LRTKレフィクシア株式会社

3D CADのコンフィギュレーション管理で派生モデルを整理する5方法

3D CADで派生モデル管理が重要になる理由

3D CADを使った設計では、一つの基本モデルから寸法、穴位置、取付方向、部品構成、材質、用途などを変え、複数の派生モデルを作ることが珍しくありません。同じ装置でも能力違い、サイズ違い、左右違い、設置条件違い、標準仕様と特別仕様などがあり、設計業務が進むほど似たモデルが増えていきます。

派生モデルが数種類しかない段階では、元の3D CADデータを複製して別名保存する方法でも管理できる場合があります。しかし、仕様が増えてくると、どのモデルが基準なのか、どのモデルへ最新の設計変更が反映されているのか、どのファイルを製造や施工へ渡すべきなのかが分かりにくくなります。

例えば、同じブラケットについて幅違いのモデルを5種類作り、それぞれ別ファイルとして保存していたとします。共通する穴位置を変更する必要が生じた場合、5種類すべてを修正しなければなりません。そのうち1種類だけ修正を忘れると、見た目が似ているにもかかわらず内部条件が異なるモデルが残ります。後から担当者が交代した場合、その差が意図された仕様なのか、単なる修正漏れなのかを判断することも難しくなります。

こうした問題への対策として役立つのが、3D CADにおけるコンフィギュレーション管理の考え方です。ここでいうコンフィギュレーションとは、共通する設計情報を維持しながら、寸法やフィーチャー、構成部品、属性などの条件を切り替えて複数の仕様を管理する仕組みを指します。具体的な操作方法や機能名称は利用する3D CAD環境によって異なりますが、基準となる設計と仕様ごとの差分を整理する考え方は、多くの設計業務で応用できます。

ただし、コンフィギュレーションを使えば自動的に派生モデルが整理されるわけではありません。規則を決めずに仕様を追加し続ければ、一つの3D CADモデルの内部に大量のバリエーションが並び、別ファイルで管理する場合とは違った複雑さが生まれます。

重要なのは、何を共通部分として残し、何を派生条件として切り替えるのかを決めることです。また、誰が見ても意味が分かる名称を付け、変更履歴や図面との対応まで含めて管理する必要があります。

特に複数の担当者が同じ3D CADデータを扱う組織では、作成者だけが分かる管理方法を避けることが重要です。数か月後に別の担当者がモデルを開いても、基準仕様、派生仕様、現在使用している仕様、廃止した仕様を判断できる状態を目指します。

ここからは、3D CADのコンフィギュレーション管理で派生モデルを整理するための5つの方法を、実務上の注意点とともに詳しく解説します。

方法1 基準モデルと派生条件を明確に分ける

派生モデル管理の最初のポイントは、基準となるモデルを明確にすることです。基準が曖昧な状態でコンフィギュレーションを増やすと、後から「どの仕様を起点に修正すべきか」が分からなくなります。

例えば、同じフレームに幅1000、1200、1500という3種類がある場合を考えます。設計上の標準が1200であれば、1200を基準として1000と1500を派生仕様として整理する方法があります。一方、実際の設計思想として寸法値そのものに標準と派生の区別がなく、一定のパラメータによって系列化されているのであれば、その系列を基準モデルとして管理する考え方もあります。

重要なのは、単に最初に作成したモデルを基準にするのではなく、その後の設計変更を管理しやすい基準を選ぶことです。

基準モデルを決めたら、次に派生条件を洗い出します。派生条件には、長さ、幅、高さ、板厚、穴径、穴数、穴位置といった寸法条件だけでなく、補強形状の有無、カバーの有無、右向きと左向き、使用部品の種類、取付位置、材質区分なども含まれます。

ここで注意したいのは、見た目が違うという理由だけですべてをコンフィギュレーションとして扱わないことです。同じ設計思想を持つモデルかどうかを判断する必要があります。

