地籍調査の対象地が埋立地に含まれる場合、現在の登記情報と公図だけでは、筆界の成立経緯を十分に説明できないことがあります。埋立地は、もともと公有水面だった場所に護岸などを築き、土砂等を投入して造成された土地です。そのため、現在の地番や区画に加えて、埋立免許・承認の区域、竣功時の外周、造成後の分筆、道路や港湾施設との官民境界など、複数の履歴を重ねて確認する必要があります。
実務で重要なのは、埋立地であること自体を問題視することではありません。注意すべきなのは、現在の登記上の筆と、埋立事業当時の区域・図面との対応が整理されていない状態です。資料の年代や作成目的が異なれば、同じ場所を扱う図面でも線の位置や面積が一致しないことがあります。
本記事では、地籍調査の実務担当者が埋立地で優先して確認したい5つの資料群と、その読み方、照合順序、現地確認での注意点を解説します。具体的な取扱いは、調査実施主体、管轄法務局、埋立免許権者、施設管理者によって異なるため、個別案件では各機関の原資料と現行手順を確認してください。
地籍調査で埋立地を調べるときの基本姿勢
地籍調査は、一筆ごとの土地について所有者、地番、地目を調査し、筆界と地積を測量して、地籍図と地籍簿を作成する事業です。主に市町村等が実施主体となり、一筆地調査、地籍測量、成果の閲覧、認証等を経て、成果の写しが登記所へ送付されます。登記所では、地籍簿を基に登記記録の表示が改められ、地籍図が登記所備付けの地図として利用されます。([地籍ポータル][1])
この基本的な流れは埋立地でも変わりません。ただし、埋立地では自然地形の尾根、谷、畦畔などを筆界の手掛かりにできないことが多く、造成時の設計線や施設線が土地の配列に強く影響します。現在は道路、岸壁、緑地、工場敷地、物流用地などに整然と区画されていても、その区画が埋立竣功時から存在したとは限りません。竣功後に分筆・合筆、換地、所管替え、用途変更、公共施設整備などが行われている場合もあります。
また、「埋立区域の外周線」「行政財産の管理境界」「登記上の筆界」「現況構造物の線」は、同じ線とは限りません。護岸の天端、胸壁、フェンス、道路縁、岸壁法線などが現地で明瞭でも、それが直ちに筆界を示すわけではありません。構造物は改修や更新で位置が変わることがあり、管理区域と登記上の土地境界が別に設定されている場合もあります。
したがって、埋立地を扱うときは、現在の登記資料から過去へさかのぼる作業と、埋立事業の成立資料から現在へ下る作業を並行させます。前者では現在の地番がどの旧地番から生じたかを追い、後者では埋立区域がどのように土地として成立し、その後どの筆に分かれたかを追います。両方の履歴を接続できれば、筆界案の説明力が高まります。
資料1 登記事項証明書と閉鎖登記簿
最初に確認するのは、現在の登記事項証明書と、必要に応じた閉鎖登記簿・閉鎖事項証明書です。現在の登記事項証明書からは、所在、地番、地目、地積、登記原因、登記年月日、所有者等を確認できます。埋立地では、地目が宅地、雑種地、公衆用道路、堤防、運河用地などへ変化していることがあり、地目変更の時期が土地利用の転換を調べる手掛かりになります。
特に注目したいのは、表題部に現れる分筆、合筆、地積更正、地目変更、町名地番変更などの履歴です。これらを時系列で並べると、現在の筆がどのように形成されたかを把握しやすくなります。埋立竣功後に一つまたは少数の大きな地番で登記され、その後、道路や事業用地ごとに細分化された地域では、現在筆だけでなく親地番までさかのぼる必要があります。
閉鎖登記簿等は、コンピュータ化前の記録や、合筆などで閉鎖された土地の履歴を確認するうえで重要です。現在の証明書に分筆元の地番が記録されていても、その元番が閉鎖されていれば、元番の地積やさらに前の地番との関係は、閉鎖記録を確認しなければ追えないことがあります。
実務では、対象筆だけでなく隣接筆も同じ精度で調べます。筆界は隣接地との関係で把握するためです。対象筆の分筆年月日と隣接筆の成立年月日が同じであれば、共通する地積測量図や申請関係資料が存在する可能性があります。成立時期が大きく異なる場合は、後年の道路拡幅、公共施設整備、用地取得などによって境界が形成された可能性を検討します。
