LRTKレフィクシア株式会社

3D CADの軽量化設計で強度不足を避ける6つの判断基準

製品や装置の軽量化は、材料費の削減、搬送性の向上、駆動部の負荷低減、省エネルギー化などにつながる重要な設計課題です。3D CADを活用すれば、形状を確認しながら肉厚を減らしたり、不要部分を除去したり、リブや中空構造を追加したりできるため、従来よりも効率的に軽量化案を検討できます。

しかし、単純に体積や質量を減らせばよいわけではありません。荷重を受ける部分まで削りすぎると、破損しなくても変形によって機能が損なわれたり、繰り返し荷重によって早期に亀裂が生じたりするおそれがあります。静的な強度だけを確認して問題がないと判断しても、座屈、疲労、振動、締結部の緩み、製造ばらつきなど、別の要因によって不具合が発生することもあります。

安全な軽量化設計を進めるには、3D CAD上の形状だけでなく、荷重条件、力の流れ、変形量、破損形態、製造条件、実機検証までを一つの流れとして確認する必要があります。本記事では、3D CADを使って軽量化を検討する実務担当者に向けて、強度不足を避けるための6つの判断基準を詳しく解説します。

3D CADによる軽量化設計で起こりやすい問題

3D CADを用いた軽量化では、モデルの体積や質量を数値で確認しながら形状を変更できます。そのため、目標質量に近づける作業自体は比較的進めやすいといえます。一方で、質量の数値だけに注目すると、実際の使用条件に対する強度や剛性が不足する危険があります。

代表的な方法は、部品の肉厚を薄くすることです。平板や筐体の壁を薄くすると、体積を効率よく減らせますが、曲げに対する剛性は大きく低下する場合があります。荷重の大きさが同じであっても、たわみが増えることで隣接部品と接触したり、軸の位置がずれたり、密封面に隙間が生じたりする可能性があります。

不要に見える部分へ穴や肉抜きを設ける方法にも注意が必要です。荷重が小さい領域を適切に除去すれば有効ですが、穴の角部や幅が急激に変わる部分には応力が集中しやすくなります。全体の平均的な応力が低くても、局所的な応力が高くなれば、亀裂の起点になることがあります。

リブを追加して薄肉化する設計も一般的です。ただし、リブの根元に急な段差がある場合や、リブが荷重方向と合っていない場合には、期待した補強効果を得られないことがあります。補強材を増やしたことで質量が増えたにもかかわらず、必要な方向の剛性がほとんど向上しないケースもあります。

また、3D CAD上では理想的な形状を作成できても、実際の加工や成形では同じ形状を再現できるとは限りません。薄すぎる壁、深い中空部、工具が届かない隅、急激な肉厚変化などは、加工不良や成形不良の原因になります。軽量化形状が製造上の制約に合わなければ、設計変更や追加工が必要となり、結果として重量や工数が増える可能性があります。

軽量化設計では、削減できた質量だけでなく、機能、強度、剛性、耐久性、製造性を同時に評価することが重要です。3D CADは形状検討の中心的な道具になりますが、モデルを軽くする操作と、製品として成立させる判断は分けて考える必要があります。

判断基準1 使用状態に合った荷重条件を設定できているか

強度不足を避ける最初の判断基準は、実際の使用状態に合った荷重条件を設定できているかどうかです。どれほど詳細な3D CADモデルを作成しても、入力する荷重や拘束条件が現実と異なれば、解析結果を設計判断に利用することはできません。

設計初期には、部品へ加わる力を整理します。自重、搭載物の重量、操作力、締付力、圧力、加速度、衝撃、温度変化など、使用中に発生し得る条件を洗い出します。通常運転時の荷重だけでなく、起動時、停止時、搬送時、組立時、保守時、誤操作時なども確認する必要があります。

特に注意したいのが、瞬間的に発生する荷重です。通常状態では小さな力しか受けない部品でも、落下、急停止、衝突、段差通過などによって大きな慣性力が生じる場合があります。軽量化によって断面積を減らした部品は、このような短時間の荷重に対して余裕が小さくなることがあります。