例えば、長さだけが違い、そのほかの構造や製造方法が共通している部品であれば、一つの3D CADモデル内で寸法を切り替える管理が適している可能性があります。反対に、外形が似ていても内部構造や製造工程が大きく違い、今後も別々の設計変更が続くのであれば、別モデルとして管理したほうが分かりやすい場合があります。

基準モデルを決める際には、将来の変更も想定します。共通形状を修正したときに全仕様へ反映したいのか、それとも仕様ごとに独立して変更したいのかという点です。

例えば、共通する取付穴の位置変更を全仕様へ適用したいのであれば、基準側の共通フィーチャーとして管理するメリットがあります。一方、板厚が仕様ごとに個別設計される場合には、板厚を派生条件として明示的に管理する必要があります。

この整理がないと、ある担当者は共通条件だと思って編集し、別の担当者は仕様固有条件だと思って編集するという食い違いが起こります。

また、基準モデルには分かりやすい名称を設定します。「標準」「基準」といった言葉を用いる場合でも、その意味を社内で統一しておくことが大切です。「標準」が最も多く出荷する仕様を意味するのか、設計上の基準値を持つ仕様を意味するのかによって解釈が変わるためです。

基準と派生条件を整理すると、新しい仕様が必要になった際にも判断しやすくなります。既存の派生条件だけで表現できるのであれば、新しいコンフィギュレーションとして追加できます。一方、設計思想そのものが変わる場合には、別モデルへ分離する判断ができます。

3D CADのコンフィギュレーション管理では、派生モデルをたくさん作ることより、基準と差分の関係を分かりやすく維持することが重要です。

方法2 コンフィギュレーションの命名規則を統一する

派生モデルが増えると、名称の付け方が管理性を大きく左右します。数個しかない段階では「標準」「大型」「特別」といった名称でも区別できますが、仕様が増えるにつれて意味が曖昧になります。

特に避けたいのが、「変更」「改」「最新版」「最終」「最終2」といった一時的な意味しか持たない名称です。作成時には理解できても、時間が経過すると何と比較して変更されたのか分からなくなります。「最新版」という名前も、次の設計変更が発生した瞬間に最新版ではなくなります。

コンフィギュレーションの名称には、その仕様を識別するために必要な情報を一定の規則で入れます。

例えば、主要寸法、取付方向、用途区分が派生条件なら、それらを決まった順番で表現します。ある人は「右・1200・標準」、別の人は「標準・1200・R」と書くような状態では、一覧で並べたときに整理しにくくなります。

名称へ含める要素だけでなく、その並び順も決めることが大切です。

寸法を名称へ含める場合には、何の寸法か分かるようにする必要があります。単に「1200」と付けても、それが全長なのか幅なのか高さなのか、新しい担当者には判断できないことがあります。複数寸法を扱う場合には、長さ、幅、高さなどの順序を社内で決めておくと理解しやすくなります。

ただし、すべての設計情報を名称へ詰め込む必要はありません。名称が長くなりすぎると一覧性が悪くなり、かえって目的の仕様を探しにくくなります。名称には仕様識別に必要な主要条件を入れ、詳細情報は属性として管理する方法が適しています。

例えば、材質、表面処理、管理番号、備考などまで長い名称へ含めると、人によって順序や略称が変わりやすくなります。検索や絞り込みに使いたい情報は属性項目として整理し、名称は主要仕様を素早く判断できる長さに抑えると扱いやすくなります。

また、担当者名を名称に入れる方法も長期管理には適しにくいものです。「A担当者用」「B担当者変更」といった名称では、人員が変わった後に仕様の意味が分かりません。担当者や作成者は履歴情報として記録し、仕様名称とは分離します。

作業状態についても同様です。「確認用」「作業中」といった表現を正式なコンフィギュレーション名へ組み込むと、その状態が終了した後も名称だけ残る可能性があります。作業状態や承認状態は、可能であれば名称とは別に管理します。

命名規則を作る際は、部品単体、アセンブリ、図面で用語をできるだけ揃えることも重要です。3D CADの部品モデルでは「RH」、アセンブリでは「右」、図面では「右側仕様」と異なる表現を使うと、同じ仕様を示しているのかを毎回確認しなければなりません。

