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地籍調査で土地が緑化地域なら?事前確認する5点

地籍調査と緑化地域の関係を整理する

地籍調査の対象地が緑化地域に含まれる場合は、土地の筆界や地積に関する調査と、都市緑地法に基づく建築敷地の緑化規制を分けて考えることが重要です。制度の目的や担当部署が異なるため、両者を一つの手続きとして扱うと、現地立会で確認すべき事項と建築計画で確認すべき事項が混在してしまいます。

地籍調査は、主に市町村などが実施主体となり、一筆ごとの土地の所有者、地番、地目を調査し、筆界の位置と面積を測量する調査です。一般的な流れでは、関係者による筆界確認、地籍測量、地籍図と地籍簿の作成、閲覧、成果の認証、登記所への送付へと進みます。地籍調査の成果は登記記録や登記所備付地図を整備する基礎になります。地籍ポータル+1

一方、緑化地域は、用途地域が指定されている区域のうち、良好な都市環境を形成するために建築物の敷地内で緑化を推進する必要がある区域について、市町村が都市計画で定める地域地区です。国土交通省の案内では、原則として敷地面積が千平方メートル以上の建築物の新築または増築が対象で、市町村は条例により対象規模を三百平方メートルまで引き下げることができます。増築は、従前の床面積の二割以上となるものが対象とされ、用途や敷地状況による適用除外もあります。緑化率の最低限度は都市計画で定められ、建築基準関係規定として建築確認にも関係します。国土交通省

したがって、土地が緑化地域にあるだけで、直ちに植栽工事や緑化率の再計算が必要になるわけではありません。新築や一定規模の増築を行うか、対象となる敷地面積に該当するか、適用除外がないかなどを確認したうえで判断します。また、自治体独自の条例、地区計画、緑化協定その他の制度が重なっている場合もあるため、全国共通の制度だけで結論を出すのは安全ではありません。

地籍調査で直接確認する中心事項は一筆ごとの筆界と地積です。緑化地域制度で基礎となるのは、建築計画上の敷地の範囲と、その敷地面積に対する緑化施設の割合です。一筆の土地と建築基準法上の敷地が一致することもありますが、複数筆を一つの敷地として使うことや、一筆の一部を敷地として設定することもあります。そのため、地籍調査で地積が整理されたとしても、建築敷地の面積や緑化率が自動的に確定するわけではありません。

似た名称の制度にも注意が必要です。緑化地域は建築敷地内の緑化を促す制度ですが、緑地保全地域、特別緑地保全地区、風致地区、生産緑地地区などでは、建築、造成、樹木の伐採などに別の許可や届出が関係することがあります。所有者が日常会話で緑地の地域や緑化区域と呼んでいても、正式な都市計画上の名称とは限りません。

実務では、最初に正式な指定名称、区域の根拠となる都市計画図書、担当部署を確認します。そのうえで、地籍調査の作業記録と、建築・緑化に関する協議記録を分けて保管します。地籍調査の担当者が緑化率への適合を判断したり、緑化担当部署が筆界を決定したりするものではないことを、関係者間で共有しておくと混乱を防げます。

事前確認1 緑化地域の指定範囲を確認する

最初に確認するのは、対象地が正式な緑化地域の区域内にあるかどうかです。住所や町名だけで判断せず、都市計画図、都市計画決定図書、自治体の都市計画情報サービスなどを使い、対象地と区域境界の位置関係を確認します。

同じ町内や街区内でも、区域境界をまたぐことがあります。対象地の近くに区域界が表示されている場合は、画面上の色分けだけで適用を断定しないことが大切です。公開地図は指定状況を把握する入口として有用ですが、縮尺、背景図、表示精度、更新時点などの理由により、区域境界付近の個別判断には向かないことがあります。

区域界に近い土地では、地番、案内図、公図、地積測量図、現況図などを用意し、都市計画担当部署または緑化制度の担当部署へ確認します。問い合わせでは、緑化地域の該当の有無だけでなく、どの都市計画決定図書を基に判断するのか、区域界が道路中心線、道路境界、筆界その他のどの線で定められているのかを確認すると、後の照合がしやすくなります。

