LRTKレフィクシア株式会社

3D CADデータ共有時に機密形状を隠す5つの簡略化手法

3D CADデータを取引先、協力会社、加工会社、施工会社などへ共有するとき、必要以上の設計情報まで相手に渡してしまうことがあります。相手が必要としているのは外形寸法や取付位置だけなのに、内部構造、肉厚、補強形状、加工ノウハウにつながる細部まで含んだ3D CADデータをそのまま送れば、意図しない情報開示につながりかねません。

一方で、機密情報を守ろうとして形状を削りすぎると、干渉確認、レイアウト検討、加工検討、施工計画など、本来データを共有する目的を果たせなくなります。そのため3D CADデータの共有では、「すべて渡す」か「何も渡さない」かではなく、相手の作業に必要な情報だけを残す考え方が重要です。

そこで有効なのが、元の3D CADモデルを共有用途に合わせて簡略化する方法です。内部部品を削除したり、細かな形状を単純化したり、複数部品を一体化したりすることで、利用価値を残しながら機密性の高い情報を減らせます。

この記事では、3D CADデータ共有時に機密形状を隠すための5つの簡略化手法を、実務で判断しやすい形で解説します。単純にデータ容量を小さくするのではなく、「共有先に何を見せ、何を見せないか」という情報管理の視点から整理していきます。

3D CADデータ共有で機密形状を隠す必要がある理由

3D CADデータには、完成品の外観だけでなく、設計者がどのように製品や設備を成立させているかという情報が含まれています。内部部品の配置、補強方法、接合方法、板厚の変化、逃げ形状、穴配置、曲面形状などは、設計ノウハウそのものになる場合があります。

図面であれば、共有するビューや寸法を限定することで情報量をある程度制御できます。しかし3D CADデータは、受け取った側が自由に回転、断面表示、計測、部品選択などを行えるため、表面的には見えていない情報まで確認できることがあります。

たとえば装置全体のレイアウト確認を依頼するだけであれば、相手が知る必要があるのは設置スペース、取付位置、周囲との干渉範囲などです。それにもかかわらず、内部機構を含む詳細な3D CADモデルを共有すると、目的に対して過剰な情報を渡すことになります。

同じことは製品設計でも起こります。周辺部品を設計してもらうために製品の3D CADデータを渡す場合、必要なのは外形、接続面、取付穴、可動範囲などであり、製品内部の構造まで必要とは限りません。

また、3D CADデータの機密性を考えるときは、単に「形状が見えるか」だけで判断しないことが大切です。構成部品の分け方や名称、基準位置、履歴情報などから設計意図を推測できる場合もあります。

そのため、外部共有用データを作成するときは、共有目的を先に定義する必要があります。「干渉確認のため」「据付検討のため」「周辺設計のため」「加工可否確認のため」など、利用目的によって残すべき形状は変わります。

3D CADの簡略化は、元データを軽くするためだけの作業ではありません。共有範囲を制御し、必要最小限の設計情報だけを渡すための情報管理手段として考えることが重要です。

手法1 内部部品を削除して外形だけを残す

最も基本的な簡略化手法は、共有目的に不要な内部部品を削除し、外部から必要となる形状だけを残す方法です。

装置やユニットのレイアウト検討では、内部に何が配置されているかよりも、外形寸法、設置面、接続位置、メンテナンススペースなどが重要になるケースがあります。この場合、内部の歯車、軸、基板、配管、補強部品、締結部品などを残したまま共有する必要はありません。

内部部品を削除すると、機密保護だけでなく、データ容量や表示負荷を抑えられる可能性があります。多数の細かな部品から構成された3D CADモデルは、共有先の環境によっては読み込みや回転表示に時間がかかります。外形中心のモデルに整理することで、相手側が扱いやすくなる点も利点です。

ただし、単純に内部部品を非表示にするだけでは十分とは限りません。3D CAD上で非表示にした部品がデータそのものには残っている場合、受け取った側で再表示できる可能性があります。機密情報を隠す目的であれば、「画面上で見えない状態」と「共有ファイルに含まれていない状態」を区別する必要があります。