検索性も考慮します。数十、数百の派生モデルを扱うようになると、一覧を目視して目的の仕様を探すだけでは効率が下がります。規則的な名称であれば、主要寸法や仕様区分などで検索しやすくなります。

命名規則は3D CADの高度な機能ではありませんが、長期間の派生モデル管理では大きな効果があります。誰が追加しても同じ規則になる状態を作ることで、担当者が変わっても理解しやすい設計データを維持できます。

方法3 形状差分と属性差分を分けて管理する

派生仕様を整理するときには、形状そのものが変わる条件と、形状は変わらないものの管理情報が変わる条件を分けて考えます。

例えば、同じ外形形状でも材質だけが違う部品があります。また、形状は同一でも表面処理、調達区分、管理番号、用途、製造上の注記などが異なる場合があります。

これらをすべて形状違いと同じ考え方でコンフィギュレーション化すると、見た目がまったく同じ派生モデルが大量に並ぶ可能性があります。一覧から目的の仕様を選択したとき、何が違うのか3D形状だけでは確認できません。

そこで、まず形状差分と属性差分を分けます。

寸法、穴、切欠き、板厚、曲げ形状、補強部、部品位置など、3Dモデルの形が変わるものは形状差分として考えられます。一方、材質区分、名称、管理番号、処理区分、説明情報などは、形状が変わらない属性差分になる場合があります。

もちろん、どの情報をどのように管理するかは企業や設計対象によって異なります。重要なのは、差分の種類を意識せずにコンフィギュレーションを増やさないことです。

形状差分と属性差分を分けることで、コンフィギュレーションを切り替えた際に「どの形状が変化するのか」を理解しやすくなります。これは設計変更の確認にも役立ちます。

例えば、共通穴位置を変更した場合、その穴が全コンフィギュレーションに共通するのか、特定仕様だけ異なるのかを判断できます。形状差分の考え方が整理されていれば、変更がどこへ反映されるべきか検討しやすくなります。

一方で、属性差分を軽視してはいけません。材質や処理条件などは3D画面で見分けにくいにもかかわらず、製造や調達に大きな影響を与えます。見た目が同じだから同じ部品だと判断すると、誤った材料や工程で製作される可能性があります。

そのため、形状が同じ場合でも製造上別部品として扱う必要があるのであれば、その区別が明確に伝わる管理方法を採用します。

さらに注意したいのが、同じ情報を複数の場所へ重複入力することです。例えば、全長寸法を3D CADモデルの寸法として管理しながら、コンフィギュレーション名にも数値を手入力し、さらに説明欄にも同じ寸法を書いているとします。

後から全長を変更した際に、モデル寸法だけ更新され、名称や説明欄が旧寸法のまま残る可能性があります。すると、モデルを開いた担当者がどの情報を正しい値として判断すればよいのか分からなくなります。

必要な情報を表示することは重要ですが、同じ値を手作業で何度も入力する運用はできるだけ避けます。3D CAD環境で利用できる参照機能や属性連携を確認し、一つの情報を複数箇所で利用する場合でも整合を取りやすい構造にすることが望まれます。

形状差分と属性差分を分けることは、派生モデルを整理するだけでなく、設計変更時の確認範囲を明確にするためにも有効です。

方法4 共通部品と個別部品の境界を整理する

アセンブリを扱う3D CADでは、単体部品よりも派生モデル管理が複雑になります。仕様によって部品の有無、数量、配置、種類などが変わるためです。

例えば、標準仕様では補強材が1個、大型仕様では補強材が2個必要になるとします。また、取付方向が変わる仕様では右側用部品と左側用部品を入れ替える場合があります。

このとき、仕様ごとにアセンブリ全体を複製してしまうと、共通部品まで別管理になりやすくなります。共通部品を修正した際に、複数のアセンブリへ反映できているかを個別に確認しなければなりません。