解析時の拘束条件も重要です。3D CAD上で面全体を完全に固定すると、計算は安定しやすくなりますが、実際の支持状態よりも剛性を高く見積もる可能性があります。実物がボルト、軸受、ヒンジ、ゴム部品などを介して支持される場合は、変位や回転が一定程度許容されます。固定方法を過度に単純化すると、応力の分布や変形の方向が現実と異なることがあります。

締結部を含む構造では、ボルトの締付力や接触状態も無視できません。部品同士が常に完全に一体化しているとは限らず、荷重によって接触面が開いたり、滑ったりすることがあります。軽量化によって締結部周辺の剛性が下がると、接触状態が変化し、特定のボルトや座面へ荷重が偏る可能性があります。

荷重条件を設定するときは、一つの代表値だけで判断しないことが大切です。荷重の方向や作用位置が変化する製品では、複数の条件を作成して比較します。たとえば、正面からの荷重には強くても、斜め方向やねじり方向には弱い形状があります。軽量化によって対称性が崩れた場合には、従来は問題にならなかった方向の変形が増えることもあります。

安全率についても、すべての部品へ同じ値を機械的に適用するのではなく、荷重の不確かさ、材料特性のばらつき、破損時の影響、検査のしやすさなどを踏まえて設定します。数値解析で得られた最大応力が材料の基準値を下回っていても、それだけで安全性が確定するわけではありません。入力条件の誤差や実機との差を含めた余裕を確認する必要があります。

3D CADモデルの軽量化を始める前に、どの荷重条件を守る設計なのかを明確にしておくと、削ってよい部分と残すべき部分を判断しやすくなります。質量の目標値より先に、設計上守るべき使用条件を定義することが重要です。

判断基準2 荷重を伝える経路が途切れていないか

二つ目の判断基準は、荷重を伝える経路が途切れていないかどうかです。構造物へ加わった力は、材料内部を通って支持部や締結部へ伝わります。この力の流れを考えずに肉抜きや薄肉化を行うと、一部の細い断面へ荷重が集中し、強度不足が生じやすくなります。

3D CAD上では、部品全体を一つの形として見るだけでなく、荷重点から支持点までを結ぶ経路を確認します。荷重が作用する面、力を受ける壁、リブ、ボス、フランジ、締結座面などが連続してつながっているかを見ることが重要です。

たとえば、取付穴の周囲だけを厚くしていても、その厚肉部と本体をつなぐ部分が細ければ、そこで応力が高くなる可能性があります。局所的な補強を追加するときは、補強部そのものだけでなく、補強部から周囲へ力を分散させる形状が必要です。

形状が急激に変化する部分にも注意します。厚い部分から薄い部分へ直角に切り替わる形状や、細い腕が大きな本体へ直接つながる形状では、境界付近へ応力が集中しやすくなります。滑らかな曲面や適切な丸みを設けることで、荷重を広い範囲へ分散できる場合があります。ただし、丸みを大きくすれば常に有効とは限らず、周辺部品との干渉や加工条件も考慮しなければなりません。

肉抜き形状を設ける場合は、穴の向きと荷重方向の関係を確認します。荷重に対して直交する方向へ大きな開口を設けると、有効断面が急に小さくなります。一方、力の流れに沿う形状へ開口を調整すると、必要な経路を残しながら質量を減らせることがあります。

リブは、荷重を伝える経路を作る手段として有効ですが、配置方向が重要です。変形しやすい面に対して、主な曲げ方向を抑える向きへリブを配置します。複数方向の荷重を受ける場合は、一方向のリブだけでは不足する可能性があります。交差部や端部へ応力が集中しないよう、リブ同士の接続方法や根元形状も確認します。

解析結果を確認するときは、最大応力の数値だけでなく、応力がどこからどこへ連続しているかを見ます。狭い範囲だけが極端に高い場合は、形状上の特異点、接触条件、拘束条件、細かな角部などが影響している可能性もあります。そのため、表示された最大値をそのまま採用せず、周辺の応力分布や変形状態を合わせて確認します。

