太陽光発電所で災害後確認が重要な理由
太陽光発電所で災害後確認が重要になる理由は、豪雨、台風、強風、地震、積雪、土砂流入などによって、発電設備だけでなく、地形、排水、法面、道路、フェンス、周辺環境まで広範囲に影響が出る可能性があるからです。太陽光発電所は屋外に長期間設置される設備であり、災害後には発電量低下だけでなく、安全性、保守性、復旧作業の優先順位を早く判断する必要があります。
災害後の現場では、地上から全体を歩いて確認することが難しい場合があります。管理道路が土砂や倒木でふさがれている、排水路があふれている、法面が崩れている、足元がぬかるんでいる、フェンスが損傷している、設備周辺に水がたまっているといった状況では、作業員が現地に入ること自体にリスクがあります。こうした場合、ドローン測量を使って上空から全体状況を把握することは、安全面でも効率面でも有効です。
太陽光発電所の災害後確認では、パネルや架台の損傷だけを見ればよいわけではありません。発電所全体を支える造成地、法面、管理道路、排水路、フェンス、外周樹木、周辺水路の状態も確認する必要があります。パネルが無事に見えても、排水路が詰まっていたり、法面下部に土砂がたまっていたり、管理道路が通れなかったりすると、O&Mや復旧対応に支障が出ます。
ドローン測量を使うと、災害後の太陽光発電所全体を短時間で俯瞰できます。オルソ画像を作成すれば、パネル列、管理道路、排水路、法面、フェンス、外周、土砂堆積、倒木、水たまりの位置関係を一枚の地図のように確認できます。点群や3Dデータを作成すれば、法面の崩れ、土砂堆積、道路の洗掘、地盤の変化を立体的に把握できる場合があります。
災害後確認で重要なのは、被害の有無だけでなく、被害範囲と優先順位を判断することです。どのエリアを先に地上確認すべきか、どの道路を復旧すべきか、どの排水路を清掃すべきか、どの法面が危険か、どの設備へ早急にアクセスする必要があるかを判断します。ドローン測量で全体を把握してから地上確認に入ることで、無駄な移動を減らし、危険箇所への接近も避けやすくなります。
また、災害後のドローン測量データは、過去データとの比較にも役立ちます。竣工時や前回点検時のオルソ画像、点群、3Dモデルがあれば、災害後のデータと比較して、どこが変化したかを確認できます。土砂が新たに堆積した場所、法面が削れた場所、道路が損傷した場所、排水路が埋まった場所を客観的に説明しやすくなります。
発電量分析にも災害後確認は関係します。災害後に発電量が低下した場合、パネル破損や電気設備だけでなく、泥はね、汚れ、草木や倒木による影、排水不良、PCS周辺へのアクセス不良なども確認する必要があります。PVSystなどの発電量シミュレーションと実測を比較する際にも、災害後の現場状態を記録しておくと、損失要因の説明に役立ちます。
太陽光発電所のドローン測量で災害後に見るべき項目は、発電設備、法面と土砂、排水、道路と外周、周辺樹木や外部要因の5つに整理できます。この記事では、それぞれの確認ポイントを実務担当者向けに詳しく解説します。
ドローン測量で災害後確認を行う前に押さえる基本
災害後にドローン測量を行う前には、まず安全確認を優先します。災害直後の太陽光発電所では、管理道路の損傷、法面崩れ、倒木、架空線の異常、設備周辺の浸水、フェンス破損などが起きている可能性があります。地上から無理に入る前に、可能な範囲で上空から状況を把握することは有効ですが、ドローン飛行そのものにも安全確認が必要です。
まず、飛行できる気象条件かを確認します。台風直後や豪雨直後は、強風、雨、霧、低い雲、雷の可能性があります。風が強い状態で無理に飛行すると、機体が流されたり、撮影品質が低下したりします。安全に飛行できない場合は、撮影を延期する判断も必要です。
