3D CADで作成する分解図は、製品や設備を構成する部品の関係を視覚的に伝えるための資料です。組立手順書、保守マニュアル、部品表、施工説明資料、社内レビュー、顧客向けの提案資料など、幅広い用途で活用できます。
ただし、単純にすべての部品を外側へ移動しただけでは、見やすい分解図にはなりません。部品同士が重なって形状を確認できない、どの部品がどこに取り付くのか分からない、分解の順序が伝わらないといった問題が起こりやすいためです。部品点数が増えるほど、配置のルールを決めずに作業を進めることが難しくなります。
見やすい分解図を作るには、完成状態の構造を理解したうえで、基準軸、間隔、移動方向、グループ、視点などを計画的に設定することが重要です。分解図を装飾的な画像として考えるのではなく、構造や作業手順を伝える情報として設計する必要があります。
この記事では、3D CADで分解図の部品配置を見やすくする5つのコツを、実務での進め方や注意点とともに解説します。
3D CADの分解図が見にくくなる原因
3D CADの分解図が見にくくなる主な原因は、部品の移動に一貫したルールがないことです。作成者がその場の見た目だけで部品を移動すると、部品ごとに移動方向や距離が異なり、全体の構造を読み取りにくくなります。
例えば、ある部品を上方向へ動かし、隣の部品を斜め方向へ動かし、その次の部品を手前方向へ動かすと、個々の形状は見えるようになっても、元の取付位置が分かりにくくなります。部品が離れすぎれば視線を大きく動かす必要があり、近すぎれば形状や接合関係を確認できません。
完成状態では同じ場所に組み付けられている部品でも、役割は異なります。主要構造部品、カバー、固定部品、配管、配線、交換部品などを区別せず、すべて同じ間隔で配置すると、情報の重要度が伝わりません。小さな固定部品が主要部品と同じ距離まで移動していると、どちらを先に見るべきか判断しにくくなります。
カメラの視点も見やすさを左右します。部品を整然と配置していても、奥行き方向に重なっていれば、画面上では一部の部品が隠れます。立体形状を把握しやすい角度であっても、分解方向と視線方向が一致しすぎると、部品同士の距離を確認しにくくなることがあります。
また、分解図の目的が曖昧なまま作成を始めることも問題です。組立順序を説明する分解図と、交換部品の場所を示す分解図では、強調すべき情報が異なります。すべての用途を一枚の図で満たそうとすると、部品数や注記が増え、かえって伝わりにくくなります。
作業を始める前に、誰が何のために分解図を見るのかを決めることが重要です。組立作業者が見るのであれば作業順序を重視し、保守担当者が見るのであれば交換対象までの取り外し経路を重視します。部品管理に利用する場合は、部品番号や数量との対応を確認しやすい配置が必要です。
3D CADの操作方法だけを工夫しても、目的に合わない配置では実用的な分解図になりません。分解図を設計情報の一部として考え、閲覧者が必要とする情報から逆算して配置を決めることが基本です。
コツ1 組立基準となる軸と中心線を先に決める
見やすい分解図を作る最初のコツは、部品を移動する前に組立基準となる軸を決めることです。円筒形の製品であれば回転中心、箱形の装置であれば長手方向や高さ方向、複数の機構を持つ設備であれば主要な取付面を基準として設定します。
基準軸を決めずに部品を動かすと、部品の移動方向がばらばらになります。完成状態へ戻したときの位置関係も想像しにくくなるため、分解図の説明力が低下します。中心線や取付軸に沿って部品を並べると、どの部品がどこに収まるのかを視覚的に追いやすくなります。
ボルト、ナット、ワッシャー、軸受、スペーサーなど、同じ軸上に取り付く部品は、原則として共通の中心線に沿って配置します。中心線からずれた位置へ移動すると、別の取付場所に使用する部品のように見えることがあります。特に似た形状の部品が複数存在する場合は、軸をそろえることが取り違え防止につながります。
基準軸は一つに限定する必要はありません。複数の方向から部品を組み付ける構造では、主軸と補助軸を分けて考えます。まず主要構造部品を主軸に沿って配置し、その後に側面から取り付く部品を補助軸に沿って移動させると、全体の構造を整理しやすくなります。
ただし、軸の数を増やしすぎると、分解図全体が放射状に広がり、視線の流れが複雑になります。閲覧者が最初に追うべき軸を一つ決め、補助的な軸は必要な範囲だけに絞ることが大切です。
