LRTKレフィクシア株式会社

3D CADでゴム部品の圧縮率を適正化する6つの設計基準

ゴム部品は、金属部品や硬質樹脂部品とは異なり、組み付け時に変形することを前提として機能します。シール材であれば相手面へ密着して流体の通過を抑え、防振材であれば荷重を受けながら振動や衝撃を緩和し、クッション材であれば部品同士の接触音やがたつきを低減します。こうした働きを安定させるうえで重要になるのが、ゴム部品をどの程度つぶして使用するかを示す圧縮率です。

圧縮率が不足すると、相手面との接触が弱くなり、密封不足、がたつき、異音、位置ずれなどにつながる可能性があります。反対に圧縮率が大きすぎると、組付け荷重の増加、局部的なひずみの集中、ゴムのはみ出し、相手部品の変形、長期的な反力低下などを招くおそれがあります。設計時に見た目だけで判断し、ゴム部品が収まる空間を単純に狭くするだけでは、安定した性能を得られません。

3D CADを活用すると、ゴム部品の自由状態と組付け後のすき間を数値で比較し、名目圧縮率、公差、逃げ空間、接触範囲を一つのアセンブリ上で確認できます。ただし、3D CAD上で形状が干渉しているからといって、必ず適正な圧縮状態になるわけではありません。ゴムは剛体ではなく、材料、硬さ、断面形状、温度、時間、変形速度、周囲の拘束によって挙動が変わるためです。

本記事では、シール、ガスケット、パッキン、クッション、防振材、ストッパーなどのゴム部品を対象に、3D CADで圧縮率を適正化するための6つの設計基準を解説します。特定の材料や形状に共通の万能値を示すのではなく、実務で確認すべき順序と判断の境界を整理します。

ゴム部品の圧縮率を3D CADで管理する意味

圧縮方向と初期厚さを一意に定められる平板状のゴム部品では、名目圧縮率を、圧縮前の厚さと圧縮後の厚さの差を圧縮前の厚さで割って求められます。圧縮前の厚さをt0、組付け後の厚さをt1とすると、基本式は次のようになります。

名目圧縮率(%)=(t0-t1)÷t0×100

たとえば、圧縮前の厚さが5mmで、組付け後に4mmのすき間へ収まる場合、名目圧縮率は20%です。ただし、この式は、どの寸法を圧縮方向の基準とするかが明確な場合の整理方法です。円形断面のOリング、リップを持つシール、発泡材、段付き断面などでは、断面径、溝深さ、局所高さ、荷重と変位の関係など、形状に適した定義を用いる必要があります。

同じ20%という値でも、材料の硬さ、断面形状、接触幅、拘束状態、使用温度、荷重のかかり方によって、発生する反力や接触状態は変わります。したがって、圧縮率は単独で合否を決める数値ではなく、使用目的と形状を結び付ける設計指標として扱います。

平板状のガスケットと円形断面のシール材では、同じ名目圧縮率でも変形の広がり方が異なります。平板状の中実ゴムを広い面積で拘束すると、横方向へ広がる余地が減り、反力が高くなりやすくなります。円形断面のゴムは、つぶされると接触幅が増え、断面が側方へ広がります。細長い防振材では、圧縮に加えてせん断、曲げ、座屈に近い変形が加わることもあります。

このため3D CADでは、圧縮率を単独の数値として管理するのではなく、自由状態の形状、組付け後すき間、拘束範囲、逃げ方向、接触面積、締結部の剛性を組み合わせて確認する必要があります。設計図面に「圧縮率20%」とだけ記載しても、基準寸法と組付け状態が明確でなければ、設計者、解析担当者、製造担当者、組立担当者の間で解釈がずれるおそれがあります。

3D CADモデル上では、ゴム部品の自由状態を表す単品モデルと、組み付けられた状態を表すアセンブリモデルを分けて管理すると分かりやすくなります。単品モデルには製作寸法と公差を持たせ、アセンブリ側では相手部品によって決まる実使用時のすき間を定義します。この二つを比較することで、圧縮率の計算根拠が明確になります。

また、圧縮率を決める前に、ゴム部品が何のために使われるのかを整理することが欠かせません。液体や気体を密封する目的なのか、ほこりや水滴の侵入を抑える目的なのか、部品のがたつきを吸収する目的なのか、衝撃を緩和する目的なのかによって、必要な接触状態や変形量は異なります。