次に、離着陸場所を確認します。災害後は、通常使っている管理道路や広場がぬかるんでいる、冠水している、土砂で覆われている、倒木があるといった状態になっている場合があります。安全に離着陸できる場所を確保し、周囲に人や車両が入らないようにします。
飛行範囲は、発電所内だけでなく外周も含めて設定します。災害後の被害原因は、発電所外部にある場合があります。周辺山林からの土砂流入、外部道路からの水の流入、隣接地からの倒木、外周水路の詰まりなどは、発電所内だけを見ても原因が分かりにくいことがあります。必要に応じて、法面上部、排水先、進入路、周辺樹木まで含めて確認します。
成果物としては、オルソ画像が基本になります。災害後の現況を全体で確認し、被害箇所を位置で整理するために有効です。法面や土砂移動、道路の洗掘、地盤変化を確認したい場合は、点群や3Dデータも役立ちます。過去データがある場合は、災害前後の比較ができるように同じ範囲を撮影することが望ましいです。
撮影時には、対象が見える状態かを意識します。冠水している場所、泥で覆われた場所、倒木で隠れた場所、雪や土砂で地表面が見えない場所では、見える情報と見えない情報を分けて判断します。ドローン測量で全体を把握した後、必要箇所は地上確認で補完します。
災害後の確認では、撮影日時の記録も重要です。水位や泥の状態、雪や土砂の状況は時間とともに変化します。撮影した時点の天候、災害発生からの経過時間、発電量の状況、作業実施前か後かを記録しておくと、後から被害状況を説明しやすくなります。
また、災害後の現場では、電気設備への接近に注意が必要です。浸水や破損が疑われるPCS、接続箱、変圧器、受電設備には、設備管理者の指示なしに近づかないようにします。ドローンで設備周辺の状況を確認する場合も、機体が高圧設備や架空線に近づきすぎないように飛行計画を立てます。
災害後ドローン測量の目的は、被害全体の把握、危険箇所の抽出、地上確認ルートの検討、復旧優先順位の整理、関係者への報告です。撮影して終わりではなく、地上確認、修繕指示、復旧計画、発電量分析へつなげることを前提に進める必要があります。
項目1 パネル・架台・設備周辺の破損や異常
災害後に最初に見るべき項目は、パネル、架台、設備周辺の破損や異常です。太陽光発電所の発電機能に直接関係するため、台風、強風、地震、大雪、飛来物、土砂流入の後には必ず確認すべき範囲です。ドローン測量では、まず発電設備全体の外観を俯瞰し、異常が疑われる場所を抽出します。
パネルでは、列の乱れ、破損、脱落、飛来物の付着、積雪や泥の残り、部分的な変色や異物の有無を確認します。ドローンのオルソ画像では、広範囲のパネル列を一度に確認できるため、どのエリアに異常がありそうかを把握しやすくなります。ただし、細かなひび割れや電気的な異常は上空画像だけでは分からない場合があるため、疑義箇所は地上確認が必要です。
架台では、列の傾き、変形、倒れ、ずれ、基礎周辺の洗掘、土砂堆積を確認します。強風や地震、土砂流入の後には、架台列の一部がずれているように見えることがあります。オルソ画像で架台列の直線性や列間の変化を確認し、必要に応じて地上でボルト、基礎、支柱、変形の有無を確認します。
PCS、接続箱、変圧器、受電設備周辺も重要です。これらの設備は発電所の運転に関わる重要設備であり、周囲に水がたまっている、土砂が堆積している、アクセス道路がふさがれている、倒木や飛来物が近くにある場合は、早急な確認が必要です。ドローン測量で設備周辺の状況を確認し、地上確認の優先度を決めます。
設備周辺では、浸水リスクにも注意します。豪雨後にPCSや変圧器周辺が低地になっていると、水が集まっている場合があります。ドローン画像で水たまりや泥の跡を確認し、点群や過去の標高データがあれば低地との関係を確認します。浸水が疑われる場合は、電気設備管理者の判断を優先します。