3D CAD上では、組立モデルに設定されている基準面や座標方向を利用すると、部品の移動量を管理しやすくなります。完成位置からどの方向へどれだけ移動したかを把握できる状態にしておけば、配置の修正や再利用も容易になります。
基準軸を決める際は、完成品の向きだけでなく、実際の組立姿勢も考慮します。完成品が横向きで使用される場合でも、組立作業は縦向きで行われることがあります。作業手順を説明する分解図であれば、使用時の姿勢よりも作業時の姿勢を基準にしたほうが理解しやすい場合があります。
一方、製品紹介や部品構成の説明を目的とする場合は、完成品を認識しやすい向きを優先します。同じ3D CADモデルから複数の分解図を作成する場合でも、用途によって基準軸や視点を変えることが有効です。
最初に基準軸を決めておくことで、後から部品を追加した場合も、既存の配置ルールに沿って整理できます。設計変更によって部品点数が増減しても、全体の見た目が崩れにくくなる点もメリットです。
コツ2 部品の役割に応じて配置間隔に強弱を付ける
二つ目のコツは、すべての部品を等間隔に並べるのではなく、役割や重要度に応じて配置間隔を調整することです。分解図では、部品同士の距離も情報として機能します。
主要な構造部品の間隔をやや広くし、その間に取り付く小部品を近い位置へ配置すると、構成の階層を理解しやすくなります。反対に、すべての部品を同じ距離だけ離すと、どの部品が主要部品で、どの部品が付属部品なのかが伝わりにくくなります。
配置間隔を決めるときは、3D空間上の距離だけでなく、画面に表示したときの見え方を確認します。同じ移動距離でも、カメラから近い部品と遠い部品では、画面上の間隔が異なって見えることがあります。最終的に使用する視点を固定し、その視点から重なりや余白を調整することが重要です。
小さな固定部品は、主要部品から離しすぎないようにします。ボルトなどを大きく移動すると、どの穴に取り付くのか分かりにくくなるためです。ただし、取付穴と完全に重なる位置では形状を確認できません。取付軸を維持しながら、頭部やねじ部が見える程度に移動させると理解しやすくなります。
同じ種類の固定部品が複数ある場合は、それぞれを個別に大きく離すよりも、取付位置との関係を保ったまままとめて移動する方法が適しています。部品番号を個別に示す必要がある場合のみ、注記が重ならない範囲で間隔を広げます。
カバーや外装部品は、内部構造を見せるために比較的大きく移動することがあります。外装部品を中途半端な距離に置くと、内部部品と重なりやすく、どちらの形状も見えにくくなります。内部を説明する目的であれば、外装部品は構造から明確に離しつつ、元の取付方向を維持します。
配管や配線のように細長い部品は、距離だけでなく曲がり方や接続先を確認できることが重要です。大きく移動しすぎると、接続位置との関係が失われます。周囲の部品から少し浮かせる程度に調整し、必要に応じて関連する接続部品と一緒に移動します。
配置間隔は、部品の実寸に対する倍率で考えると調整しやすくなります。小さな部品と大きな部品に同じ移動量を設定すると、小さな部品は離れすぎ、大きな部品は重なったままになることがあります。部品の外形寸法や画面上の占有面積を基準に、相対的な間隔を設定することが有効です。
また、部品間の余白は注記を配置する場所としても利用します。後から部品番号や引出線を追加する予定がある場合は、部品だけを見て間隔を詰めすぎないことが大切です。注記を入れた状態で線が交差しないよう、あらかじめ余白を確保しておきます。
見やすい分解図では、広い間隔と狭い間隔が意図的に使い分けられています。距離に強弱を付けることで、閲覧者の視線を主要な部品へ誘導し、構造のまとまりを伝えられます。
コツ3 組立順序が伝わる移動方向に統一する
三つ目のコツは、部品の移動方向を組立順序と対応させることです。分解図を見るだけで、どの部品を先に取り外し、どの部品を後から取り外すのかを推測できる配置が理想です。
基本的には、実際の取り外し方向と同じ方向へ部品を移動します。上から取り外す部品は上方向、側面から引き抜く部品は側面方向、軸に沿って外す部品は軸方向へ配置します。実際には通過できない方向へ部品を移動すると、形状は見やすくても作業手順を誤解させるおそれがあります。
