LRTKレフィクシア株式会社

3D CADでばね部品の伸縮を表現する5つのモデリング方法

3D CADでばねの伸縮を表現する目的

3D CADでばね部品を扱う場合、単にらせん状の外観を作るだけでは、装置設計に必要な検討を十分に行えないことがあります。ばねは荷重や取付状態によって長さ、角度、巻き間隔などが変わる部品であり、その変化が周辺部品の位置関係や可動範囲に影響するためです。

自由状態のばねだけを配置した3Dモデルでは、組付け時にどの程度圧縮されるのか、可動部品が移動したときに周辺部品へ干渉しないか、最大変位時に必要な空間を確保できているかを判断しにくくなります。そこで、3D CAD上でばねの伸縮状態を表現し、装置全体の状態を確認できるようにします。

ばねの伸縮表現には複数の目的があります。代表的なものは、自由状態と組付け状態の比較、最大圧縮時や最大伸長時の干渉確認、可動部品に追従した形状表示、組立手順の説明、図面作成、動作確認、荷重や応力の評価です。

ただし、3D CAD上でらせんの高さやピッチを変更した形状と、現実のばねに生じる物理的な変形は必ずしも一致しません。寸法を変更して見た目を伸縮させるモデルは、取付位置や占有空間を確認する用途には適していますが、その形状だけから荷重、応力、耐久性などを判断することはできません。

現実のばねでは、線径、コイル径、有効巻数、材料、端部形状、支持条件、荷重方向、巻き同士の接触などが挙動に影響します。圧縮量が大きくなると、すべての巻き間隔が均等に狭くなるとは限らず、端部側から巻きが接触することもあります。偏心荷重や取付誤差があれば、軸方向だけでなく横方向へ変形する可能性もあります。

そのため、ばねモデルを作る前に、何を確認するための表現なのかを明確にすることが重要です。干渉確認を目的とする場合は、代表的な長さを再現できれば十分なことがあります。装置の動きに追従させたい場合は、アセンブリ内の距離とばね長さを連動させます。荷重と変位の関係を確認したい場合は、モーション機能や解析機能を利用します。

必要以上に詳細なモデルを作ると、再計算時間が増え、大規模なアセンブリを操作しにくくなります。反対に、簡略化しすぎると、端部形状や巻き間隔に関する干渉を見落とすおそれがあります。用途に応じて詳細度を切り替えることが、実務で扱いやすいばねモデリングの基本です。

モデリング前に整理するばねの基本条件

ばねの伸縮を3D CADで表現する前に、モデルへ反映する寸法と状態を整理します。寸法の定義が曖昧なまま形状を作り始めると、自由長や巻数が仕様と一致しなかったり、変更時に形状が破綻したりしやすくなります。

コイル状の圧縮ばねでは、線径、コイル外径または平均径、自由長、総巻数、有効巻数、ピッチ、巻方向、端部形状などを確認します。端部に座巻や研削がある場合は、その範囲も区別します。中央の有効巻部分と端部の無効巻部分では、ピッチや形状が異なることがあるためです。

引張ばねでは、コイル本体だけでなく、両端に設けられるフックやループの形状も重要です。自由状態ではコイル部分が密着していることがあり、伸長時には有効巻部分の間隔が広がります。全長の定義にフック部分を含むのか、コイル本体だけを指すのかも事前に統一します。

ねじりばねでは、軸方向の長さよりも、腕部の角度や回転方向が主要な変数になります。コイル中心軸、固定側の腕、荷重側の腕、初期角度、使用角度を整理し、どちらの腕を基準として動かすのかを決めます。

ばねの状態については、少なくとも自由状態、組付け状態、通常使用状態、限界状態を区別します。圧縮ばねであれば、自由長、取付長、通常使用時の最小長さ、設計上確認する最大圧縮時の長さなどを整理します。引張ばねであれば、自由状態の取付点間距離と最大伸長時の距離を確認します。

ここで注意したいのが、形状確認用の限界状態と、実物の使用限界を混同しないことです。3D CAD上で形状を作成できたとしても、その長さでばねを安全に使用できるとは限りません。密着高さ、許容変位、許容応力、初張力、使用温度などは、設計条件や仕様に基づいて別途確認する必要があります。