一方、すべてを無理に一つのアセンブリへまとめると、条件分岐が増え、どの仕様でどの部品を使うのか分かりにくくなる場合があります。

そこで重要なのが、共通部品と個別部品の境界を明確にすることです。

共通部品とは、複数の派生仕様で同一のものとして使用できる部品です。形状だけでなく、管理上も同じ部品として扱えることを確認します。同じ図面や製造条件で作られ、必要に応じて相互に使用できるのであれば、共通部品として扱いやすくなります。

反対に、見た目が似ていても加工条件や材質、管理番号などが異なり、製造上別部品として扱うものは安易に共通化しないほうが安全です。

つまり、3D CAD上で形状が似ていることと、設計管理上同じ部品であることは必ずしも一致しません。

部品の有無をコンフィギュレーションで切り替える場合にも注意が必要です。画面上で部品を見えなくする操作と、その仕様に構成部品として存在しない状態を定義することは同じとは限りません。利用している3D CAD環境で、表示状態、構成状態、部品表への反映がどのように扱われるかを確認する必要があります。

例えば、見た目では補強部品が消えていても、部品表には残っている状態では、調達や製造へ誤った数量が伝わる可能性があります。

また、派生仕様ごとに部品を入れ替える場合には、位置決めの参照関係にも注意します。ある仕様の特定面だけを基準として拘束していると、その部品を別形状へ切り替えた際に参照先がなくなり、アセンブリを正しく再生成できない場合があります。

そのため、仕様間で共通する基準面、基準軸、基準位置などを利用して位置関係を構築できるか検討します。細かなエッジや仕様固有の面への依存を減らすことで、派生仕様を切り替えた際の安定性を高めやすくなります。

アセンブリの派生管理では、まず標準構成を決め、その標準に対して何を追加し、何を削除し、何を置換するのかという差分で考えると整理しやすくなります。

この構造が明確であれば、新しい派生仕様が追加された際にも、既存の共通部分を利用しながら必要な差分だけを追加できます。

さらに、コンフィギュレーションを切り替えた後には、部品構成だけでなく干渉や可動範囲、工具スペース、保守交換スペースなども確認します。標準仕様では問題のない構成でも、別寸法の部品へ切り替えることで隣接部品と干渉する可能性があります。

共通部品と個別部品を適切に分けることは、3D CADモデルを再利用しながら、派生仕様ごとの設計意図を維持するための基本になります。

方法5 変更履歴と承認状態を派生モデルに結び付ける

派生モデルが増えると、形状そのものだけではなく、その仕様がどのような経緯で作られたのかを把握する必要があります。

例えば、あるコンフィギュレーションだけ穴位置が異なっていた場合、それが顧客条件や施工条件に合わせた意図的な変更なのか、それとも過去のモデルから更新されていないだけなのかを形状だけで判断することは困難です。

この違いを判断するためには、変更履歴や承認状態を派生モデルと結び付けます。

設計変更では、「いつ」「誰が」という情報だけでなく、「なぜ変更したのか」を残すことが重要です。例えば、干渉を回避するため、設置条件が変更されたため、共通部品を変更したため、製造方法を見直したためなど、変更理由が分かれば、後からその差分を維持すべきか判断しやすくなります。

変更理由がなく「穴位置変更」とだけ記録されている場合、数年後にモデルを確認した担当者は、その穴位置が現在も必要なのか判断できない可能性があります。

さらに、変更がどの派生仕様へ適用されたのかも記録します。

例えば、基準モデルの板厚を変更したとしても、すべての派生仕様へ同じ変更を適用するとは限りません。ある仕様では荷重条件が異なるため従来の板厚を維持することも考えられます。

この場合、「一部だけ古い板厚が残っている」のではなく、「設計条件により意図的に異なる板厚を使用している」ことが分かるようにします。

承認状態の管理も重要です。3D CAD内に正式仕様と検討中仕様が混在すると、検討途中のコンフィギュレーションを製造や施工へ使用してしまう可能性があります。

単に名称へ「仮」「確認中」と入れる方法では、承認後に名称変更を忘れることがあります。可能であれば、設計管理上の状態を名称とは別に記録し、正式使用可能な仕様を明確にします。

