LRTKレフィクシア株式会社

センチ級の高精度測位で現場効率化!LRTK導入のメリット

現場効率化になぜセンチ級測位が必要か

建設現場や測量の現場で作業効率を高めるには、位置の正確さ、すなわち測位精度が極めて重要です。地図作成や施工管理では、数メートルもの誤差がある位置情報では実用になりません。例えば、敷地内の境界や建物の位置出し(杭打ち・墨出し)を行う際、測位誤差が5メートルもあれば正確な位置に印を付けられず、手戻りややり直しが発生してしまいます。これでは現場の効率化どころか、施工ミスや工期遅延の原因にもなりかねません。

一方、衛星測位システム(GNSS)を活用すれば広いエリアで手軽に位置を測定できますが、従来の一般的なGPS受信機では測位誤差が数メートル単位(5~10m程度)も発生してしまいます。この精度では先述のような建設・土木の現場作業には不十分です。現場の作業効率化のためには、センチメートル級の高精度な測位が欠かせません。誤差が数センチ以内であれば、設計図どおりの位置・高さで構造物を施工でき、追加の測量チェックや再施工を大幅に減らすことができます。すなわち、高精度測位は現場の手戻り防止や品質向上に直結し、結果的にコスト削減や工期短縮といった効率化メリットをもたらします。

また、近年の建設業界・測量業界では人手不足や熟練技術者の減少が深刻化しています。そのため、「省力化しつつ高精度な測量を行いたい」というニーズが年々高まっています。簡単に扱えるセンチ級測位技術が普及すれば、専門の測量班に頼らずとも現場スタッフ自身が必要なときに素早く測量をこなせるようになり、全体の業務効率が向上すると期待されています。

従来測量手法の課題

高精度な測位を得るために、これまでは専用の測量機器や手法が必要でした。しかしそれら従来手法にはいくつかの課題があります。例えば、トータルステーションなどの光学式測量機器を用いる場合、機材が大型かつ重量で基本的に2人1組での作業が必要でした。機器を据え付けるたびに三脚を立てて整準し、ターゲットを合わせる手間がかかり、人員と時間を要します。また、精度維持のため定期的なキャリブレーション(校正)やメンテナンスにも手間とコストがかかります。熟練者でなければ正確に操作できないことも多く、技術者の育成にも時間が必要でした。

一方で、GNSSを使った測量も従来は高いハードルがありました。高精度を得るにはRTK方式に対応した専用の高性能GNSS受信機が必要で、固定局(基地局)との通信やネットワーク経由での補正情報の取得にも専用の設備やサービス契約が必要でした。そのため機器一式の導入費用が非常に高額となり、操作にも専門知識が要求されてきました。こうしたコスト面・人員面の負担から、中小の現場や自治体では高精度測位のハードルが高く、従来型の手作業や誤差を許容した測量に頼らざるを得ない場面も多かったのです。

つまり、「手軽さと高精度を両立した測位法がない」という点が長年の課題でした。このギャップを埋めるソリューションとして登場したのが、スマートフォンを活用した新しい測位技術なのです。

センチ級測位を可能にするRTK方式

では、そもそもRTKとはどのようにセンチメートル級の測位を実現しているのでしょうか。RTK(Real Time Kinematic、リアルタイムキネマティック)方式は、GNSS測位の誤差要因を補正することで高精度化する手法です。通常、衛星測位の誤差には大気の影響(電離圏・対流圏による遅延)や衛星時計のズレ、マルチパス(反射信号)など様々な要因が含まれ、それらの影響で数メートルの誤差が生じます。RTKでは**既知の正確な座標を持つ基準点(基地局)**を設置し、その基準点で受信したGNSS信号と移動局(ローバー)の信号との差分から誤差をリアルタイムに算出します。そして、その補正量を移動局に逐次送信して位置を補正することで、誤差数センチ以下の精度を実現します。

RTKの利点は、相対測位の精度が非常に高く、実時間で結果が得られることです。これにより測量現場でもリアルタイムに高精度座標を取得でき、即座に杭打ちや測設に活かすことができます。ただし従来は、自前で基地局を用意するか、既存の基準局ネットワーク(例:電子基準点のネットワーク)にインターネット経由でアクセスして補正情報(いわゆるNtripサービス)を購読する必要がありました。そのため現場が山間部など携帯電波の圏外であったり、インフラが整っていない地域ではRTK測位が困難なケースもありました。