飛来物の確認も重要です。台風や強風後には、枝、看板、シート、資材、フェンス部材などがパネルや架台、道路上に飛んでくる場合があります。ドローン測量で広範囲を確認すれば、地上で歩く前に飛来物の位置を把握できます。パネル上や設備周辺に異物がある場合は、除去作業の計画につなげます。
積雪災害後の場合は、パネル上の残雪、滑雪後の堆雪、架台下や列間の雪だまり、設備周辺のアクセス不能箇所を確認します。雪が重く載った場合、架台やパネルに負荷がかかることがあります。ドローン測量で残雪の偏りを確認し、必要な場所を地上確認します。
地震後には、架台列のずれや設備基礎周辺の変化、地盤の段差、法面や道路の変化を確認します。上空から見える範囲では大きな異常が分かりやすいですが、細かな基礎のひびやケーブルの損傷は地上確認が必要です。
パネル・架台・設備周辺の確認では、ドローン測量で全体を把握し、異常候補を地上確認へつなげる流れが重要です。発電機能に直接関係するため、災害後の初期確認で最優先に扱うべき項目です。
項目2 法面・造成地・土砂流出の変化
災害後に見るべき2つ目の項目は、法面、造成地、土砂流出の変化です。太陽光発電所では、造成地や傾斜地にパネルを設置することがあり、豪雨、台風、地震、融雪によって法面や造成面が変化する場合があります。土砂が動くと、排水路、管理道路、架台周辺、フェンス外周に影響します。
法面では、崩れ、洗掘、ひび、土砂の流れ、法尻への堆積を確認します。ドローン測量のオルソ画像では、法面上の流れ跡や土砂堆積範囲を俯瞰できます。点群や3Dデータがあれば、法面形状の変化や土砂堆積の高さを確認できる場合があります。過去データと比較すれば、災害前後の変化を把握しやすくなります。
造成面では、くぼみ、洗掘、地盤の流出、盛土部の変形を確認します。架台周辺の地盤が流出すると、基礎や点検性に影響する可能性があります。造成面の低地に土砂や水が集まっている場合、排水計画の見直しが必要になることがあります。
土砂流出は、発電所内外の両方から発生します。発電所内の法面から土砂が流れる場合もあれば、隣接地や外部斜面から発電所内へ土砂が流れ込む場合もあります。ドローン測量では、土砂がどこから流れ、どこにたまったかを確認します。流出元と堆積先をセットで把握することが重要です。
排水路や側溝への土砂堆積も確認します。法面から流れた土砂が排水路を埋めると、次の雨で水があふれやすくなります。排水路が詰まると、管理道路やパネル周辺に水が広がり、泥はねやぬかるみにつながります。災害後の初期確認では、排水路周辺の土砂を重点的に見ます。
管理道路への土砂流入もO&Mに大きく影響します。道路に土砂が堆積していると、点検車両や復旧車両が入れない場合があります。ドローン測量で道路上の土砂堆積範囲を確認し、復旧作業の優先順位を決めます。道路が通れないと、設備点検や修繕の全体が遅れるため重要です。
フェンス外周や隣接地への土砂流出も確認します。発電所側から隣接地へ土砂が流れていないか、外部から発電所内へ土砂が入っていないかを確認します。隣接地との関係がある場合、状況を記録し、必要に応じて関係者へ説明できる資料を残すことが重要です。
点群データがある場合は、災害前後の差分確認が有効です。竣工時や前回点検時の点群と災害後点群を比較すれば、削れた場所、堆積した場所、法面形状が変わった場所を確認できます。差分図や断面図を作ることで、復旧範囲や対策範囲を説明しやすくなります。
法面・造成地・土砂流出の変化は、発電設備に直接見える被害がなくても、長期運用に大きく影響します。災害後は、パネルだけでなく地形と土砂の動きを必ず確認することが重要です。
項目3 排水路・低地・水たまり・泥はねの状況
