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3D CADで格子構造を設計して強度と軽さを両立する5方法

3D CADを使った設計では、必要な強度を確保しながら部品や構造物の重量を抑えることが重要な課題になります。単純に材料を薄くすれば軽量化できますが、荷重が集中する部分まで薄くすると変形や破損の原因になりかねません。反対に、安全側を意識して全体を厚くすると、強度は確保しやすいものの、重量や材料使用量が増え、設計の自由度も低下します。

そこで活用したいのが、内部や表面に規則的な骨組みを配置する格子構造です。3D CAD上で格子を適切に設計すると、材料を必要な場所へ残しながら、荷重への抵抗に寄与しにくい部分を減らせます。特に複雑な三次元形状を扱う場合は、外形だけを調整するよりも、内部構造まで含めて検討することで、強度と軽さのバランスを取りやすくなります。

ただし、格子構造は細かく作ればよいわけではありません。荷重方向、セル形状、格子の太さ、接続部、製造条件などを総合的に考える必要があります。また、3D CAD上で形状が成立していても、実際に製造できなかったり、解析時に想定以上の応力集中が生じたりする場合があります。

この記事では、3D CADで格子構造を設計する実務担当者に向けて、強度と軽量化を両立するために押さえたい5つの方法を解説します。単に格子を作る操作ではなく、どのような考え方で形状を決め、どの段階で検証すればよいのかまで整理していきます。

3D CADで格子構造を設計する前に整理したい基本

格子構造とは、棒状、面状、あるいは連続曲面状の要素を規則的または段階的に配置し、必要な剛性や強度を保ちながら材料量を抑える構造です。外から見ると同じ形状の部品でも、内部を中実にする場合と格子化する場合では、重量や変形特性が大きく異なります。

3D CADで格子を作るときに重要なのは、先に格子形状を決めないことです。最初に考えるべきなのは、その部品がどこで支持され、どこから力を受け、どの方向へ荷重が流れるのかという構造全体の役割です。荷重条件を整理せずに均一な格子を配置しても、強度に寄与しない部分へ材料を使う一方、必要な部分が細くなる可能性があります。

例えば、片側を固定して反対側に力が作用する部品では、固定部付近に大きな曲げ作用が生じやすくなります。この場合、格子を全体で同じ太さにするより、固定部や荷重の伝達経路に近い場所を太くし、作用が小さい場所を軽くした方が合理的です。3D CADでは、このような局所的な形状変更をモデル上で比較しやすいことが大きな利点です。

また、「強度」と「剛性」は同じ意味ではありません。破損しないことだけを考えて材料を減らすと、実使用時の変形量が大きくなり、位置精度や組み付け精度を確保できないことがあります。格子構造を設計するときは、破壊に対する余裕だけでなく、変形、振動、座屈、疲労など、用途に応じた確認項目を設定する必要があります。

軽量化についても、単純な体積削減率だけを見るのは危険です。格子構造を細かくすると、外形体積に対する材料量は減らせても、製造工程が複雑になる場合があります。後加工が必要な部分へ格子が入り込めば加工しにくくなり、内部に除去しにくい材料が残る構造になることもあります。3D CAD上の最小重量だけで判断せず、製造、検査、組み立て、保守まで含めて設計することが重要です。

さらに、格子の寸法を決める前には、設計対象の大きさを把握しておく必要があります。数十ミリ程度の部品と、数百ミリ以上の構造では、現実的な格子サイズが異なります。格子セルを細かくしすぎると3D CADモデルのデータ量が増え、編集や表示、解析に負荷がかかる場合もあります。設計目的に必要な細かさを見極めることが、作業効率の面でも欠かせません。

つまり、格子構造を使った軽量設計は「空洞を増やす作業」ではありません。力が流れる場所を把握し、必要な材料を適切な位置へ配置し直す作業と考えると、3D CAD上で何を調整すべきかが見えやすくなります。

方法1 荷重経路を意識して材料を残す

格子構造で強度と軽さを両立するうえで、最も重要なのが荷重経路を意識することです。荷重経路とは、外部から加わった力が部品内部を通って支持部へ伝わる流れを指します。格子構造を設計するときは、この流れを遮らず、必要な場所に材料を残すことが基本になります。

例えば、取付穴を介して部品が固定され、その反対側に荷重が作用する場合、力は荷重点から取付穴周辺へ向かって伝わります。この経路上の格子を細くしすぎると、局所的な変形や破損が起こりやすくなります。一方、荷重経路から離れた部分では、材料を減らしても全体性能への影響が比較的小さいことがあります。

