3D CADの断面表示が内部干渉の確認に必要な理由
3D CADで部品や装置を設計するとき、外観だけを見ていると内部の問題を見逃す可能性があります。画面上では各部品が整然と収まり、外側から見た形状に問題がないように見えても、筐体の内側ではねじの先端が基板へ近づいていたり、配線が可動部品の軌跡へ入り込んでいたりすることがあります。
内部干渉は、二つのソリッド形状が重なっている状態だけではありません。公称形状では接触していなくても、必要な隙間が不足していれば、寸法公差、組立位置のばらつき、軸の振れ、荷重によるたわみ、熱膨張、振動などによって実物で接触する可能性があります。設計上は接触が許容される箇所でも、接触する位置や面圧が意図と異なれば、摩耗、異音、動作不良につながることがあります。
断面表示を使うと、モデルの一部を仮想的に切り取り、通常は外側から見えない内部構造を確認できます。外装の裏側に隠れたリブ、ボス、ねじ、軸、配管、配線などを露出できるため、部品同士の位置関係や隙間を把握しやすくなります。
ただし、一つの断面を表示しただけで、内部干渉を網羅できるわけではありません。切断面が問題箇所からずれていれば、その形状は断面の奥に残ります。一方向だけの確認では、奥行き方向の接近、斜めに配置された部品、曲面同士の局所的な最小隙間を見逃すこともあります。
断面表示を効果的に使うには、どこを、どの方向から、どの状態で確認するかを決める必要があります。締結部では軸を含む断面、可動部では複数の動作位置や掃引範囲、配線や配管では経路に沿う断面と横切る断面を使い分けます。断面表示に距離測定、干渉検出、クリアランス解析、モーション確認などを組み合わせると、単なる見た目の確認から設計条件に基づく検証へ進められます。
内部の問題を設計段階で発見できれば、試作後の削り直し、部品の再製作、組立順序の変更、配線経路の修正などを減らしやすくなります。3D CADの断面表示は、形状の重なりだけでなく、製造性、組立性、保守性を検討するための実務的な確認手段です。
断面確認を始める前に整えるべきモデルの状態
断面表示を始める前に、3D CADモデルが設計意図どおりの状態になっているかを確認します。配置や形状が誤ったままでは、断面で見えた隙間や接触を正しく評価できません。
アセンブリでは、各部品の位置を決める拘束、ジョイント、基準面、中心軸などが適切に設定されている必要があります。仮置き部品が自由に動く状態や、本来の取付面からわずかに浮いた状態では、隙間を正しく判断できません。固定部品は固定条件を確認し、可動部品は許容される自由度と移動範囲を明確にします。
非表示や除外になっている部品も確認します。設計中は表示を軽くするために、ねじ、ワッシャー、スペーサー、端子、クランプ、カバーなどを一時的に隠すことがあります。そのまま断面確認を行うと、本来の干渉相手が存在しない状態で判断することになります。
小さな部品は外観への影響が少ない一方、内部の高さや突出量を変えます。ワッシャーの追加でねじ込み長さが減る、スペーサーで部品位置が変わる、端子カバーで必要空間が増えるといった影響があります。確認対象の周辺では、合否判断に必要な部品を省略しないことが大切です。
大規模アセンブリで簡略モデルを使う場合は、省略内容を把握します。穴、端子、突起、ケーブル出口、締結部品などが省略されたモデルは全体配置の確認には便利ですが、詳細な内部干渉の評価には不十分な場合があります。対象領域だけでも詳細モデルへ切り替え、実際の外形や接続部を表示します。
断面表示で見える形状は通常、公称寸法を基準とした状態です。実物では寸法公差や組立公差が重なり、隙間が増減します。公称状態の隙間だけで合否を決めず、必要に応じて最大実体条件、最悪組合せ、統計的なばらつきなど、設計方針に合った評価方法を選びます。
樹脂、ゴム、ばね、ケーブル、ホースなどは、組立時や使用時に変形します。剛体モデルで重なっていないことは一つの確認結果にすぎません。変形方向、予想される変位、必要な逃げを整理し、必要なら変形後の代表形状や包絡形状を作ります。
また、干渉チェック機能や接触判定の設定は3D CADごとに異なります。接触を干渉として扱うか、微小な重なりを無視するか、非表示部品や簡略部品を対象に含めるかを確認します。確認前に合否基準と解析条件をそろえることで、担当者ごとの判断差を減らせます。