静止した部品間で使う場合と、摺動や回転を伴う部分で使う場合でも条件は変わります。動く部分では圧縮量を大きくすると摩擦、発熱、摩耗が増える可能性があり、静止部分では時間経過による永久変形や反力低下を考慮する必要があります。まず使用目的、圧力、荷重、移動量、寿命を定義し、そのうえで圧縮率を設計変数として扱うことが、3D CADを有効に使う第一歩です。

設計基準1 初期厚さと締結後すき間から圧縮率を定義する

最初の設計基準は、圧縮前の初期厚さと、締結後に残るすき間を明確に分けることです。ゴム部品の名目圧縮率は、この二つの寸法関係で決まります。ところが実務では、ゴム部品の単品寸法だけが図面化され、相手部品を締結した後の実効すき間が十分に検討されていないことがあります。

たとえば、カバーと本体の間に平板状のゴムを挟む場合、ゴムの圧縮後厚さは締結部の構造によって決まります。ボルトを締め切ったときに金属同士または硬質ストッパー同士が当たる構造であれば、その接触後の距離が圧縮後厚さの基準です。締結力だけで圧縮量を管理する構造では、ボルト軸力、座面摩擦、部品剛性、ゴムの荷重変位特性によって圧縮後厚さが変わります。

圧縮率を寸法で安定させたい場合は、金属や硬質部品による圧縮ストッパーを設け、締結後のすき間を形状で決める方法が有効です。3D CADでは、ストッパー面が接触したときのゴム収容部の高さを測定し、自由状態のゴム厚さと比較します。締結トルクだけに圧縮量を依存させるより、組付けばらつきを抑えやすくなります。

一方、ストッパーを設けたからといって、必ず全域で均一な圧縮率になるわけではありません。カバーが薄い場合や締結点の間隔が広い場合は、締結部付近だけが強く押され、締結点から離れた部分が浮く可能性があります。3D CAD上ではストッパー寸法だけでなく、カバーの板厚、リブ配置、締結位置、フランジ幅、ゴムの連続性も確認する必要があります。

初期検討では、ゴム部品を自由状態のままアセンブリへ配置し、相手部品との重なり量を名目上の圧縮代として確認できます。重なり量を初期厚さで割れば、基本的な圧縮率を算出できます。ただし、干渉表示は、ゴムがどの方向へ逃げるか、どの程度の反力が発生するか、相手部品が変形するかを示していません。干渉体積が大きいからといって、接触面全体で均一に圧縮されるとは限らない点に注意が必要です。

断面が一定でないゴム部品では、代表厚さを一つだけ設定すると危険です。リップ、突起、段差、局部的な肉厚変化がある場合は、位置ごとに初期高さと圧縮後すき間を比較します。最も薄い部分、最も厚い部分、機能上重要な接触部分を分けて評価することで、局所的な圧縮不足や過大変形を見つけやすくなります。

圧縮率の目標値は、材料仕様、用途、断面形状、使用環境、静的か動的かによって決めます。一般的なゴム部品では数%から数十%の範囲が設計候補になることがありますが、この幅をそのまま推奨値として採用することはできません。特にOリングでは、断面径、溝形式、圧力方向、静止用か運動用かによって許容されるつぶし量が異なるため、適用する規格、部品メーカーの設計資料、実材料のデータを確認します。

3D CADのモデルには、公称寸法だけでなく、設計上の名目圧縮率、圧縮後すき間、基準断面、適用材料、参照した仕様を属性として記録すると便利です。モデルを開いた担当者が計算根拠を追える状態にしておけば、形状変更によって圧縮率が変わった際にも見落としを防げます。

設計基準2 材料、硬さ、温度、時間による変化を織り込む

二つ目の設計基準は、同じ形状でも材料特性によって必要な圧縮量と発生反力が変わることを前提にすることです。ゴム部品は、材質系統の名称だけで特性が一意に決まるわけではありません。同じ系統の材料でも、配合、硬さ、補強材、加硫条件、製造方法などによって挙動が異なります。