所有権の履歴は、資料保有機関を探す手掛かりにもなります。過去の所有者が埋立事業者や公共団体であれば、当時の用地台帳、譲渡図、境界確認書、契約添付図面などが、関係部署や文書庫に残っていることがあります。ただし、登記記録だけで筆界の現地位置が確定するわけではありません。登記記録は、どの年代の、どの機関の資料を探すべきかを決める索引として使います。
確認結果は、証明書を保存するだけでなく、地番変遷図や地番沿革表として整理します。現在地番、旧地番、分合筆年月日、地積、地目、所有者の変化、関連図面の有無を一続きにすると、その後の資料照合が容易になります。
資料2 公図・地積測量図・土地所在図
二つ目は、公図、地積測量図、土地所在図など、登記所に備え付けられた地図・図面資料です。一般に公図と呼ばれる資料には、不動産登記法上の地図と地図に準ずる図面が含まれるため、種類、縮尺、作成年代、精度区分を確認して扱う必要があります。地積測量図は分筆や地積更正などの登記申請に伴って備え付けられる図面で、土地所在図は土地の表題登記等において所在や周囲との関係を示す図面です。法務局では、登記事項証明書のほか、地図証明書や地積測量図等の図面証明書を請求できます。([法務局][2])
公図は対象地だけを切り出さず、埋立地全体の土地配列が分かる範囲まで広げて確認します。旧海岸線側に細長い土地が残っていないか、埋立地の外周に水路や堤防敷が配置されていないか、道路筆が不自然に折れていないかなど、土地の並び方から成立過程を検討します。
ただし、公図上の線を縮尺だけで現地へ投影することは避けます。地図には高い位置精度を持つものがある一方、地図に準ずる図面は主として土地の位置関係を示す資料です。地図の種類、精度区分、座標の有無、作製時期を確認し、どの範囲まで位置の根拠として利用できるかを判断します。
地積測量図では、作成年月日、作成者、縮尺、方位、辺長、面積計算、境界標、引照点、座標値、隣接地番を確認します。公共基準点等から復元可能な座標が記載されている図面は、現地検証の有力な資料になります。古い図面で辺長のみが記載されている場合も、道路幅員、護岸の屈曲、既設構造物との離れなどを他資料と組み合わせることで、候補位置を絞れる場合があります。
埋立地では、竣功時の大区画を示す土地所在図と、その後の分筆を示す複数の地積測量図が連続して存在することがあります。この場合、最新の地積測量図だけを見るのではなく、最初の土地所在図から順に形状変化を追います。局所的に整った図面でも、親地番の外周との接続が説明できなければ、埋立地全体との整合性は確認できません。
図面間で座標系や基準が異なることにも注意が必要です。古い任意座標と現在の公共座標を数値だけで直接比較すると、回転、原点の違い、縮尺差などを見落とすおそれがあります。共通して残存する点を探し、護岸の屈曲点、道路交点、橋台、恒久的な境界標などを候補として、図面全体をどこまで変換できるか検証します。共通点が不足する場合は、無理に一つの座標系へ合わせず、各資料が説明できる範囲を分けて評価します。
資料3 公有水面埋立免許と竣功認可の関係図書
三つ目は、公有水面埋立免許願書、変更関係書類、竣功認可申請書、竣功認可の告示、関係図面などです。国が施行した埋立てでは、免許・竣功認可とは異なる承認・通知の手続が用いられるため、まず事業主体と適用手続を確認します。
公有水面埋立法では、国以外の者が公有水面を埋め立てる場合、原則として都道府県知事の免許を受けます。国が埋立てを行う場合は、同法第42条に基づく承認の仕組みです。免許を受けた埋立てでは、工事完成後に竣功認可が行われ、都道府県知事がその旨を告示します。免許を受けた者は、原則として告示の日に埋立地の所有権を取得しますが、公用・公共用地について免許条件に特別の定めがある場合など、同法上の例外があります。([e-Gov 法令検索][3])
この資料群は、土地の成立過程を確認する基礎資料です。現在の登記は土地として成立した後の履歴を示しますが、埋立関係図書は、どの水面を、どの区域で、どの用途に供する計画で埋め立て、どの形で竣功したかを示します。
免許願書等では、埋立区域、埋立地の用途、設計の概要、工事期間などを確認します。重要なのは、当初免許の図面だけで結論を出さないことです。工事中に埋立区域の縮小、設計概要の変更、用途変更、期間伸長などが行われ、最終形が当初計画と異なる場合があります。変更許可・承認等の履歴を確認し、竣功時点の区域図へたどる必要があります。