しかし近年、日本では準天頂衛星「みちびき」による高精度測位補強サービス(CLAS)が提供されており、この衛星からの補正情報を受信できる受信機であれば基地局や通信がなくともセンチ級測位が可能になってきています。つまり、専用の基地局を設置せずとも、上空の衛星から補正信号を受け取ることでRTK測位を完結できる環境が整いつつあります。スマートフォンで利用できる小型デバイスにも、このRTK方式とCLAS対応を組み合わせて高精度測位を実現するものが登場してきました。それが次に紹介するLRTKです。

スマートフォン測量「LRTK」の登場

こうした革新をもたらしたのが、東京工業大学発のスタートアップ企業レフィクシアによって開発された LRTK Phone です。スマートフォン(現時点では主にiPhoneやiPad)に取り付ける超小型のRTK-GNSS受信機デバイスで、手持ちのスマホがそのままセンチメートル級測位が可能な測量機器に変身します。従来は重量のある機材を担いで2人がかりで行っていた測量作業が、ポケットに入るスマホと小さなデバイスだけで完結できるようになるのです。現場で働く技術者一人ひとりが自前の測量ツールを携行し、必要なときにすぐ使える――そんな一人1台のモバイル測量機が現実のものとなりつつあります。

LRTK Phoneの優れている点は、ハードウェアとスマホのセンサー技術・アプリを組み合わせることで、単なる位置測定だけに留まらず現場で必要となる様々な計測・作業を一台でこなせる点です。iPhoneのカメラやLiDARスキャナーを活用することで、3Dの地形スキャン(点群計測)や、設計図データを基にした杭打ち位置出し(墨出し)、さらにはARによる可視化までiPhoneひとつで完結します。まさにスマートフォンがそのまま測量機器になる時代が到来したと言えるでしょう。

LRTK Phoneの主な特徴

  • 超小型・軽量: デバイス本体は約165g、厚さ約1cm。ポケットに収まるコンパクトさで常に携帯できます。
  • バッテリー内蔵で長時間駆動: 内蔵バッテリーで約6時間連続動作し、USB Type-C経由で充電・給電も可能です。モバイルバッテリー併用で現場でも電源切れを心配せず使用できます。
  • 簡単着脱: 専用スマホケースや磁気アタッチメントを介し、ワンタッチでiPhoneやiPadに着脱可能。必要なときだけ装着し、使わないときは外しておける手軽さです。
  • センチメートル級の高精度測位: 複数周波数対応の高性能GNSSアンテナを内蔵し、RTK補正により平面位置で±2cm程度の測位精度を実現します。高さ方向も数cmの精度で測定可能です。
  • みちびき(QZSS)CLAS対応: 日本の準天頂衛星「みちびき」が提供する高精度補強信号CLASを受信でき、携帯圏外の山間部などでもインターネット不要でセンチ級測位が行えます。またインターネット経由のネットワーク型RTK(Ntrip方式)にも対応し、日本全国どこでもリアルタイムに誤差を数センチまで補正可能です。
  • 一人作業をサポート: デバイスを一脚や先端に石突を付けたポールに取り付ければ、従来2人がかりだった杭打ち作業も1人で行えます。高さオフセットもアプリ上で簡単に設定でき、気泡管で水平を取れば片手でも正確な測位が可能です。
  • 屋内測位への対応: GPS衛星の電波が届かない屋内や地下空間でも、iPhoneのAR技術を活用した相対測位モードで計測を継続できます。例えばトンネル内でも入口付近の既知点を基準に内部の位置を測るといった使い方が可能です。

