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地籍調査で里道との境界が不明なら?見るべき5資料

地籍調査で里道との境界確認が難しい理由

地籍調査で民有地と里道の境界を確認する場合、宅地同士の境界を調査するときとは異なる難しさがあります。里道という言葉は、現地で人や農作業車が通行する細い道を指して使われることもあれば、古い図面上で無地番の細長い土地として表された公共物を指すこともあります。地域によって赤道、赤線、赤地などと呼ばれることがありますが、呼び名だけでは現在の所有者、管理者、法的な扱い、正確な範囲は分かりません。

現地では、舗装端、砂利敷き、草刈りの境、側溝、法面、石積み、擁壁などが道の範囲に見えることがあります。しかし、実際に通行されている範囲と、登記上または行政財産上の範囲が一致するとは限りません。舗装や側溝が公共物の内側に設置されている場合もあれば、工事、浸食、盛土、耕作、植生の変化によって見た目の道路位置が変わっている場合もあります。

長年使われていない里道は、畑や山林の一部のように見えることがあります。反対に、私有地の一部が事実上の通路として使われ、里道のように見えることもあります。このため、通行実態や現況だけから筆界を判断するのは危険です。

国土調査法上の地籍調査は、毎筆の土地について所有者、地番、地目を調査し、境界と地積を測量して地図と簿冊を作成する調査です。地籍調査は新たな筆界を自由に創設する手続ではなく、登記簿、登記所備付地図、附属書類、地形・地物、慣習その他の情報を総合して、既存の筆界を調査するものと理解する必要があります。([e-Gov 法令検索][1])

また、筆界と所有権界は同じとは限りません。筆界は土地が登記された際に区画として定められた線で、当事者の合意だけでは移動しません。一方、所有権界は売買、交換、時効取得などの事情によって筆界と一致しないことがあります。地籍調査で確認する中心は筆界であり、現在の利用範囲や当事者が認識する所有範囲は重要な情報ではあるものの、それだけで筆界が決まるわけではありません。([法務局][2])

里道との境界確認を難しくするもう一つの要因は、所管や土地の扱いが時代とともに変化していることです。現在は市町村が法定外公共物として所有・管理している場合、市町村道として道路法上の道路になっている場合、機能を失った旧法定外公共物として国が管理している場合、用途廃止や売払いなどを経て地番のある土地になっている場合があります。

したがって、最初から舗装端や側溝外縁を測って境界候補を固定するのではなく、里道の所管、登記の変遷、過去の境界確認、公共事業や土地改良の履歴を整理することが重要です。資料を確認してから現地を見ることで、どの構造物が筆界の手掛かりになり、どの線が単なる利用範囲や施工範囲なのかを区別しやすくなります。

里道の管理者と現在の扱いを最初に確認する

里道との境界を調べる際は、五つの資料を集めるのと並行して、対象となる道の現在の所管を確認します。管理者や所有者が分からないまま調査を進めると、問い合わせ部署や立会関係者を誤り、資料収集や現地確認をやり直す原因になります。

道路法、河川法などの適用または準用を受けない里道や水路のうち、公共的な機能を有し、市町村への譲与対象となったものは、一般に市町村が所有・管理する法定外公共物として扱われます。一方、機能を失って市町村へ譲与されなかった里道や水路は、旧法定外公共物として国の財務局や財務事務所が管理するのが原則です。ただし、個別の土地については譲与、用途廃止、売払い、付替え、登記処理の経緯が異なるため、一般論だけで所管を断定してはいけません。([財務省][3])

見た目が細い道であることと、行政上の区分は別問題です。市町村道として認定されていれば、道路管理部署が保管する道路台帳や道路区域関係資料が中心になります。法定外公共物であれば、財産管理、道路、水路、農林などの担当部署が保管する台帳や譲与関係図面が重要です。旧法定外公共物であれば、市町村で機能の有無や譲与状況を確認したうえで、所管する財務局等へ照会する流れが考えられます。

問い合わせる際は、住所だけでなく、対象地の地番、公図等の写し、周辺地番、里道と思われる箇所を示した位置図を用意します。里道部分が無地番で表示されている場合、住居表示や住所だけでは対象箇所を特定できないことがあるためです。