災害後に見るべき3つ目の項目は、排水路、低地、水たまり、泥はねの状況です。豪雨や台風の後は、排水路が土砂や草木で詰まったり、低地に水が残ったり、パネル周辺に泥はねが発生したりすることがあります。排水が機能していない状態を放置すると、次の雨で被害が拡大する可能性があります。
まず、排水路の位置と状態を確認します。オルソ画像で排水路が見えているか、途中で土砂や草木に覆われていないか、流末までつながっているかを確認します。排水路が見えにくくなっている場所は、土砂や草木で詰まっている可能性があります。地上確認の対象として整理します。
低地や水たまりも確認します。災害後のオルソ画像では、発電所内のどこに水が残っているかが分かる場合があります。水たまりがパネル下、架台周辺、管理道路、PCS周辺にある場合は、O&Mや安全性に影響します。点群や標高データがあれば、なぜその場所に水が集まるのかを確認できます。
泥はねの確認も重要です。排水不良や水たまりがある場所では、パネル下部や周辺地面に泥が跳ねることがあります。パネル面の汚れが増えると発電量に影響する可能性があります。ドローン画像で泥の広がりを確認し、必要に応じて地上でパネル表面や周辺の汚れを確認します。
管理道路の排水状態も見ます。道路に水がたまっている、道路脇に土砂が堆積している、路面が削れている場合は、通行性や復旧作業に影響します。道路が使えないと、PCSや接続箱、変圧器へのアクセスも難しくなります。災害後は、道路と排水をセットで確認します。
法面下部や排水路合流部も注意が必要です。法面から流れた水や土砂が排水路に集まり、詰まりやすい場所になることがあります。合流部やカーブ、勾配が緩い場所では土砂がたまりやすくなります。ドローン測量で候補箇所を抽出し、地上確認で詰まり具合を確認します。
融雪後の災害確認でも、排水と水たまりは重要です。雪解け水が低地にたまる、排水路が雪や氷、土砂でふさがる、凍結によって水が流れにくくなる場合があります。積雪地域では、豪雨だけでなく融雪期の排水確認も必要です。
排水路・低地・水たまり・泥はねは、発電量低下やO&M負担につながる現場要因です。PVSystなどの発電量シミュレーションと実測を比較する際にも、災害後の汚れや排水不良の記録があると、Soiling Lossや現場要因の説明に役立ちます。
排水に関わる確認では、上空から見える情報だけで判断しないことが重要です。排水路の底、堆積土の厚み、草の根詰まり、水の深さは地上で確認する必要があります。ドローン測量で全体を把握し、地上で詳細を確認する流れが実務的です。
項目4 管理道路・進入路・フェンス外周の通行性
災害後に見るべき4つ目の項目は、管理道路、進入路、フェンス外周の通行性です。太陽光発電所では、発電設備そのものが大きく損傷していなくても、現場へ入れない、設備へアクセスできない、外周点検ができない状態になると、O&Mや復旧作業が遅れます。災害後はアクセス性の確認が非常に重要です。
まず、発電所へ入る進入路を確認します。外部道路からゲートまでの道に倒木、土砂、冠水、路面損傷がないかを確認します。進入路が通れなければ、点検車両や復旧車両が現場に入れません。ドローン測量で進入路を含めて撮影すれば、現場に入る前に通行可否を判断しやすくなります。
管理道路の状態も確認します。発電所内の道路に土砂が流れ込んでいないか、水がたまっていないか、路面が削れていないか、陥没や段差がないかを見ます。オルソ画像で道路全体の状況を確認し、点群があれば高低差や洗掘の可能性を確認します。
道路が法面下部を通っている場合は、土砂流入や落石、枝の落下に注意します。豪雨後や台風後には、法面から道路へ土砂や枝が流れ込む場合があります。道路がふさがれていると、PCSや変圧器、接続箱へのアクセスができなくなります。道路上の障害物は復旧優先度が高い項目です。