また、不要になったコンフィギュレーションを削除するか保存するかもルール化します。過去に実際の製造や施工で使用した仕様であれば、履歴確認のために残す必要がある場合があります。ただし、現行仕様と同じ一覧に無条件で残すと選択ミスが起こりやすくなります。

過去仕様を残す場合には、現行、廃止、参考などの状態を識別できるようにします。

設計変更を行った後には、対象となるコンフィギュレーションを実際に切り替えて、モデルが正しく再生成されるか確認することも大切です。

普段使用している代表仕様だけを確認して終了すると、使用頻度の低い派生仕様にエラーや古い条件が残ることがあります。特に共通フィーチャーや基準条件を変更した場合は、その変更が他仕様に与える影響を確認します。

変更履歴と承認状態を整理することで、コンフィギュレーションは単なる形状切替ではなく、設計判断を残すための管理単位として活用しやすくなります。

コンフィギュレーションを増やしすぎないための判断基準

派生モデルを整理する目的でコンフィギュレーションを使っていても、追加を続ければ管理対象は増えていきます。そのため、「一つの3D CADモデルへどこまでまとめるか」という判断が必要です。

コンフィギュレーション数に一律の適正値があるわけではありません。10種類でも管理が複雑になるモデルがあれば、多数の寸法系列を規則的に管理できるモデルもあります。

判断の基準になるのは、派生仕様どうしが同じ設計思想と共通構造を持っているかです。

例えば、長さだけが一定間隔で変化し、そのほかの設計条件が共通している部品であれば、一つのモデルで管理しやすいと考えられます。反対に、ある仕様だけ内部構造や製造方法が大きく異なり、今後も独立した変更が予想されるのであれば、別モデルとして分けたほうが理解しやすい場合があります。

コンフィギュレーションを追加する前に、「既存仕様との差は何か」を説明できるか確認すると有効です。

「幅だけが違う」「右側と左側が違う」「補強部品の有無だけが違う」のように明確に説明できれば、既存モデル内の派生として管理しやすいと判断できます。

一方、「基本的には同じだが細かい部分が多数違う」という状態では、すでに共通化の利点が小さくなっている可能性があります。

また、設計変更時の確認負荷も判断材料になります。コンフィギュレーションが増えすぎると、共通部分を変更するたびに多数の仕様を再確認する必要があります。管理を一つにまとめたことで、逆に確認作業が増えるのであれば、分割を検討する余地があります。

新しい仕様が発生するたびに追加するのではなく、既存のコンフィギュレーションで表現できない理由を確認する習慣を持つことが、増えすぎを防ぐポイントです。

アセンブリと部品のコンフィギュレーションを整合させる

アセンブリに派生仕様を設定している場合、構成部品側のコンフィギュレーションとの対応にも注意が必要です。

例えば、アセンブリに小型、中型、大型という仕様があり、構成部品にも寸法違いがあるとします。大型アセンブリを選んでいるにもかかわらず、内部部品の一つだけ中型用の仕様を参照していれば、設計上の不整合が発生します。

形状差が大きければ見た目で発見できますが、穴位置や長さがわずかに異なるだけの場合には、画面上ですぐに気付けないことがあります。

そこで、アセンブリの各コンフィギュレーションと、そのとき使用する部品仕様の対応関係を明確にします。

アセンブリ側の仕様を切り替えたら、外観だけを見るのではなく、主要部品がどのコンフィギュレーションを参照しているか確認することが重要です。

名称についても、対応関係が理解しやすい規則を設定します。ただし、すべての部品へアセンブリと同じ名称を付ければよいとは限りません。ある部品では小型と中型が共通で、大型だけ別仕様になるなど、部品ごとの派生パターンが異なる場合があるためです。

重要なのは名称を機械的に一致させることではなく、どのアセンブリ仕様がどの部品仕様を使うのか明確にすることです。

新しいアセンブリ仕様を追加するときには、必要な部品コンフィギュレーションも同時に確認します。アセンブリだけ先に追加し、後から必要な部品を探す運用では、既存仕様を流用したまま修正を忘れる可能性があります。