市町村内でも、地籍調査、道路管理、財産管理、農林、土地改良、用地などの担当が分かれている場合があります。地籍調査担当部署が用途廃止や譲与の全資料を保有しているとは限らず、財産管理部署が一筆地調査の進行状況を把握していないこともあります。所管確認、財産管理上の境界確認、地籍調査上の筆界調査を同じ手続と考えず、必要に応じて複数部署へ照会します。

照会では、対象区間が市町村道、法定外公共物、旧法定外公共物、民有地のいずれとして扱われているかを確認します。さらに、用途廃止、付替え、交換、売払い、占用許可、境界確定、道路改修などの履歴がないかを分けて尋ねます。所管が確認できれば、次に集めるべき資料、申請や照会の窓口、現地立会に参加すべき関係者を整理しやすくなります。

資料1 公図と登記所備付地図

最初に確認したい資料は、登記所に備え付けられている地図または地図に準ずる図面です。実務では両者をまとめて公図と呼ぶことがありますが、法的には、不動産登記法第14条第1項の地図と、同条第4項の地図に準ずる図面は区別されます。地図に準ずる図面が一般に公図と呼ばれており、作成時期や成り立ちによって現地復元性に差があります。([法務局][4])

これらの図面では、対象地が里道と思われる細長い部分に接しているか、里道がどの方向へ続くか、反対側や延長方向にどの地番があるかを確認します。里道に独立した地番がない場合、筆と筆の間の無地番部分として表されていることがあります。

ただし、すべての登記所備付図面が同じ精度を持つわけではありません。測量成果に基づく地図であっても作成時期や精度区分を確認する必要があり、古い地図に準ずる図面では、形状、角度、辺長、幅員が現地と一致しないことがあります。図面を拡大したからといって、元の精度が高くなるわけではありません。

対象地の一筆だけでなく、里道の連続性が把握できる範囲まで確認することが大切です。前面部分だけを見ると、細長い空白が里道なのか、図面の描画や接合に由来するものなのかを判断しにくいことがあります。周辺数筆、道路や水路への接続、分岐、屈曲、行き止まりまで見ると、公共物としての連続性を検討しやすくなります。

古い図面では、道路を赤色、水路を青色で着色していた例があり、里道が赤道や赤線と呼ばれる由来になっています。ただし、現在交付される白黒の写しでは原図の色が分からない場合があります。仮に赤色表示が確認できても、それだけで現在の所有者、管理者、幅員、境界点が確定するわけではありません。

図面上の線の太さを現地の道路幅として読むこともできません。線は区画や位置関係を表すもので、印刷された線幅が実寸を示すものではないからです。線の中心や外縁を機械的に境界として現地へ移すと、図面の性質を超えた判断になります。

現在の図面上で里道が途中から消えている場合は、分筆、合筆、換地、区画整理、道路認定、用途廃止、付替えなどによる変化を疑います。必要に応じて閉鎖された地図や過去の図面、旧土地台帳附属地図の有無を確認し、現在図だけで結論を出さないようにします。

実務用の確認図には、登記所備付図面の線、現況線、既存境界標、行政資料上の線、検討中の筆界案を異なる線種で記載します。資料上の線と現地で見える線を同じ表現にしないことで、立会時に「図面にある線」と「確認済みの筆界」が混同されるのを防げます。

資料2 登記事項証明書と地積測量図

二つ目に確認する資料は、対象地と周辺土地の登記事項証明書、地積測量図、必要に応じて土地所在図です。登記所備付図面で土地の配置を把握した後、登記記録から地番の変遷や測量成果を追います。

登記事項証明書では、現在の地番、地目、地積、所有者のほか、分筆、合筆、地積更正、地目変更などの履歴を確認します。対象地が過去に分筆されていれば、その登記申請時に里道側を含む地積測量図が提出されている可能性があります。

すべての土地に地積測量図が備え付けられているわけではありません。対象地に図面がなくても、分筆前の親地番、同時に分筆された土地、隣接地や対側地に関連図面が残っている場合があります。現在の地番だけで検索を終えず、登記履歴から関係地番をたどることが重要です。([法務局][5])