フェンス外周も確認します。フェンスが倒れていないか、傾いていないか、倒木や土砂がかかっていないか、外周の草木や水路が変化していないかを見ます。フェンス破損は防犯や安全管理に関係します。外周の異常は地上から全て歩いて確認するのに時間がかかるため、ドローン測量で俯瞰することが有効です。
ゲート周辺も重要です。ゲートが土砂や倒木で開かない、雪でふさがれている、水たまりで車両が入れないといった場合、復旧作業に支障が出ます。ゲートから主要設備までの動線をドローン画像で確認し、地上点検ルートを決めます。
強風や台風後には、飛来物が道路やフェンス周辺にある場合があります。シート、枝、資材、フェンス部材などが道路やパネル周辺に飛んでいることがあります。ドローン測量で広範囲を確認し、回収が必要な場所を整理します。
積雪災害後には、進入路や管理道路の除雪状況、雪だまり、凍結、吹きだまりを確認します。PCSや接続箱までのアクセスが雪でふさがれている場合もあります。冬季の災害後確認では、発電設備の状態だけでなく、現場に入れるかどうかが重要です。
管理道路・進入路・フェンス外周の通行性を確認することは、復旧作業の初動を早めるために重要です。ドローン測量で通行可能なルートと危険箇所を把握すれば、地上点検や復旧作業を安全かつ効率的に進められます。
項目5 周辺樹木・倒木・外部からの流入リスク
災害後に見るべき5つ目の項目は、周辺樹木、倒木、外部からの流入リスクです。太陽光発電所の被害は、発電所内だけで発生するとは限りません。外周の山林、隣接地、道路、水路、法面から、倒木、枝、土砂、水が流れ込むことがあります。外部要因を確認しないと、被害の原因や再発リスクを見落とす可能性があります。
台風や強風後には、周辺樹木の倒木や枝折れを確認します。倒木がフェンスにかかっている、パネル上に落ちている、管理道路をふさいでいる、排水路をふさいでいる場合があります。ドローン測量で外周まで撮影すれば、倒木や枝の位置を広範囲で確認できます。
周辺樹木による影の変化も確認します。災害後に樹木が倒れて影が減る場合もあれば、枝が垂れ下がって新たな影を作る場合もあります。外周樹木の状態は発電量にも影響することがあります。PVSystなどで発電量評価を行う場合、周辺樹木の変化を記録しておくと、Shading Lossの前提整理に役立ちます。
外部からの土砂流入も重要です。豪雨後には、隣接地や山林、外部道路から土砂が発電所内へ流れ込む場合があります。発電所内の法面だけを見ていても、土砂の発生源が外部にあることがあります。ドローン測量で外周を含めて撮影し、土砂の流入経路を確認します。
外部からの水の流入も確認します。周辺道路や山林から水が流れ込み、発電所内の低地や排水路に集中することがあります。発電所内の排水路が十分でも、外部から想定以上の水が流れ込むと、排水不良や土砂堆積につながります。排水先だけでなく流入元も確認することが重要です。
フェンス外側の水路や側溝も確認します。外部水路が詰まっていると、発電所側へ水が戻る場合があります。発電所内の排水路が外部水路へ接続している場合、流末の状態も確認します。ドローン測量で外周水路まで撮影しておくと、排水トラブルの原因を把握しやすくなります。
隣接地との境界付近も注意します。災害後に土砂や水がどちらからどちらへ流れたのか、フェンスや境界付近に変化がないかを確認します。隣接地との関係がある場合、状況を客観的に記録することが重要です。オルソ画像や位置付き写真は、関係者への説明に役立ちます。
周辺樹木・倒木・外部からの流入リスクは、災害後の再発防止にも関係します。倒木を撤去するだけでなく、今後倒れそうな樹木、土砂が流れ込みやすい谷地形、排水が集中する外部道路などを把握しておくことで、次の災害に備えやすくなります。