寸法をパラメータ化する場合は、入力値と計算値を分けます。線径、コイル径、巻数、自由長を入力値とするのであれば、ピッチはそれらの値から計算します。自由長、ピッチ、巻数をすべて独立した入力値にすると、寸法関係が重複し、再計算時に矛盾することがあります。

モデルの基準位置も重要です。ばねの長さを変えたとき、片側の端面を固定して反対側だけを移動させるのか、中央を固定して両端を均等に移動させるのかによって、アセンブリ内の位置が変わります。実際の装置で固定される側を基準にすると、組付け状態を再現しやすくなります。

方法1:らせんの高さとピッチをパラメータ化する

ばねの伸縮を表現する基本的な方法は、らせん形状の高さやピッチをパラメータとして設定することです。同じ巻数を保ったまま、らせんの全体高さを変更すれば、各巻きの間隔が変化し、圧縮状態や伸長状態を表現できます。

一般的なコイルばねの形状は、中心軸を基準にらせん曲線を作り、その曲線に沿って円形断面を移動させることで作成します。円形断面の直径を線径とし、らせんの直径をコイル径として設定します。らせんの高さ、ピッチ、巻数などを調整することで、目的のばね形状を作ります。

伸縮モデルを作る場合は、らせんの高さを直接変更する方法が分かりやすいです。巻数を固定したまま高さを短くすると、ピッチが狭くなって圧縮状態になります。高さを長くすると、ピッチが広くなって伸長状態になります。

一方、ピッチを主要な変数として設定し、巻数とピッチから全体高さを計算する方法もあります。どちらを入力値にするかは、設計仕様で管理しやすい寸法に合わせます。装置側で取付距離が決まっている場合は全体高さを入力値にし、ばね単体の仕様表を中心に管理する場合はピッチを基準にするなど、運用に応じて選択します。

単純ならせん形状では、すべての巻きが同じピッチになります。しかし、実際の圧縮ばねには、中央の等ピッチ部分に加えて、端部の座巻や密着巻が設けられる場合があります。この形状を表現するには、中央部と端部を分けてモデリングする必要があります。

中央の有効巻部分だけを伸縮させ、端部の密着部分は固定形状として残す構成にすると、自由長や圧縮長を変更したときも端部形状を維持できます。らせん曲線を複数の区間に分け、それぞれに異なる高さやピッチを設定する方法が考えられます。

ただし、区間を増やしすぎると参照関係が複雑になり、寸法変更時に曲線がつながらなくなることがあります。伸縮表現の目的が干渉確認であれば、端部の細かなピッチ変化まで再現せず、必要な範囲で簡略化する判断も重要です。

圧縮状態を作るときは、線材同士が重ならないかを確認します。らせんの高さを極端に短くすると、隣接する巻きの距離が線径より小さくなり、スイープ形状が自己交差する可能性があります。3D CADによっては、自己交差する形状を作成できず、再計算エラーになることがあります。

そこで、全長やピッチへ下限値を設けます。最小値はモデル上の見た目だけで決めず、端部形状や密着時の条件も考慮します。実物の使用限界を示す値として扱う場合は、ばねの仕様や設計条件と照合することが欠かせません。

引張ばねをこの方法で表現する場合は、コイル本体と端部フックを分けると管理しやすくなります。コイル本体の有効巻部分だけピッチを変更し、フック部分は取付点に合わせて移動させます。フックまで一体のスイープ形状にすると、伸縮時に端部が意図しない方向へ変形することがあります。

らせん形状のパラメータ化は、ばねモデルを再利用しやすいことが大きな利点です。線径、コイル径、巻数、自由長などを変数として整理すれば、類似する複数のばねを同じ基本モデルから作成できます。仕様変更が多い設計では、入力寸法を変更するだけで形状を更新できるため、作業時間を抑えやすくなります。

ただし、この方法は指定した寸法に合わせて形状を作り直しているだけであり、荷重に応じた変形量を自動的に求めているわけではありません。干渉確認や説明用の形状表現として使い、荷重や応力の評価とは分けて管理する必要があります。

方法2:自由状態と伸縮状態を作り分ける

ばねの伸縮状態を表現する方法として、自由状態、組付け状態、圧縮状態、伸長状態などを個別に作り分ける方法があります。連続的に形状を変化させる必要がなく、確認する位置が決まっている場合に適した方法です。