したがって、元の設計データを直接編集するのではなく、外部共有用のコピーを作成し、そのコピーから不要な部品を除外する方法が安全です。元モデルを残しておけば、設計変更への追従や再作成も行いやすくなります。

内部部品を削除するときは、相手が必要とするインターフェース形状まで消さないことも重要です。たとえば配管接続位置、ケーブル取出口、ボルト固定位置、基準面などは、内部構造とは別に残す必要がある場合があります。

また、可動部を含む機械では、静止状態の外形だけでは不十分なことがあります。アーム、扉、カバーなどの可動範囲が相手の設計に影響する場合は、内部構造を削除しながら、最大可動範囲を示す単純な形状を残す方法が考えられます。

つまり、内部部品削除のポイントは、何でも消すことではありません。相手が設計や確認に使うための「外部との関係」を残しながら、その関係を成立させている内部の仕組みを除外することにあります。

共有目的が外形確認中心であれば、この方法だけでも機密情報の量を大きく減らせます。

手法2 穴や溝などの細部形状を単純化する

3D CADモデルから内部部品を削除しても、外表面に残った細かな形状から設計ノウハウが読み取られる場合があります。そこで次に検討したいのが、穴、溝、面取り、フィレット、ねじ形状、細かな段差などを単純化する方法です。

設計者にとっては一つひとつに意味のある形状でも、共有先の作業には必要ないことがあります。たとえば工場レイアウト用に装置外形を提供するのであれば、カバー表面にある小さな穴や細かな加工形状まで再現する必要性は低いでしょう。

特に穴の位置や数は、内部部品の配置を推測する材料になる場合があります。外観上は小さな穴でも、それが軸受、センサー、配管、基板固定、調整機構などの配置と対応している可能性があります。共有目的に不要であれば、穴を閉じた形状へ変更することが有効です。

溝やポケットについても同様です。外部共有先が確認したいのが大まかな占有空間であれば、細かな凹凸を平面へ置き換えても目的を満たせる可能性があります。

フィレットや面取りなどは機密保護だけでなく、データ軽量化の観点から省略されることがあります。ただし、外形寸法や干渉判定に影響するほど大きな形状は、むやみに削除すべきではありません。

簡略化するときには、その形状が共有先の判断に影響するかを確認します。たとえば近接部品との隙間が数mm程度しかない場所では、小さな突起や段差であっても干渉結果を変えることがあります。このような部分を単純化すると、共有先が「干渉しない」と誤認する可能性があります。

逆に、大きな空間に設置される装置の外装面にある微細な凹凸であれば、単純化してもレイアウト検討への影響は限定的です。

この判断を行うときは、「機密度」と「設計上の必要性」を分けて考えると整理しやすくなります。機密度が高く、共有目的への影響が小さい形状は削除候補になります。一方、機密度が高くても共有先の設計条件を決める形状であれば、完全に消すのではなく、より単純な代替形状へ置き換える方法が適しています。

たとえば複雑なコネクタ周辺形状をそのまま渡すのではなく、接続に必要な占有空間や接続面だけを単純な突起として残す方法があります。これなら、相手は接続位置や干渉範囲を確認できますが、詳細な構造までは把握しにくくなります。

3D CADの簡略化では「削除」と「置換」を使い分けることが重要です。必要な機能情報まで失わないようにしながら、設計ノウハウにつながる細部を減らしていきます。

手法3 複数部品を一体化して内部構成を見えにくくする

アセンブリ構造を持つ3D CADデータでは、部品単位の構成そのものが機密情報になることがあります。その場合は、複数の部品を一つの形状として扱える状態に変換し、内部構成を見えにくくする方法が有効です。

詳細なアセンブリをそのまま共有すると、受け取った側が部品ごとに選択できる場合があります。部品を個別に移動したり、非表示にしたり、断面を確認したりできれば、外観だけでは分からなかった構造まで確認される可能性があります。