一般に硬さが高いゴムは、同じ形状と圧縮率で比較したときに反力が高くなる傾向があります。ただし、硬さだけで圧縮荷重、耐久性、密封性を決めることはできません。柔らかいゴムは小さな力で変形しやすい一方、横方向への膨らみ、組付け時のめくれ、押出し、長期的な形状変化などに注意が必要です。硬さや配合を変更する場合、形状を変えずに材料指定だけを差し替えると、締結荷重や接触状態が想定から外れる可能性があります。

温度の影響も無視できません。低温で硬化し、追従性や復元性が低下する材料があります。高温では材料の軟化だけでなく、熱老化や化学変化によって長期的な弾性が低下する場合があります。周辺の金属部品や樹脂部品との熱膨張差によって、ゴムが収まるすき間自体が変化することもあります。

温度変化によってすき間が狭くなる構造では、常温で適正だった圧縮率が過大になる可能性があります。反対に、すき間が広がる構造では、接触が弱くなる可能性があります。3D CADでは、材料ごとの線膨張係数と温度範囲を使って相手部品寸法の変化を見積もり、最小すき間と最大すき間の両方を確認します。ゴム自体の熱膨張や媒体による膨潤も無視できない場合は、材料データに基づいて別条件として扱います。

時間による変化では、圧縮永久ひずみと応力緩和を混同しないことが重要です。圧縮永久ひずみは、一定条件で圧縮した後に荷重を除いても残る変形を表します。応力緩和は、変形量を保ったままでも反力が時間とともに低下する現象です。密封性能を考えるときは、外観上の厚さだけでなく、長期的に必要な接触力を維持できるかを確認します。

繰り返し荷重を受ける部品では、圧縮と復元のサイクルによる発熱、ヒステリシス、疲労も考慮します。防振材やストッパーでは、静的な初期圧縮に加えて、動作中にさらにどれだけ変形するかを確認します。初期圧縮で変形余裕を使い切っていると、衝撃時に急激な反力増加や周辺部への接触が起きることがあります。

材料データを3D CADモデルへ直接反映できない場合でも、最低限、材料区分、硬さ、使用温度範囲、接触媒体、圧縮保持時間、繰り返し回数、想定寿命を設計情報として残します。解析を行う場合は、通常の小変形線形弾性だけで評価せず、必要に応じて大変形、接触、材料非線形を扱えるモデルを使用します。

ただし、材料モデルを高度にすれば自動的に正しい結果が得られるわけではありません。入力する材料定数が実物と合っていなければ、精密に見える誤った結果になります。解析用の材料データは、使用する配合、硬さ、温度、ひずみ範囲、荷重モードに対応しているかを確認します。引張試験だけから得た係数で圧縮やせん断を広い範囲まで予測する場合は、適合性を慎重に確認する必要があります。

3D CADで圧縮率を決める段階では、材料仕様を後回しにせず、形状と同時に仮決定することが大切です。形状設計が完了してから材料を選ぶと、反力、耐久性、媒体適合性の問題が見つかり、大幅な設計変更につながることがあります。

設計基準3 変形後の体積と逃げ空間を確保する

三つ目の設計基準は、つぶされたゴムがどこへ移動するかを確認することです。多くの中実エラストマーは大変形しても体積変化が比較的小さいため、圧縮方向の寸法が減ると、主に側方へ広がります。そのため、圧縮率だけを見て溝や収容部を設計すると、ゴムが逃げる空間を失い、局部的な反力増加やはみ出しが発生することがあります。

平板状の中実ゴムを二枚の剛体で挟む場合、側面が開放されていれば外周方向へ広がります。周囲を壁で囲まれている場合は、横方向への変形が拘束され、反力が高くなりやすくなります。溝に収めるシール材では、ゴム断面と溝断面の関係、圧力側の位置、押出しすき間が重要です。

3D CADでは、ゴム部品の断面積または体積と、収容部の有効断面積または体積を比較します。圧縮後のゴムが溝をほぼ埋め切る設計では、熱膨張、材料ばらつき、媒体による膨潤、寸法公差を吸収する余裕が小さくなります。公称寸法では収まっていても、ゴムが大きく溝が小さい組み合わせでは、組付け不能や過大反力につながる可能性があります。

