LRTKレフィクシア株式会社

RTKのFix率を上げるコツ:初心者でも再現できる設定&運用術

RTK測位(リアルタイムキネマティック)は、測量や建設現場で数センチの高精度位置情報をリアルタイムに取得できる重要な技術です。RTKで高精度な**Fix解(固定解)を得られれば、測量結果の信頼性が格段に向上し、作業効率も飛躍的にアップします。しかし実際の現場では、建物や樹木による衛星信号の遮蔽、電波の反射(マルチパス)、通信途絶などが原因でFloat解(浮動解)**のままFixできなかったり、Fix状態が不安定になることも少なくありません。Fix率を上げるには、いくつかの基本ポイントを押さえた上で適切な設定・運用を行うことが肝心です。

本記事では、RTK初心者でも実践できるFix率向上のコツを体系的に紹介します。衛星受信状況の確認や環境の見直しといった基本対策から、補正情報・基地局の設定チェック、機器の扱い方まで、誰でも再現可能なテクニックを幅広く取り上げます。最後には、RTK測位をより手軽に活用できるLRTKによる簡易測量もご紹介します。

衛星受信状況の確認と改善

まずは衛星の捕捉状況をチェックすることがFix率向上の出発点です。 RTKでは安定したFix解を得るために、5~6機以上のGNSS衛星を同時に捉えていることが望ましいと言われます。理論上は4機の衛星で三次元測位は可能ですが、衛星がギリギリ4機では精度が悪く、固定解が得られにくくなります。測位機や専用アプリのステータス画面で現在受信中の衛星数やDOP値(精度劣化因子)を確認し、必要な衛星数を満たしているかを把握しましょう。もし衛星数が不足している場合は、マルチGNSS対応の受信機を使ってGPS以外の衛星(GLONASSやGalileo、みちびき(QZSS)など)も利用することで、捕捉できる衛星の総数を増やせます。利用衛星が増えればDOP値も低下し、Fix率向上につながります。

衛星の配置(ジオメトリ)も重要なポイントです。 衛星が空の一方向に偏っていると幾何学的配置が弱くなり、DOP値が高くなって精度が悪化します。衛星が空全体に均等に分布しているほど測位精度は良好で、Fix解も安定しやすくなります。衛星配置が偏っている時間帯では、固定解への初期化に時間がかかったりFloat解止まりになるリスクが高まります。そこで、GNSSプランナーなどのツールで衛星の配置や可視衛星数を事前に調べ、できるだけDOP値が低い時間帯を選んで測量作業を行うと効果的です。例えば衛星が頭上高くに複数ある時間帯を狙えば、ビル陰になりにくく精度も向上します。また、受信機の仰角マスク設定(低高度の衛星を除外する角度)も確認しましょう。仰角マスクを高く設定しすぎると衛星数自体が減ってしまうため注意が必要です。一般的には15°程度に設定しておくと低空の衛星も適度に利用でき、衛星数確保と精度維持のバランスが取れます。都市部などノイズが多い環境では20°前後に上げてノイズ源となる低仰角衛星を除外する選択肢もありますが、その分使える衛星が減る点には留意してください。

測位環境(遮蔽物・マルチパス)への対策

現場の周囲環境もRTKのFix率に大きく影響します。 上空の視界が狭い場所では衛星信号が十分に受信できず、固定解が得られにくくなります。高層ビル街のように周囲を建物に囲まれた環境(いわゆる「ビル谷間」)では、空の一部しか見通せず必要な衛星数を確保できないことがあります。できるだけ周囲が開けた場所で測位することが基本です。数メートル移動するだけで建物の陰から衛星が顔を出し、捕捉数が増えてFixに至るケースもあります。特に北方向の視界が確保できると衛星配置がバランスしやすいため、障害物の少ない地点を選ぶようにしましょう。

また、都市部や森林付近ではマルチパス(電波の反射)の影響にも注意が必要です。衛星信号が建物の壁面や金属フェンス、車両などで反射して受信機に届くと、直接波より遅れて到達するため距離を長く誤計測してしまいます。このマルチパス誤差はRTKの大敵で、測位精度を著しく低下させFix解を妨げます。対策として、電波が反射しそうな高層建物や大きな構造物から離れることが理想です。もし建物近くでどうしても測量しなければならない場合は、以下の対策を試みましょう。