確認箇所1 締結部品と接合部の奥
最初に確認したいのが、ねじ、ボルト、ナット、ワッシャー、ピン、スペーサーなどが集まる接合部です。締結部品は外から見える頭部だけでなく、内部へ入り込む軸部や先端を持つため、外観上は問題がなくても内部で別部品へ接近することがあります。
ねじやボルトを確認するときは、原則として中心軸を含む断面を作ります。中心から外れた断面では、穴底、ねじ込み長さ、座面、先端突出量の関係を読み違える可能性があります。頭部、座面、ワッシャー、締結対象、軸部、先端、穴底までを連続して表示します。
止まり穴では、CAD上の穴深さと実際に利用できる有効深さを同一視しないことが重要です。ドリル先端形状、ねじの不完全山、切りくず逃げ、底部の面取りなどにより、呼び深さのすべてを有効ねじ長さとして使えない場合があります。使用する加工方法、ねじ規格、社内設計基準に基づいて必要な余裕を設定します。
締結部品が穴底へ先に当たると、頭部や座面で相手部品を十分に締め付けられない可能性があります。反対に、ねじ込みが短すぎれば、必要な保持力を得られない場合があります。適切なねじ込み長さは材質、ねじ径、荷重、締結方式などに依存するため、一律の数値で判断せず設計条件と照合します。
貫通穴では、先端の突出量と周辺部品との距離を確認します。基板、配線、配管、可動部品、作業者が触れる領域などに先端が近づいていないかを見ます。ねじ長さやワッシャー構成を変更したときは、頭部側だけでなく先端側の断面も更新します。
ナットを使用する場合は、完成位置だけでなく工具空間も確認します。ナットの外形がリブや壁面に重なっていなくても、工具を差し込む幅や回転させる角度が不足すれば、締結作業が難しくなります。必要なら工具を簡略形状で配置し、ナット、工具、周辺形状の関係を断面で確認します。
ピンや軸を差し込む構造では、最終位置だけでなく挿入経路を見ます。完成状態では重なりがなくても、挿入途中で段差、リブ、配線などへ当たることがあります。挿入開始から最終位置までの代表姿勢を再現し、傾けずに入れられるか、必要な案内形状があるかを確認します。
圧入やシールの圧縮では、設計上意図した重なりが干渉として検出される場合があります。意図的な締め代と不要な形状干渉を分け、入口の面取り、案内部、圧入区間、突き当て面、周辺の薄肉部まで確認します。単に干渉表示を除外するのではなく、重なり量と位置が設計条件に合っているかを判断します。
接合部は小さな部品が集中し、変更の影響も連鎖しやすい場所です。締結部品単体ではなく、相手部品、周辺リブ、挿入経路、工具空間、保守時の取り外し方向まで含めて確認します。
確認箇所2 可動部品の移動範囲
可動部品の干渉は、静止状態だけでは発見できないことがあります。回転、直線移動、開閉、揺動、伸縮によって位置や姿勢が変わり、途中位置で周辺部品へ最も近づく場合があるためです。
確認時は、基準位置、動作範囲の両端、中間位置を表示します。ただし、数個の代表位置だけで全軌跡を保証できるとは限りません。リンク機構、偏心機構、カム機構などでは、端点以外で最小隙間になることがあります。利用できる場合はモーション機能、掃引体、包絡形状、軌跡表示などを併用します。
回転部品では、回転軸に直交する断面と、回転軸を含む断面の両方が役立ちます。軸に直交する断面では回転半径と周辺形状の隙間を、軸を含む断面では軸方向の位置、端面、保持部品、抜け止めとの関係を確認できます。
羽根、レバー、歯車、ローラーなどの先端は、現在位置の外形より広い領域を通過します。回転中の占有領域を表す補助形状を作り、筐体、配線、固定具との干渉を確認すると、姿勢ごとの見落としを減らせます。
直線移動する部品では、移動方向に沿う断面を作ります。ガイド、ストッパー、カバー、センサー、配線との関係を見ながら、開始位置から終了位置まで確認します。予定したストローク端へ到達する前に別形状が接触していないか、ストッパーが意図した面で受けているかを見ます。
軸受やガイドの支持状態は機構によって異なります。すきまを持つ構造だけでなく、予圧を与える構造、弾性部品で保持する構造もあります。そのため、理想的な中心位置だけでなく、設計で想定する偏り、傾き、取付誤差、弾性変位、軸振れを反映した状態でも必要な隙間が残るかを確認します。