竣功認可関係図書では、埋立区域の形状、面積、各点の位置、基準点、点間距離、既存陸地や公共施設との関係を読み取ります。特に、埋立区域の起点・終点が旧海岸線のどこへ接続しているかは重要です。接続点が現在も残る護岸角や道路境界と結び付けば、埋立区域を現在の測量成果と照合する手掛かりになります。
一方、竣功認可図の外周線と現在の筆界が一致するとは限りません。竣功認可図は埋立事業として完成した区域を示す資料であり、その後の分筆線を示すものではないためです。また、護岸構造の法線、埋立区域線、土地として登記する範囲の線が別々に表現されていることもあります。凡例、線種、座標表の名称を確認し、どの線同士を比較しているのかを明確にします。
関係図書の保管先は、地域、事業年代、港湾・河川・海岸の別、事業主体によって異なります。都道府県の港湾、河川、海岸、土木関係部署、市区町村の文書主管部署、港湾管理者などが照会先の候補です。古い事業では保存文書や歴史資料へ移管されている場合もあるため、現在地番だけでなく、埋立地区名、港名、工区名、免許年月日、事業主体、旧町名など複数の情報で検索します。
資料4 旧版地形図・空中写真・過去の海岸線資料
四つ目は、旧版地形図、年代別の空中写真、古地図、過去の海岸線を示す資料です。これらは登記記録や埋立免許図書のように直接筆界を証明する資料ではありませんが、埋立ての前後関係、工事の進行、旧海岸線、仮設護岸、道路や水路の成立時期を視覚的に確認する補助資料として有用です。国土地理院の地図・空中写真閲覧サービス等では、過去の地形図や空中写真を検索・閲覧できます。([国土地理院][4])
まず、埋立て前の地形図や空中写真で旧海岸線を確認します。現在の市街地図だけでは、どこまでが旧来の陸地で、どこからが埋立地か分かりにくいことがあります。旧海岸線が分かれば、埋立区域の接続点、旧堤防、河口、水路、船だまりなど、現在の地番配列に影響を残す地形を把握できます。
次に、工事中と竣功後の写真を比較します。大規模な埋立事業では、複数工区に分けて施工され、仮締切堤や作業道路が先行して造られることがあります。工事途中の線を恒久的な土地境界と誤認しないためには、複数年代を追って変化を見ることが重要です。
空中写真は、現地で失われた構造物の位置を検討する際にも役立ちます。過去には護岸角や排水路が明瞭だったものの、再整備で直線化された地域では、古い地積測量図に記載された引照点が現在見つからないことがあります。その場合、当時の写真から周辺施設との位置関係を読み取り、図面復元の補助資料として使います。
ただし、画像上で見える線と筆界を同一視してはいけません。写真の岸線は撮影時の潮位、影、波、構造物の形状によって見え方が変わります。古い写真には画像の歪みがあり、旧版地形図も縮尺や作成目的に応じて表現が一般化されています。これらは「この年代には陸地化していた」「この道路はまだ存在しなかった」「旧護岸は現在より内側だった」といった時系列の確認に使い、筆界位置は登記図面、埋立関係図書、現地資料と組み合わせて検討します。
埋立・干拓区域に関する広域データを利用できる地域もありますが、原典の年代や位置精度には制約があります。対象地が埋立地に含まれる可能性を把握する初期確認には便利でも、一筆単位の筆界判断にそのまま用いることはできません。
資料5 港湾台帳・海岸関係図・道路河川等の管理資料
五つ目は、港湾台帳、海岸保全区域図、護岸・岸壁の竣工図、道路台帳、河川台帳、水路台帳、公共用地の用地実測図、境界確認書などの行政管理資料です。埋立地には港湾施設、海岸保全施設、臨港道路、排水路、公園、緑地などが配置されることが多いため、公共施設の管理資料を確認すると、官民境界や施設整備の履歴を補強できます。
港湾台帳や施設平面図では、岸壁、物揚場、護岸、臨港道路、荷さばき地などの位置と施設名称を確認します。埋立地外周の構造物は現地で目印になりやすい一方、施設の改良履歴を見なければ、現在の構造物が埋立竣功時と同じ位置にあるか判断できません。新旧の平面図や竣工図を比較し、前出し、増厚、上部工更新、道路拡幅などが行われていないかを確認します。