LRTK Phoneで利用できる測量機能

  • 高精度座標測位: ワンタップで現在位置の緯度・経度・高さ(標高)を測定し記録できます。日本の平面直角座標系に対応し、ジオイド高も自動計算されるため、測定結果はそのまま設計図や地図に利用可能な形式で取得できます。
  • 連続測位・平均測位: 数秒間の連続観測による平均座標の算出や、移動しながらの連続軌跡ログ(ロギング)取得が可能です。複数回の測定結果を平均することで精度をさらに向上させたり、歩き回って面的に多数の点を効率よく計測できます。
  • 3D点群計測: iPhoneのカメラやLiDARスキャナーで周囲の地形・構造物を撮影しつつ、LRTKの高精度位置データをリアルタイムで付与することで、絶対座標付きの3次元点群モデルを簡単に生成できます。特別なレーザースキャナーや事前のターゲット設置なしに、現場を歩き回るだけで広範囲を立体的に計測可能です。
  • 座標ナビ(誘導): あらかじめ設定した目標座標(基準点や杭打ち位置)に向け、スマホ画面上に矢印と距離情報で誘導表示します。熟練者でなくとも画面の指示通りに移動するだけで目標地点に近づけ、センチ単位で所定の位置を特定可能です。
  • ARによる設計データ可視化: 設計図や3Dモデルのデータをアプリに取り込み、現地のカメラ映像にAR表示で重ねることができます。絶対座標で位置合わせされたモデルによって、施工物が設計通りの位置・高さか一目で確認できます。また登録した境界線や地下埋設管の位置をAR表示し、掘削時の注意喚起や出来形検査にも活用できます。
  • 写真測量(測位写真): スマホのカメラで撮影した現場写真に、高精度な撮影位置の座標とカメラの向き情報(方位)を自動タグ付けできます。撮影地点を地図上に正確にプロットして管理したり、時系列で同一箇所の変化を追跡するといった利用が容易になります。
  • 測定データの活用・計算: 測定した座標データを利用して、2点間距離や面積・体積の計算もアプリ内で実行できます。例えば取得した点群から任意の断面を生成して盛土・切土量を算出する、といった土量計算も現場で即座に行えます。

センチ級測位導入による現場メリット

LRTK Phoneは単に高精度なだけでなく、現場で実用的なスピードや携帯性も備えています。開けた場所で電源を入れて約20秒ほどでRTKのFix解が得られ、その段階で既にセンチメートル級の位置情報が取得可能です。実験では、デバイスを固定した状態で単点測位した場合の水平位置の標準偏差は約12mm、60回の測定平均を用いた場合では8mm程度まで精度が向上することが確認されています。10mmを切る精度が出せるというのは、まさに従来の本格的な測量機器レベルの精度と言えるでしょう。また一度Fixを得れば移動しながらでも継続的に高精度測位を行えるため、一箇所ごとに三脚を据えて観測していた従来作業も、スマホを持って歩くだけで広範囲の地形を点群として同時取得できます。計測漏れが減り、その場で迅速に結果を得られることから、工期短縮や手戻り防止にもつながります。

こうした特長により、LRTK Phoneを導入することで得られる具体的なメリットを整理すると以下のようになります。

  • 測量コストの削減: 従来は高額な専用機器や複数人の人件費がかかっていた測量作業が、スマホと小型デバイスのみで完結することで大幅なコストダウンが可能です。機材の維持管理費や外部業者への委託費も削減できます。
  • 作業時間の短縮・効率向上: 計測準備や機材設置の手間が減り、測量データの取得から処理までをスピーディに行えるため、作業時間の大幅短縮が期待できます。リアルタイムに点群生成や体積計算までできることで、現場で即座に判断を下し次の工程に進めます。
  • 施工ミスの削減: 高精度な測位とARによる可視化で、設計と施工のズレをその場で発見・修正できます。杭の位置出しミスや測定漏れによる手戻りが減り、品質の高い施工を一回で実現できます。
  • 省人化(人員削減): 一人で測量や杭打ちがこなせるため、従来必要だった補助作業員を割く必要がありません。人員不足の解消に寄与するとともに、重機周辺での補助作業が減ることで安全性向上にもつながります。
  • 教育コストの低減: スマホアプリの直感的なUIにより、専門知識が乏しい人でも指示に従って操作するだけで正確な測位が行えます。ベテランの勘に頼らずとも成果が得られるため、新人への教育負担が小さく、スキル継承の課題を緩和できます。
  • データ共有の円滑化: 測量結果はクラウド経由で即座に社内外と共有でき、関係者全員が最新情報を閲覧可能です。紙の図面を持ち歩いたりUSBでデータ受け渡しをする必要がなく、発注者への報告もデジタルデータを用いてスムーズに行えます。