アセンブリ全体で荷重経路を考えることも欠かせません。単品モデルでは十分な強度があるように見えても、組立状態では隣接部品の変形によって荷重が偏ることがあります。特に、複数の締結点で支持する構造では、部品や取付面の剛性差によって荷重分担が均等にならない場合があります。

軽量化によって断面を減らす際は、力を完全に遮断しないこと、荷重を急激に細い部分へ集めないこと、支持部まで連続した経路を残すことが基本です。3D CADの断面表示や透過表示を利用し、外観だけでは見えにくい内部のつながりまで確認することで、危険な肉抜きを避けやすくなります。

判断基準3 強度だけでなく剛性を確保できているか

三つ目の判断基準は、材料が破壊しないことだけでなく、必要な剛性を確保できているかどうかです。強度とは荷重に耐えて破損しにくい性質を指し、剛性とは荷重を受けたときに変形しにくい性質を指します。軽量化設計では、強度よりも先に剛性が不足するケースが少なくありません。

部品に生じる応力が許容範囲内でも、変形量が大きければ製品の機能を維持できないことがあります。軸受の支持部が傾けば回転抵抗や摩耗が増える可能性があり、歯車や送り機構の位置関係が変われば動作精度へ影響します。筐体がたわめば、内部部品との接触、シール性能の低下、扉やカバーの開閉不良などが発生することもあります。

薄板部品では、板厚を少し減らしただけでも曲げ変形が増える場合があります。そのため、単純に全体を薄くするよりも、断面形状を工夫して剛性を確保する方法が有効です。折り曲げ、段差、縁の立ち上げ、リブ、中空断面などを活用すると、材料の配置を変えることで重量増加を抑えながら曲げにくい形状を作れる場合があります。

ただし、補強形状を追加するときは、変形の方向を確認する必要があります。平面内の変形を抑えたいのか、面外へのたわみを抑えたいのか、ねじれを抑えたいのかによって、効果的な断面は異なります。一方向の曲げ剛性を高めた結果、別方向のねじれが増えることもあるため、複数の荷重方向で評価します。

変形量を判断するときは、部品単体の最大変位だけでなく、機能に関係する二点間の相対変位を見ることが重要です。モデル全体が同じ方向へ移動していても、部品同士の位置関係が変わらなければ機能上の影響が小さい場合があります。反対に、全体の変位が小さくても、取付面の傾きや穴間距離の変化が許容範囲を超えることがあります。

3D CAD上で設計基準となる面、軸、穴、接触位置を明確にし、それらの相対的な変位や角度変化を確認すると、機能に直結した評価ができます。組立精度が重要な部分では、荷重を受けた状態での位置ずれと、製造時の寸法公差を合わせて考える必要があります。

振動を伴う製品では、静的な剛性だけでなく、固有振動特性にも注意します。軽量化によって質量が減る一方、剛性も下がると、固有振動数が使用中の加振周波数へ近づく可能性があります。共振に近い状態では、静的な荷重から想定するよりも大きな振幅が生じる場合があります。

軽量化前後で振動特性が変化するため、回転体、往復機構、車輪、モーター、ポンプなどの振動源がある構造では、使用回転数や変動範囲との関係を確認します。単一の回転数だけでなく、起動から停止までに通過する範囲も考慮することが大切です。

剛性不足は、破断のように明確な損傷がなくても品質問題を引き起こします。そのため、軽量化設計では許容応力と同時に、許容変位、許容角度、接触状態、振動特性などの基準を設定しなければなりません。3D CAD上で質量を減らす前に、どの位置関係を維持すべきかを定義すると、必要な剛性を見失いにくくなります。

判断基準4 想定される破損形態を網羅できているか

四つ目の判断基準は、想定される破損形態を幅広く確認できているかどうかです。強度確認というと、最大応力と材料の基準値を比較する方法が中心になりやすいものの、実際の不具合は一種類ではありません。

静的な荷重による降伏や破断は、代表的な確認項目です。しかし、軽量化された部品では、疲労、座屈、接触面の損傷、締結部の破損、摩耗、クリープ、熱変形などが先に問題になる場合があります。使用環境や材料、荷重の種類によって支配的な破損形態は変わります。