海岸関係図では、海岸保全区域や海岸保全施設の範囲、堤防・護岸の配置を確認します。ただし、海岸保全区域の境界は行政上の指定区域であり、土地の筆界そのものではありません。港湾区域、臨港地区、河川区域、道路区域についても同様です。区域線と筆界が一致する場合はありますが、目的の異なる線であるため、根拠図面と設定経緯を確認します。
道路台帳や河川台帳は、公共施設と民有地の境界を調べる際の有力な資料です。用地取得に伴う分筆図、土地境界立会確認書、幅員確定図、区域変更図などが残っていれば、地積測量図にはない境界標や引照点が記録されていることがあります。埋立地の道路は、埋立事業者が造成した後に道路管理者へ移管される場合があるため、造成図、譲渡・引継図、道路区域図を時系列で照合します。
国有地や公有地が関係する場合は、財産台帳、土地図、所管替え関係書類、引継書、用途廃止図なども確認対象になります。登記名義が同じ公共団体でも、管理部署が異なれば保有資料が分散していることがあるため、所有者名だけでなく所管部署の変遷も追います。
行政管理資料を使う際は、必ず基準日を確認します。台帳は更新される資料であり、現行図だけでは過去の境界や施設位置が分からない場合があります。対象筆が成立した時期に近い旧版台帳や竣工図を優先し、その後の変更図を順に重ねて現況までの変化を把握します。
5資料を照合する実務手順
5つの資料は、集めるだけでは十分ではありません。作成年代、作成目的、縮尺、座標基準、対象範囲を整理し、どの線とどの線を比較するかを決めます。基本的な順序は、現在の地番を確定し、地番履歴をさかのぼり、埋立竣功時の外周を確認し、その間を分筆図や公共施設資料でつなぐ流れです。
最初に、登記事項証明書と公図から対象筆、隣接筆、道路・水路等の公共用地を一覧化します。次に、閉鎖登記簿等で親地番を特定し、分筆・合筆の系統を作ります。この段階で、いつ、どの地番から、どの地積で対象筆が生じたかを整理します。
その後、各分筆時点の地積測量図と土地所在図を収集します。図面が連続していれば、親地番から現在筆までの形状変化を追います。図面が欠けている期間があれば、その間に行われた公共事業、用地処分、土地区画整理、換地、道路区域の変更などを調べ、行政管理資料で補完します。
並行して、公有水面埋立免許・承認と竣功認可・通知の関係図書を確認します。ここでは、埋立区域の最終形、既存陸地との接続点、外周線、面積、工区区分を押さえます。竣功時の土地所在図が存在する場合は、竣功関係図との形状や面積の対応を確認します。両者が一致しないときは、図面の線種、基準面、護岸構造、公共用地の帰属、登記対象範囲などを再確認します。
旧版地形図と空中写真は、各資料の間にある時間を埋めるために使います。竣功後、分筆登記前に道路が施工されていたのか、護岸改修が先か、土地処分が先かといった順序を確認し、地番変遷表へ工事、移管、区域指定等の年月を加えます。
最後に、現地測量成果へ資料を重ねます。座標値がある図面は座標系と測地成果の時期を確認して展開し、任意座標や辺長図は残存点との整合を検証します。複数資料が同じ位置を示していても、その点が筆界点、施設点、測量基準点のどれであるかを区別します。採用した資料だけでなく、採用しなかった資料と理由も記録しておくと、成果閲覧や後日の説明に対応しやすくなります。
埋立地の地籍調査で起こりやすい不一致
埋立地で見られる不一致の一つが、登記地積、図上面積、現地測量面積の差です。原因は一つとは限らず、古い測量精度、分筆時の求積方法、護岸改修、道路拡幅、転記、図面の縮尺差などが複合していることがあります。面積差だけを理由に特定の辺へ差を寄せず、各辺の成立根拠を調べます。
次に、竣功認可区域と表示登記された土地の形状が合わない場合があります。埋立事業の区域には護岸構造や工事施行区域を含む表現が使われる一方、登記対象となる土地は別の線で整理されることがあります。また、複数工区を一括して扱った後、登記は工区別または用途別に行われる場合もあります。面積や形状を比較するときは、比較対象の範囲をそろえます。
旧海岸線付近では、埋立前から存在した堤防敷、水路、浜地、官有地等が残っていることがあります。公図上で細長い土地や地番の付されていない部分が見える場合、単純に埋立地へ取り込まれたと判断せず、旧公図、官有地関係資料、河川・海岸資料を確認します。