  • アンテナの高さを上げる: 測位用アンテナをできるだけ高所に設置し、周囲の反射波の影響を受けにくくします(高いポールや三脚を活用)。ただし強風時はアンテナが揺れないよう固定に注意します。
  • アンテナにグラウンドプレーンを装着する: アンテナ直下に金属板など導電性の受け台を付けられる場合は装着しましょう。下方向や地面からの反射波を遮断し、マルチパスの影響を軽減できます。
  • 測位地点を工夫する: 測点を壁際から数メートルずらすだけで反射の影響が緩和されることがあります。また、測位開始時に一度開けた場所でFix状態にしてから目的の位置へ移動する方法も有効です。一度Fixを得ていれば、短時間であれば多少環境が悪化してもFixを維持できる受信機もあります。

さらに、強い電波干渉源が近くにないかも確認しましょう。高圧送電線の真下や通信アンテナのすぐ近くでは、強い電磁波ノイズによってGNSS信号受信が乱れる場合があります。工事用無線機やWi-Fiルーターなども影響する可能性があります。測位現場周辺の電波環境を見直し、必要に応じて場所を移動したり干渉源の電源を切るなどの対策をとります。以上のような環境面の対策を徹底することで、より安定したFix解の取得につながります。

補正データ受信と通信状態のチェック

RTK測位では基準局からの補正データを受信して初めて高精度化が実現します。そのため補正データが正常に届いているかどうかは、Fix率に直結する重要事項です。ネットワーク型RTK(Ntrip方式)を利用している場合は、まず受信機やアプリ上でNtrip接続状態を確認しましょう。「補正情報:受信中」といったステータス表示や通信アイコンが正常(緑色など)になっていればOKです。万一「未接続」やエラー表示になっている場合、Ntripの設定項目(接続先アドレス、ポート番号、マウントポイント名、ユーザーID・パスワード)に入力ミスがないか見直します。1文字の誤りでもサーバーに接続できないので、丁寧にチェックしてください。また、モバイル回線で接続している場合はスマートフォンやルーターがインターネットに繋がっているか、電波状態は良好かも確認します。トンネルや山間部では携帯電波が届かず補正データが途切れることがありますので注意が必要です。

補正データの種類や品質もFix率に影響します。使用中の受信機に合った補正情報を選択しているか確認しましょう。シングル周波数(L1のみ)の受信機であれば、その機種向けに提供されている簡易的な補正データを使う必要があります。マルチ周波数対応機なら、より高精度な補正フォーマット(例:複数周波数対応のデータ)を利用することでFixしやすくなります。たとえば一部の補正サービスでは、シングル周波数用とマルチ周波数用で異なるマウントポイントが提供されています。自分の受信機に適したデータを選ばないと、整数値(アンビギュイティ)の解決がうまくいかずFixに至らないことがあります。

自前の基地局を使ったローカルRTKの場合は、無線通信の状態をチェックします。基地局側の発信機(UHF無線など)が正しく動作しているか、ローバーまで電波が届いているかを確認しましょう。市街地では他の無線局との混信や障害物による減衰で通信距離が想定以下になることもあります。必要に応じて基地局アンテナを高所に設置したり、中継局の設置、出力の強い無線機を使用するなど通信環境を改善します。無線のチャンネルや周波数帯が混雑していれば、空いているチャンネルに変更することも検討してください。補正データが途切れがちだとFix解は維持できませんので、通信状態を安定化させることが重要です。

基準局の設定・基線長の最適化

基地局(基準局)の設定不備や位置的な問題も、RTKがFixしない原因になり得ます。自前の基準局を運用している場合は、まず基地局の座標設定を見直しましょう。基地局にはできる限り正確な既知座標を設定することが理想です。短時間の簡易計測値や仮の座標で運用する場合でも、実際の位置とかけ離れた値を入れてしまうと解算の初期位置に大きなズレが生じ、Fixが安定しなくなります。特に数十メートル以上も誤差がある設定だと、ローバー側での整数値初期化に時間がかかったり失敗する恐れがあります。可能であれば事前に基地局位置を厳密に測定(長時間の静的測位や公共座標へのひも付け等)しておき、その座標を使用しましょう。

また、座標系(測地系)の一致も忘れずに確認します。日本ではJGD2011などの世界測地系が使われますが、仮に基地局がローカルな独自座標系で設定されていたり、移動局と基準局で異なる基準座標系を用いていると、補正適用後の解にオフセット誤差が生じて正しくFixできません。基準局・移動局で同じ測地系/座標系を使用していることを確かめてください。

基線長(基地局と移動局の距離)もFix率に大きく影響します。一般に、基線長が長くなるほどRTKの精度とFixまでの時間は悪化する傾向があります。10km以内の距離であれば比較的早くFix解を得やすいですが、20km、30kmと離れるにつれて電離層や対流圏の誤差差分が大きくなり、整数固定に時間を要したり不安定になりがちです。50km以上離れてしまうと環境によってはほとんどFixしなくなることもあります。対策として、可能であれば作業現場に近い場所に基地局を設置するのが望ましいです。遠方の基地局データを使わざるを得ない場合は、国や民間が提供する**ネットワーク型RTKサービス(VRS方式など)**の利用を検討しましょう。VRS(バーチャル基準点)方式のサービスではユーザー付近に仮想的な基準局情報が生成されるため、実質的に基線距離を数km程度に短縮できます。公共の電子基準点や商用の補正サービス契約がある場合は、最寄りの基地局データを選択するだけでも距離の問題はかなり緩和されます。