ばねや樹脂部品など、動作に伴って変形する部品にも注意します。変形前のモデルだけでは最大変位時の接触を評価できません。解析結果がある場合は変形形状を参照し、解析を行わない場合でも、変形方向と最大変位の想定に基づく逃げ空間を設けます。
可動部へ接続されるケーブルやホースは、部品の動きに追従して経路が変わります。可動部だけを移動させ、接続物を初期形状のままにすると、引張り、折れ、ねじれ、巻き込みを再現できません。最短位置、最長位置、中間位置で経路を更新し、必要なら曲げ半径や余長を含む包絡領域を設定します。
可動部の干渉は、異音、摩耗、発熱、動作不良、破損の原因になり得ます。静止した公称モデルだけでなく、全動作範囲、支持部のばらつき、変形、接続物の追従を含めて確認することが重要です。
確認箇所3 配線・配管・ケーブルの通過経路
配線、配管、ケーブル、ホースなどは、内部干渉を見逃しやすい要素です。細長い形状が複数部品の間を通り、固定方法、組立順序、可動状態によって位置が変わるためです。
経路に直交する断面では、通路の有効幅、高さ、周囲との隙間を確認できます。経路に沿う断面では、曲げ部、固定位置、接続部、出口までの連続状態を確認できます。直線区間だけでなく、曲がり、分岐、コネクタ直前など、形状が変化する位置に断面を追加します。
貫通穴や内部通路では、ケーブルや管の外径だけで判断しないことが重要です。複数本の束、保護チューブ、編組、コネクタ、継手、クランプなどにより、一部だけ外形が大きくなる場合があります。斜めに通す場合は、投影上必要になる開口も増えます。
経路を中心線だけで表すと、周辺部品との隙間を評価できません。確認対象では、外径を持つソリッドやチューブ形状として表し、被覆、保護材、束ねた状態を含めた占有範囲を確認します。柔軟部品では公称経路に加え、想定される振れやたわみを包絡形状で表す方法も有効です。
曲げ部では、使用する部材の仕様やメーカー資料、社内基準に基づく最小曲げ半径を確認します。3D CAD上で形状が収まっていても、実物で許容できない急曲げになっている可能性があります。曲げの外側は周辺部品へ近づきやすく、内側はつぶれや局所的な応力が生じやすいため、断面を移動させながら曲げ全体を見ます。
固定具の位置だけでなく、固定点間の自由区間も確認します。クランプ部で隙間があっても、中間部が自重や振動でたわみ、筐体や可動部品へ接触する場合があります。振動環境では、固定具の保持力、部材の剛性、許容される振れ幅を踏まえて離隔を設定します。
接続部では、接続後の状態だけでなく、差し込み、ロック、締結、取り外しに必要な空間を確認します。コネクタや継手が最終位置に収まっていても、接続方向へ移動できなければ組み付けられません。指や工具でロックを操作できるか、曲げを加えずに抜き差しできるかも重要です。
可動部へ接続される経路では、最短位置と最長位置の両方を確認します。短すぎれば最大移動時に引っ張られ、長すぎれば余長が別部品へ巻き込まれる可能性があります。動作途中で曲げ位置が一点へ集中しないか、ねじれが蓄積しないかも見ます。
配線と熱源、信号線とノイズ源、異種配管同士などは、形状が重ならなくても機能上の離隔が必要な場合があります。必要距離は電圧、温度、流体、材料、規格、社内基準などによって異なります。断面表示では重なりの有無だけでなく、要求された離隔が確保されているかを測定機能で確認します。
配線や配管は組立後に見えにくく、問題発生後の原因調査が難しくなりがちです。経路全体を実体形状として表し、固定、曲げ、接続、可動追従まで複数断面で確認することが、見落とし防止につながります。
確認箇所4 リブ・ボス・薄肉部の周辺
筐体や成形部品の内部に設けるリブ、ボス、補強壁、段差は、内部空間を狭くする要因になります。外側から見えにくいため、設計変更後に別部品へ入り込んでも通常表示では気づきにくい場所です。
リブは、横切る断面と、長手方向に沿う断面の両方で確認します。横切る断面では厚み、高さ、周辺部品との距離を、長手方向の断面では途中の段差、端部、別リブとの交差を確認できます。