地籍調査によって筆界が座標や図面で整理されても、都市計画上の区域界が自動的に移動するわけではありません。地籍調査は都市計画決定を変更する手続きではないためです。ただし、筆界の位置が明確になることで、対象地のどの部分が区域内にあるかを行政資料と照合しやすくなる場合があります。

現況の塀、フェンス、生け垣、舗装の端などを区域界とみなすのも危険です。それらは土地利用上の区切りにすぎず、筆界とも都市計画上の区域界とも一致しないことがあります。区域の内外は、現況だけではなく正式な都市計画図書と担当部署の確認を基に整理します。

古い重要事項説明書、建築図面、売買資料に緑化地域の記載があっても、現在の指定と同一とは限りません。都市計画の変更、区域の見直し、条例改正、担当部署の運用変更があり得るため、確認日現在の情報を取得します。

確認結果は、資料名、取得日、図面の版、確認した部署、回答内容とともに保存します。ウェブ画面の印刷だけでは、後から更新時点や凡例を確認できないことがあります。将来の建て替えや売却に使う可能性がある資料ほど、出典と確認日を明確にしておくことが重要です。

緑化地域への該当が確認できたら、用途地域、建ぺい率、容積率、地区計画、風致地区、景観計画、道路条件なども必要に応じて確認します。ただし、地籍調査の準備段階であらゆる建築規制を確定させる必要はありません。土地利用計画がある場合に、必要な範囲で建築担当者と連携して確認するのが現実的です。

事前確認2 筆界と建築敷地の範囲を区別する

二つ目の確認は、地籍調査で扱う筆界と、建築計画で設定する敷地境界を明確に区別することです。どちらも図面上では土地を囲む線として表現されますが、法的な意味と使用目的が異なります。

筆界は、登記された一筆の土地と隣接する土地との公法上の境界です。地籍調査では一筆ごとに筆界を確認し、測量して地籍図と地籍簿にまとめます。これに対して建築敷地は、一つの建築物または用途上不可分の建築物群のために設定される土地の範囲です。

例えば、登記上は三筆でも、三筆全体を一体の建築敷地として使う場合があります。この場合、地籍調査では各筆の筆界と地積を調べますが、緑化率の分母となる敷地面積は、建築計画上の三筆を合わせた範囲を基に検討するのが通常です。

反対に、一筆の土地の一部だけを建築敷地として設定する計画も考えられます。ただし、建築敷地の設定は、接道、用途上の一体性、既存建築物との関係などを踏まえる必要があり、緑化率や建ぺい率の規制を避ける目的で任意に線を引けばよいものではありません。具体的な敷地設定は、設計者と建築担当部署へ確認します。

事前資料として、公図、登記事項証明書、地積測量図、境界確認書、現況測量図、建築確認の配置図、求積図、緑化計画図などを照合します。その際は、各図面の線が何を示すのかを明記します。公図上の筆界、現況測量図の境界線、配置図の敷地境界、道路区域界、塀や擁壁の位置がすべて同じとは限りません。

現地には、境界を示すように見える構造物や植栽が多数あります。塀、フェンス、生け垣、側溝、縁石、舗装の切れ目、土地の段差、樹木列などです。しかし、これらは施工や管理の都合で筆界から内側または外側にずれている場合があります。現況物だけで筆界を決めるのは避けます。

緑化地域の土地では、敷地外周に植栽帯や生け垣が設けられていることがあります。剪定や維持管理のために筆界から後退して植えている場合もあれば、成長した枝葉が筆界を越えて見える場合もあります。植栽の見た目の範囲と土地の範囲を同一視しないことが重要です。

地籍調査の現地立会では、公図などの既存資料、境界標、過去の測量成果、周辺の筆界との整合、関係者の説明などを総合して確認します。塀や植栽は重要な手掛かりですが、それだけで結論を出すものではありません。

地籍調査の途中で得られた測量値を、建築確認や緑化率適合の正式な申請値として直ちに使えるとは限りません。測量後も、成果の整理、閲覧、訂正、認証などの工程があります。予定成果を協議資料として使う場合は、暫定値であることを明示し、使用可否を地籍調査担当部署と建築・緑化担当部署の双方へ確認します。

図面上では、確認済みの筆界、調査中の筆界、建築敷地境界、道路区域界、都市計画区域界、植栽範囲を線種や注記で分けます。一枚の図面に情報を重ねる場合でも、正式成果と参考現況を見分けられるようにすることが必要です。