地積測量図には、土地の形状、辺長、境界点、隣接地番、方位、座標値、引照点などが記載されることがあります。ただし、作成年代や登記目的によって様式、記載事項、測量精度は異なります。座標値がある場合も、座標系、基準点、測量時期、復元に使える引照点の有無を確認します。

古い地積測量図では、現地復元に必要な座標や引照点が記載されていないことがあります。辺長だけが分かっても、起点となる筆界点や方向が特定できなければ、一義的な復元は困難です。また、図面と現況が合わない場合は、境界標の亡失や移動、測量条件の差、土地や構造物の変化など複数の可能性を検討します。

里道に地番がなくても、反対側の民有地に地積測量図が存在することがあります。対側地の図面に道路側の筆界点、点間距離、道路幅に関する注記があれば、里道全体の位置を検討する補助資料になります。

ただし、対側地の一部の筆界が確認できたからといって、対象地側の筆界が自動的に決まるわけではありません。里道の幅は全区間で一定とは限らず、曲線部、分岐部、橋の前後、法面、待避部、改修区間などで変化することがあります。対側地の図面は、連続する区間の資料や行政資料と照合して使います。

土地所在図が備え付けられている場合は、土地が新たに生じた経緯や周辺との位置関係を確認します。里道の用途廃止後に地番が付され、売払いなどにより民有地となった土地では、土地所在図や地積測量図が現在の所有関係を整理する手掛かりになることがあります。

登記地積だけを使って筆界位置を逆算することは避けます。古い登記地積には測量方法や精度に由来する差が含まれることがあり、現況面積との差を里道側へ寄せる合理的根拠にはなりません。まず筆界点ごとの根拠を確認し、その結果として得られる面積と登記地積との関係を検証します。

資料3 地籍調査成果と一筆地調査資料

三つ目に確認する資料は、過去の地籍調査成果や、現在進行中の地籍調査で作成された一筆地調査関係資料です。対象地域で地籍調査が完了していれば、地籍図、地籍簿、筆界点座標、測量成果などが保管され、登記所へ送付された成果が地図や登記記録に反映されていることがあります。

地籍図では調査成果として整理された各筆の位置と形状を、地籍簿では調査時点の地番、地目、所有者、地積などを確認できます。里道との筆界が過去の地籍調査で調査され、成果として認証されている場合は重要な資料になります。

ただし、地籍図に線が表示されていることと、その線を現在の現地で直ちに再現できることは同じではありません。境界標が失われている場合は、当時の基準点や筆界点座標、精度区分、座標系、基準点の現存状況を確認します。異なる座標系や基準に基づく図面をそのまま重ねると、見かけ上のずれが生じることがあります。

過去の地籍調査後に、道路工事、災害復旧、土地改良、分筆、合筆、地積更正、用途廃止などが行われていれば、当時の成果と現在の構造物や登記記録が異なる場合があります。成果の作成年月と、その後の土地異動や行政処分を時系列で確認します。

自治体によっては、地籍図や地籍簿以外に、調査図素図、一筆地調査票、境界点番号図、測量記録、閲覧時の訂正資料などが残っている場合があります。ただし、保存状況や閲覧・交付の可否は自治体、資料の性質、個人情報の取扱いによって異なります。入手できると決めつけず、調査目的を説明して確認します。

現在進行中の地籍調査では、調査図素図、現地調査後の図面、地籍図案、閲覧に供される案、認証後の最終成果を区別します。作業途中の線は、追加調査、意見申出、訂正などで変わる可能性があり、確定済みの筆界として対外説明に使うべきではありません。

現在の地籍調査では、現地立会だけでなく、一定の場合に図面等を使った調査も行われます。また、2024年6月施行の改正により、現地調査等の通知を複数回行っても反応がない所有者等に筆界案を送付し、20日以上意見の申出がない場合、確認を得たものとみなして調査を進められる制度が設けられました。したがって、所有者が現地立会に参加できないことや通知に応答しないことだけで、直ちに筆界未定になると断定するのは適切ではありません。適用条件や手続は地籍調査の実施主体に確認する必要があります。([国土交通省][6])

過去の地籍調査で対象区間が筆界未定として処理されている場合は、その範囲と理由を確認します。所有者や公共物管理者の確認が得られなかったのか、客観資料が不足していたのか、里道の所管が不明だったのかによって、今回必要な資料や手続が変わります。