アセンブリと部品を一体として考え、仕様追加時の確認項目を標準化すると管理しやすくなります。

図面や部品表との不整合を防ぐ

3D CADのコンフィギュレーションが正しく整理されていても、図面や部品表などの成果物が異なる仕様を参照していれば、製造や施工へ誤った情報が渡る可能性があります。

そのため、3Dモデルのコンフィギュレーション管理と図面管理を切り離して考えないことが重要です。

図面を作成するときには、どのコンフィギュレーションを参照しているかを明確にします。標準仕様の図面なのか、特定寸法の派生仕様なのかが分からなければ、図面だけを見た担当者が誤認する可能性があります。

複数の仕様を一つの図面へまとめる場合には、それぞれの条件を明確に区別できる表現が必要です。一方、仕様ごとに図面を分ける場合には、3D CADモデル側のコンフィギュレーションと図面の対応を管理します。

寸法値や注記の手入力にも注意が必要です。

3Dモデルから参照している寸法であればモデル変更に合わせて更新できる場合がありますが、文字として直接入力した数値は自動で変わらないことがあります。モデル上では全長が変更されているにもかかわらず、図面注記だけ旧値が残れば不整合になります。

どの情報がモデルと連動し、どの情報が手入力なのかを把握しておく必要があります。

部品表についても同様です。アセンブリの仕様ごとに構成部品や数量が違うのであれば、その差が部品表へ正しく反映されているか確認します。

例えば、あるコンフィギュレーションでは補強部品を2個使用するのに、別仕様を参照した部品表では1個と表示されていれば、調達や製造で不足が生じる可能性があります。

設計レビュー時には3D形状だけを見るのではなく、コンフィギュレーションごとの図面、部品表、主要属性まで一連の成果物として確認すると、仕様間の不整合を見つけやすくなります。

派生モデル管理を標準化するときの進め方

これまで個々の設計者が独自の方法で派生モデルを作ってきた組織では、いきなりすべての3D CADデータを整理し直すのは現実的ではありません。

まず、派生仕様が多く、変更頻度も高い代表的な部品やアセンブリを選び、現在どのような管理上の問題が発生しているかを確認します。

例えば、同じモデルの複製が大量にある、どれが最新か分からない、変更反映漏れが多い、図面と3Dモデルが一致しない、担当者によって命名方法が違うといった問題です。

そのうえで、基準モデルの考え方、命名規則、コンフィギュレーションを作る条件、別モデルへ分ける条件などを決めます。

最初から非常に細かな規則を作る必要はありません。複雑すぎる規則は現場で守られなくなる可能性があります。設計者が日常的に判断できる程度の明確なルールから始め、運用しながら改善するほうが定着しやすくなります。

また、ルールを文章として残すだけでなく、実際の3D CADモデルを使った標準例を用意すると理解しやすくなります。

どのモデルを基準にして、どのパラメータを派生条件とし、どのような名前を付けるのかという具体例があれば、新しい担当者も同じ方法を採用しやすくなります。

定期的な整理も必要です。設計業務を続けていると、一時的な検討仕様や廃止モデルが増えていきます。正式仕様と検討中仕様が長期間混在しないように、節目で状態を確認します。

また、コンフィギュレーションの増加によってモデルが複雑になりすぎていないかも見直します。最初は同じ系列だったモデルでも、長期間の設計変更によって共通部分が少なくなることがあります。その場合には、別モデルへ分離するほうが合理的になる可能性があります。

3D CADの派生モデル管理は、一度ルールを作れば終わりではありません。製品構成や設計工程の変化に応じて管理方法を見直し、設計者が迷わず扱える状態を維持することが重要です。

3D CADの派生モデルと現場情報をつなげる

3D CADで整理したコンフィギュレーションは、設計室内だけで利用する情報とは限りません。設備や構造物が現場へ設置された後には、「どこに、どの派生仕様が使われているか」を確認できることが重要になる場合があります。