さらに、部品数や分割位置から製造方法を推測される可能性もあります。どこを一体成形し、どこを別部品として組み付けているのかは、コスト、保守性、組立方法などに関わる設計情報です。

そこで、共有用データでは複数部品を一体化し、単一の外形として扱える状態にします。

たとえば十数点の部品で構成されているユニットであっても、共有先に必要なのが外形と取付位置だけなら、一体形状に変換することで部品構成を意識させにくくできます。

ただし、一体化すれば必ず機密情報を隠せるわけではありません。内部の空洞や境界形状がそのまま残っていれば、断面表示によって内部構造が見える可能性があります。一体化は部品ツリーを単純化する効果がありますが、内部形状の削除とは別の処理として考える必要があります。

そのため、実務では内部部品削除と一体化を組み合わせる方法が有効です。まず共有目的に不要な内部部品を取り除き、そのうえで残った外装部品や必要形状を一つにまとめます。

一体化するときには、部品間の小さな隙間や重なりにも注意が必要です。元モデルでは複数部品だから問題にならなかった境界が、一体形状化によって不要な凹凸として残る場合があります。その凹凸から部品分割を推測される可能性があるため、必要に応じて面を整理します。

また、共有先が部品単位の情報を必要としている場合には、すべてを一体化すると作業性を下げることがあります。たとえば装置本体と交換対象ユニットだけは別々に配置したい場合、一体化しすぎると相手が必要な検討を行えません。

この場合は、機密性の高い部分だけを一体化し、共有に必要な大分類だけを残す方法があります。「本体」「可動部」「交換部」「接続部」などの単位に整理すれば、詳細な部品構成を隠しながら、相手が必要とする配置検討を行いやすくなります。

一体化の目的は、単純に部品数を減らすことではありません。共有先が取得できる構成情報の粒度を意図的に調整することです。

3D CADデータの機密管理では、形状だけでなく「どのような部品構成で成立しているか」も保護対象として捉えることが重要です。

手法4 外形を包絡形状へ置き換える

機密性が特に高い3D CADデータを共有する場合は、実際の外形をそのまま残すのではなく、対象物全体を包む単純な形状へ置き換える方法があります。

たとえば複雑な機械ユニットを直方体や円柱などの単純な形状で表現し、必要な取付位置や接続位置だけを追加します。これにより、詳細な製品形状を見せずに、占有空間や配置条件を共有できます。

この方法は、工場設備のレイアウト検討、建築物との干渉確認、搬入経路の検討など、対象物の内部設計より「どの範囲を占有するか」が重要な場面に適しています。

包絡形状へ置き換える最大の利点は、元の設計形状をほとんど残さずに済むことです。内部部品を削除しただけのモデルでは、外装形状から製品の特徴を読み取れる場合があります。一方、単純な箱形状などに置き換えれば、そのリスクをさらに減らせます。

ただし、包絡形状を大きくしすぎると、干渉確認で必要以上に厳しい結果になります。逆に小さく作れば、実際には干渉する場所を見落とす危険があります。そのため、包絡形状は共有目的に応じて設定する必要があります。

レイアウト確認が目的であれば、製品の最大外形を覆うように作成する方法が基本になります。可動部がある場合は、静止時の形状だけではなく、動作中に通過する空間まで含めて包絡することも検討します。

たとえば扉を開いたときの範囲、アームが旋回する範囲、部品交換時に引き抜く範囲などです。これらを単純な空間形状として示せば、内部機構を公開せずに必要なクリアランスを伝えられます。

保守作業用のスペースも同様です。装置の実形状だけを共有すると、共有先が装置周辺へ別設備を近づけすぎる可能性があります。そこで、保守時に確保すべき空間を別の単純形状として含めることで、詳細構造を公開しなくても必要条件を伝えやすくなります。