事前確認3 建築計画と緑化率の適用条件を確認する

三つ目の確認は、対象地で予定される建築行為と、緑化率規制の適用条件です。緑化地域内の土地であっても、建築行為がなければ直ちに新たな緑化工事が必要になるとは限りません。

まず、新築、増築、建て替えの予定があるかを確認します。増築の場合は規模の条件があり、用途や敷地状況による適用除外が認められる場合もあります。対象敷地面積の基準、緑化率の最低限度、算定方法、申請時期、完了時の確認方法は、対象地を所管する自治体の最新資料で確認します。

全国制度の原則だけでなく、自治体が条例で対象規模を引き下げているか、地区計画などで別の緑化率規制を設けているかも重要です。緑化地域という名称が付いていない土地でも、条例や地区計画に基づく緑化手続きが必要な場合があります。

既存建築物がある土地については、緑化地域に指定されたことだけで、直ちにすべての既存建築物へ新たな緑化工事が求められるとは限りません。ただし、建て替えや対象となる増築を行う時点で規制が適用される可能性があります。既存不適格、適用除外、過去の許可などが関係する場合は、個別確認が必要です。

緑化率は、建築物の敷地面積に対する緑化施設の面積の割合です。ただし、現地で植物が生えている範囲をすべて緑化面積へ算入できるわけではありません。樹木、低木、芝生、屋上緑化、壁面緑化などの算定方法は、法令、自治体の条例、規則、技術基準や申請要領に従います。

移動可能な鉢植え、雑草が自然に生えた空地、管理されていない植生、算定根拠を確認できない部分などは、申請上の緑化施設として認められないことがあります。既存樹木も、樹冠の見た目だけで面積を判断せず、自治体が定める換算方法や図面表現に従います。

地籍調査担当者が現地で緑化率への適合を判定するものではありません。地籍調査では筆界や地積に関する成果を整え、建築や緑化の担当者が必要に応じてその成果を参照します。役割を分けておくことで、立会時の説明が過度に広がるのを防げます。

地籍調査の成果上の地積と、設計図で用いている敷地面積に差が見つかった場合は、差の理由を確認します。筆界の見直しによるものか、複数筆の集計方法によるものか、道路後退部分などの扱いによるものか、単純な図面転記ミスなのかで対応が変わります。

地籍調査の地積が変わったからといって、建築敷地面積が当然に同じ数値へ置き換わるわけではありません。建築敷地の範囲を確認したうえで、求積図、配置図、緑化計画図などを整合させます。行政手続きが進行中であれば、変更申請や追加説明の要否も所管部署へ確認します。

分筆や一部売却を予定している場合は、売却後の残地で緑化率を満たせるかを確認します。既存の緑化施設が売却部分に集中していると、残る建築敷地が基準を下回る可能性があります。反対に隣地を取得して敷地を拡張する場合も、拡張後の敷地全体で計算をやり直す必要があります。

事前確認4 既存樹木と緑化施設の位置を記録する

四つ目の確認は、既存樹木、生け垣、植栽帯、芝生、花壇、屋上緑化などの現況を記録することです。これらは筆界を直接決める根拠とは限りませんが、境界標の確認、現地立会の安全、将来の緑化計画や維持管理に役立ちます。

境界付近の植栽では、枝葉が繁茂して標識が見えない、土や落ち葉で境界標が埋まっている、根の成長で杭が傾いているといった状況があります。立会前に確認し、草刈りや剪定が必要かを判断します。

植栽を動かしたり枝を切ったりする場合は、所有者や管理者の承諾を得ます。境界標の確認が目的でも、隣地への立入りや隣地の植栽の剪定を調査担当者だけで決めることは避けます。保護樹木、保存樹、生産緑地、緑地保全制度など別の指定がある場合は、伐採や移植に手続きが必要なこともあります。

記録では、樹木の幹の位置、植栽帯の外周、縁石や土留めの位置、境界標との離れ、塀や擁壁との関係を目的に応じて整理します。樹木の種類や幹径まで必要かは、緑化計画の確認に使うか、単に現況記録として残すかによって変わります。

写真は、周囲の位置関係が分かる全景と、境界標や根元の状態が分かる接写を組み合わせます。撮影日、撮影方向、写真番号を図面と関連付けると、落葉期や繁茂期による見え方の違いも追跡しやすくなります。