たとえば、装置の可動部が初期位置、中間位置、終端位置の三つで停止する場合、それぞれの位置に対応したばね形状を用意します。設計審査では各状態を切り替えながら、周辺部品との干渉、必要な空間、取付部の位置関係を確認できます。

状態ごとに別の部品データを作る方法もありますが、同じ部品内で複数の形状状態を管理できる場合は、線径やコイル径などの共通寸法を維持しながら、全長やピッチだけを切り替える構成が扱いやすくなります。

自由状態では仕様上の自由長を設定し、組付け状態では実際の取付面間距離に合わせます。最大圧縮状態や最大伸長状態については、装置のストロークとばねの使用範囲を確認したうえで設定します。

この方法の利点は、モデルの状態が明確になることです。アセンブリの動きに追従する複雑な数式を組まなくても、必要な状態を確実に再現できます。設計変更によって装置の停止位置が変わった場合も、対象となる状態の長さを修正すれば対応できます。

また、図面や説明資料を作る際にも有効です。自由状態と組付け状態を並べれば、どの程度の予圧が加わる構成なのかを視覚的に説明できます。最大圧縮状態を表示すれば、ばねが収まる空間やガイド部品の長さを確認できます。

一方で、状態数を増やしすぎると管理が煩雑になります。線径や巻数を変更したときに、一部の状態だけが更新されていないと、同じばねでありながら形状仕様が異なるデータが残ってしまいます。

修正漏れを防ぐためには、状態によって変わらない寸法を共通の変数として管理します。線径、コイル径、巻数、巻方向、端部形状は共通化し、状態ごとに変える値を全長や有効部分のピッチに限定します。

別ファイルとして状態を作り分ける場合は、基準モデルと派生モデルの関係を明確にします。ファイル名には自由状態、組付け状態、確認用限界状態などの区別を入れます。ただし、状態名だけでなく、どの装置位置に対応するかも記録すると、後から見た担当者が判断しやすくなります。

部品表の数量にも注意が必要です。形状状態ごとに別部品として登録すると、実際には一つのばねであるにもかかわらず、複数の部品として集計されることがあります。状態違いは表示上の違いであり、調達対象は同じであることを属性や管理ルールで明確にします。

状態別モデルは、連続的な動作表現には向きませんが、確認すべき位置が限定される設計では非常に実用的です。複雑な仕組みを作らずに安定した形状を表示できるため、複数の担当者が同じ3D CADデータを扱う環境でも運用しやすくなります。

方法3:アセンブリの取付距離とばね長さを連動させる

可動部品の移動に合わせてばねを伸縮させたい場合は、アセンブリ内の取付距離とばねの長さを連動させます。固定側と可動側の取付位置間距離を取得し、その値をばねモデルの全長や有効長へ反映する方法です。

圧縮ばねであれば、ばねの両端が接触する座面を基準にします。引張ばねであれば、フックが掛かるピンや穴の中心位置を基準にします。アセンブリ内に基準面、基準軸、基準点などを設け、その間の距離をばね長さへ関連付けます。

可動部品の位置を変更すると、取付距離も変化します。その距離を参照してばねのらせん高さを更新すれば、装置の動きに合わせてばねが圧縮または伸長した状態を表示できます。

この方法は、可動範囲内のさまざまな位置で干渉を確認したい場合に有効です。初期位置と終端位置だけでなく、中間位置でもばねの外径や端部が周辺部品へ接触しないかを確認できます。

ただし、部品形状から直接距離を取得すると、設計変更時に参照が切れる可能性があります。たとえば、取付面を作り直したり、部品構成を変更したりすると、ばねが参照していた面が失われることがあります。

参照切れを防ぐには、変形しやすい形状面ではなく、専用の基準面や骨格となる基準要素を使用します。装置の主要な取付位置を共通基準として定義し、ばねモデルはその距離を参照する構成にすると、周辺部品の細かな形状変更の影響を受けにくくなります。

循環参照にも注意が必要です。ばねの長さが可動部品の位置を決め、同時に可動部品の位置がばねの長さを決める構成にすると、3D CADが計算順序を確定できなくなることがあります。装置の位置を決める寸法を入力側とし、ばねの形状はその結果へ追従する側として設定します。

ばね長さには上限と下限を設定することも重要です。取付距離が小さくなりすぎると、巻き同士が重なった形状になる可能性があります。反対に、引張ばねの距離が大きくなりすぎると、想定した使用範囲を超えた表示になる場合があります。