また、包絡形状には用途別の考え方があります。外形干渉確認用であれば最大外形が重要ですが、重量物の搬送経路検討では重心位置や吊り上げ位置などが重要になる場合があります。相手が何を判断するために3D CADデータを必要としているのかを確認し、それに必要な情報だけを追加します。

この考え方を徹底すると、元の3D CADモデルと共有データがまったく異なる形状になる場合があります。それでも、共有目的を満たしているのであれば問題ありません。

外部共有用3D CADデータは、元設計を忠実に再現することが目的ではありません。共有先が必要な判断を正しく行える最小限の情報モデルとして作ることが重要です。

手法5 共有専用モデルを別管理する

3D CADデータの機密対策を安定して運用するためには、共有のたびに元モデルから不要形状を削除するのではなく、共有専用モデルを用意して別管理する方法が有効です。

外部共有の頻度が低い場合は、その都度簡略化しても対応できるかもしれません。しかし複数の協力会社へ継続的に3D CADデータを提供する業務では、毎回手作業で簡略化すると判断のばらつきが生じます。

担当者によって削除する部品が異なったり、以前は隠していた形状を別の担当者が残したまま送ってしまったりすると、情報管理として不安定です。

そこで、元の詳細設計モデルとは別に、外部共有専用の3D CADモデルを管理します。

共有専用モデルでは、内部部品を削除し、細部形状を単純化し、必要に応じて複数部品を一体化した状態を標準とします。こうしておけば、外部提供時に詳細モデルを直接扱う機会そのものを減らせます。

重要なのは、共有専用モデルを一度作って終わりにしないことです。元の設計変更に伴って外形寸法や取付位置が変われば、共有モデルも更新する必要があります。

古い共有モデルを使い続けると、機密情報は守れていても、相手へ誤った設計条件を渡すことになります。特に取付穴、接続位置、最大外形、可動範囲などが変更された場合は注意が必要です。

そのため、共有用モデルには元モデルとの対応関係が分かる管理情報を持たせます。どの設計状態を基に作成したのか、いつ更新したのか、どの用途で使用するモデルなのかを社内で確認できるようにすると運用しやすくなります。

また、共有先によって必要情報が異なる場合は、共有モデルを一種類に固定する必要はありません。

たとえばレイアウト検討用では単純な包絡形状だけを提供し、周辺部品設計用では外形と取付位置を含むモデルを提供し、製造検討用ではさらに必要な加工形状を追加するというように、用途別に情報量を変える方法があります。

このとき、相手の企業名ごとに場当たり的なモデルを作るより、「レイアウト用」「インターフェース設計用」「製造検討用」のように共有目的で分類したほうが管理しやすくなります。

共有専用モデルを整備するメリットは、機密保護だけではありません。モデルが軽量化されることで、社外とのデータ交換が行いやすくなり、大規模な設備モデルや建物モデルへ配置するときの操作性が改善する可能性もあります。

さらに、設計部門以外の担当者がデータを渡す場合でも、共有可能なモデルが明確になっていれば、詳細設計データを誤って送信するリスクを抑えやすくなります。

3D CADの機密対策を個人の注意力だけに依存させず、データの作り分けによって仕組み化することが、継続運用では重要です。

簡略化後も確認すべき機密情報

3D CADモデルの形状を簡略化したからといって、それだけで共有準備が完了するとは限りません。共有前には、形状以外に残っている情報も確認する必要があります。

特に注意したいのが、部品名や構成名です。内部部品そのものを削除していても、モデル内に元の部品名称や分類情報が残っていれば、製品構成を推測される可能性があります。

たとえば社内だけで使用している開発名称、機構の名称、試作品を示す表現などが含まれている場合、形状とは別の機密情報になります。

属性情報にも注意が必要です。材料、質量、密度、作成者情報、更新情報など、共有先に必要のない情報が付加されている場合があります。共有形式や変換方法によって保持される情報は異なるため、実際に書き出したファイルを確認することが重要です。