内部部品の位置や外形を変更したときは、既存のリブや補強壁との関係を再確認します。部品側だけを修正すると、過去の配置に合わせた補強形状が新しい部品へ干渉することがあります。変更部品の周辺を一括して断面表示し、局所修正の影響を追います。
ボスは外壁から内部へ大きく突出し、ねじ穴、位置決め穴、補強リブを伴うことがあります。中心の円筒だけでなく、外周、根元、補強部、締結部品の先端を含めて確認します。基板、配線、可動部品が近い場合は、ボス全体の占有範囲を複数方向から見ます。
薄肉部では、部品同士の干渉だけでなく、局所肉厚の不足にも注意します。穴、溝、座ぐり、逃げ形状を追加した結果、外壁との間に薄い領域が残ることがあります。面が存在するだけでは、製造性や強度が十分とは判断できません。
曲面や傾斜面の肉厚を確認するときは、断面に表示された見かけの長さをそのまま壁厚と扱わないことが重要です。切断面が壁面に対して斜めであれば、表示される長さは面の法線方向に測った実肉厚より大きく見える場合があります。最短距離測定、法線方向の測定、肉厚解析など、利用できる機能を使って評価します。
断面を平行移動して形状変化を追うことは有効ですが、それだけで三次元形状全体の最小肉厚を保証できるとは限りません。複雑な曲面や自由曲面では、肉厚解析や距離マップなどを併用し、局所的な薄肉部を探します。
リブ同士の交差部では、その部分だけ材料が集中したり、内部への突出が大きくなったりします。近くに配線や部品がある場合は交差部を通る断面を作ります。樹脂成形品では、肉厚の急変が成形状態や外観へ影響する可能性もあるため、材料、成形条件、設計基準に照らして検討します。
中空部品では、内部通路が入口から出口まで連続しているかを確認します。外観上は一つの空洞に見えても、内部リブや仕切りで経路が分断される場合があります。後から配線や配管を通す構造では、通過物の外形と挿入姿勢を含めて経路を追います。
リブやボスでは製造方法も考慮します。切削工具の接近方向、成形品の抜き方向、鋳造や積層造形で必要な条件などは工法によって異なります。断面上で工具や型の動きを想定し、完成状態だけでなく作り方との整合も確認します。
補強形状は強度を確保するために必要ですが、内部空間、肉厚、製造性との両立が求められます。追加した形状が別機能を妨げていないかを、断面表示と測定機能で確認します。
確認箇所5 組立・工具・保守に必要な空間
3D CAD上で部品同士が重なっていなくても、実際に組み立てられるとは限りません。完成位置へ運ぶ経路がない、工具が入らない、接続部を操作できない、保守部品を引き抜けないといった問題があるためです。
組立性を確認するときは、最終位置だけでなく挿入方向に沿う断面を作ります。上から入れる、横から差し込む、斜めに入れて回転させるなど、実際の工程に合わせて部品を移動させます。途中姿勢でリブ、ボス、締結部品、配線へ接触しないかを見ます。
単純な直線挿入でも、部品の最大外形が通過できるとは限りません。取付部の入口、途中の狭窄部、最終位置の三つを確認し、必要な案内すきまを確保します。柔軟部品を変形させて入れる場合は、許容変形量や作業性を別途評価します。
複雑な部品を傾けて組み付ける場合は、姿勢変更に必要な回転空間を確認します。数個の静止姿勢だけでは途中の接触を見逃すことがあるため、可能ならモーション機能や掃引体を使って通過領域を確認します。
工具空間では、工具先端が締結部へ届くだけでなく、工具本体、ソケット、ビット、ハンドルなどが周辺形状へ当たらないかを見ます。工具を押し込む方向、回転させる方向、トルクをかけるための姿勢も考慮します。
正確な工具モデルがなくても、必要直径や長さを表す円筒、円錐、直方体などの簡略形状を置けば、作業空間を確認できます。ただし、簡略形状の寸法は実際に使用する工具や治具を基準にします。
保守作業では、交換対象部品の取り外し方向、カバーを外す順序、固定部品へアクセスする方向を確認します。消耗品や定期点検部品の交換に多数の周辺部品を外す必要がある構造は、保守時間や作業ミスの増加につながる可能性があります。
接続部を外せるか、ロックを解除できるか、配線固定具へ工具が届くか、交換部品を安全に保持できるかも確認します。完成位置で適切に固定されていても、固定作業や解除作業の方向が確保されていなければ実際の工程は成立しません。