逃げ空間は、単に空洞があればよいわけではありません。ゴムが実際にその方向へ変形できる形状であることが必要です。狭いスリット、鋭い段差、圧縮面から離れた奥まった空間は、見かけ上の体積があっても有効な逃げとして働きにくい場合があります。断面表示を使い、圧縮面から逃げ空間まで変形経路が連続しているかを確認します。

円形断面のゴムを溝へ入れる場合は、圧縮によって接触幅が増え、断面が側面方向へ広がります。溝幅が狭すぎると側面拘束が強くなり、反力や局部ひずみが増える可能性があります。溝幅が広すぎると、組付け時の保持性が低下し、ねじれや片寄りが起こる可能性があります。自由状態、組付け途中、締結後の三つの状態を想定し、保持性と変形余裕の両方を確認します。

ゴムが流体に触れる場合は、材料が膨潤または収縮する可能性も検討します。変化の程度は、材料と流体の組み合わせ、温度、接触時間、拘束状態によって異なります。使用中に体積が増える可能性がある場合、公称状態で溝をほぼ満杯にする設計は避け、適合性試験や材料データで余裕を確認します。

発泡ゴムやスポンジ状の部品は、中実ゴムとは同じ考え方で扱えません。内部の空気が移動しやすい連続気泡材と、気泡が閉じた独立気泡材では、圧縮時の反力や復元性が異なります。発泡材だから容易につぶれると決めつけず、指定材料の圧縮荷重特性、圧縮永久ひずみ、使用温度を確認することが重要です。

逃げ空間の不足は、締結部にも影響します。ゴム反力が想定以上に高いと、カバーが所定位置まで閉じない、フランジが変形する、ねじ部や樹脂ボスへ過大な負担がかかるなどの問題が発生します。締結力を上げれば収まるように見えても、相手部品の変形や長期耐久性を悪化させる可能性があります。

3D CADでの初期確認では、ゴムの公称体積だけでなく、寸法公差の上限側と、媒体や温度による体積変化を考慮した条件を作成すると有効です。ただし、ゴム形状を全方向へ一律拡大するだけでは、実際の公差や膨潤状態を正しく表せない場合があります。断面寸法、長さ、継ぎ目、拘束方向を分けて評価します。

設計基準4 接触圧の分布と局部変形を確認する

四つ目の設計基準は、平均圧縮率だけでなく、接触がどこに生じ、どこで途切れるかを確認することです。ゴム部品の機能は、単に何%つぶれたかだけでなく、必要な位置に連続した接触が生じているかによって決まります。

平面同士を密封するガスケットでは、必要なシール経路に沿って接触が連続していることが重要です。局部的に圧縮率が高くても、途中に浮きや低接触部があれば、漏れ経路になる可能性があります。防振材では、荷重を受ける範囲が偏ると、局所的なへたり、傾き、想定外の固有振動特性につながることがあります。

3D CADの干渉チェックでは、ゴムと相手部品が重なっている領域を確認できます。しかし、干渉量が同じでも、相手面の形状、ゴムの拘束、摩擦、材料、相手部品の変形によって接触圧は異なります。干渉表示は圧縮率を把握する初期手段であり、接触圧の評価そのものではありません。

接触圧を詳しく確認するには、非線形接触と大変形を扱える構造解析が必要です。ゴム部品には用途に合う材料モデルを設定し、相手部品との接触、摩擦、拘束、締結変位または締結荷重を定義します。薄いカバーや樹脂部品が変形する場合は、相手部品も変形体として含めます。

解析結果では、ゴム内部の応力やひずみだけでなく、相手面との接触圧分布、接触幅、浮き上がり、側方への張り出し、締結反力を確認します。最大値だけを見て合否を決めると、局所的な数値に引きずられる可能性があります。機能上重要な経路で接触が連続しているか、低接触部がどこにあるか、相手部品がどれだけ開くかを確認します。

シール用途では、圧力差、接触の連続性、押出しすき間、材料の長期的な反力を組み合わせて検討します。接触圧の最大値が流体圧力を上回っているという一条件だけで、密封性能を保証することはできません。Oリングのように流体圧力によって圧力側から変形し、接触状態が変わるシールもあるため、圧力方向と溝形状を含めて判断します。