加えて、基準局そのものの設置環境もチェックが必要です。基地局アンテナがビル屋上など視界の悪い場所に置かれていると、その誤差要因が補正情報に混入し、移動局側の解にも悪影響を与えます。基地局はできるだけ周囲が開けた安全な場所に設置し、アンテナ高も正確に測定して入力します。また、基地局が正常に動作しているか(電源や通信が切れていないか)も念のため確認しましょう。基地局送信が停止していれば当然ながらローバーはFixになりません。以上のように基準局設定と運用を最適化することで、RTKのFix率を大きく改善できます。

GNSS受信機の設定とハードウェア確認

最後に、使用しているGNSS受信機の設定やハードウェア状態も確認しましょう。意外なことに機器の接続不良や設定ミスが原因でFixしないケースもあります。まずハード面では、外部アンテナを使っている場合にケーブルの緩みや断線がないか点検します。アンテナコネクタがしっかり接続されていないと衛星信号が極端に弱くなり、必要な精度が得られません。以前は問題なくFixしていた機器が突然Fixしなくなった場合、アンテナケーブルの不具合やアンテナ自体の故障が疑われます。交換用アンテナで試してみたり、ケーブルを再接続し直すだけで改善することもあります。

スマートフォンやタブレットと連携して使うタイプのRTK受信機では、アプリ側の不具合にも注意します。アプリやソフトウェアがフリーズして補正情報の更新が止まってしまうと、Fixが維持できなくなります。その場合、一度アプリを再起動するか、スマホ自体を再起動して受信機と再接続し直してみましょう。

次に、受信機や測位ソフトの内部設定も見直します。知らないうちに測位モードや使用衛星の設定が変わっていないか確認してください。例えば、移動局を静止モード(Static)のまま動かしていると解が安定せず、逆に動的モード(Kinematic)で静止点を長時間観測すると余分な誤差が乗ることがあります。運用に合わせてモード設定を正しく選択しましょう。また、基地局と移動局で利用するGNSSの衛星系の種類を統一することも重要です。片方でGLONASS衛星を無効にしているのにもう一方は有効にしている、といった設定の不一致があると、対応する補正情報が得られずFixできない可能性があります。基本的に基準局・移動局は同じ衛星システム(GPS・GLONASS・Galileo・みちびき等)を使うよう設定を揃えます。

受信機の機種によっては、シングル周波数かマルチ周波数かもFix率に大きく影響します。シングル周波数(L1のみ)のGNSS機器は電離層誤差を補正しきれないため、どうしてもFixまでに時間がかかったり不安定になることがあります。可能であればL1/L2やL5に対応したマルチ周波数受信機を使うことで、固定解の取得スピードや維持安定性が大幅に向上します。最近の高精度GNSS端末はマルチ周波数対応が主流になりつつあるので、今後導入する際は対応機種を検討すると良いでしょう。

それでも現場でなかなかFixにならない場合、基本に立ち返ってもう一度上記のポイントを総合的に点検してみてください。衛星受信状況・周囲環境・補正データ・基準局・機器設定の5つを順番にチェックすれば、多くの問題は解決するはずです。また、どうしてもその場でFixが得られない状況では無理をせず、時間を置いて再チャレンジする判断も大切です。衛星の配置が好転する時間を待ったり、電離層が安定する時間帯に改めて測位し直すだけでFixできるケースもあります。短時間でFixできないからとFloat解のまま測り続けても精度は向上しないため、一度原因を特定して対策することが肝心です。場合によってはRTKにこだわらず、PPK(後処理静的測位)に切り替える、あるいはFloat解で複数回測って平均を取るなど、精度を確保するための代替策も検討しましょう。

最後に、受信機やアプリのファームウェア/ソフトウェアを最新に保つことも忘れないでください。古いバージョンにはRTK解に影響する不具合が残っている場合があります。メーカーや提供元から最新ファームウェアがリリースされていればアップデートし、常に最新の状態で運用することが安定したFix解取得への近道です。

LRTKによる簡易測量

ここまで紹介したポイントを押さえることで、RTKのFix率を向上させ安定した高精度測位が実現できます。しかし、これらの設定・運用を全て自分で管理するのは大変だと感じる方もいるでしょう。また、GNSSやRTKの専門知識があまりない初心者にとっては、機器の扱い自体にハードルを感じるケースもあります。そうした「もっと手軽にRTK測位を活用したい」というニーズに応えるソリューションが、LRTKによる簡易測量です。

