で合わせず、周辺筆との整合を確認します。

現地では、境界標、構造物、地形、占有状況、支障物を確認し、写真と測量記録を残します。管理人や隣接所有者が立ち会う場合は、筆界、所有権界、利用境界が常に一致するとは限らないことを説明します。現場で即断できない事項は保留し、追加資料を確認してから筆界案に反映します。

筆界案を作成した後は、関係者に同じ版の図面を提示します。資料間の差、面積への影響、未解決事項がある場合は説明資料を添付します。管理人には、確認行為の内容を具体的に示し、裁判所の許可が必要となる可能性がないかを検討できるようにします。

無反応者や所在不明者がいる場合は、それぞれの要件に応じた手続を検討します。到達が確認できる者とできない者を混同せず、20日間の期間計算、公告期間、意見申出の処理を記録します。積極的な異議がある場合は、無反応を前提とする制度で処理しません。

最後に、地籍図案と地籍簿案の閲覧前に、管理命令の登記、管理人、通知先、筆界案の版を再点検します。閲覧で申出があった場合は、過去の筆界案、送付記録、現地記録を参照し、修正の要否を判断します。成果送付後も、対象筆や境界点から案件記録を検索できる状態で保管します。

地籍調査で起こりやすい判断ミス

最も注意したいのは、管理命令があるため所有者が確定したと考えることです。管理人は所有者ではなく、裁判所に選任された財産管理者です。所有者が後から判明し、命令が取り消される場合もあります。所有者欄、管理人欄、送付先欄を分けて管理します。

次に、管理人がいるため他の共有者への連絡は不要と考える誤りがあります。共有持分だけが管理命令の対象であれば、所在が判明している他の共有者は別の関係者です。管理命令が及ぶ持分を確認せずに通知先を決めないようにします。

管理命令の登記を調査開始時に一度確認し、その後更新しない運用も危険です。調査期間中に、管理人の交代、命令の取消し、土地の処分、所有者の判明が起こる可能性があります。重要工程の前に最新の登記事項を確認します。

現地の塀やフェンスをそのまま筆界とするのも典型的な誤りです。利用境界と筆界が一致する場合はありますが、内側に控えて設置されている場合や、後から移動している場合もあります。構造物は図面、境界標、周辺筆との整合と併せて評価します。

管理人の署名や押印があれば、どの筆界案でも確定できると考えることも避けます。管理人の権限には範囲があり、単なる現況確認と、権利範囲の譲歩を伴う合意は同じではありません。疑義がある案件では、管理人側の権限確認を待ってから処理します。

所在不明と無反応を同じ手続で扱うこともできません。みなし確認制度は、必要な通知や筆界案の到達が確認され、20日間に意見がないことなどが要件です。送付先が分からない者、到達を確認できない者、明確に拒否している者には、そのまま適用できません。

所在不明所有者等に関する公告についても、公告すればどの案件でも進められると考えるのは危険です。所在が明らかな他の所有者等による筆界案の確認など、準則が定める前提を確認します。客観的資料から筆界案を作成できない場合は、登記官への協力要請や筆界特定など別の対応を検討します。

口頭調整だけで工程を進めると、後で確認内容を再現できません。電話で了承を得た場合も、対象筆、図面の版、確認した点、条件、保留事項を文書で確認します。隣接者の説明は、客観的資料と区別して記録します。

最後に、管理命令対象地を特別扱いしすぎて、通常の地籍調査手続を省略する誤りがあります。管理命令は管理権限と連絡先の整理に関係しますが、筆界資料の収集、現地または図面等による調査、筆界案の作成、通知、成果閲覧という基本工程は必要です。

まとめ 管理命令対象地ほど情報を一元化する

地籍調査の対象地に所有者不明土地管理命令の登記がある場合は、まず命令の対象が土地全体か共有持分かを確認します。次に、現在の管理人、正式な連絡先、権限の範囲を確認し、所有者探索の履歴と地籍調査の通知履歴を分けて整理します。

筆界については、管理人の存在や現地の利用状況だけで決めず、登記所資料、過去の測量成果、境界標、道路や水路の資料、周辺筆との整合を総合して筆界案を作成します。管理人の確認が権限内の行為か疑義があるときは、管理人側で裁判所の許可の要否を検討できる情報を提供します。

所在不明所有者等に関する手続と、無反応所有者等に関するみなし確認制度は、要件が異なります。通知の到達、20日間の期間、積極的拒否の有無、他の所有者等による確認などを案件ごとに確認し、適用できない手続を便宜的に使わないことが重要です。

管理命令対象地では、登記、裁判関係資料、所有者探索、通知、現地写真、測量成果、筆界案、意見処理を対象筆と境界点にひも付けて管理します。位置情報付き写真を扱える業務端末や共有システムを使う場合も、特定製品に依存せず、図面の版、点番号、確認日、アクセス権限を統一してください。第三者が後から経緯を追える状態をつくることが、安全で再現性の高い地籍調査につながります。

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