角部や段差部では、ゴムの局部変形が大きくなりやすくなります。鋭い角へ押し付けられると、ひずみが集中し、裂け、欠け、切れ込みの起点になる可能性があります。3D CADで収容溝を設計する際は、底面と側面のつながり、入口部の角、相手部品の面取り、ばりやパーティングラインの位置を確認します。

相手面に穴、溝、分割線、加工段差がある場合、その部分で接触が弱くなる可能性があります。ゴム部品のシール経路が相手部品の継ぎ目を横切る設計では、わずかな段差や傷が漏れ経路になることがあります。3D CADのアセンブリ上で、ゴムの接触経路と相手面の形状変化を重ねて確認することが大切です。

締結点の配置も接触圧分布へ影響します。ボルト間隔が広いと、締結点の間でカバーが持ち上がり、中央部の圧縮率が低下することがあります。締結点付近では十分につぶれていても、全周シールとしては不十分な場合があります。カバーの曲げ剛性、締結点数、締結順序、座面剛性を含めて検討します。

初期設計では、ゴム部品を一定量だけつぶした参考形状を3D CAD上で作成し、接触幅やはみ出し方向を視覚的に確認する方法もあります。ただし、単純な寸法縮小や押し出し形状の変更では、実際の変形を正確には再現できません。参考形状は周辺部品との空間確認に限定し、最終判断には解析や試作を組み合わせます。

設計基準5 公差、表面状態、組付けばらつきを積み上げる

五つ目の設計基準は、公称寸法だけでなく、製造と組付けのばらつきを含めて圧縮率を評価することです。ゴム部品の圧縮率は、ゴム厚さ、断面径、溝深さ、相手部品高さ、ストッパー寸法、表面処理厚さなど複数の寸法によって決まります。

公称寸法では圧縮率が適正でも、ゴムが薄く、溝が深く、相手部品のすき間が広い条件が重なると、圧縮不足になる可能性があります。反対に、ゴムが厚く、溝が浅く、すき間が狭い条件が重なると、過大圧縮になる可能性があります。

3D CADでは、公称状態だけでなく、圧縮率が最小になる組み合わせと最大になる組み合わせを作成します。寸法パラメーターや設計テーブルを切り替えられるようにしておけば、設計変更時にも再計算しやすくなります。最低圧縮率と最高圧縮率を把握し、その両方で機能、組立性、強度が成立するかを確認します。

公差計算では、すべての寸法が同時に限界値へ達する最悪条件と、工程能力や分布を使う統計的な考え方があります。漏れや脱落が重大な不具合になる部分では、まず限界条件で成立性を確認します。そのうえで、過度に厳しい公差による製造難度や検査負担を避けるため、実際の工程能力、測定方法、材料ばらつきを踏まえて調整します。

ゴム部品は、金属切削部品と同じ感覚で寸法を評価できるとは限りません。成形条件、金型、材料収縮、ばり、パーティングライン、保管状態、測定方法によって寸法が変動します。柔らかい部品は測定時の押さえ方でも数値が変わるため、図面上の寸法公差だけでなく、測定荷重、測定位置、温度、状態調整時間などを必要に応じて定義します。

表面状態も密封性能に影響します。相手面が粗い場合、平均的には接触していても、微小な凹凸が流体の通路になる可能性があります。圧縮率を上げれば必ず解決するとは限らず、表面粗さ、うねり、傷、合わせ面の段差、加工方向を用途に応じて管理することが必要です。

塗装、めっき、接着剤、シール剤などが介在する場合は、その膜厚もすき間寸法に影響します。3D CADモデルでは省略されやすい要素ですが、薄いゴム部品や小断面シールでは、わずかな膜厚変化が圧縮率へ無視できない影響を与える場合があります。表面処理をモデル化しない場合でも、寸法連鎖には含めます。

組付け時の位置ずれにも注意が必要です。ゴム部品が溝の中央からずれると、片側で過大圧縮、反対側で圧縮不足になることがあります。細長いガスケットは、組付け中に伸び、縮み、ねじれが発生しやすくなります。溝へ押し込む構造では、コーナー部だけ材料が余り、局部的に盛り上がる場合があります。

3D CADでは、位置決め突起、保持溝、仮止め形状、組付け基準面などを設計し、作業中にゴムが移動しにくい構造にします。接着剤だけに位置決めを依存させる場合は、塗布量、硬化前のずれ、接着剤厚さも考慮します。作業者が目視だけで位置を判断する構造より、形状によって正しい位置へ案内される構造の方がばらつきを抑えやすくなります。