既存樹木や植栽が、過去の建築確認や緑化率適合のために設けられた緑化施設である可能性があります。その場合、所有者が通常の庭木と考えていても、撤去、舗装化、物置の設置などによって、確認済みの緑化計画と異なる状態になることがあります。対象となる植栽かどうかは、過去の緑化計画図、適合証明関係書類、完了時資料などで確認します。

すべての既存樹木が法定の緑化施設とは限りません。逆に、見た目では小さな植栽でも、申請図面上の緑化施設に含まれていることがあります。現況だけで判断せず、行政資料との照合が必要です。

境界標を新設または復元する場合は、樹木の根や植栽基盤への影響を考慮します。ただし、植栽を守るために実際の筆界と異なる位置を境界として扱うことはできません。筆界点へ直接標識を設けにくい場合は、引照点や別の表示方法を含め、地籍調査の実施主体や測量担当者と協議します。

樹木の枝や根が筆界を越えているように見える場合も、地籍調査の立会だけで越境問題を解決しようとしないことが重要です。筆界の確認と、枝葉の剪定、根の処理、樹木の所有や管理に関する民事上の協議は分けて進めます。

記録の目的は、樹木の所有権を断定することではなく、立会時点の位置関係と状態を残すことです。写真や簡易測定は補助資料であり、それだけで筆界や緑化率への適合が確定するものではありません。

事前確認5 関係部署と必要資料を整理する

五つ目の確認は、地籍調査、都市計画、緑化、建築に関係する部署と資料を整理することです。自治体によって組織名や担当範囲が異なるため、一つの窓口だけで全てを確認できるとは限りません。

地籍調査担当部署では、実施区域、立会方法、調査工程、予定成果、閲覧、訂正申出、成果の利用時期などを確認します。都市計画担当部署では、緑化地域の指定範囲や都市計画決定図書を確認します。緑化担当部署では、緑化率、算定方法、適用除外、事前協議、維持管理などを確認し、建築担当部署や指定確認検査機関では、建築敷地や建築確認との関係を確認します。

問い合わせ前に、所在地、地番、地籍調査地区名、現在の土地利用、建築物の有無、予定する建築行為、確認したい事項を整理します。単に緑化地域かどうかを尋ねるだけでなく、地籍調査中で筆界や地積が整理される予定であることを伝えると、適切な窓口へつながりやすくなります。

準備資料としては、案内図、公図、登記事項証明書、地積測量図、境界確認資料、地籍調査の素図や予定図、都市計画図、建築配置図、求積図、緑化計画図、現況写真などが考えられます。すべてを一度に提出するのではなく、確認目的に応じて必要な資料を選びます。

資料には、筆界、建築敷地境界、道路区域界、都市計画区域界、植栽範囲、建物位置などを区別して表示します。線の意味が不明な図面では、担当部署が正確に判断できません。暫定資料には、調査中、参考値、未認証などの注記と作成日を付けます。

協議記録には、日付、部署名、担当窓口、提示資料、質問内容、回答、追加資料、次の対応を残します。口頭案内は一般説明にとどまる場合があるため、建築計画の可否や緑化率への正式な適合判断は、所定の協議、証明、確認申請などを通じて受けます。

地籍調査の成果は、地籍図と地籍簿の閲覧を経て必要な修正が行われ、その後に登記所へ送付されます。国土交通省の案内では、通常の閲覧期間は二十日間です。調査途中の図面と最終成果を混同せず、どの段階の資料を行政手続きに使えるかを確認します。地籍ポータル

閲覧では、地番、地目、筆界、地積など地籍調査の成果内容を確認します。緑化計画の適否を審査する場ではありません。地籍調査成果への訂正申出と、建築・緑化制度に関する協議は別の手続きとして扱います。

建築確認や緑化手続きが地籍調査と並行して進む場合は、採用する面積の根拠を関係部署間でそろえます。登記地積、現況測量面積、地籍調査の予定地積、認証後の成果地積が混在すると、図面間の不整合が生じます。どの値を、どの目的で、どの時点まで暫定利用するのかを文書に残すことが安全です。