同じ方向に取り外す部品が複数ある場合は、組立順序に沿って直線上へ並べます。完成品に近い側へ最後に取り付ける部品を置き、外側へ向かって先に取り外す部品を配置すると、順序を追いやすくなります。
ただし、直線上にすべての部品を並べると、分解図が横長や縦長になりすぎる場合があります。その場合は、主要な組立順序を維持したまま、関連する小部品だけを補助方向へずらします。重要なのは、元の取付方向が分からなくなるほど移動方向を変えないことです。
複数の工程を一枚に表示する場合は、視線が一定方向へ流れるように配置します。左から右、上から下、中心から外側など、図全体で読み進める方向を統一すると、説明文がなくても順序を把握しやすくなります。
組立工程と分解工程では、読む方向が逆になることがあります。どちらを主目的とする図なのかを明確にし、必要に応じて図のタイトルや注記で方向を示します。組立手順書に掲載する図であれば、取り付け順に読める配置が適しています。保守マニュアルで取り外し作業を説明する場合は、取り外し順に読める配置を優先します。
部品が回転しながら取り付く構造では、平行移動だけでは動作を表現できません。その場合でも、分解図上で部品の向きを必要以上に変えないことが基本です。完成状態と異なる向きへ回転させると、取付面や方向を誤認しやすくなります。
どうしても部品を回転させて形状を見せる必要がある場合は、完成状態の向きを保った部品と、詳細確認用に回転させた部品を同じ分解図へ混在させないほうが安全です。詳細形状は別の視点や別図で示し、分解図では取付方向を優先します。
移動方向を統一すると、3D CAD上で配置を管理しやすくなる利点もあります。部品の移動量を軸ごとに整理できるため、設計変更後の再配置やアニメーションへの展開が容易になります。
分解図を作成した後は、完成状態を知らない人が見ても組立方向を推測できるか確認します。作成者は構造を理解しているため、多少不規則な配置でも意味を読み取れてしまいます。第三者による確認を行い、移動方向から誤った作業を想像しないかを確かめることが重要です。
コツ4 部品を機能単位でグループ化して整理する
四つ目のコツは、部品を一つずつ個別に扱うのではなく、機能や工程ごとにグループ化することです。部品点数が多い分解図ほど、グループの考え方が見やすさを左右します。
例えば、駆動部分、支持部分、外装部分、配管部分、固定部分など、役割が近い部品を一つのまとまりとして扱います。各グループ内では細かな取付関係を示し、グループ同士の間隔は少し広めにすると、構造の階層を理解しやすくなります。
交換作業を説明する場合は、取り外す必要がある部品群と、取り外す必要のない部品群を分けて考えます。対象部品までの経路に関係する部品を一つのグループとして配置すると、作業範囲が伝わりやすくなります。
3D CADの構成ツリーにある階層を、そのまま分解図のグループとして使用できる場合もあります。ただし、設計上の階層と作業上のまとまりが一致するとは限りません。設計データでは部品の種類別に整理されていても、現場では工程別に取り外すことがあります。分解図の目的に合わせて、必要に応じてグループを再構成します。
グループ化した部品は、まず一体として大きく移動し、その後にグループ内の部品を段階的に分解すると作業しやすくなります。最初からすべての部品を個別に移動すると、全体の構造が崩れ、どの部品が同じ機構に属するのか分かりにくくなります。
色や表示状態を補助的に利用する方法もあります。主要構造を基準となる表示にし、説明対象のグループを見分けやすくすると、視線を誘導できます。ただし、色だけで部品の役割を区別すると、印刷条件や表示環境によって違いが分かりにくくなる場合があります。配置、間隔、注記などと組み合わせて使用することが重要です。
半透明表示も内部構造の確認に役立ちますが、部品数が多い状態で多用すると輪郭線が重なり、かえって複雑に見えます。基準となる外装部品だけを薄く表示するなど、対象を限定したほうが効果的です。
小さな部品が大量にある場合は、すべてを同じ詳細度で見せる必要があるかを検討します。一般的な固定部品を一つずつ大きく配置すると、本来説明したい主要構造が埋もれてしまいます。部品番号の照合が目的でなければ、同じ取付工程に属する固定部品をまとめて扱う方法もあります。