繰り返し荷重を受ける部品では、静的な最大荷重に耐えられても、長期間の使用で亀裂が生じる可能性があります。荷重の大きさだけでなく、繰り返し回数、平均荷重、変動幅、表面状態、加工傷、溶接部、段差形状などが疲労寿命へ影響します。

軽量化によって肉厚を減らすと、同じ荷重でも応力の変動幅が大きくなりやすくなります。特に、穴の縁、リブの端部、溶接止端部、ねじ部、圧入部などは亀裂の起点となり得ます。解析上の平均応力が低くても、実物の表面粗さや加工ばらつきによって局所的な応力が増える可能性を考慮します。

細長い柱状部品や薄い板では、材料の強度に達する前に座屈することがあります。座屈は圧縮荷重を受ける構造で起こりやすく、形状のわずかな曲がりや荷重位置のずれによって発生荷重が変化します。3D CAD上で完全に直線的なモデルを作成した解析結果だけでは、実物の初期不整を十分に表せないことがあります。

薄板の局部座屈にも注意が必要です。全体としては大きな柱形状でなくても、幅の広い薄板部分が圧縮されると、面が波打つように変形する場合があります。軽量化によって壁面を薄くする際は、リブ間隔、板幅、支持条件などを含めて確認します。

締結部では、ボルトやねじそのものの強度だけでなく、座面の陥没、穴周辺の変形、縁端部の破断、ねじ山の損傷、接触面の滑りなどが起こる可能性があります。締結部周辺の材料を削りすぎると、締付時点で局所変形が生じ、適切な締結力を維持できないこともあります。

樹脂など時間依存性のある材料では、一定荷重が長期間作用することで変形が進む場合があります。使用温度が高い環境では、短時間の解析で問題がなくても、長期的な変形が機能へ影響する可能性があります。材料特性は温度や湿度、成形方向などによっても変化するため、条件に合った値を用いることが重要です。

金属部品でも、温度差による膨張や収縮を拘束すると熱応力が発生します。異なる材料を組み合わせた構造では、線膨張の差によって締結部や接着部へ負荷が加わることがあります。軽量化によって断面が小さくなると、熱による変形や局所応力の影響が相対的に大きくなる場合があります。

強度不足を避けるには、最も大きな応力だけを確認するのではなく、どのような過程で機能が失われるかを考えます。破断、永久変形、過大なたわみ、座屈、疲労亀裂、摩耗、緩み、熱変形など、製品ごとに想定される不具合を整理し、それぞれに対応した評価を行うことが必要です。

判断基準5 製造方法と寸法ばらつきを考慮できているか

五つ目の判断基準は、3D CAD上の理想形状だけでなく、実際の製造方法と寸法ばらつきを考慮できているかどうかです。軽量化によって形状が薄く細くなるほど、わずかな製造誤差が強度や剛性へ与える影響は大きくなります。

切削加工では、工具径、工具の進入方向、保持方法、加工時の変形などを確認します。深い肉抜きや細長い壁は、加工中の振動やたわみによって寸法精度や表面品質が低下する可能性があります。理論上は成立する薄肉形状でも、安定して量産できなければ実用的とはいえません。

板金部品では、曲げ半径、曲げ代、工具干渉、スプリングバックなどを考慮します。軽量化のために狭い間隔で複雑な曲げを追加すると、加工順序が制限されたり、金型が入らなかったりすることがあります。曲げ線の近くに大きな開口を設けると、変形や亀裂が発生しやすくなる場合もあります。

成形品では、急激な肉厚変化、細すぎるリブ、深いボス、充填しにくい空間などに注意します。肉厚差が大きいと、冷却や収縮の違いによって反りやひけが生じる可能性があります。軽量化のための中空化が、かえって寸法安定性を低下させることもあります。

積層によって製作する場合でも、自由な形状がすべて同じ品質で作れるわけではありません。造形方向による強度差、支持構造の除去、内部空間の未処理、表面粗さ、寸法精度などを確認する必要があります。3D CAD上で連続した滑らかな形状であっても、製作方向によっては層間方向の強度が不足することがあります。