現地立会で注意したい境界付近の植栽

緑化地域内の土地では、生け垣や植栽帯が敷地外周に配置されていることがあります。現地立会では、植栽を筆界そのものと見なさず、境界標や既存資料との関係を確認します。

よくある誤解は、生け垣の中心や植栽帯の端がそのまま筆界であると考えることです。実際には、剪定や通行のために筆界から内側へ下げて植えることがあります。植栽後の成長によって、幹、枝、根の位置が当初と変わっていることもあります。

植栽の下に古い境界標が埋まっている場合は、土や落ち葉を慎重に取り除きます。根が絡んでいるときは無理に掘らず、測量担当者と対応を協議します。標識を動かしたり破損したりすると、既存資料との照合が難しくなります。

境界標が根の影響で傾いている場合は、現在見えている標識の中心をそのまま筆界点と断定できません。過去の測量成果、周辺点との距離や角度、構造物との位置関係などを確認し、必要に応じて復元方法を検討します。

誰が植栽を管理してきたか、どちらが剪定してきたかという事情は、土地利用の経緯を知る参考になります。ただし、管理実績だけで筆界が決まるものではありません。関係者の説明は、公図、境界標、測量資料などと照合します。

立会前に草刈りや剪定を行う場合は、作業範囲と目的を関係者へ説明します。隣地へ立ち入る場合や、隣地所有の可能性がある枝を切る場合は、事前承諾を得ます。作業前後の写真を残すと、後日の説明に役立ちます。

植栽の撤去や造成が予定されている場合は、工事前に境界標、樹木、縁石、塀、擁壁などの位置関係を記録します。工事後に現況物がなくなっても、当時の状態を確認できるようにするためです。

塀や擁壁が植栽に隠れている場合は、構造物の基礎、天端、排水設備、土地の高低差も確認します。構造物が筆界を越えているように見えても、立会の場で直ちに撤去や改修を求めるのではなく、まず筆界との位置関係を記録し、その後の対応を所有者間で協議します。

現地立会の目的は、緑化施設の良否や越境問題の責任を決めることではありません。筆界確認に必要な事項と、別途協議すべき植栽管理、構造物、民事上の問題を切り分けることが重要です。

地籍調査の面積が変わった場合の対応

地籍調査では、従前の登記地積と、地籍測量によって算出された地積が一致しないことがあります。これは土地そのものが増減したという意味ではなく、従来の記録と調査成果の数値に差があるということです。

最初に、数値が調査途中の予定値なのか、閲覧や訂正を経た成果なのか、認証後に登記へ反映された地積なのかを確認します。段階が異なる数値を同列に扱うと、建築図面や緑化計画を何度も修正することになりかねません。

次に、建築計画上の敷地範囲と照合します。一筆だけで敷地を構成する場合でも、道路後退部分、敷地設定、隣接筆との一体利用などによって、登記地積と建築敷地面積が一致しないことがあります。複数筆を使う場合は、各筆の地積だけでなく、建築敷地全体の求積を確認します。

地籍調査の成果上の地積が増えれば、緑化率の計算上必要となる緑化面積が増える可能性があります。ただし、建築敷地面積が同じように増えるとは限りません。筆界と建築敷地境界の関係を確かめたうえで判断します。

地積が減った場合も、緑化率だけを見て有利と判断するのは危険です。建ぺい率、容積率、接道長さ、建物の離隔、駐車計画などへ影響する可能性があります。設計者が関連する全図面と計算書を確認する必要があります。

対象敷地規模の基準付近では、数平方メートルから数十平方メートルの差が適用判断に影響することがあります。ただし、適用の有無は、敷地面積だけでなく、新築か増築か、増築規模、用途、適用除外などを含めて判断されます。所管部署へ具体的な計画資料を示して確認します。

修正が必要な場合は、配置図、求積図、面積表、緑化計画図、緑化率計算書などを一貫して更新します。一枚だけ数値を変更すると、申請書類間で敷地面積が一致しなくなります。

すでに建築確認や緑化関係手続きが進んでいる場合は、地積差が判明した時点で早めに相談します。変更手続きの要否は、差の大きさだけでなく、敷地形状、建物配置、緑化施設の位置、申請段階などによって変わります。

土地所有者には、地籍調査で地積が整理されたことと、建築計画や緑化率への適合は別途確認が必要であることを説明します。地籍調査の成果が出たからといって、既存または計画中の建築物が自動的に適法になるわけではありません。