隣接地区だけ地籍調査が完了している場合は、完了地区の座標付き成果を参考にできます。ただし、調査時期、測量方法、座標基準、区域界の処理が異なる可能性があるため、その線を未調査地区へ単純に延長して筆界とすることは避けます。区域界付近では、双方の資料を同じ基準に整理して接続状況を検証します。

資料4 法定外公共物台帳と譲与関係図面

四つ目に確認する資料は、法定外公共物台帳、国から市町村への譲与に使われた図面、所管確認資料、用途廃止や売払いに関する資料です。対象区間が市町村へ譲与された法定外公共物に含まれるかを確認するうえで重要です。

譲与関係図面には、市町村へ引き継がれた里道や水路の位置が示されていることがあります。自治体によって名称、縮尺、管理部署、交付方法は異なります。対象地に接する細長い部分が譲与対象として表示されていれば、現在の所管を調べる有力な手掛かりになります。

ただし、譲与関係図面は、必ずしも現地の筆界点を高精度に確定する目的で作成されたものではありません。古い公図等を基礎に譲与対象を特定している場合があるため、図面の着色範囲、線幅、概略形状をそのまま現地の筆界へ置き換えることはできません。

法定外公共物台帳には、整理番号、所在地、種別、幅員、延長、管理状況などが記載されていることがあります。占用、改修、用途廃止などの履歴が別資料で管理されている場合もあります。台帳の幅員が、境界間の確定幅、現況幅、通行可能幅、平均幅、図上計測値のどれなのかを確認します。

台帳に一定の幅員が記載されていても、その数値だけを使って道路中心から左右へ等分し、筆界を決めることはできません。里道が左右対称に形成されている保証はなく、片側だけの拡幅、浸食、法面形成、構造物設置が行われている場合があるためです。

市町村台帳に表示されていない里道については、台帳の未整備、対象図面の違い、用途廃止、民有化、旧法定外公共物など複数の可能性があります。台帳にないことだけを理由に私有地と判断せず、譲与の有無、機能の有無、国有財産としての所管を確認します。

用途廃止は、公共物としての用途を廃止する行政上の手続です。用途廃止後に売払い、交換、付替えなどが行われれば、従前の里道位置と現在の所有関係が変わります。用途廃止されたことと、隣接所有者が当然に取得したことは別であり、その後の契約や登記まで確認する必要があります。

農地整備や宅地開発に伴い、古い里道を廃止して別の位置に新たな道路や通路を設けることがあります。この場合、古い図面には従前の里道が残り、現地では新しい道が使われていることがあります。用途廃止や付替えの記録を確認しないまま、現在通行されている線を従前の里道とみなすと、異なる土地を調査するおそれがあります。

里道上または周辺に側溝、電柱、排水管、門、階段などがある場合は、占用許可や工事図面も確認します。公共物内に許可を受けて設置された構造物であっても、その外縁や中心が筆界を示すとは限りません。構造物の施工線、占用範囲、管理範囲、筆界を分けて読み取ります。

行政への照会では、所管、譲与の有無、用途廃止の有無、売払い等の有無、境界確定の履歴、付替え、占用、改修工事を別項目として尋ねます。質問を分けることで、担当部署が異なる資料を探しやすくなり、所管確認と筆界確認の混同も避けられます。

資料5 境界確定図と道路・土地改良関係資料

五つ目に確認する資料は、過去の境界確定図、境界確認書、立会記録、道路台帳図、道路区域図、用地測量図、土地改良や土地区画整理の換地図・確定図などです。過去に行政と隣接所有者が里道との境界を協議していれば、その結果が図面や書類として残っている可能性があります。

境界確定図には、境界点番号、点間距離、座標、引照点、隣接地番、立会者、確定年月日などが記載されることがあります。現地の標識が失われていても、使用可能な座標や引照点が残っていれば、筆界位置を検討する重要な手掛かりになります。

対象地に直接関係する確定図がなくても、里道の隣接区間、対側地、延長方向の土地について確定図が残っている場合があります。複数資料の点番号、座標、幅員、作成年月を照合することで、里道の線形や幅の変化を把握できることがあります。