3D CADで設計する際には、まず中実形状の状態で支持位置と荷重点を明確にしておくと考えやすくなります。そのうえで、どの部分が引張、圧縮、曲げ、ねじりを受けるのかを確認します。単一方向の荷重だけでなく、実際の使用時に複数方向から力が加わる場合は、それぞれの荷重状態を想定する必要があります。

格子の骨格は、この荷重経路へ沿わせるほど効率的に働きやすくなります。例えば、斜め方向へ力が流れる場所に対して、水平方向と垂直方向だけの格子を配置すると、力が複数の接続点を経由して伝わることがあります。必要に応じて斜材を設けたり、格子方向を荷重方向に合わせたりすると、材料量を大きく増やさずに変形を抑えられる可能性があります。

ただし、荷重方向へ骨格を合わせれば必ず最適になるわけではありません。実際の部品では、組み立て誤差、外力の変動、衝撃、振動、予期しない方向からの荷重などが生じます。そのため、一方向だけに極端に特化した格子は、別方向からの力に弱くなる場合があります。主荷重方向を優先しながら、必要に応じて複数方向へ荷重を逃がせる形にすることが大切です。

荷重経路を考えるときは、開口部や穴の周辺にも注意が必要です。ボルト穴、軸穴、配線用開口、点検口などは形状が途切れるため、応力が集中しやすい場所になります。格子を単純に切り取るだけでは、周辺に細い接続部が残ることがあります。3D CAD上で開口周辺の格子を組み替え、力が迂回できる経路を設けると、局所的な弱点を抑えやすくなります。

また、荷重経路を把握することは、不要な材料を見つけることにもつながります。厚い外殻と高密度の格子を全域に配置すると、格子構造を採用しているにもかかわらず重量が十分に下がらない場合があります。荷重伝達に必要な外殻、リブ、格子を整理し、それぞれの役割が重複していないか確認すると、さらに軽量化できる余地が見えてきます。

実務では、最初から最小重量を狙うより、まず荷重経路が途切れない安全側の格子を作り、そこから段階的に材料を減らす方が管理しやすくなります。3D CADで形状の履歴を残しながら複数案を比較すると、どこを軽くしたときに変形や応力が大きく変わるのかを把握しやすくなります。

方法2 用途に合う格子セルの形状と向きを選ぶ

格子構造では、同じ材料量でもセルの形状や向きによって力の伝わり方が変わります。そのため、格子を単純な模様として選ぶのではなく、部品の用途や荷重条件に合わせて選択することが重要です。

比較的理解しやすいのが、直線部材を組み合わせた格子です。縦、横、斜めの骨格で構成しやすく、3D CAD上でも寸法や角度を管理しやすい特徴があります。特定方向の剛性を高めたい場合には、その方向へ骨格を増やすことで調整できます。一方で、接続点が多くなると、その周辺に応力が集中する可能性があるため、節点の形状まで含めて設計する必要があります。

三角形を基本とする格子は、形状が変形しにくく、複数方向へ力を伝えやすい構成として利用できます。ただし、格子密度を高くすると部材本数が増えるため、単純に三角形を細かく並べるだけでは重量増加につながる場合があります。必要な領域だけ密度を高めるなど、配置方法との組み合わせが重要になります。

四角形を基本とする格子は、形状を規則的に配置しやすく、設計寸法の変更もしやすい反面、荷重方向によってはせん断変形が生じやすくなることがあります。斜材を加えたり、セルの向きを変更したりすることで補強できます。3D CAD上では、同じセルサイズでも方向を変えたモデルを比較すると、格子方向の影響を確認しやすくなります。

また、棒状部材ではなく、連続的な曲面で空間を分割する格子構造を検討することもできます。このような構造は、力が局所的な節点へ集中しにくい形状を作れる場合があります。ただし、形状が複雑になりやすいため、3D CADでの編集性、解析モデルへの変換、製造条件まで確認する必要があります。複雑な形状ほど高性能になるとは限らず、設計目的に対して必要な複雑さかどうかを判断することが大切です。

格子セルの向きも性能へ影響します。例えば、主な荷重が上下方向に作用する部品なら、上下方向へ連続した骨格を持たせることで圧縮荷重を受けやすくできます。逆に、横方向の曲げやねじりが支配的な部品では、斜め方向や周方向へ連続する構造が有効になる場合があります。