組立順序によって空間条件が変わる場合は、工程ごとのモデル状態を作ります。先に取り付けた部品が後工程を妨げる、ねじを事前に入れなければ後から挿入できない、配線を先に通さなければ接続できないといった問題を確認できます。
内部干渉の確認は、完成形状で重なりがないことだけを確かめる作業ではありません。部品を運び、姿勢を変え、工具を操作し、点検や交換を行えることまで確認して、実用的な設計検証になります。
断面の方向と位置を変えて見落としを減らす方法
断面表示の確認精度は、切断面の方向と位置に左右されます。一方向だけでは、奥行き方向にずれた干渉、断面と平行に伸びる部品、曲面同士の局所的な接近を見逃す可能性があります。
最初は正面、側面、上面に相当する主要基準面で切断し、内部構造の全体像を把握します。その後、中心軸、移動方向、挿入方向、接続方向など、確認目的に合わせた断面を追加します。
軸、穴、ねじ、配管などの円筒形状では、中心軸を含む断面が有効です。ただし、周辺との最小距離が必ずその断面内に現れるとは限りません。相手形状が偏っている場合や斜めに配置されている場合は、複数断面や最小距離測定を併用します。
曲面や斜めの部品では、主要基準面だけでは距離や肉厚を正しく読み取れない場合があります。確認したい面に直交する断面を作り、必要に応じて法線方向の距離を測ります。
局所的な形状変化を追うときは、断面を平行移動させます。一つの位置だけでは見えない段差、リブ端部、穴の近傍、曲げ部などを連続的に確認できます。ただし、平行移動だけで三次元全体を保証できないため、方向の異なる断面も追加します。
表示する側を反転すると、別部品の陰に隠れていた形状が見やすくなることがあります。複数断面を同時に使える場合は、二方向から切り開いて内部を露出させる方法も有効です。
広い範囲を切り取りすぎると、干渉相手や基準形状まで消え、位置関係を判断しにくくなります。筐体だけを切断して内部部品の全体形状を残す、関連部品だけを同一面で切断するなど、目的に応じて切断対象を選びます。
透明表示との併用も有効ですが、透明面が多数重なると視認性が低下します。確認対象と基準になる周辺部品だけを残し、色分けや輪郭表示が使える場合は識別しやすい状態にします。
断面位置や表示状態を保存できる場合は、設計レビュー用として登録します。変更前後を同じ視点で比較できるため、隙間の増減や形状変更の影響を追いやすくなります。
断面表示は内部を露出させる手段であり、それ自体が最小隙間や最小肉厚を自動的に保証するものではありません。確認目的に合う方向を選び、測定、解析、モーション確認を組み合わせることが重要です。
干渉チェック機能と断面表示を組み合わせる手順
多くの3D CADには、部品同士の体積重なりを検出する干渉チェック機能があります。機能名、接触の扱い、許容差、対象範囲はソフトウェアや設定によって異なるため、使用環境の仕様を確認します。
最初に、確認対象を機能や領域ごとに分けます。筐体と内部部品、可動部品と固定部品、配管と構造部品などに分けると、結果を整理しやすくなります。アセンブリ全体を一度に検査すると、意図的な接触や関係の薄い組合せが多数表示され、重要な問題が埋もれる場合があります。
干渉が検出されたら、その場所を通る断面を作ります。干渉領域だけを拡大するのではなく、支持部品、締結部品、基準面、周辺の逃げ形状まで含めます。周辺構造を確認することで、原因と修正対象を判断しやすくなります。
圧入、シール圧縮、かしめなどでは、意図した重なりが検出されることがあります。これらを一律に除外せず、重なり量、位置、接触範囲が設計条件に合っているかを断面と寸法で確認します。確認済みの意図的干渉は、理由と条件を記録して管理します。
干渉が検出されなくても、必要な隙間が確保されているとは限りません。干渉チェックは主に体積の重なりを調べる機能であり、隙間不足、公差の積み上げ、振動による接近、変形後の接触まで自動的に保証するものではありません。
断面で対象箇所を見やすくしたうえで、距離測定、クリアランス解析、肉厚解析などを使います。可動部品では代表位置だけでなく掃引範囲を確認し、ケーブルやホースでは振れや曲げを含む包絡形状を設定します。
設計変更後は、変更部品だけでなく周辺も再検査します。ある干渉を避けるために部品を移動した結果、別部品との隙間が減ることがあります。保存した断面と同じ条件で再確認し、変更の副作用を追います。