ただし、境界確定図に描かれたすべての線が、今回確認する筆界を示すとは限りません。施工区域、用地買収範囲、道路区域、管理区域、占用範囲、所有権界、筆界など、図面の目的によって線の意味は異なります。表題、作成目的、対象区間、立会者、確定年月日、凡例を確認します。

一部の境界点だけが確認されている図面や、片側だけの協議結果を示す図面もあります。「境界確定図」という名称だけで全区間が確定済みと判断せず、どの点と点の間について、誰との間で、何を確認した書類なのかを読み取ります。

現地の道が市町村道として認定されている場合は、道路台帳図や道路区域に関する資料を確認します。道路台帳は路線、幅員、延長、構造物などを管理する資料ですが、道路区域、舗装範囲、公共用地の登記上の筆界が常に一致するとは限りません。道路台帳の線を筆界資料として使う場合は、用地取得や境界確定を伴う測量成果に基づく線かを確認します。

農地周辺では、土地改良事業の換地図、確定測量図、農道台帳、用排水路図などが重要です。土地改良事業によって筆の配置、農道、水路が変更されている場合、旧公図と現況が大きく異なることがあります。換地処分、登記反映、旧里道の用途廃止、新たな公共用地への付替えを一連の経緯として整理します。

土地区画整理が実施された区域では、換地図、確定図、街区点や画地点の座標などを確認します。旧公図上の里道が事業後の道路や宅地へ組み替えられていることがあるため、旧里道の線を現在の土地へ直接当てはめず、事業前後の対応関係を確認します。

過去の航空写真、工事写真、古い地形図、地域で保管されている資料も補助情報になります。道路や畦畔の位置が長期間変化していないか、改修や付替えの時期がないかを調べるのに役立ちます。ただし、写真に写る通行跡、植生、舗装端は筆界を直接証明するものではなく、変遷を考える補助資料として扱います。

5資料を時系列で照合する実務手順

里道との境界確認では、五つの資料のうち一つだけを正しい資料として選ぶのではなく、作成年代、作成目的、作成者、測量精度、対象範囲を整理して照合します。

最初に、現在の登記所備付図面と登記事項証明書から、対象地、里道、隣接地、対側地の関係を把握します。次に、地積測量図や過去の分筆関係図面を確認し、筆界点、辺長、座標、引照点に関する測量成果を探します。その後、地籍調査成果、法定外公共物台帳、譲与関係図面、境界確定図、道路・土地改良関係資料を集めます。

資料を集めたら、作成年月日の順に並べます。古い登記所備付図面、分筆時の地積測量図、土地改良や区画整理の図面、譲与関係図面、境界確定図、地籍調査成果などを時系列にすると、里道の位置や管理区分がどの時点で変化したかを把握しやすくなります。

新しい資料が必ず古い資料より精度が高いとは限りません。新しい台帳図が古い公図を転記して作成されている場合もあります。反対に、古い図面でも、関係者の立会と実測に基づき、点間距離や引照点が明確な境界確定図であれば重要な根拠になります。

資料ごとに線の意味を確認します。登記所備付図面は土地の区画や位置関係、地積測量図は特定の登記申請に関する測量結果、法定外公共物台帳は財産や機能の管理、道路台帳は道路施設や区域の管理を主目的とします。目的が異なれば、同じ場所に描かれた線でも意味は異なります。

次に、複数資料に共通する対応点を探します。道路交差部、橋、石垣の角、既知の筆界標、公共基準点、長期間位置が変わっていないと確認できる構造物などが候補になります。ただし、側溝、擁壁、舗装、柵は改修されることがあるため、工事履歴と併せて評価します。

座標値のある図面は、座標系、測地系、基準点、単位を確認して同じ基準へ整理します。座標のない古い図面は、複数の対応点、辺長、角度、土地の配列を使って比較します。紙の伸縮、複写、スキャン、接合による変形があるため、一点が合うだけで図面全体が正確に重なるとは判断できません。

図面の重ね合わせは、筆界を自動的に決める作業ではありません。資料同士が一致する区間と矛盾する区間を抽出し、現地で何を確認すべきかを整理するために行います。ある区間では地積測量図と現況標が一致し、別区間では譲与図面と道路台帳の線が異なることもあります。