3D CADで格子方向を決めるときには、外形の基準面だけで判断しないことも重要です。複雑な曲面部品では、グローバル座標の縦横方向と実際の荷重方向が一致しないことがあります。部品ごとの局所座標や基準軸を設定し、それを基準に格子を配置すると、設計意図を維持しやすくなります。

さらに、セル形状は製造方向とも関係します。細い部材が長く水平に伸びる構造や、閉じた空間が多数できる構造は、製造方法によっては作りにくくなることがあります。3D CAD上で理想的な格子が完成してから製造性を検討するのではなく、セル形状を選ぶ段階から製造条件を含めることが大切です。

格子セルの選択では、強度、剛性、重量、製造性、検査性を同時に考えます。一つのセル形状を部品全体へ均一に適用する必要はありません。場所によってセルの形状や向きを変える設計も可能です。3D CADの利点を生かし、部位ごとに役割を分けることで、より合理的な格子構造に近づけます。

方法3 格子の太さと密度を場所ごとに変える

強度と軽さを両立するには、格子の太さや密度を部品全体で均一にしないことも有効です。荷重が大きい場所と小さい場所で同じ格子を使うと、強い部分では材料不足になり、弱い部分では材料過多になる可能性があります。

まず確認したいのが格子部材の太さです。太くすれば断面積が増えるため、一般には荷重を受けやすくなりますが、その分だけ重量も増えます。一方、細くしすぎると、材料そのものの強度以前に、細長い部材が座屈したり、製造時のばらつきによる影響を受けやすくなったりします。

そこで、取付部、荷重点、曲率が急激に変化する場所、開口周辺などは格子を太くし、比較的負荷が小さい内部領域では細くする方法が考えられます。3D CAD上で格子径を段階的に変更できる場合は、急激に太さを切り替えるのではなく、周囲へ向かって滑らかに変化させることで、接続部に生じる急な剛性差を抑えやすくなります。

格子密度についても同様です。セルサイズを小さくすれば格子本数が増え、荷重を複数経路へ分散しやすくなります。しかし、必要以上に細かくすると重量が増え、3D CADモデルの処理量も大きくなります。解析時の要素数が増えることで計算負荷が高くなることもあります。

反対にセルサイズを大きくすると軽量化しやすくなりますが、一つの格子部材が長くなるため、局部的な変形や座屈を確認する必要があります。外殻の薄い部品では、格子間隔を広げすぎると外殻面が局所的にたわむこともあります。格子そのものだけではなく、格子が支える外殻部分の変形まで見ることが重要です。

実務で扱いやすいのは、部品を複数の領域に分けて格子条件を設定する方法です。例えば、固定部周辺を高密度領域、中間部を標準密度領域、荷重の小さい端部を低密度領域とします。こうすることで、3D CAD上でも設計条件を説明しやすくなり、後から寸法を変更するときにも修正範囲を把握しやすくなります。

密度変化を設定するときには、境界部分へ注意します。高密度格子から低密度格子へ急に切り替わると、骨格が不自然に途切れたり、細い部分へ荷重が集中したりすることがあります。格子セルを徐々に大きくする、太さを段階的に変える、別の補強リブを介して接続するといった方法で、力の流れを連続させる必要があります。

3D CADでは、パラメータを使って格子寸法を管理すると設計変更に対応しやすくなります。格子径、セル間隔、外殻厚さ、補強範囲などを関連付けておけば、部品寸法が変更された際にも条件を見直しやすくなります。すべてを固定寸法で作り込むと、後から外形を変更したときに格子だけ取り残され、意図しない形状になることがあります。

重量評価については、格子密度だけを見ず、完成形状全体の体積や質量特性を確認します。外殻を厚くしすぎていないか、補強リブと格子が重複していないか、取付部の余肉が大きすぎないかといった点も同時に確認すると、軽量化の余地を見つけやすくなります。

重要なのは、格子を細くすることではなく、必要な場所と不要な場所の差を設計へ反映することです。3D CADで場所ごとの格子条件を管理できれば、単純な均一格子よりも強度と軽さのバランスを取りやすくなります。

方法4 接続部と外周部を優先して設計する

格子構造では、内部の骨格そのものに注目しがちですが、実際には格子と外殻の接続部、格子同士の節点、固定部周辺などが重要になります。格子一本一本に十分な強度があっても、接続部が弱ければ構造全体として荷重を伝えられません。