組付け経路の確認も欠かせません。完成状態では適正な圧縮率でも、カバーを横方向から差し込む際にゴムをこすって傷つける構造では、実使用前に性能を損なう可能性があります。3D CADのアセンブリ機能を使い、締結前の接近方向、挿入角度、工具の動き、仮固定状態、鋭利部との接触を確認します。

圧縮率を公差込みで評価するときは、最小値と最大値だけでなく、その状態で発生する副作用も確認します。最小圧縮側では接触不足、位置ずれ、脱落を、最大圧縮側では反力増加、はみ出し、相手部品の変形、組付け不能を主に確認します。両端条件を別々に検討することで、単一の代表値だけでは見えない問題を発見できます。

設計基準6 解析結果を試作・実測で検証する

六つ目の設計基準は、3D CADや解析で求めた圧縮率を、実物の試作と測定で検証することです。ゴム部品は材料配合、製造条件、表面状態、温度履歴の影響が大きく、モデルだけですべての挙動を予測することは困難です。

3D CADは、形状、寸法、公差、組付け状態を整理するために有効です。構造解析を加えれば、接触圧、反力、変形の傾向も確認できます。しかし、解析で使用する材料データ、摩擦条件、拘束条件、接触設定が実物と異なれば、結果にも差が生じます。

試作では、まず締結前後の寸法を測定し、想定した圧縮量になっているかを確認します。圧縮ストッパーを設けている場合は、ストッパー面が確実に接触しているかを確認します。カバーが変形している場合、端部と中央部で圧縮量が異なるため、複数位置を測定する必要があります。

反力も重要な確認項目です。組付けに必要な荷重や締結トルクが想定より大きい場合、圧縮率、材料硬さ、逃げ空間、接触面積、相手部品剛性のいずれかに問題がある可能性があります。締結できたという結果だけで合格とせず、ねじ部、樹脂ボス、カバーへ過大な負担がかかっていないかを確認します。

密封用途では、実際に想定する圧力、温度、流体、圧力方向、保持時間を模擬した試験が必要です。常温の短時間試験で漏れがなくても、高温、低温、圧力変動、振動、媒体による膨潤や収縮、時間経過によって性能が変化することがあります。初期性能だけでなく、一定期間保持した後や繰り返し動作後の状態も確認します。

防振材やクッション材では、静的な圧縮量だけでなく、荷重と変位の関係を測定します。小さな荷重域では柔らかく、大きな変形域で急に反力が増える特性を持つ場合があります。設計上必要な動作範囲が、急激に硬くなる領域や底付きへ入っていないかを確認します。

試験後のゴム部品を取り外し、永久変形、ひび割れ、切れ、表面の擦れ、ねじれ、はみ出し跡を観察することも重要です。異常の位置を3D CADモデルへ戻し、周辺形状や接触条件と照合します。試験結果を合否だけで終わらせず、どの位置で何が起きたかを設計データへ反映すると、次回の改善につながります。

接触状態の確認には、用途に応じて感圧材、転写材、着色材などを用いる方法があります。これにより、接触範囲や圧力分布の傾向を把握できます。ただし、確認材を挟むことで実際のすき間、摩擦、表面状態が変わる場合があるため、測定方法自体の影響を考慮します。

解析と試験に差がある場合は、解析結果を無理に正しいものとして扱わず、入力条件を見直します。材料定数、摩擦係数、締結変位、相手部品の剛性、ゴムの初期形状、温度、媒体、組付け位置などを順に確認します。実測結果に合わせるためだけに材料定数を恣意的に変更すると、別条件での予測精度が下がるため注意が必要です。

量産前には、複数の試作品でばらつきを確認します。一つの試作品だけで成立しても、ゴム寸法、硬さ、相手部品寸法、表面処理、組付け作業が変動した際に性能を維持できるとは限りません。設計上想定した最小圧縮条件と最大圧縮条件に近い試作品を用意すると、限界状態を確認しやすくなります。

試作結果は、3D CADモデル、図面、材料仕様、ロット、試験条件、測定結果を関連付けて管理します。設計変更を行った際に、どの圧縮率と条件でどの性能が得られたかを追跡できる状態にしておくことが、再発防止と設計標準化につながります。