対象地側だけでなく、里道の両側と延長方向を確認します。片側だけで線を決めると、里道幅が不自然に変化したり、対側地の確定点と矛盾したりする可能性があります。対側地や隣接区間の資料も集め、道全体の連続性として整合するかを見ます。

最後に、資料から直接確認できる事実と、調査担当者の推定を分けて記録します。無地番部分が図面にあること、譲与図面に対象区間が表示されていること、現況舗装端が座標復元線とずれていることは事実として記録できます。一方、側溝工事で道が移動した可能性がある、舗装端が過去の利用境だったと考えられるといった内容は推定です。両者を同じ表現にしないことが重要です。

現地立会前に準備しておく確認図と記録

現地立会は、初めて資料を読む場ではなく、事前調査で整理した論点を現地で照合し、関係者の認識や資料との整合を確認する場として準備します。

立会前には、対象地、登記所備付図面上の里道、現況道路、既存の境界標、確認が必要な区間をまとめた確認図を作成します。地積測量図、地籍調査成果、行政台帳、境界確定図、現況測量の線は、線種と注記を変えて表示します。

線を色だけで分けると、白黒印刷や複写で区別できなくなることがあります。実線、破線、点線などの線種と名称を併用し、確認済みの線、資料から復元した線、検討中の候補線、現況線を明確に分けます。

現地では、コンクリート杭、石杭、金属標、鋲、刻み、プレートなどの標識を探し、位置と状態を記録します。全景、近景、周辺構造物との位置関係が分かる写真を撮影し、仮の点番号を付けます。

ただし、発見した標識が今回の筆界を示すとは限りません。道路中心標、施工管理杭、用地買収界標、占用物位置標、復旧時の仮杭などの可能性があります。外観だけで判断せず、図面上の点番号、座標、点間距離、設置記録と照合します。

道路幅を測定する場合は、舗装幅だけでなく、路肩、側溝、法面、擁壁、柵、石積みなどの位置を複数断面で記録します。測定値には、舗装端間、側溝外縁間、擁壁間、標識間など、何と何の間を測った値かを明記します。

現地の利用状況も記録します。歩行者や車両の通行、草刈りの範囲、農地への出入口、排水の流れ、門や柵の位置は、公共的機能や管理状況を理解する参考になります。ただし、利用状況を筆界の直接根拠とはせず、資料と現地の関係を考える補助情報として扱います。

行政担当者や関係所有者に確認したい事項は、立会前に共有します。所管、過去の境界確定、付替え、用途廃止、道路や側溝の工事、占用許可、境界標の設置経緯などを整理しておけば、行政側も関係資料を準備しやすくなります。

過去の経緯を聞き取る場合は、記憶と公的資料を区別して記録します。昔は道が別の位置にあった、工事で杭が動いた、隣接者間で土地を交換したといった説明は重要な手掛かりですが、口頭説明だけで筆界や行政財産の範囲が変更されたことにはなりません。対応する契約書、工事図面、写真、行政処分、登記記録を探します。

資料と現況が一致しない場合の考え方

里道との境界確認では、資料と現況が完全に一致しないことがあります。登記所備付図面では直線なのに現況道路が曲がっている、地積測量図の辺長と現況が合わない、譲与図面と道路台帳の表示が異なる、境界標が座標からずれているといった状況です。

不一致が見つかった場合は、どの資料が誤りかを直ちに決めるのではなく、ずれが生じた時期と原因を調べます。道路改修、側溝整備、農地造成、災害復旧、盛土、切土、法面崩壊、土地改良、分筆、用途廃止、付替えなどが候補になります。

古い図面と現況が大きくずれている場合、図面自体の精度に限界がある可能性があります。一方、登記上の里道位置は変わっていないものの、実際に通行する部分だけが隣接地側へ移動している可能性もあります。現況の道路中心を図面上の里道中心とみなす方法は、片側拡幅や浸食がある区間では特に慎重に扱います。

境界標が図面と合わない場合は、標識が移動した可能性と、図面の座標変換や復元方法が適切でない可能性の両方を検討します。一点だけが合わないのか、周辺点が一定方向にずれているのか、辺長や角度も変わっているのかを確認すると原因を絞りやすくなります。