鋳造や溶接を含む部品では、内部欠陥、残留応力、熱変形、接合部の品質なども考慮します。軽量化によって断面余裕が小さくなると、欠陥や形状ばらつきの影響を受けやすくなります。溶接部を含む場合は、母材の断面だけでなく、接合部周辺の形状と荷重方向を確認します。

寸法公差の積み重ねも重要です。3D CADモデルでは部品が公称寸法で正確に配置されていますが、実物では穴位置、板厚、取付面、軸位置などが許容範囲内で変動します。最も不利な組み合わせでは、接触位置や荷重分担が設計値と変わる可能性があります。

特に複数の支持点を持つ構造では、寸法ばらつきによって一部の支持点だけが先に接触し、荷重が集中することがあります。解析では均等に荷重を負担しているように見えても、実機では一つの取付部へ大きな力が加わるケースがあります。

表面処理や後加工による寸法変化も見落とせません。研磨、塗装、熱処理、接着などの工程によって、肉厚、表面状態、残留応力、材料特性が変化する場合があります。軽量化形状の最小断面を決めるときは、完成品として残る寸法を基準に考える必要があります。

製造性を確認する際は、作れるかどうかだけでなく、安定して同じ品質を再現できるかを評価します。試作品が一度製作できても、量産時のばらつきによって強度不足が発生するのであれば、安全な設計とはいえません。

3D CADモデルには、公称形状だけでなく、加工基準、重要寸法、公差、接合位置、製造方向などの情報を整理しておくと有効です。設計部門と製造部門が同じモデルを見ながら、削減した部分が工程上の問題にならないかを早い段階で確認することが重要です。

判断基準6 解析結果を試作と実測で検証できているか

六つ目の判断基準は、3D CADを基にした解析結果を、試作と実測によって検証できているかどうかです。数値解析は軽量化案を比較するうえで有効ですが、解析結果だけで実物の安全性を確定することはできません。

解析モデルでは、材料が均一であること、形状が設計値どおりであること、荷重や拘束が正しく設定されていることなど、多くの仮定を用います。実物には加工誤差、接触面の凹凸、締結力のばらつき、材料特性の差、残留応力などが存在します。

試作評価では、解析で重要と判断した位置を中心に測定します。変位、ひずみ、荷重、温度、振動などを測定し、解析結果と傾向が一致するかを確認します。数値が完全に同じであることだけを求めるのではなく、変形の方向、応力が高くなる位置、荷重に対する変化の仕方などを比較することが大切です。

測定位置は、解析後に決めるのではなく、解析計画と合わせて検討すると効率的です。最大応力が予測される部分だけでなく、荷重経路上の複数地点を測定すると、モデル全体の妥当性を判断しやすくなります。局所的な一点だけが合っていても、他の部分の挙動が異なっている可能性があります。

試作試験では、通常荷重から段階的に負荷を上げ、変位やひずみの変化を確認します。荷重を除いた後に変形が残るか、接触状態が変化していないか、締結部が緩んでいないかなども見ます。目視で破損がない場合でも、永久変形や微細な亀裂が生じている可能性があります。

繰り返し荷重を受ける製品では、耐久試験も必要です。一定回数の動作後に、変形、亀裂、摩耗、締結状態、振動特性などを確認します。軽量化前の設計と比較できる場合は、同じ試験条件で評価すると変化を把握しやすくなります。

試験結果と解析結果に差がある場合は、単に解析が間違っていると結論づけるのではなく、原因を切り分けます。材料特性、境界条件、接触設定、締結状態、形状の簡略化、測定方法などを順に確認します。実測値に合わせるためだけに条件を調整するのではなく、変更理由を説明できる状態にすることが重要です。

解析モデルを実測に基づいて更新できれば、次の軽量化案をより現実に近い条件で比較できます。試作と解析を別々の工程として扱うのではなく、解析、試作、測定、モデル修正を繰り返す設計サイクルとして運用すると、過剰な安全余裕と強度不足の両方を減らしやすくなります。