災害後のドローン測量では、発電所内だけでなく、外から何が入ってきたのか、外へ何が流れ出たのかを確認することが重要です。外部要因を把握することで、復旧だけでなく予防的なO&Mにもつなげられます。
災害後ドローン測量でよくある失敗
災害後ドローン測量でよくある失敗は、パネルや架台だけを撮影して、道路、排水、法面、外周を確認しないことです。発電設備の外観確認は重要ですが、災害後の復旧やO&Mでは、現場へ入れるか、水が流れるか、土砂が動いていないか、外周に問題がないかも同じくらい重要です。撮影範囲は発電設備だけに限定しないことが大切です。
次に、地上確認なしで判断してしまう失敗があります。ドローン画像で異常が見えなくても、細かなパネル割れ、ケーブル異常、基礎周辺の洗掘、排水路内部の詰まりは見えない場合があります。ドローン測量は全体把握と候補箇所抽出に使い、重要箇所は地上確認で補完する必要があります。
撮影タイミングを記録しないことも問題です。災害後の水たまり、土砂、雪、泥の状態は時間とともに変わります。撮影が災害発生直後なのか、数日後なのか、復旧作業前なのか後なのかによって意味が変わります。撮影日時、天候、災害後の経過時間を記録します。
過去データと比較しないことも、よくある失敗です。災害後の画像だけを見ても、何が変化したのか分かりにくい場合があります。竣工時や前回点検時のオルソ画像、点群があれば、災害前後の差分を確認できます。基準データを持っておくことが重要です。
安全確認を省略することも危険です。災害後は、飛行場所の足元が悪い、離着陸場所が使えない、架空線や倒木がある、風が強い、設備に異常があるといったリスクがあります。急いで確認したい場面ほど、安全確認を怠らないことが必要です。
撮影データを共有しにくい形で保存することも課題です。点群や大量の画像だけを保管しても、関係者がすぐに状況を把握できない場合があります。災害後の報告では、オルソ画像、被害箇所の拡大画像、位置付き写真、前回比較、簡潔なコメントを組み合わせると分かりやすくなります。
外部要因を見落とすこともあります。土砂や水、倒木は発電所外から入ってくることがあります。発電所内だけを撮影すると、被害の原因を把握できない場合があります。外周、隣接地、排水先、周辺樹木、進入路まで確認します。
災害後ドローン測量で失敗しないためには、発電設備、法面、排水、道路、外周、周辺環境をセットで確認することが重要です。上空から全体を把握し、地上確認と組み合わせ、復旧計画に使える形で整理することで、災害後対応の質を高められます。
O&Mと復旧計画で災害後データを活かす方法
災害後のドローン測量データは、O&Mと復旧計画の両方で活用できます。まず、被害範囲を把握するために使います。どのパネル列に異常があるか、どの法面が崩れているか、どの道路が通れないか、どの排水路が詰まっているかをオルソ画像上で整理します。これにより、復旧作業の優先順位を決めやすくなります。
復旧計画では、アクセスルートの確認が重要です。管理道路や進入路が使えなければ、修繕作業に入れません。ドローン測量で通行可能な道路、土砂撤去が必要な場所、倒木撤去が必要な場所を確認し、復旧車両や作業員の動線を計画します。
土砂撤去や排水路清掃の範囲も整理できます。土砂がどこにたまっているか、排水路がどの区間で詰まっているか、法面からどの方向に流れたかを確認します。オルソ画像上で範囲を示せば、作業者への指示が分かりやすくなります。点群があれば、堆積量や高低差の確認にも役立つ場合があります。
O&Mでは、災害後のデータを次回点検の基準として使えます。被害箇所を修繕した後、その周辺が再び問題になりやすいかを定期的に確認します。毎回同じ場所で土砂がたまる、同じ法面が洗掘される、同じ排水路が詰まる場合は、根本対策を検討します。