元の3D CAD環境で「見えない」ことだけを確認するのではなく、共有予定のファイルを別の環境で開き、受け取る側と同じ視点で確認します。

断面表示も重要な確認方法です。表面からは単純化できているように見えても、内部に元形状が残っている場合があります。特に複数の形状を一体化した場合、内部空間や隠れた面が保持されていないか確認します。

計測機能を使った確認も有効です。共有先は見た目だけでなく、距離、半径、角度などを計測できることがあります。形状を見ただけでは分かりにくい設計値でも、3D CADデータから計測すれば把握できる場合があります。

そのため、機密性の高い寸法が残っている場合は、対象形状そのものを削除または置換する必要があります。

また、簡略化の過程で元モデルをコピーしただけの場合、不要な構成要素がデータ内部に残る可能性があります。単純に表示状態を切り替えただけなのか、実際に共有データから除去されているのかを区別して確認することが欠かせません。

一方で、機密保護を優先しすぎて必要情報を削除してしまうことにも注意が必要です。

取付面の位置が数mmずれただけでも、相手側の周辺設計が成立しなくなる場合があります。外形を小さく簡略化してしまえば、実際の製品を設置したときに干渉する可能性があります。

そのため、共有前確認では「機密情報が残っていないか」と「必要情報が失われていないか」の両方を確認します。

3D CAD共有における良い簡略化とは、形状を最大限減らしたデータではありません。必要情報と不要情報の境界が適切に整理されたデータです。

3D CAD共有前に決めておきたい運用ルール

簡略化手法を理解していても、運用ルールが曖昧であれば、担当者ごとに共有するデータの内容が変わってしまいます。3D CADデータを頻繁に社外へ渡す企業では、簡略化方法とあわせて共有手順を決めておくことが重要です。

最初に明確にしたいのは、詳細設計モデルを外部共有の起点にしないことです。

社内の詳細モデルが保存されている場所から担当者が自由にファイルをコピーし、そのまま外部へ送る運用では、誤送信を完全に防ぐことは難しくなります。外部共有専用の保存場所やモデルを用意し、原則としてそこからデータを提供する流れにすると管理しやすくなります。

次に、共有目的を明確にします。

「3D CADデータをください」と依頼されたからといって、詳細モデルをそのまま渡す必要はありません。相手が何に利用するのかを把握できれば、必要な形状範囲を判断できます。

レイアウト確認なのか、干渉確認なのか、周辺設計なのか、製造検討なのかによって、必要な情報は大きく変わります。

また、共有目的とともに必要な精度も確認します。大まかな設置スペースを検討するだけなら単純な包絡形状でも足りることがありますが、接続部品を設計する場合は取付位置や基準面を正確に保持する必要があります。

つまり、簡略化レベルは機密性だけでは決められません。利用目的と要求精度を組み合わせて判断する必要があります。

社内で判断基準を作る際には、「外形だけなら共有可能」「内部構造は削除する」「加工用形状は製造委託先に限定する」といった考え方を決めておくと、担当者間のばらつきを減らせます。

さらに、共有前の確認者を決めることも重要です。設計担当者本人だけで確認すると、その形状を日常的に見慣れているため、何が機密情報なのかを見落とす場合があります。

共有目的を把握している担当者と設計内容を理解している担当者が、それぞれの視点から確認できる仕組みがあると、必要情報と機密情報のバランスを取りやすくなります。

そして、一度共有した3D CADデータも管理対象として考えます。

どの相手へ、どの簡略化レベルのデータを、どの設計状態で渡したのかを後から確認できれば、設計変更時の更新判断もしやすくなります。

3D CAD共有の安全性は、ファイルを送信する瞬間だけで決まるものではありません。作成、簡略化、確認、共有、更新までを一つの運用として設計することが重要です。

3D CADと現場計測データを組み合わせる考え方

3D CADデータは製造業の設計だけでなく、建設、設備、施工、維持管理など、現場空間との照合にも利用されています。

このような用途では、詳細設計モデルを現場担当者や外部関係者へそのまま共有するのではなく、簡略化した3D CADモデルを使って位置関係を確認する方法が考えられます。