数式を利用できる場合は、取得した距離が設定範囲内にあるときだけ形状を更新し、範囲外では警告を確認できるようにします。ただし、自動的に限界長さで止める設定では、装置側の取付距離と表示されるばね長さが一致しなくなることがあります。どのような制御を採用しているかを設計者間で共有する必要があります。

アセンブリ連動モデルでは、詳細ならせん形状の再計算が操作性へ影響します。可動部品を少し動かすたびに複雑なスイープ形状が再生成されると、画面操作が重くなることがあります。

その場合は、通常の動作確認では簡略モデルを連動させ、重要な位置だけ詳細モデルへ切り替える方法が適しています。動作中の占有範囲を確認するだけであれば、外径と全長を示す円筒形状でも十分な場合があります。

また、軸方向の長さを連動させただけでは、座屈や横たわみは表現されません。細長い圧縮ばねやガイドのないばねでは、偏心荷重によって横方向へ変形する可能性があります。常に中心軸上で真っすぐ伸縮するモデルは、あくまで理想化した形状であることを理解して使用します。

方法4:簡略モデルと詳細モデルを使い分ける

ばねを詳細ならせん形状として作成すると、線材の巻き数に応じて形状情報が増えます。装置内に多数のばねが使われている場合、すべてを詳細表示するとファイル容量が増え、表示や再計算に時間がかかることがあります。

そこで、設計作業の目的に応じて、簡略モデルと詳細モデルを使い分けます。詳細モデルでは、線径、コイル径、巻き数、ピッチ、端部形状などを再現します。簡略モデルでは、ばねが占有する外径、内側の空間、全長、取付位置などを円筒や筒状の形状で表します。

装置全体のレイアウトや干渉を確認する場合、ばね線材の一本一本を表示する必要はないことがあります。周辺部品と干渉する可能性がある外側の範囲と、軸やガイドが通る内側の範囲を確認できれば、簡略モデルでも目的を果たせます。

圧縮ばねであれば、外径を示す円筒形状と内径側の空間を組み合わせて包絡形状を作ります。引張ばねでは、コイル本体の包絡形状に加えて、端部フックが動く範囲も表現します。

伸縮を表現する場合は、簡略モデルの全長を取付距離と連動させます。らせん形状を再計算する必要がないため、可動部品を動かしたときの応答を軽くしやすくなります。

詳細モデルと簡略モデルは、同じ基準位置で作成することが重要です。中心軸、固定側端面、取付中心などを共通化しておけば、表示を切り替えても部品位置がずれません。基準が異なると、簡略モデルでは正しく配置されていたのに、詳細モデルへ切り替えた瞬間に位置が変わることがあります。

部品表上の扱いも統一します。簡略モデルと詳細モデルは形状表現が異なるだけであり、実際の調達部品が同じであれば、同一の部品として管理する必要があります。表示用モデルが別部品として数量へ追加されないようにします。

図面作成でも簡略表現が役立ちます。詳細ならせん形状をそのまま投影すると、多数の輪郭線や隠れ線が表示され、図面が読みにくくなることがあります。図面の目的に応じて形状を簡略表示し、自由長、外径、線径、巻数、巻方向、端部形状などの必要な仕様を寸法や注記として示します。

ただし、簡略モデルが実物の占有範囲を小さく見せないように注意します。実際のばねには、製造公差、取付誤差、横振れ、動作中の偏りなどがあります。簡略モデルを設計値どおりの形状として使うのか、余裕を含む包絡形状として使うのかを明確にします。

余裕を含むモデルを使用する場合は、詳細モデルより外径や可動範囲が大きくなることがあります。それは誤りではなく、安全側の干渉確認を目的とした表現です。ただし、製造用形状と混同しないように、属性や名称で用途を区別します。

大規模な3D CADアセンブリでは、すべてを詳細に作ることより、必要な確認を快適に行えることが重要です。ばね単体の詳細を確認するときだけ詳細モデルを使用し、通常の装置設計では簡略モデルを使用する運用が、作業効率と確認精度の両立につながります。

方法5:モーション機能や変形解析で挙動を確認する

ばねの伸縮を見た目だけでなく、荷重や力との関係を含めて確認したい場合は、モーション機能や変形解析を利用します。これらは、寸法を変更して形状を作り分ける方法とは目的が異なります。