格子と外殻が交わる部分では、細い骨格を薄い外殻へ単純に接続すると、その周辺に局所的な応力が集中する可能性があります。3D CAD上では、接続部へ滑らかな曲面を設けたり、格子径を徐々に広げたりして、荷重が外殻へ広がる形状を検討します。

格子同士が交差する節点も同様です。複数方向から骨格が集まる場所では、形状が複雑になり、局所的に材料量が増える一方、急な断面変化ができる場合があります。単純に複数の棒を重ねるのではなく、接続部を一体化して滑らかにつなぐことで、力を分散しやすくなります。

特に注意したいのが、取付部や締結部です。ボルト、軸、ピンなどで他部品と接続する場所は、外力が格子構造へ入る入口になります。ここを軽量化しすぎると、内部格子が十分に強くても荷重を受け渡せません。取付穴の周囲には一定の中実領域を残し、その中実領域から格子へ徐々に荷重が移る形にすると設計しやすくなります。

外周部では、格子だけでなく外殻厚さも重要です。外殻を極端に薄くして内部格子だけで補強しようとすると、格子間で外殻が局部的に変形することがあります。反対に外殻を厚くしすぎると、内部格子による軽量化効果が小さくなります。外殻と内部格子を別々に決めるのではなく、一つの構造として厚さと密度を調整する必要があります。

曲面を持つ外形では、格子と外殻の接続角度にも注意が必要です。格子が外殻へ鋭角に接続すると、接続部が細くなったり、製造後の実形状で十分な断面を確保できなかったりする場合があります。3D CAD上で断面を切り、接続部がどの方向から見ても必要な厚さを持っているか確認すると安心です。

また、モデル表示だけでは見つけにくい微小な隙間や重複形状にも注意します。複雑な格子を大量に配置すると、節点でわずかな未接続部分が生じたり、形状演算の結果として極端に薄い面が残ったりすることがあります。外観上は一体に見えても、3D CAD内部では別ボディとして存在していることもあります。

そのため、格子作成後は形状が一体化されているか、閉じたソリッドとして成立しているか、極端に薄い部分がないかを確認します。製造データへ変換する前にも形状チェックを行い、設計モデルと出力モデルの状態が一致しているか確認することが重要です。

接続部を適切に設計すると、内部格子を必要以上に太くせずに済む場合があります。荷重を効率よく受け渡せれば、構造全体へ過剰な安全余裕を持たせる必要が減るからです。軽量設計では内部の材料削減だけでなく、「力をどのようにつなぐか」を設計する視点が欠かせません。

方法5 解析と実形状の確認を繰り返して最適化する

3D CADで格子構造を設計するときは、最初に作った形状を完成形と考えず、解析と形状修正を繰り返すことが重要です。格子は複雑な荷重経路を持つため、外観だけでは弱点を判断しにくいからです。

まず確認したいのが変形です。部品に想定荷重を与えたとき、どの部分がどの方向へ変形するのかを確認します。最大応力が許容範囲に収まっていても、変形量が大きすぎれば、組み立てた状態で位置ずれや干渉が生じる可能性があります。精度が必要な部品では、強度だけではなく剛性の確認が重要です。

次に、応力が局所的に集中していないかを確認します。格子の節点、外殻との接続部、穴周辺、急激な断面変化部は特に確認が必要です。解析結果で一部だけ高い値が出た場合には、単純に格子全体を太くするのではなく、その場所の形状を見直します。接続半径を大きくする、格子方向を変える、局所的に格子を追加するといった対策で改善できる可能性があります。

圧縮荷重を受ける細長い格子では、座屈も考慮します。材料の強度上は余裕があっても、細く長い部材は形状的に不安定になりやすいからです。格子径を少し太くするだけでなく、セルサイズを小さくして部材長を短くする方法や、斜め方向の補強を加える方法も検討できます。

繰り返し荷重を受ける部品では、最大荷重だけで判断しないことも大切です。毎回の荷重が小さくても、同じ部分へ繰り返し応力が集中すると耐久性に影響する場合があります。特に格子の細い接続部や急な形状変化は、繰り返し荷重を考える際に確認しておきたい部分です。

解析を行うときには、入力条件そのものも確認します。固定条件を現実より強く設定すると、実物より変形が小さく見えることがあります。反対に、実際には面で荷重が伝わる部分を一点荷重として設定すると、局所的に極端な値が生じる場合があります。解析結果を見る前に、支持方法や荷重の与え方が実際の使用状態を適切に表しているかを確認することが重要です。