施主や関係者への報告にも有効です。災害後の現場状況を文章だけで説明するのは難しい場合があります。オルソ画像、被害箇所の拡大画像、地上写真、過去データとの比較を組み合わせることで、状況を分かりやすく伝えられます。復旧範囲や優先順位の説明にも使えます。
発電量分析にも災害後データは役立ちます。災害後に発電量が低下した場合、どの範囲に泥はねや汚れがあるか、どのパネル列に影や倒木の影響があるか、PCS周辺にアクセスできない状態があったかを確認できます。PVSystなどのシミュレーションと実測の差を説明する際にも、現場データがあると根拠を持って整理できます。
保険や社内記録に使う場合も、撮影日時、被害範囲、復旧前後の状態を整理しておくことが重要です。災害直後、復旧作業前、復旧作業後のデータを残すことで、対応履歴を明確にできます。位置情報付きの記録があれば、どの場所で何が起きたかを後から確認しやすくなります。
災害後データは、単発の被害確認で終わらせず、O&M改善に活かすことが大切です。土砂の流れ、排水の弱点、法面の危険箇所、外周樹木の倒木リスク、道路の脆弱箇所を把握すれば、次の災害に備えた予防的な管理につなげられます。
LRTKを使った現場確認との組み合わせ
太陽光発電所のドローン測量で災害後確認を行う際は、上空から取得したオルソ画像や点群と、地上で確認した情報を正確な位置で結びつけることが重要です。ドローン測量で全体の被害状況を把握できても、パネルの細かな損傷、排水路の詰まり、法面のひび、土砂の厚み、設備周辺の浸水痕、フェンスの基礎部分は、地上確認で補完する必要がある場合があります。
たとえば、ドローン画像で土砂堆積が見える場所を見つけた場合、現地で堆積厚や排水路への影響を確認します。法面の変化が疑われる場所では、ひび、洗掘、湧水、土砂の緩みを確認します。管理道路に水たまりや土砂がある場合は、車両通行性を確認します。こうした地上確認を位置付きで記録できれば、オルソ画像や点群と照合しやすくなります。
災害後の現場では、似たようなパネル列や管理道路が続くため、写真だけでは後から場所を特定しにくいことがあります。被害箇所、土砂堆積、排水不良、倒木、フェンス破損、法面注意箇所を位置付きで記録すれば、復旧指示や報告書が分かりやすくなります。作業者にどこを確認し、どこを修繕するかを伝える際にも有効です。
また、PVSystなどの発電量シミュレーションと連携する場合にも、災害後の位置情報は重要です。泥はねや汚れ、倒木や草木による影、設備周辺の浸水、PCSや接続箱へのアクセス状況を位置付きで記録しておけば、災害後の発電量低下要因を整理しやすくなります。Shading Loss、Soiling Loss、Wiring Loss、実測比較の前提を見直す際にも、現場データが役立ちます。
LRTKは、iPhoneに装着して使えるGNSS高精度測位デバイスです。現場で高精度な位置情報を取得しながら、点検写真や確認結果を記録できるため、太陽光発電所の災害後確認とドローン測量を組み合わせる際に活用しやすい方法です。ドローン測量でオルソ画像、点群、3Dデータを取得し、現場ではLRTKを使って被害箇所、土砂堆積、排水不良、法面注意箇所、倒木、フェンス破損、PCS、接続箱、ケーブルルート、日射計、受電点を位置付きで記録すれば、上空データと地上確認を一体で管理できます。
太陽光発電所のドローン測量で災害後に見るべき項目は、パネル・架台・設備周辺、法面・造成地・土砂流出、排水路・低地・水たまり、管理道路・進入路・フェンス外周、周辺樹木・倒木・外部からの流入リスクの5つです。そこにLRTKのような高精度測位を組み合わせることで、現場のどこで何が起きているかを正確に記録し、復旧計画、O&M報告、発電量分析をより効率的に進めやすくなります。