モーション機能では、二つの部品間にばね要素を設定し、変位に応じて発生する力を計算します。自由長、ばね定数、初期荷重、減衰などの条件を設定し、装置の可動部品がどのように移動するかを確認します。

この方法では、詳細ならせん形状そのものを変形させず、力学的な要素としてばねを扱うことがあります。見た目のばね形状は簡略モデルとして表示し、計算上は取付点間に作用する弾性力として設定します。

たとえば、スライド部品を元の位置へ戻す圧縮ばねであれば、スライドの位置によって反力がどのように変化するかを確認できます。ばね以外に重量、摩擦、ダンパーなどが関係する機構では、それぞれの条件を組み合わせて動作を検討します。

モーション機能は、装置全体の移動量、速度、加速度、反力などを確認する用途に向いています。一方で、ばね線材に発生する局所的な応力や、巻き同士の接触状態を詳細に評価するものではありません。

線材の応力や変形を確認したい場合は、変形解析を検討します。詳細なコイル形状を用い、材料特性、拘束条件、荷重条件などを設定して変形を求めます。

ばねの解析では、変形量が大きくなることや、巻き同士が接触することを考慮しなければならない場合があります。圧縮が進むと一部の巻きが接触し、有効に変形する範囲が変化することもあります。

こうした挙動を扱うには、接触条件や大変形を考慮した設定が必要になることがあります。計算負荷も大きくなりやすく、メッシュの細かさ、接触面の設定、荷重の与え方などによって結果が変わる可能性があります。

詳細な立体形状を使うと計算量が大きすぎる場合は、ばね線材の中心線を利用した簡略解析が選択肢になります。線材の断面情報を与え、らせん状の線要素として扱うことで、立体要素より計算負荷を抑えられる場合があります。

ただし、線要素によるモデルでは、巻き同士の面接触や端部の局所形状をそのまま表現することは難しくなります。解析目的に応じて、どこまで形状を詳細化するかを判断します。

解析で使用する材料特性も慎重に設定します。同じ材料区分であっても、線材の状態、加工、熱処理、使用温度などによって特性が異なることがあります。一般的な材料値だけで結果を断定せず、実際の仕様や試験条件と照合します。

3D CAD上の解析結果は、設定したモデルと条件に対する計算結果です。現物の耐久性や安全性を判断する場合は、設計計算、仕様、製造条件、試験結果なども含めて評価します。

モーション機能と変形解析は、目的に応じて使い分けます。装置全体の動きや反力を確認したい場合はモーション機能が向いています。ばね線材の応力や局所変形を確認したい場合は変形解析が候補になります。

実務では、最初から複雑な解析を行うのではなく、まず仕様値や簡易計算で条件を整理し、モーション機能で機構全体を確認した後、必要な部分だけ詳細解析する流れが効率的です。

ばねの種類ごとに変えるべきモデリング方針

ばね部品の伸縮表現は、ばねの種類によって考え方を変える必要があります。すべてのばねを、らせん高さの変更だけで表現できるわけではありません。

圧縮ばねは、軸方向の長さ変化が中心となるため、らせん高さやピッチを変更する方法が使いやすい種類です。自由長、取付長、最大圧縮時の長さを設定し、片側または両側の端面を基準として伸縮させます。

圧縮ばねでは、密着高さと横方向の変形に注意します。らせん高さを短くするモデルでは、常に真っすぐな形状になりますが、現物では支持条件によって座屈する可能性があります。ガイド軸やガイド穴の有無も含めて、周辺空間を確認します。

引張ばねは、コイル本体が密着した自由状態から伸長することが多く、コイル本体と端部フックを分けてモデル化すると扱いやすくなります。伸長時には有効巻部分のピッチを広げ、フックの取付点を移動させます。

引張ばねには初張力が設定される場合がありますが、見た目の形状だけから初張力を表現することはできません。機構の力を確認する場合は、モーション機能などで初期条件を設定します。

ねじりばねでは、コイル本体の軸方向長さより、腕部の回転角度が重要です。固定側の腕を基準とし、荷重側の腕を中心軸周りに回転させて状態を作ります。

ねじりばねの腕部と周辺部品の接触位置は、角度によって変化します。単純に腕を回転させるだけでなく、接触する面やピンとの位置関係を確認します。コイル本体が軸や支持部へ干渉しないかも重要です。