格子構造は形状が細かいため、解析モデルの作り方によっても結果が変わります。非常に細かな格子をすべて詳細形状として扱うと、計算量が大きくなる場合があります。設計初期では簡略モデルで傾向を確認し、候補を絞った後に詳細モデルで検証するなど、段階的に進めると効率的です。

また、解析だけで設計を完結させないことも大切です。解析では理想的な形状や材料条件を前提にする場合がありますが、実物では寸法誤差や表面状態、製造方向による特性差などが生じる可能性があります。重要な部品では、試作した実物の寸法や変形を確認し、必要に応じて3D CADモデルへ反映する流れが有効です。

軽量化を進める際には、一度に大きく材料を減らすのではなく、変更量を管理しながら比較します。例えば、基準モデルを保存したうえで格子径、セルサイズ、外殻厚さなどを一つずつ変更すると、どの条件が性能へ影響したのか把握しやすくなります。

重量だけを評価指標にすると、強度余裕が極端に小さい形状を選んでしまうことがあります。重量、最大変形、応力状態、製造性、データ処理量など複数の観点で比較し、実務上扱いやすいバランスを探すことが重要です。

3D CADを使った格子設計の強みは、形状を変更し、その結果を確認し、再び形状へ戻せることにあります。一回の設計で最適解を当てるのではなく、設計と検証の短いサイクルを繰り返すことが、強度と軽さの両立につながります。

3D CADで格子構造を作る実務フロー

実務で格子構造を設計するときは、最初から細かな格子形状を作り込むより、設計条件を順番に固めていく方が手戻りを抑えやすくなります。

最初に行うのは、格子を入れない状態で外形と機能条件を確定することです。取付面、穴位置、接触面、可動部とのクリアランス、必要な外形寸法など、変更しにくい条件を先に整理します。格子を作った後で取付穴の位置を大きく変えると、周辺の格子まで作り直すことになるためです。

続いて、格子化してよい領域と中実で残す領域を分けます。取付部、シール面、加工面、軸受け部などは中実領域として残す方が扱いやすい場合があります。反対に、内部空間のうち荷重が比較的小さい部分を格子化候補とします。

その次に、支持条件と荷重条件を整理します。主荷重だけでなく、組み付け時の締結力、運搬時の荷重、振動、偶発的な力なども必要に応じて考慮します。ここで荷重経路を大まかに把握すると、格子方向や高密度領域を決めやすくなります。

格子の初期案では、いきなり極端な軽量化を目指さず、比較的余裕のある太さとセルサイズを設定します。形状が成立し、外殻や中実部と確実につながる状態を作った後、重量と解析結果を確認します。

次に、荷重が小さい部分から格子径を細くしたり、セルサイズを大きくしたりします。一方、変形や応力が大きい部分は高密度化し、必要に応じて補強します。この段階では、一つの条件変更ごとにモデルを保存しておくと比較しやすくなります。

格子形状がある程度固まったら、製造条件を確認します。最小肉厚、加工可能な空間、内部残留物の除去、仕上げが必要な面、後加工用工具の進入経路などを確認します。格子を配置したことで加工や検査ができなくなる部分がないかを見ることが重要です。

その後、最終形状に近い条件で詳細な解析を行います。設計初期よりも実際の固定条件や接触条件へ近づけ、変形、応力、必要に応じて座屈や繰り返し荷重への影響を確認します。

最後に、3D CADモデル自体の健全性を確認します。格子と外殻が一体化されているか、微小な隙間がないか、意図しない内部空間がないか、細すぎる形状が残っていないかを確認します。製造用データへ変換した後にも再確認すると、変換時の形状変化を見つけやすくなります。

このように、外形、荷重、格子、解析、製造性の順に段階を踏むことで、複雑な格子構造でも設計意図を管理しやすくなります。

格子構造で起こりやすい設計ミスと確認方法

格子構造では、軽量化できたという結果に注目しすぎると、実使用時に問題となる部分を見落とすことがあります。設計の最終段階では、典型的なミスがないか意識的に確認することが大切です。

代表的なのが、格子を全領域で均一にしてしまうケースです。均一な格子は作りやすく、見た目も整いますが、実際の荷重分布は均一とは限りません。高負荷部では不足し、低負荷部では余分な材料になる可能性があります。強度と軽さを両立するには、均一性より役割に応じた配置を優先します。