調査記録を将来の土地利用に生かす方法

地籍調査の成果は、登記情報の整備だけでなく、将来の建築、造成、売買、分筆、維持管理の基礎資料として活用できます。緑化地域の土地では、筆界と緑化施設の位置関係を区別しながら記録することが特に重要です。

確定した筆界点、地番、地積を示す図面に、建物、塀、擁壁、道路、排水設備、樹木、植栽帯、舗装などの現況を重ねます。ただし、地籍調査の正式成果と、参考測定した現況物の位置は、線種、色、凡例、注記で明確に分けます。

境界点は所定の測量方法で取得されても、樹木や植栽帯は簡易測定や写真判読で記録することがあります。異なる精度の情報を同じ精度として扱わないよう、測定方法と基準日を記載します。

写真は、図面上の地点番号と関連付けます。境界点ごとに写真番号と撮影方向を示すと、植栽の成長、標識の埋没、構造物の変更などを追跡しやすくなります。

過去の緑化計画に含まれる樹木や植栽帯については、計画図、適合証明、完了時写真、維持管理記録をまとめて保管します。枯損、撤去、舗装化、設備設置などで緑化面積が減る場合は、所管自治体の基準に従って補植や変更手続きの要否を確認します。

土地を分筆または売却するときは、売却後の各敷地について、建築敷地の成立、緑化率、既存建築物との関係を確認します。筆界が明確でも、分筆後の土地がそのまま独立した建築敷地として利用できるとは限りません。

隣接地を取得して敷地を広げる場合は、取得後の敷地範囲、建物配置、緑化施設の配置を再整理します。従前の緑化計画が新しい敷地全体にそのまま適用できるとは限らないためです。

現況記録には、位置情報付き写真、スマートフォンによる記録、三次元点群などを利用する方法もあります。高低差がある土地や植栽で地表が見えにくい場所では、立体的な記録が説明資料として役立ちます。

ただし、写真、位置情報、三次元データだけで筆界が決まるわけではありません。これらは地籍調査の手続きで確認された筆界や現況を分かりやすく残す補助資料です。測定精度、座標系、取得日、担当者を記録し、正式成果と混同しないようにします。

資料の最新版を明確にし、過去版も履歴として保存します。土地所有者、管理会社、設計者が変わる場合は、境界資料と緑化関係資料を一緒に引き継ぐと、重要な植栽の誤撤去や古い面積の誤使用を防ぎやすくなります。

まとめ

地籍調査の対象地が緑化地域に含まれる場合は、地籍調査と緑化地域制度を別の制度として理解することが出発点です。地籍調査は一筆ごとの所有者、地番、地目、筆界、地積を調査するものであり、緑化地域制度は一定の建築行為に対して建築敷地内の緑化率を求めるものです。

事前確認の第一は、対象地が正式な緑化地域の指定範囲に含まれるかを、最新の都市計画図書と担当部署で確認することです。公開地図だけで区域境界付近の適用を断定しないようにします。

第二は、筆界と建築敷地境界を区別することです。一筆の地積と建築敷地面積は必ずしも一致せず、地籍調査の成果が建築や緑化の申請値へ自動的に置き換わるわけではありません。

第三は、新築や増築の内容、対象敷地規模、緑化率、適用除外、自治体独自制度を確認することです。土地が緑化地域にあるだけで、直ちに全ての既存土地へ新たな緑化が求められるとは限りません。

第四は、既存樹木や植栽帯の位置を記録し、境界標との関係と、過去の緑化計画への算入状況を分けて確認することです。生け垣や樹木列を見た目だけで筆界と判断しないことが重要です。

第五は、地籍調査、都市計画、緑化、建築の担当部署と必要資料を整理することです。調査中の予定値と確定成果、口頭案内と正式判断、地籍調査成果と現況記録を区別して管理します。

地籍調査によって筆界や地積に関する資料が整うと、将来の建築、分筆、売却、緑化施設の維持管理に活用しやすくなります。現地写真や三次元データも補助資料として有効ですが、正式な筆界確認や緑化率の審査に代わるものではありません。

最終的な区域該当、建築敷地の設定、緑化率への適合、変更手続きの要否は、対象地を所管する自治体や確認機関へ個別に確認することが、安全な事前準備につながります。

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