導入事例:災害復旧での活用

革新的なLRTK Phoneは、既に全国各地の建設現場や自治体で導入が始まっています。例えば福井県福井市では、いち早くiPhoneとRTK測位を活用したスマホ測量システムを災害復旧の現場に取り入れ、従来よりも迅速かつ低コストで被害状況のマッピングを行うことに成功しています。限られた人員でも効率よく広範囲をカバーできる点が評価され、復旧計画の立案スピードが大幅に向上しました。また、このスマホ測量システムは能登半島地震(2023年)での被災状況把握にも活用されており、被害箇所の迅速な測量と記録に貢献しました。

こうした成果が注目され、現在では国の行政機関や他の自治体でもLRTK Phoneの導入が検討・進行されています。道路や橋梁などインフラ点検への応用や、公共測量業務での省力化に向けた活用事例も増えてきています。高精度で手軽なスマホ測量は、防災分野のみならず幅広い現場業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支える技術として期待が高まっています。

LRTK Phoneで始める簡易測量

ここまで見てきたように、LRTK Phoneはセンチ級の高精度測位と多彩な機能によって、測量・施工現場の効率化に大きく寄与することが分かります。専用機器に匹敵する精度を持ちながら、スマートフォンと小型デバイスだけで利用できるこのシステムは、まさに**「簡易測量」**のコンセプトを体現したソリューションと言えます。導入費用も従来の測量機器に比べて比較的安価で、実際に各地での採用実績に裏付けられた信頼性を備えています。

測量士や建設技術者はもちろん、インフラ管理に携わる自治体職員の方々にとっても、LRTK Phoneは身近な業務改善ツールとなり得ます。人手不足やコスト制約といった課題に直面している現場ほど、こうした簡易測量システムの導入メリットは大きいでしょう。ポケットに入る一人1台の測量機を手に、現場DXの第一歩を踏み出してみませんか。ぜひLRTK Phoneの導入を検討し、その効果を現場で実感してみてください。

FAQ

Q: LRTKとは何ですか?
A: LRTKはスマートフォンに接続する超小型のGNSS受信機デバイスと専用アプリから構成され、手持ちのiPhoneをセンチメートル級測位が可能な測量機器に変えるシステムです。東京工業大学発のベンチャー企業によって開発され、RTK技術を活用することで高い測位精度を実現しています。

Q: なぜ従来のGPSでは高精度な測位ができないのですか?
A: 一般的な単独測位(スタンドアロンGPS)では衛星信号の誤差により数メートルのズレが生じるため、測量や杭打ちに要求されるセンチメートル単位の精度を満たすことができません。RTKのような補正技術を用いないと衛星測位の誤差要因を打ち消せず、高精度化は難しいのです。LRTKはこのRTK方式により測位誤差をリアルタイムに補正し、はじめてスマホでセンチ級精度を実現しています。

Q: LRTK Phoneは屋内や電波圏外でも使えますか?
A: はい、LRTK Phoneは日本の準天頂衛星「みちびき」が提供する補強信号CLASに対応しており、携帯の電波が届かない山間部など圏外の現場でも高精度測位が可能です。ただし完全な屋内では衛星信号自体が受信できないため、iPhoneのAR機能を用いた相対測位モードで対応します。一度屋外で基準点を測定しておけば、その基準をもとにトンネル内や建物内でも相対的に位置を測ることができます。

Q: 操作には専門的な知識や資格が必要ですか?
A: いいえ、特別な資格は不要です。LRTKアプリは日本語でわかりやすい画面表示となっており、指示に従って操作するだけで正確な測位が行えます。従来の測量機器に見られた複雑な設定や計算はアプリ側で自動処理されるため、基本的なスマホ操作の経験があれば短時間のトレーニングですぐに使い始めることができます。

Q: 導入にあたって必要なものは何ですか?
A: 必要なのはLRTK Phone本体(小型GNSS受信機)と対応するiPhone/iPad、および専用のLRTKアプリです。インターネット経由で補正情報を利用する場合はNtripサービスへの加入が必要ですが、日本国内であればみちびき(CLAS)によりネット接続がなくても高精度測位が行えます。基本的にはお手持ちのスマートフォンにLRTKデバイスを装着し、アプリを起動するだけでセンチ級測位を開始できます。

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

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