行政台帳の幅員と現況が異なる場合は、数値の定義を確認します。敷地幅、道路区域幅、舗装幅、有効幅、平均幅、概略幅のどれを示すかで意味が変わります。幅員数値だけを使って中心から左右へ均等に振り分けることは避けます。

登記地積と現況測量面積が合わない場合も、差を里道側の境界へ集中させる判断はできません。面積は各筆界点を検討した結果として算出されるもので、面積合わせのために筆界位置を動かすものではありません。

複数資料が異なる候補線を示す場合は、それぞれの線と根拠を分けて図示します。公共物管理者が示す線、土地所有者の認識線、測量資料から復元した線、現況道路端を同一視しないことが重要です。

意見が一致しない段階で一方の主張線を地籍調査成果へ確定線として反映するのではなく、未解決区間、追加資料、再調査、再立会、制度上の手続を整理します。調査担当者の推定を、関係者の確認を得た筆界として記録しないようにします。

地籍調査で境界を確認できない場合の対応

資料収集と現地確認を行っても、里道との筆界を調査できない場合があります。所管が確定しない、客観資料が不足している、標識が亡失している、公共物管理者と土地所有者の認識が一致しない、複数の資料が矛盾するといった場合です。

一方、関係者が現地立会に参加できないことや通知に反応しないことだけで、直ちに筆界未定になるとは限りません。図面等調査、所在不明者に関する公告手続、土地境界のみなし確認制度など、要件に応じた調査方法が設けられています。どの方法を適用できるかは、地籍調査の実施主体が資料と手続要件を踏まえて判断します。([国土交通省][7])

必要な調査を尽くしても筆界を確認できない場合は、筆界未定として処理される可能性があります。筆界未定となる範囲は事案ごとに異なり、問題のある一点だけでなく、土地の隣接関係などに応じて複数筆へ影響する場合があります。

筆界未定の土地では、地積更正、分筆、合筆など土地の表示に関する登記申請に支障が生じることがあります。売買や建築が法的に一律禁止されるわけではありませんが、対象範囲や面積の確認、融資、事業計画、用地取得などの実務で追加調査を求められる可能性があります。影響を過度に断定せず、予定する手続の担当者へ個別に確認します。([国土交通省][8])

問題が見つかった段階で、地籍調査の実施主体へ相談し、資料提出、意見申出、再立会、閲覧の時期と期限を確認します。現況の舗装端や側溝を暫定的な筆界として確定扱いせず、検討線を使う場合は未確定であることを図面と記録に明記します。

公共物の所管が不明な場合は、市町村の道路、財産、農林、土地改良等の担当部署へ照会し、必要に応じて財務局等へ確認します。市町村台帳に載っていないことだけで公共物ではないと結論づけないことが重要です。

筆界の位置に関する争いが地籍調査の中で解消できない場合、法務局の筆界特定制度を検討できることがあります。筆界特定制度は、新たな筆界を作る制度ではなく、外部専門家の意見を踏まえて筆界特定登記官が現地における筆界の位置を特定する制度です。所有権の帰属そのものを最終的に判断する制度ではないため、所有権紛争がある場合は別の手続や専門家への相談が必要になることがあります。([法務省][9])

里道の用途廃止や売払いを希望する場合も、筆界確認とは別の手続です。現在通行されていないように見えても、排水、通行、維持管理などの機能が残っている可能性があります。筆界が確認されたことだけで用途廃止や取得が認められるわけではありません。

立会や協議の結果は、合意できた点と未解決の点を分けて記録します。参加者、使用資料、確認した点番号、対象区間、座標、点間距離、写真、発言要旨を関連付け、第三者が後から経緯を追える状態にします。

里道との境界確認で避けたい判断

里道との境界確認で避けたいのは、現地で最も分かりやすい線をそのまま筆界と判断することです。舗装端、側溝、擁壁、塀、草刈り線、畦畔などは、利用や工事によって形成された線であり、筆界と一致するとは限りません。

舗装端を基準にすると、舗装の打ち替えや補修によって基準線が変わります。側溝も、里道の内側に設置された場合、民有地を使用して設置された場合、境界に沿って設置された場合などが考えられます。工事図面や用地処理を確認せず、側溝の中心や外縁を筆界と決めることはできません。