一方、締結方法や部品の向きが重要な場合は、小さな部品でも省略できません。その場合は、主要構造の分解図と、固定部分を拡大した詳細図を分けると見やすくなります。一枚の図にすべての情報を集約するより、目的ごとに図を分けたほうが誤解を防げます。
グループ化は、分解図を修正するときにも有効です。設計変更で一部の機構が変更された場合、該当グループだけを調整すればよく、他の部品配置への影響を抑えられます。
部品を機能単位で整理することは、部品表や作業工程との対応にも役立ちます。分解図、部品情報、作業手順のまとまりをそろえることで、資料全体の一貫性を保ちやすくなります。
コツ5 視点と注記の位置まで含めて配置を調整する
五つ目のコツは、3D空間で部品を並べるだけで作業を終えず、最終的な視点と注記の位置まで含めて調整することです。分解図の見やすさは、モデルの配置とカメラの設定を組み合わせて決まります。
視点を決める際は、完成品の特徴を認識しやすく、主要な分解方向を確認できる角度を選びます。正面だけでは奥行き方向の配置が重なりやすく、真横だけでは高さ方向の関係を把握しにくい場合があります。複数の面が見える斜め方向を基本とし、製品の構造に合わせて調整します。
部品を配置した後に視点を大きく変更すると、重なりや間隔が崩れることがあります。そのため、分解作業の初期段階で仮の視点を決め、配置を進めながら微調整する方法が効率的です。
透視による遠近感を強くすると、手前の部品が大きく、奥の部品が小さく表示されます。立体感は得られますが、部品寸法や位置関係を比較しにくくなる場合があります。技術資料では、遠近感を抑えた表示のほうが部品の対応を確認しやすいことがあります。
カメラの視線方向と部品の分解方向が完全に一致すると、部品同士が重なって距離を確認できません。分解方向を斜めから見られる位置へカメラを移動し、各部品の間に画面上の余白が生まれるようにします。
分解図へ部品番号や名称を追加する場合は、引出線が交差しない配置を目指します。部品配置だけを先に完成させ、最後に注記を入れると、注記の場所が足りなくなることがあります。初期段階から注記を置く側を想定し、その方向に余白を確保しておくことが重要です。
注記は、部品の輪郭や取付軸を隠さない位置へ配置します。引出線が他の部品を横切ると、どの部品を示しているのか分かりにくくなります。可能な範囲で引出線の方向をそろえ、視線が行き来しすぎないようにします。
部品番号の並び順も確認します。図の中で番号が不規則に散らばっていると、部品表との照合に時間がかかります。組立順、位置、機能グループなど、資料の目的に合った規則で番号を追えるように配置します。
形状が似た部品は、輪郭の違いが見える角度に調整します。正面から見ると同じ形に見える部品でも、少し視点を変えることで厚さ、穴位置、突起などの違いが確認できることがあります。ただし、個々の部品を別々の向きへ回転させると、取付方向が分かりにくくなります。基本姿勢を維持したまま、カメラ側を調整することが望ましいです。
最終確認では、3D CADの操作画面だけでなく、実際に使用する大きさで表示します。大きな画面では見えていた隙間や小さな部品が、資料へ配置した際には判別できないことがあります。印刷物、電子マニュアル、現場用端末など、利用環境を想定して確認します。
一枚の分解図に収めるために表示を縮小しすぎる場合は、図を分割する判断も必要です。全体構成を示す図と、詳細な機構を示す図を分ければ、それぞれに適した視点と縮尺を設定できます。
視点と注記を後工程として扱わず、部品配置と同時に設計することで、見た目だけでなく実務上も使いやすい分解図になります。
3D CADで分解図を作成する実務手順
3D CADで分解図を効率よく作成するには、一定の手順で進めることが重要です。最初に部品を適当に移動し、後から全体を整えようとすると、修正範囲が広がりやすくなります。
まず、完成状態の組立モデルを確認します。部品の不足、重複、位置ずれ、不要な補助部品などがないかを確認し、正しい完成状態を基準として保存します。分解図の作成中に元の配置が分からなくならないよう、完成状態を変更せずに残しておくことが大切です。
次に、分解図の目的を決めます。組立手順を示すのか、保守対象を説明するのか、部品構成を一覧化するのかによって、必要な部品や配置方法が変わります。利用者、使用場面、図の掲載サイズも考慮します。
目的が決まったら、主要な構造を確認し、基準軸と視点を設定します。この段階では細かな部品を移動せず、完成品をどの方向から見せるかを検討します。主要な取付面や中心線が見える視点を選びます。