例えば、同じ外観の設備が複数地点へ設置されていて、内部部品や取付方向だけが異なるケースを考えます。

3D CAD上では各仕様を正しく管理していても、現場側でどの設備にどの仕様を採用したか記録されていなければ、保守や改修の際に現地確認から始めなければならない可能性があります。

そこで、設計側の仕様情報と、設置位置、施工日時、現場写真などを対応させる考え方が重要になります。

例えば、設置した設備について対象番号、位置、施工日時、採用仕様などを記録し、写真と合わせて管理できれば、後から3D CADモデルとの照合を行いやすくなります。

設計変更が発生した場合も、対象仕様が現場のどこで使われているか把握できれば、確認対象を絞りやすくなります。

反対に、設計側では派生モデルが整理されていても、現場との対応が分からなければ、同じ名称の設備を一台ずつ確認する必要が生じることがあります。

現場記録を行う際には、写真だけでなく位置情報を合わせて管理することも有効です。似た設備が並ぶ現場では、写真だけを後から見ても対象位置を特定しにくい場合があります。位置と写真を関連付けることで、どの設備の記録なのかを確認しやすくなります。

こうした設計情報と現場情報のつながりを考える場合には、LRTK Phoneを活用して位置情報と現場記録を整理する方法も選択肢になります。3D CAD上で管理した派生仕様と、実際の設置位置や現場写真を対応させる運用を整えれば、施工後の確認や維持管理でも設計データを活用しやすくなります。

3D CADのコンフィギュレーション管理をファイル内部だけの整理で終わらせず、実際に設置された対象物との対応まで意識することで、設計から施工、保守まで情報をつなげやすくなります。

まとめ

3D CADのコンフィギュレーション管理は、似たモデルを一つのデータへまとめることだけが目的ではありません。基準モデルと派生仕様の関係を明確にし、設計変更が発生しても各仕様の違いを正しく維持するための管理方法です。

まず重要なのは、基準モデルと派生条件を明確に分けることです。どの設計情報が共通で、どの寸法や構成が仕様ごとに変わるのかを整理すれば、新しい派生モデルを追加するときにも判断しやすくなります。

次に、コンフィギュレーションの命名規則を統一します。「最新版」「最終」といった時間とともに意味が変わる名称を避け、主要寸法や仕様区分など、派生モデルの違いを識別できる情報を一定の順序で表現します。

さらに、形状差分と属性差分を分けて管理することも重要です。3D形状が同一でも材質や処理条件が違う場合があり、逆に同じ系列でも形状条件だけが異なる場合があります。差分の種類を整理することで、不必要なコンフィギュレーションの増加を防ぎやすくなります。

アセンブリでは、共通部品と個別部品の境界を明確にし、部品側とアセンブリ側のコンフィギュレーションを整合させます。画面上の見た目だけではなく、部品表や構成情報まで正しく切り替わっているか確認することが欠かせません。

また、変更履歴や承認状態を派生仕様と結び付けることで、「なぜこのモデルだけ違うのか」を後から判断できます。意図的な設計差と単なる更新漏れを区別できることは、長期的な3D CADデータの再利用において重要です。

コンフィギュレーションを使う際は、すべてを一つのモデルへまとめることを目標にしないほうがよいでしょう。共通構造が多く、規則的に変化する仕様は一つにまとめやすい一方、設計思想や製造方法が大きく異なる仕様は別モデルとして管理したほうが分かりやすい場合があります。

目指すべきなのは、モデル数を最少にすることではなく、必要な仕様を迷わず選択でき、どの部分が共通でどの部分が異なるのかを説明できる状態です。

さらに、3D CAD上の派生モデルと実際の設備や構造物を対応させる必要がある現場では、設置位置、施工時の写真、対象番号などを合わせて管理することも重要になります。設計段階で整理した仕様情報と現地の記録をつなげることで、施工後の確認や保守でも3D CADデータを生かしやすくなります。

派生モデルを整理するだけでなく、現場で「どこに、どの仕様があるか」まで確認できる情報管理へ広げたい場合には、LRTK Phoneを活用し、位置情報や現場記録と3D CADの設計情報を結び付ける運用を検討できます。

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

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