円すい状や樽状など、径が変化するコイルばねでは、一定径のらせんだけでは形状を表現できません。中心線の径を高さ方向に変化させる必要があります。圧縮時に巻きが内側へ入り込む構造では、巻き同士の位置関係も確認します。

板ばねは、らせん形状ではなく板材の曲げとして扱います。自由状態と変形状態を別形状として作る方法や、解析によってたわみ形状を求める方法が候補になります。

皿状のばね部品などでは、軸方向の変位に伴って円すい角度が変化します。単純に厚さ方向へ縮小するのではなく、形状の回転や接触条件を考慮する必要があります。

ばねの名称だけで方法を決めるのではなく、主要な変形方向、取付方法、確認したい状態を見極めることが大切です。軸方向変位、回転変位、曲げ変位のどれをモデルの主要変数とするかを決めることで、設計変更に対応しやすくなります。

ばねモデリングで起こりやすい失敗

ばねモデリングで起こりやすい失敗の一つは、全長、ピッチ、巻数をすべて独立した寸法として設定することです。これらの値は互いに関係しているため、条件を過剰に指定すると寸法変更時に矛盾が生じます。

対策として、仕様として直接入力する値と、計算で求める値を分けます。全長と巻数を入力する場合はピッチを計算し、ピッチと巻数を入力する場合は全長を計算します。

次に多いのが、端部を含むすべての巻きを同じピッチで作ることです。実際には、端部に密着巻や座巻が存在することがあります。中央部と端部を分けずに伸縮させると、取付面の位置や自由長が仕様と合わない場合があります。

スイープ形状の断面設定も失敗しやすい部分です。線材断面がらせん曲線の始点と正しく交差していなかったり、断面の向きが適切でなかったりすると、形状がねじれたり、再計算に失敗したりします。

ばねの中心軸、らせん始点、断面を作る基準面の関係を明確にし、寸法変更後も安定して交差するように設定します。

圧縮長を短くしすぎ、線材同士が重なることもあります。見た目として圧縮状態を示したい場合でも、自己交差する立体は作成できないことがあります。最小長さを設定し、範囲外の寸法を入力しないようにします。

アセンブリ内の形状面を直接参照しすぎることも、参照切れの原因になります。ばねの取付面に小さな形状変更が加わっただけで、外部参照が失われる可能性があります。

取付位置を示す専用の基準面や基準点を設け、ばねモデルはそれらを参照します。形状変更の影響を受けにくい基準を使うことで、再計算の安定性が高まります。

ばね形状を装置側の位置決めへ利用すると、循環参照が発生することがあります。ばねは可動部品の位置へ追従する表示部品として扱い、装置の位置を決定する基準には使用しない構成が安全です。

詳細なばねを多数配置し、アセンブリが重くなる問題もあります。ばね単体では問題なくても、装置全体では再計算や回転表示に時間がかかることがあります。簡略モデルへの切替をあらかじめ用意します。

データ変換時にパラメータや状態切替が失われる点にも注意します。受け渡し先では、保存時点の固定形状として扱われることがあります。必要な状態を個別に書き出し、自由状態、組付け状態、限界状態などを識別できる名称にします。

モデルの外観だけを見て仕様と一致していると判断することも避けます。巻数の数え方、外径と平均径の違い、全長に端部を含むかどうかなど、仕様上の寸法定義を確認します。

解析結果を実物の性能と同一視することも失敗につながります。解析結果は設定した材料、荷重、拘束、接触などの条件に依存します。前提条件を記録し、必要に応じて試験や設計資料と照合します。

設計変更に強いばねモデルを作る手順

設計変更に強いばねモデルを作るには、形状作成の前に基準となる情報を整理します。まず、ばねの種類、取付方向、固定側、可動側、自由状態、通常使用状態、限界状態を確認します。

次に、モデルの入力値を決めます。圧縮ばねであれば、線径、コイル径、巻数、自由長、端部の巻き数などを整理します。状態によって変わらない値と、伸縮によって変わる値を分けます。