干渉チェックは広い範囲から体積重なりの候補を抽出する手段であり、断面表示は原因、周辺構造、組立条件を詳しく確認する手段です。測定やモーション確認を加えることで、自動検出だけに依存しない検証ができます。
断面確認を設計レビューへ定着させるポイント
断面確認を設計者個人の経験だけに任せると、見る場所や判断基準にばらつきが生じます。内部干渉を継続的に減らすには、設計レビューの標準項目として運用することが重要です。
製品や装置ごとに、標準的な断面位置を決めます。主要な締結部、可動部、配線経路、内部リブ、組立作業部、保守交換部など、問題が起きやすい場所を選びます。
保存した断面には、確認目的が分かる名称を付けます。締結部先端、可動端隙間、配線通路、工具接近、交換経路など、見るべき内容が分かる名称にすると、レビュー参加者が同じ観点で判断できます。
レビューでは、干渉の有無だけでなく、必要隙間、公差、組立順序、工具空間、保守経路、製造方法も確認します。断面表示により、設計、製造、組立、保守の担当者が同じ内部構造を見ながら議論できます。
問題が見つかった場合は、対象部品、切断方向、断面位置、モデル状態、問題内容、合否基準を記録します。「内部で干渉している」だけでは、修正担当者が同じ状態を再現できないことがあります。
修正後は同じ断面位置と同じ動作状態で再確認します。表示条件が変わると改善前後を比較しにくくなります。干渉が解消されたかだけでなく、別の隙間不足や薄肉部が生じていないかも確認します。
大規模アセンブリでは、駆動部、電装部、配管部、外装部などの機能単位に分けて確認します。最後に単位間の境界を重点的に見ます。境界部では、担当範囲の違いによって配線、固定具、工具空間などの取り合いが抜けやすいためです。
断面確認は設計工程の最後だけでなく、基本配置、詳細設計、試作前など複数の節目で行います。初期段階では部品配置と組立方向を、詳細段階では締結部、リブ、配線、工具空間を確認します。早い段階で問題を見つけるほど、修正範囲を抑えやすくなります。
過去の不具合も標準断面へ反映します。試作や量産で見つかった問題について、どの断面や条件で確認すれば事前に発見できたかを整理し、次回の確認項目へ追加します。
断面表示を日常的な設計レビューへ定着させれば、特定の担当者の経験だけに頼らず、一定の手順で内部構造を確認できます。確認条件を標準化し、変更後も同じ条件で再検証することが、再発防止につながります。
まとめ
3D CADの断面表示は、外側から見えない内部構造を露出させ、部品の重なり、隙間不足、組立上の問題を確認するために有効です。ただし、一つの断面や静止状態だけで、すべての内部干渉を確認できるわけではありません。
重点的に見るべき場所は、締結部品と接合部の奥、可動部品の移動範囲、配線や配管の通過経路、リブやボスと薄肉部の周辺、組立や工具や保守に必要な空間の五つです。
締結部では中心軸を含む断面を作り、穴底、有効ねじ長さ、先端突出量、工具空間を確認します。可動部では両端と中間位置だけでなく、必要に応じて掃引体やモーション機能を使い、全軌跡の占有範囲を確認します。
配線や配管は中心線だけでなく外径を持つ形状として表し、曲げ半径、固定点間のたわみ、接続操作、可動への追従を確認します。リブやボスでは補強形状の突出、局所肉厚、製造方法との整合を見ます。曲面の肉厚は斜め断面の見かけ寸法だけで判断せず、法線方向の測定や肉厚解析を併用します。
組立性では完成位置だけでなく、挿入経路、姿勢変更、工具操作、保守部品の取り外し方向まで確認します。形状が重なっていなくても、組立や交換ができなければ実用的な設計とはいえません。
また、公称形状で干渉していないことだけを合格条件にせず、寸法公差、組立誤差、熱変化、振動、変形、軸振れなどを考慮した隙間を確認します。干渉チェックで体積重なりの候補を抽出し、断面表示、距離測定、クリアランス解析、モーション確認で詳しく評価します。
確認した断面位置とモデル状態を保存し、設計レビューの標準項目として運用すれば、変更前後を同じ条件で比較できます。断面表示を単なる見やすさの機能ではなく、合否基準に基づく検証手順として使うことが、内部干渉の見落としを減らす近道です。