次に、格子径だけを小さくして軽量化する方法です。細い格子は質量を減らせますが、座屈や製造ばらつきの影響が大きくなる場合があります。格子径を下げる前に、セルサイズや格子方向を見直すことで、より効率的に軽量化できる場合があります。

外殻を薄くしすぎるのも注意したい点です。内部格子が十分に強くても、外殻が格子間で局部変形すると、表面精度や接触性能に影響します。外殻厚さと格子間隔は組み合わせて評価する必要があります。

さらに、節点形状の確認不足も起こりやすい問題です。複数の格子が一点に集中すると、その場所だけ極端に太くなったり、逆に細いくびれが生じたりします。外観表示だけで判断せず、断面表示を使って内部形状を確認すると見つけやすくなります。

モデルを細かくしすぎることも実務上の問題になります。非常に小さなセルを大量に配置すると、3D CADの表示、保存、変換、解析に時間がかかる場合があります。最終製品に必要な性能に対して、その細かさが本当に必要かを判断することが重要です。

製造できるかどうかを最後まで確認しないことも避けたいところです。設計上成立する形状であっても、使用する製造方法によって作れる最小寸法や形状には条件があります。内部格子の一部だけ製造しにくい配置になっていないか、後処理が困難な閉鎖空間がないかなどを確認します。

格子化によって基準面や測定面が失われることにも注意します。製造後に寸法確認を行う場合、どこを基準として測定するかを設計段階で決めておく必要があります。必要であれば測定用の平面や基準形状を中実部分として残しておくと、品質確認を行いやすくなります。

また、設計変更時には格子が意図どおり追従しているか確認します。外形寸法を変更した結果、格子が取付穴へ入り込んだり、端部だけ極端に細くなったりする場合があります。パラメータ変更後は全体表示だけでなく、重要部分を断面で確認することが大切です。

格子構造の設計では、形状を一度完成させた後に「軽量化できたか」だけを確認するのでは不十分です。荷重経路、接続部、外殻、製造性、検査性、データ状態まで確認することで、実際に使える設計へ近づけられます。

まとめ

3D CADで格子構造を設計すると、必要な場所へ材料を配置しながら、構造性能への寄与が小さい部分の材料を減らせるため、強度と軽量化を両立するための選択肢が広がります。しかし、単純に内部を細かな格子へ置き換えるだけでは、期待した性能を得られるとは限りません。

まず重要なのは、荷重経路を把握し、力が流れる場所へ材料を残すことです。格子は模様として配置するのではなく、外力を支持部へ伝える骨格として考えます。主荷重方向や固定位置、開口部の周辺などを確認し、必要な部分を優先して補強することが基本です。

次に、セル形状と方向を用途に合わせます。同じ材料量でも格子形状によって変形や荷重の伝わり方が異なるため、部品の役割に応じて格子方向を調整します。複雑な形状が常に優れているわけではなく、製造性や編集性まで含めて適切な構造を選ぶことが重要です。

格子径と密度については、全体を均一にする必要はありません。高負荷部を太く高密度にし、低負荷部を軽くすることで、材料を効率よく配置できます。ただし、密度が変わる境界で荷重経路が途切れないよう、滑らかな形状変化を意識する必要があります。

内部格子だけでなく、外殻や接続部も重要です。格子から外殻、取付部、隣接部品へ力を正しく受け渡せなければ、内部構造が十分に強くても部品全体の性能は確保できません。節点や取付穴周辺には必要な材料を残し、急激な断面変化を避けることが有効です。

そして、設計後は解析と形状確認を繰り返します。重量だけでなく、応力、変形、座屈、必要に応じて繰り返し荷重への影響を確認し、製造可能な寸法になっているかも確かめます。3D CAD上で条件を少しずつ変更しながら比較することで、過剰な材料を減らしつつ、必要な性能を確保しやすくなります。

格子構造の設計で重要なのは、材料を減らすこと自体ではなく、必要な場所へ必要な量の材料を配置することです。3D CADを使って外形、格子、解析、製造条件を一つの流れとして管理すれば、軽量化と強度確保を両立した設計へ段階的に近づけられます。

こうした3D CAD設計では、モデル上の形状だけでなく、実物の寸法や設置位置、既存構造との位置関係を現場で確認したい場面もあります。設計データと現地の情報を結び付けて確認する運用を検討する場合は、現場での位置確認や計測に活用できるLRTK Phoneも選択肢の一つとして確認してみてください。

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