続いて、機能や工程に応じて部品をグループ化します。外装、主要機構、固定部品、配管、交換対象などに整理し、どの順序で分解するかを決めます。構成ツリーの階層が目的に合わない場合は、分解図用のまとまりを別に考えます。
部品の移動は、大きなグループから始めます。外装部品や主要な構造体を移動し、全体の分解方向と必要な表示範囲を確認します。その後、各グループ内の部品を順番に配置します。
移動距離は、最初から細かく決める必要はありません。まずは重なりが解消される程度に仮配置し、全体のバランスを確認してから間隔を調整します。主要部品の間隔を決めた後、小さな部品や固定部品を配置すると、図全体を整えやすくなります。
部品を移動するたびに、元の取付軸や取付面との対応を確認します。斜め方向へずらしたほうが画面上では見やすくても、取付位置を誤解させる場合があります。見やすさと構造の正確さを両立させることが重要です。
大まかな配置が完成したら、部品同士の重なりを確認します。カメラから見て完全に隠れている部品だけでなく、輪郭線や穴位置が重なって判別しにくい部品も調整対象です。
次に、注記を配置します。部品番号や名称を仮置きし、引出線が交差する場所や余白が不足する場所を確認します。必要に応じて部品の間隔や視点を再調整します。
その後、表示する部品の範囲を見直します。説明に不要な部品や、別図で示したほうがよい部品が含まれていないかを確認します。情報を追加するだけでなく、不要な情報を減らすことも見やすさの改善につながります。
最後に、完成状態を知らない第三者の視点で確認します。部品がどこに取り付くのか、どの順序で組み立てるのか、同じグループに属する部品はどれかを読み取れるか確認します。
分解図を頻繁に作成する場合は、視点、移動方向、間隔、注記位置などの社内ルールを定めておくと効率化できます。作成者が変わっても図の見た目や情報の伝え方をそろえやすくなります。
分解図の部品配置で起こりやすい失敗
分解図で起こりやすい失敗の一つは、部品を離しすぎることです。重なりを避けるために大きく移動すると、元の取付位置との関係が分かりにくくなり、図全体の表示範囲も広がります。結果として縮小表示が必要になり、小さな部品を確認しにくくなります。
反対に、部品の間隔が狭すぎる場合も問題です。外形が接近しているだけでなく、輪郭線や穴位置が重なると、別々の部品であることが伝わりません。単に隙間があるかどうかではなく、それぞれの特徴を確認できるかを判断します。
部品の移動方向が不規則な分解図も見にくくなります。空いている方向へその都度移動すると、どの取付位置に対応するのかを追えません。分解方向は、実際の取付方向と基準軸を優先して決めます。
完成状態での向きを無視して部品を回転させることも、よくある失敗です。特徴的な面を見せるために部品を回転させると、形状は理解しやすくなっても、組立方向を誤認する可能性があります。詳細形状を見せる必要がある場合は、別の詳細図を用意したほうが安全です。
小さな固定部品をすべて強調しすぎると、主要構造が目立たなくなります。ボルトなどの部品番号が必要な場合でも、主要部品との位置関係を維持し、図全体の情報量を調整します。
色を多用することも注意が必要です。多数の色を使うと一見分かりやすく見えますが、色の意味を覚えなければ構造を理解できない図になりやすくなります。色は機能グループや説明対象の強調など、限定した目的で使用することが望ましいです。
注記を詰め込みすぎると、引出線が交差し、部品形状を隠します。すべての部品名を一枚の図へ記載する必要があるかを見直し、部品番号と部品表を組み合わせる方法も検討します。
3D CADの画面上だけで確認を終えることも失敗につながります。操作画面では自由に拡大や回転ができるため、多少見にくい配置でも内容を確認できます。しかし、固定された画像や資料では視点を変更できません。最終的な表示状態で理解できるかを確認する必要があります。
分解図の更新漏れにも注意が必要です。設計変更後も古い分解図を使用すると、部品形状、数量、取付位置などに不整合が生じます。組立モデルと分解図の更新手順を決め、変更箇所を確認できる運用が必要です。
分解図だけを作成し、部品表や作業手順との対応を確認しないことも問題です。図の番号と部品表の番号が一致していなければ、見やすい配置であっても実務では使いにくくなります。