評価結果は、形状変更の履歴と合わせて記録します。どの部分を削り、質量がどれだけ変化し、応力や変位がどう変わったかを残しておけば、後から設計理由を確認できます。類似製品の開発時にも、過去の結果を根拠として活用しやすくなります。

3D CAD上の計算値は、設計判断を支援する情報です。最終的な判断には、使用条件を再現した試験、実物の測定、製造ばらつきの確認が欠かせません。解析と実測の対応を確認することが、軽量化設計の信頼性を高める最後の基準になります。

軽量化しやすい部分と慎重に扱うべき部分

軽量化を効率よく進めるには、すべての部分を均等に薄くするのではなく、機能や荷重への影響が小さい部分から検討します。荷重経路から離れており、接触、締結、位置決め、密封などの機能を持たない領域は、比較的検討しやすい候補です。

広い面に均一な低応力領域がある場合は、肉抜きや薄肉化を検討できます。ただし、解析表示の色だけで判断せず、複数の荷重条件で低応力であるかを確認します。一つの条件で応力が低くても、別方向の荷重や組立時には重要な経路になる可能性があります。

外周部を残して中央を薄くする方法や、面を薄くして必要な方向へリブを設ける方法は、剛性を維持しながら質量を減らせる場合があります。断面の中心付近から材料を減らし、曲げに有効な外側へ材料を配置する考え方も有効です。

一方、締結穴、軸受部、位置決め部、溶接部、荷重入力部、支持部の周辺は慎重に扱う必要があります。これらの部分は、力が集中したり、寸法精度が機能へ直接影響したりするためです。

穴の近くを削る場合は、穴径だけでなく、穴から端部までの距離、座面の大きさ、締結部品との接触範囲を確認します。座面が不足すると、締付力による面圧が高くなり、局所変形が生じる可能性があります。

形状の切替部も慎重に扱います。厚肉部と薄肉部の境界、リブの終端、開口部の角、段差の根元などは応力が集中しやすい場所です。軽量化によって段差を増やしすぎると、削減量以上に耐久性を損なうことがあります。

外観上は不要に見える部分でも、振動を抑える質量や熱を逃がす断面として機能している場合があります。また、組立時の保持、搬送時の支持、検査時の基準など、通常使用以外の役割を持つこともあります。形状を削る前に、その部分がどの工程で利用されているかを確認することが重要です。

3D CADで軽量化案を比較する進め方

軽量化設計では、一つの形状を繰り返し修正するだけでなく、複数案を同じ条件で比較する進め方が有効です。最初に基準となる現行形状を保存し、質量、重心位置、最大応力、主要部の変位などを記録します。

次に、軽量化の対象領域を分けて変更します。一度に多数の部分を修正すると、どの変更が結果へ影響したのか分かりにくくなります。板厚変更、肉抜き、リブ配置、材料配置などを分けて評価すると、効果とリスクを整理しやすくなります。

各案では、同じ材料条件、荷重条件、拘束条件、評価位置を使用します。解析条件が案ごとに異なると、形状の効果を公平に比較できません。メッシュの細かさや接触条件も、可能な範囲で統一します。

比較項目は質量だけに限定しません。質量削減率、最大応力、変位、座屈への余裕、振動特性、製造工程への影響などを確認します。質量を大きく削減できても、製造が困難になったり、重要部の変位が急増したりする案は採用しにくくなります。

設計変更の効果を把握するには、質量を少し減らしたときに応力や変位がどの程度増えたかを見ることが有効です。削減量が小さいにもかかわらず性能が大きく悪化する領域は、軽量化の限界に近い可能性があります。

反対に、質量を減らしても応力や変位がほとんど変わらない部分は、さらに検討できる余地があります。ただし、解析で扱っていない荷重条件や製造上の役割がないことを確認してから判断します。

3D CADの履歴や設計変数を整理し、寸法変更による結果を追える状態にしておくと、設計案の再検討が容易になります。変更理由、評価結果、採用しなかった理由まで記録すると、後工程で不用意に形状が戻されたり、同じ失敗を繰り返したりすることを防げます。