LRTKシリーズは、レフィクシア社が提供する小型高精度GNSS受信機の製品群で、現場の誰もが簡単にセンチメートル級測位を利用できることを目指して開発されています。ポケットに収まるコンパクトな受信機本体が特徴で、スマートフォンやタブレットと専用アプリで連携することで高精度なRTK測位を実現します。マルチGNSS・マルチ周波数に対応しており、上で述べた衛星数や周波数の問題もカバーしています。使い方はシンプルで、スマホに装着してアプリで測位を開始するだけ。煩雑な基地局設定やNtrip接続もアプリ上で直感的に行え、初心者でも迷わず操作できます。

LRTKを活用すれば、これまで専門の測量機器が必要だった作業も1人で手軽にこなせるようになります。高精度な測位データを即座にクラウドへ記録・共有する機能も備えており、土木・建設現場の生産性向上に寄与します。国土交通省が推進する「i-Construction(アイ・コンストラクション)」にも対応した最新テクノロジーで、現場の測量スタイルを大きく変革するでしょう。もしRTK測位の導入や運用に不安があるなら、ぜひLRTKシリーズの利用を検討してみてください。詳細についてはLRTK公式サイトもご覧いただけます。 製品に関する質問やデモのご希望、導入のご相談などもお気軽にお問い合わせください。LRTKが、貴社の測量業務を次のステージへと進化させる力になるはずです。

FAQ

Q1: RTKで安定してFix解を得るには最低何基の衛星が必要ですか?
A: 理論上は4基の衛星で三次元位置を求められますが、RTKで確実に固定解を得るには5~6基以上の衛星を同時に捕捉できることが望ましいとされています。衛星は多いほどよく、GPSに加えてGLONASSやGalileo、みちびきなどマルチGNSSに対応した機器を使うと利用可能衛星数が増え、結果的にFix率が向上します。

Q2: RTKがなかなかFixにならない場合、どれくらい待つべきでしょうか?
A: 環境や機器が整っていれば、受信機の電源投入後あるいは測位開始から数十秒~数分でFix状態になるのが一般的です。5分以上経ってもFixしない場合は何らかの原因がある可能性が高いでしょう。その際は本記事で解説した各ポイント(衛星数、周囲環境、補正データ受信状況、基準局設定、機器状態など)を改めてチェックしてください。原因を特定して対策しない限り、Float解のまま長時間測り続けても精度は向上しません。トラブルシューティングを行い、問題を解消してから再度測位を試みることが重要です。

Q3: 天候や時間帯によってFixしにくくなることはありますか?
A: 雨や曇り程度の天候でGNSS電波が極端に減衰することはありませんが、時間帯による影響は考えられます。日中の午後(例えば14~17時頃)は電離層の擾乱が大きくなり精度が低下しやすいと言われます。また都市部では、ある時間帯に衛星が低角度に偏りビル陰になりやすいケースもあります。そのように環境要因でFixが得にくいと感じたら、時間をずらして再トライしてみるのも有効です。実際、早朝や夜間に測位したら難なくFixできたという例もあります。

Q4: Float(浮動)解のまま測位を続けても問題ないでしょうか?
A: Float解はFix解に比べて精度が劣り、一般には誤差が数十センチ~1m程度に及びます。厳密な測量や施工管理ではFloat解のままでは不十分です。短時間でFixに至らない場合でも、焦ってFloat解の値を記録するのではなく、Fixになるまで待つか時間をおいて再度測位し直す方が安全です。どうしてもその場でFixが得られない場合は、Static測位(長時間観測して事後解析)に切り替えることも検討しましょう。あるいは、簡易な方法として同じ点を何度か測り平均値を取ることで誤差を減らすことも一つの策です。

Q5: 基準局からの距離が遠い現場ではどう対処すればよいですか?
A: 基準局からの距離が遠いとFix取得が難しくなるため、可能であれば公共の**ネットワーク型RTKサービス(VRSなど)**を利用するのが効果的です。VRS方式ならユーザー近傍に仮想基準点が設定されるので、距離の問題を解消できます。どうしても自前の基地局との長距離で対応する場合は、中継局を設置したり、電波到達範囲を広げる高出力の無線機を使うなど通信面の強化が必要です。それでも難しい場合には、測位地点付近に一時的に基地局を移設することや、後処理による解析(PPKや長静止観測)を検討することもあります。

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

LRTK Phoneの使い方・実例を見る
資料請求導入相談
現場をスマホで3DスキャンLRTK Phone実例を見る