たとえば設備を現場へ設置するとき、施工側が必要としているのは内部構造ではなく、設置位置、外形、接続位置、周囲とのクリアランスである場合があります。そこで、詳細な内部構造を持つ3D CADモデルではなく、外部共有用に簡略化したモデルを現況データと重ねて確認します。

現場の点群などと3D CADモデルを組み合わせれば、既設物との位置関係や設置スペースを三次元で確認しやすくなります。

このときも、詳細な3D CADモデルを使う必要があるとは限りません。干渉判定に必要な最大外形、取付基準、可動範囲などが正しく表現されていれば、簡略モデルでも目的を満たせるケースがあります。

むしろ大規模な現場点群と詳細3D CADモデルを同時に扱う場合、モデルの情報量が多すぎると操作性を下げることがあります。現場確認用として必要な形状だけに絞ることは、機密対策とデータ運用の両方に役立ちます。

たとえば新設設備の設置予定位置を検討する場合、詳細な内部機構ではなく、最大外形やメンテナンス空間を表した簡略モデルを現場の三次元データへ配置します。これにより、壁、柱、既設設備、配管などとの干渉を確認しながら、設計ノウハウの公開範囲を抑えられます。

また、3D CADと現場の三次元データを比較する業務では、データの座標や基準位置を合わせることも重要です。形状を簡略化しても、配置基準がずれていれば正しい判断はできません。

そのため、共有用3D CADモデルを作る際には、単純化しても保持すべき基準位置を明確にしておきます。取付基準面、中心位置、高さ基準など、現場側で位置合わせに利用する情報は、機密情報を減らした後も正確に残す必要があります。

この考え方は、3D CADデータを単なる設計成果物ではなく、現場で活用する情報として扱ううえでも重要です。

設計側では詳細モデルを保持し、社外共有や現場利用では目的に合わせた簡略モデルを使うことで、情報管理と実務利用を両立しやすくなります。

まとめ

3D CADデータを社外へ共有するときは、詳細モデルをそのまま渡すのではなく、共有目的に応じて情報量を調整することが重要です。

代表的な方法として、内部部品を削除して外形中心のモデルにする方法、穴や溝などの不要な細部を単純化する方法、複数部品を一体化して構成情報を見えにくくする方法、実形状を包絡形状へ置き換える方法、共有専用モデルを別管理する方法があります。

これらは単独で使うだけでなく、組み合わせることで効果を高められます。たとえば内部部品を削除したうえで外装を一体化し、さらに不要な穴を閉じるといった処理が考えられます。

重要なのは、簡略化そのものを目的にしないことです。

相手が必要とする設計条件は残しながら、共有する必要のない内部構造や設計ノウハウを取り除くことが基本になります。削除しすぎれば相手が正しい判断をできず、残しすぎれば機密情報を必要以上に開示することになります。

また、画面上で非表示になっているだけの状態と、実際に共有ファイルから情報が除去されている状態は異なります。共有前には、実際に渡すファイルを開き直し、部品構成、内部形状、属性情報、計測可能な寸法などを確認することが大切です。

3D CADを現場の三次元計測データと組み合わせる業務でも、必ずしも詳細設計モデルが必要とは限りません。外形、設置基準、可動範囲など、現場判断に必要な情報だけを残した簡略モデルを使えば、設計情報を守りながら三次元データを活用できます。

現況を三次元で取得し、簡略化した3D CADデータとの位置関係や干渉を確認したい場合には、現場で取得した点群や位置情報を活用する方法も有効です。こうした設計データと現場データをつなぐ運用を検討する際は、計測から三次元データ活用までを現場で行えるLRTK Phoneの活用も選択肢になります。

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

LRTK Phoneの使い方・実例を見る
資料請求導入相談
現場をスマホで3DスキャンLRTK Phone実例を見る