最終案を選ぶ際は、最も軽い案ではなく、必要性能を満たしたうえで製造と検証が可能な案を選びます。軽量化は単独の目的ではなく、製品全体の機能、品質、耐久性を維持する範囲で進める設計活動です。

軽量化設計でよくある失敗と改善方法

よくある失敗の一つは、最大応力が低い部分を画面上の色だけで判断して削ることです。表示範囲や色分けの設定によって、応力差の見え方は変わります。また、一つの荷重条件では低応力でも、別の条件では重要になる場合があります。改善するには、数値と分布を複数条件で確認し、荷重経路との関係を見ます。

二つ目は、解析モデルを過度に単純化することです。小さな丸みや穴を省略すること自体は計算効率の向上につながりますが、応力集中に関係する形状まで削除すると、危険な部分を見落とす可能性があります。簡略化する形状と残す形状を、評価目的に合わせて選ぶ必要があります。

三つ目は、接触部や締結部をすべて一体化して扱うことです。実際には滑りや開きが発生する構造でも、完全に固定したモデルでは剛性が高く計算されることがあります。重要な接触部は、実際の荷重伝達を想定した条件で評価します。

四つ目は、全体の最大変位だけを見て問題がないと判断することです。製品機能に影響するのは、穴同士の位置ずれ、取付面の傾き、接触部の隙間などであることがあります。評価点を事前に決め、相対変位や角度変化を確認することが必要です。

五つ目は、静的強度だけで軽量化の限界を決めることです。繰り返し荷重、振動、座屈、熱変形などを確認しなければ、使用開始後に問題が発生する可能性があります。製品の使われ方から支配的な破損形態を整理し、必要な評価を追加します。

六つ目は、製造担当者への確認が設計の終盤になることです。軽量化形状が製造できないと判明すると、大幅な修正が必要になります。初期段階から加工方向、最小肉厚、工具干渉、成形条件などを共有し、作りやすさを含めて設計します。

七つ目は、軽量化前の基準データを残していないことです。基準形状の質量や性能が不明だと、変更の効果を客観的に評価できません。現行形状を保存し、同じ条件で比較できるようにします。

八つ目は、解析結果と実機試験の差を記録しないことです。差が出た原因を整理しなければ、次回も同じ仮定を使用することになります。解析条件、試験条件、測定結果、モデル修正内容を一連の記録として残すことが重要です。

軽量化設計の失敗は、削りすぎだけによって起こるとは限りません。荷重条件の不足、評価項目の偏り、製造条件の見落とし、検証不足が重なって発生します。3D CADの操作に集中するのではなく、設計判断の根拠を工程全体で確認することが改善につながります。

まとめ

3D CADによる軽量化設計では、モデルの質量を減らす操作そのものよりも、どの部分をどの根拠で変更するかが重要です。見た目に不要な部分を削るだけでは、荷重経路の分断、局所的な応力集中、剛性低下、座屈、疲労などを招く可能性があります。

強度不足を避けるためには、実際の使用状態に合った荷重条件を設定し、荷重点から支持点までの力の流れを確認します。さらに、破断しないことだけでなく、機能を維持できる変形量であるかを評価する必要があります。

静的な応力だけではなく、疲労、座屈、振動、締結部の損傷、熱変形など、製品に応じた破損形態を確認することも欠かせません。3D CAD上で成立する形状であっても、製造方法や寸法ばらつきによって性能が変わるため、安定して製作できる形状かどうかを早い段階で検討します。

最後に、解析結果を試作と実測で検証し、差が生じた原因をモデルへ反映します。解析、試作、測定、修正を繰り返すことで、必要以上に重い設計と、余裕のない危険な設計の間を適切に調整しやすくなります。

軽量化の効果を現場で活用するには、設計時の3Dデータだけでなく、完成した設備や構造物の位置、形状、周辺状況を継続的に確認することも重要です。設計モデルと現地の状態を結び付けて確認したい場面では、LRTK Phoneを活用した位置情報の取得や現場記録も、設計と施工、保守をつなぐ手段の一つになります。

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

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