古い公図等を縮尺どおりに測り、そのまま現地へ移す方法も避けます。元図の精度、紙の変形、複写、スキャン、接合の誤差があり、拡大表示しても現地復元性は向上しません。

台帳に里道の幅員が記載されているからといって、現況中心線から左右へ同じ距離を取る方法も適切とは限りません。中心線自体が移動している場合、片側を基準に整備された場合、幅員が区間ごとに変化する場合があるためです。

登記面積を合わせるために筆界を動かすことも避けます。面積は筆界点の位置を検討した結果として得られるもので、登記地積との差を解消するために筆界の由来を変更するものではありません。

近隣住民が昔からその位置を境界と認識しているという説明は、重要な参考情報です。しかし、記憶だけで筆界を確定せず、登記所備付図面、地積測量図、行政資料、工事記録、現地地物との整合を確認します。

反対に、公的機関が作成した図面であることだけを理由に現地確認を省略することも避けます。図面作成後に災害、道路工事、土地改良、境界標の亡失や移設が生じている可能性があります。図面の目的と精度を把握し、現地との矛盾があれば原因を調べます。

調査の進行を優先して、未確認の線を確定扱いすることは、将来の登記、土地取引、公共物管理、工事に影響します。確認できない場合は、確認できない範囲と理由を明示し、利用した資料、未解決事項、次に必要な手続を記録することが重要です。

まとめ

地籍調査で里道との境界が不明な場合は、現地の道幅や構造物だけで判断せず、所管と土地の変遷を確認しながら五つの資料を照合することが重要です。

最初に見るのは、登記所に備え付けられた地図または地図に準ずる図面です。対象地と里道の位置関係、里道の連続性、周辺地番を把握します。ただし、両者の法的な区分や精度を確認し、図面上の線幅を現地寸法として扱わないようにします。

二つ目は、登記事項証明書と地積測量図です。分筆、合筆、地積更正などの履歴を確認し、里道側の筆界に関する測量成果を探します。対象地に図面がなければ、親地番、隣接地、対側地まで調べます。

三つ目は、地籍調査成果と一筆地調査資料です。過去に筆界が調査されているか、座標や測量記録が残っているかを確認します。作業途中の資料と認証後の成果を区別し、現地立会以外の調査手続や土地境界のみなし確認制度が適用できる場合があることも踏まえます。

四つ目は、法定外公共物台帳と譲与関係図面です。対象区間が市町村管理の法定外公共物なのか、国が管理する旧法定外公共物なのか、用途廃止や売払いを経ているのかを整理します。台帳の幅員や図面の着色だけで筆界を決めてはいけません。

五つ目は、境界確定図、道路台帳、用地測量図、土地改良や区画整理の関係資料です。過去の境界協議や公共事業の履歴があれば、筆界や里道の付替えを検討する重要な手掛かりになります。ただし、施工線、道路区域、管理区域、所有権界、筆界の違いを確認します。

五つの資料は、作成年代と目的を整理して時系列で照合します。一つの図面へ無理に合わせるのではなく、各資料が示す事実、精度、対象範囲、限界を把握します。

現地立会前には、資料上の線、現況線、復元線、検討線を区別した確認図を作ります。境界標、側溝、擁壁、舗装端などを点番号と写真で記録し、行政担当者や関係所有者へ確認する事項を事前に共有します。

資料と現況が一致しない場合は、工事、災害、土地改良、分筆、用途廃止、付替えなど、ずれが生じた時期と原因を調べます。面積合わせ、現況道路中心、台帳幅員だけで筆界を判断しないことが重要です。

筆界を確認できない場合は、地籍調査の実施主体と協議し、図面等調査、追加資料、再立会、みなし確認制度の適用可否、筆界未定の範囲などを確認します。必要に応じて筆界特定制度や土地境界に詳しい専門家への相談も検討します。

里道との境界確認では、測位結果、写真、点番号、使用資料、立会記録を同じ位置基準で整理し、事実と推定を分けて保存することが調査品質を支えます。特定の商品やサービスの利用を前提にせず、自治体の作業方法、測量の基準、情報管理ルールに適合する手段を選ぶことが大切です。

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