状態によって変わらない線径やコイル径は共通パラメータとして管理します。全長や有効部分のピッチは、伸縮状態に応じて変更する値として設定します。

モデルの中心軸と固定側端面を先に作成し、それらを基準としてらせん形状を配置します。形状面ではなく基準要素を中心に構築すると、寸法変更による参照切れを防ぎやすくなります。

端部形状が中央部と異なる場合は、複数の区間に分けます。中央の有効巻部分、端部の変化部分、密着部分などを分け、それぞれの役割を明確にします。

自由状態の形状を作成したら、圧縮状態と伸長状態を試します。最小長さで線材同士が重ならないか、最大長さでスイープ形状が不安定にならないか、端部の位置が意図どおりに変化するかを確認します。

次に、アセンブリへ配置します。中心軸や端部の基準面を使って拘束し、ばね形状の変更によって拘束先が失われないことを確認します。

取付距離と連動させる場合は、最初から複雑な条件式を作らず、単純な距離参照から始めます。正常に伸縮することを確認した後、上限値、下限値、状態切替などを追加します。

操作が重い場合は、詳細モデルと同じ基準を持つ簡略モデルを作ります。通常作業では簡略モデルを使用し、形状確認が必要な場面だけ詳細モデルを表示します。

設計変更後の確認項目も決めておきます。線径、コイル径、巻数、自由長、取付長、最小長さ、最大長さ、端部位置、部品表属性などを確認します。

モデル内には、形状の用途を示す情報を残します。干渉確認用の近似形状なのか、図面作成用の詳細形状なのか、解析用モデルなのかを区別します。

複数の状態を保存する場合は、各状態がどの装置位置へ対応しているかを記録します。単に圧縮状態とするのではなく、組付け位置、通常運転位置、終端確認位置など、用途が伝わる名称にします。

現場や製造部門へデータを渡す場合は、どの状態を基準としているかを明確にします。自由状態の形状と組付け状態の形状を混同すると、取付距離や必要空間の認識がずれる可能性があります。

3D CAD上で整理した取付位置、可動方向、確認対象箇所は、現場での記録や位置確認にも活用できます。装置全体の基準位置と関連付ける場合は、LRTK Phoneを利用した現場確認へつなげることで、設計データと現地情報を比較しやすくなります。

まとめ

3D CADでばね部品の伸縮を表現する方法には、らせんの高さやピッチをパラメータ化する方法、自由状態と伸縮状態を作り分ける方法、アセンブリの取付距離とばね長さを連動させる方法、簡略モデルと詳細モデルを使い分ける方法、モーション機能や変形解析を利用する方法があります。

らせんのパラメータ化は、自由長やピッチを変更しながら形状を再利用したい場合に向いています。線径、コイル径、巻数などを共通化し、全長やピッチを変更値として整理することで、類似するばねへ展開しやすくなります。

状態を作り分ける方法は、自由状態、組付け状態、最大変位状態など、確認する位置が決まっている場合に有効です。複雑な連動を作らなくても、設計審査や干渉確認に必要な形状を安定して表示できます。

アセンブリとの連動は、可動部品の位置に合わせてばねを伸縮表示したい場合に適しています。ただし、形状面の直接参照、循環参照、範囲外の寸法入力には注意が必要です。

大規模なアセンブリでは、詳細ならせん形状を常時表示する必要があるかを見直します。外径、内径、全長、可動範囲を表す簡略モデルを使用すれば、操作性を保ちながら干渉確認を進められます。

荷重や反力を含む装置の動きを確認する場合はモーション機能を使い、ばね線材の応力や変形を確認する場合は変形解析を検討します。解析結果は設定条件に依存するため、仕様や設計計算、試験結果と組み合わせて評価します。

ばねモデルを安定して運用するには、入力値と計算値を分け、中心軸や取付面などの基準を明確にすることが重要です。中央の有効巻部分と端部を必要に応じて分け、伸縮させる範囲を整理します。

また、3D CAD上の伸縮形状は、必ずしも現実の変形をそのまま再現したものではありません。干渉確認用、説明用、解析用など、モデルの目的を明示し、必要な精度に合わせて使い分けます。

設計したばねの取付位置や装置の可動範囲を、製造、組立、保守の各工程でも共有できれば、3D CADデータを設計部門だけに閉じずに活用できます。装置の基準位置や確認箇所を整理し、LRTK Phoneによる現場確認と組み合わせることで、設計情報と現地の状態を結び付けやすくなります。

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

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