現況構造物と図面上の線がずれる場合もあります。フェンスや側溝は利用区分を示していても、施工上の都合で筆界から離して設置されることがあります。岸壁や護岸は更新工事で海側へ張り出すことがあり、古い外周線が現在の構造物内部に位置する場合もあります。現地で分かりやすい線ほど、設置目的と施工時期を確認してから評価します。
さらに、同じ名称の基準点や測点が別図面で異なる位置を示すことがあります。事業ごとに独立した任意座標が使われたり、点名が再利用されたりするためです。点名だけで同一点と判断せず、点間距離、周辺形状、座標系、設置記録を確認します。
現地立会いと筆界案作成で注意すること
地籍調査の一筆地調査では、登記所の地図等を基に作成した資料を参考に、原則として土地所有者等の確認を得ながら筆界を調査します。現行制度では、一定の場合に客観的資料を用いる手続や公告を経る手続も設けられているため、必ず最新の作業規程準則、運用通知、実施主体の手順に従います。([地籍ポータル][1])
埋立地では、現在の所有者が土地の成立経緯を把握していないこともあります。境界標が見つからない場合に現在の利用線だけで判断しないよう、立会い前に資料調査を進め、複数の根拠を示せる状態にしておくことが重要です。
現地では、境界標の有無だけでなく、標識の種類、設置状態、周辺構造物との位置関係、改修跡を記録します。コンクリート杭や金属標があっても、用地境界標、道路区域標、施設管理標、測量点など目的が異なる場合があります。刻印、標識番号、管理者表示を確認し、写真と実測位置を記録します。
立会いで示す筆界案は、一枚の図面だけに依存させないことが望まれます。たとえば、分筆時の地積測量図、公共用地の境界確認書、現存する境界標が整合するなら、その関係を図示して説明します。竣功認可図は埋立地全体の外周、地積測量図は個別筆の辺長や座標というように、資料ごとの役割を分けます。
資料同士が一致しない場合は、不一致の内容を整理します。どの年代から差が生じたか、どの線が現地で再現可能か、公共施設の改修が関係するかを示し、追加調査の範囲を限定します。地籍調査は資料を都合よく合わせる作業ではありません。判断根拠が不足する場合は、実施主体の手順に従って筆界未定の取扱いを検討し、要件を満たす場合には、所有者の同意を得た地方公共団体による筆界特定申請など、利用可能な制度を確認します。筆界特定は新たな境界を創設する制度ではなく、もともとの筆界の位置または範囲を明らかにする制度です。([法務省][5])
成果の閲覧段階では、所有者が確認しやすい資料を用意します。地籍図案だけでなく、旧地番との対応、採用した境界標、主な根拠図面、現況との違いを説明できるようにします。法人所有地や公共用地では、現地担当者と権限を持つ部署が異なる場合があるため、照会・回答の経緯と、誰がどの資料を確認したかを記録します。
まとめ 埋立地は成立経緯から現在の筆へたどる
地籍調査の対象地が埋立地である場合、優先して確認したい資料は、登記事項証明書と閉鎖登記簿、公図・地積測量図・土地所在図、公有水面埋立免許・承認と竣功関係図書、旧版地形図・空中写真・過去の海岸線資料、港湾台帳や道路・河川・海岸等の行政管理資料の5つです。
調査の要点は、どれか一つを決定的な資料として扱うのではなく、現在の地番から親地番へさかのぼる履歴と、埋立竣功時の区域から現在の筆へ下る履歴を接続することです。登記資料は土地の表示の変遷を示し、埋立関係図書は土地成立時の区域や手続を示します。空中写真は時系列を補い、行政管理資料は公共施設や官民境界の形成過程を補強します。
埋立地は平坦で構造物が明瞭なため、一見すると境界確認が容易に見えます。しかし、護岸や道路の改修、段階的な分筆、管理区域と筆界の違いなど、資料を重ねなければ見えない論点があります。早い段階で5資料を収集し、年代順に整理しておけば、現地確認の説明が具体的になり、追加照会の範囲も絞りやすくなります。
対象地番、旧地番、埋立地区名、免許・承認時期、竣功時期が分かる資料をそろえたうえで、調査実施主体、管轄法務局、埋立免許権者、施設管理者へ確認してください。筆界や登記申請について専門的判断が必要な場合は、土地家屋調査士や弁護士等の専門家への相談も検討しましょう。