見た目を整えることと、情報を正しく伝えることは同じではありません。分解図では、配置の美しさよりも、取付位置、方向、順序、部品のまとまりが誤解なく伝わることを優先します。
3D CADの分解図を現場で活用する方法
3D CADで作成した分解図は、設計部門だけでなく、製造、施工、保守、教育などの現場でも活用できます。用途に応じて見せ方を調整することで、二次元図面や文章だけでは伝えにくい構造を共有できます。
組立作業では、工程ごとに分解状態を分けて表示すると、作業者が次に取り付ける部品を確認しやすくなります。一枚の図に全工程を収めるのではなく、主要な工程ごとに分解状態を保存し、順番に閲覧できるようにする方法が有効です。
保守作業では、交換対象の部品へ到達するまでに取り外す部品を示します。交換しない部品を必要以上に分解すると、作業範囲を誤解させるため、対象部品に関係する構造へ情報を絞ります。
現場教育では、完成状態と分解状態を見比べることで、外から見えない内部構造を説明できます。新人担当者が部品名称と位置関係を覚える際にも役立ちます。
検査や品質確認では、部品の取付方向、数量、接続関係などを確認する資料として利用できます。ただし、分解図だけでは寸法や許容差を十分に示せない場合があるため、必要な図面や検査資料と組み合わせて使用します。
建設や設備管理の現場では、設計上の部品配置と実際の現場状況を照合する必要があります。周辺構造物や設置場所を三次元情報として記録しておけば、3D CADモデルと現場の位置関係を確認しやすくなります。
現場の形状を三次元で取得できるLRTK Phoneを活用すると、設備や構造物の周囲を記録し、設計モデルと現況を比較するための情報として整理できます。分解図で部品構成を理解し、現場で取得した三次元情報で設置状況を確認することで、設計と現場の間にある認識差を減らしやすくなります。
ただし、3D CADモデルと現場で取得した情報を組み合わせる際は、座標、向き、縮尺、基準位置などを確認することが重要です。表示上で重なっているだけでは、位置が正しく一致しているとは限りません。利用目的に必要な精度や確認方法をあらかじめ定めます。
分解図を現場端末で閲覧する場合は、表示サイズや操作性も考慮します。細かな部品を大量に表示するより、作業工程ごとに必要な範囲を分けたほうが確認しやすくなります。
また、現場で判明した組立上の注意点や干渉箇所を設計側へ戻し、分解図や3D CADモデルを更新する流れを整えることも重要です。分解図を一度作成して終わりにせず、作業実績や保守記録を反映する資料として運用すると、次回以降の作業にも活用できます。
3D CADの分解図と現場の三次元情報を別々に管理するのではなく、目的に応じて関連付けることで、設計確認、施工説明、保守計画などに利用できる情報が増えます。
まとめ
3D CADで見やすい分解図を作成するには、部品を単純に外側へ移動するのではなく、構造と利用目的に基づいて配置を設計する必要があります。
最初に組立基準となる軸や中心線を決めることで、部品の取付位置を追いやすくなります。部品の役割に応じて間隔へ強弱を付ければ、主要構造と付属部品の違いを伝えられます。
移動方向を実際の組立順序と対応させることも重要です。部品がどの方向から取り付くのかを分解図から読み取れるようにすると、作業手順の理解を助けられます。
部品点数が多い場合は、機能や工程ごとにグループ化し、全体から詳細へ段階的に配置します。さらに、最終的な視点、表示サイズ、注記の位置まで含めて確認することで、資料として使いやすい分解図になります。
見やすさを優先するあまり、部品を実際には取り外せない方向へ移動したり、取付時とは異なる向きへ回転させたりしないことも大切です。分解図は形状を見せるだけでなく、位置、方向、順序、部品同士の関係を正しく伝えるための情報です。
完成状態を知らない人が見ても構造を理解できるか、組立順序を推測できるか、部品表と照合できるかという観点で確認すると、改善点を見つけやすくなります。
3D CADの分解図を設計資料として整えた後は、実際の設置場所や周辺形状との関係も確認することで、活用範囲を広げられます。現場の三次元情報を取得し、設計モデルと現況を結び付けたい場合は、次の段階としてLRTK Phoneの活用を検討するとよいでしょう。