3D CADで圧縮率を確認する実務フロー

ゴム部品の圧縮率を効率よく検討するには、形状作成、計算、干渉確認、公差評価、解析、試作を一定の順序で進めることが大切です。最初から詳細解析へ進むより、3D CAD上で基本条件を整理してから必要な検証を追加した方が、手戻りを抑えられます。

まず、ゴム部品の役割を定義します。密封、防振、緩衝、保持、異音防止など、必要な機能を明確にします。同時に、静的に使用するのか、繰り返し動くのか、流体圧力を受けるのか、屋外で温度変化にさらされるのかを整理します。

次に、自由状態のゴム形状を3D CADで作成します。この段階では、組付け後のつぶれ形状ではなく、製造される単品形状をモデル化します。断面形状、厚さ、幅、長さ、コーナー半径、継ぎ目、突起、パーティングラインなど、圧縮状態や組付けに影響する形状を必要な範囲で表現します。

続いて、相手部品と収容部を作成します。溝深さ、溝幅、ストッパー高さ、締結面、面取り、逃げ空間、押出しすき間を寸法として定義します。ゴム部品だけを見て設計するのではなく、圧縮量を決める相手側の寸法と剛性を明確にします。

アセンブリ上では、締結前と締結後の二つの状態を作成します。締結前状態では、ゴムの保持性、位置ずれ、組付け経路を確認します。締結後状態では、圧縮後すき間、名目圧縮率、干渉量、逃げ空間、周辺部品との接触を確認します。

圧縮率は一か所だけでなく、機能上重要な複数位置で測定します。平面ガスケットでは締結点付近と締結点間、円周シールでは直線部とコーナー部、段付き部品では各断面を確認します。モデル上で測定位置と基準方向を明示しておけば、設計変更後も同じ位置で比較できます。

公称状態を確認した後は、公差条件を反映します。ゴムが薄く、すき間が広くなる状態を最小圧縮条件として作成します。ゴムが厚く、すき間が狭くなる状態を最大圧縮条件として作成します。最低圧縮条件では接触不足や脱落を、最高圧縮条件では反力、はみ出し、相手部品変形を確認します。

次に、変形後の逃げ空間を検討します。ゴムが側方へ広がると仮定し、周辺の壁、ねじ、穴、可動部、流路へ干渉しないかを確認します。仮想的な変形形状を作る場合は、実際の変形を完全に再現するものではなく、空間確認用の参考モデルとして扱います。

簡易確認で懸念が残る場合は、構造解析を行います。解析では、ゴムの大変形と接触を扱い、相手部品を剛体とみなすか変形体として扱うかを目的に応じて決めます。薄いカバーや樹脂部品では相手側の変形が圧縮率へ影響するため、ゴムだけを解析するのでは不十分です。

解析後は、接触圧、変位、反力、ひずみ、張り出し量を確認します。最大値だけを追うのではなく、接触が途切れる場所、変形が集中する場所、締結部へ伝わる反力を確認します。解析結果を色分布だけで判断せず、数値、位置、前提条件を記録します。

最後に試作と実測を行い、3D CAD上の想定と比較します。差が見つかった場合は、単品寸法、組付け後すき間、材料特性、相手部品の変形、表面状態、組付け位置を確認します。この循環を繰り返すことで、圧縮率の根拠を持った設計へ近づけられます。

失敗しやすい設計パターンと改善方法

ゴム部品の圧縮設計では、3D CAD上で形状がきれいに収まっていても、実物では問題が起こることがあります。典型的な失敗パターンを知っておくと、設計初期に確認すべき点が明確になります。

一つ目は、圧縮率を公称寸法だけで計算する設計です。公称値で適正な数値になっていても、公差を積み上げると圧縮不足または過大圧縮になる場合があります。改善するには、最小圧縮条件と最大圧縮条件を別モデルまたは寸法条件として作成し、両方を確認します。

二つ目は、中実ゴムの体積が圧縮によって消えるように考えて溝を設計することです。変形後の逃げ空間が不足すると、反力増加、はみ出し、組付け不能が起こる可能性があります。改善するには、溝断面とゴム断面の関係を確認し、製造公差、温度変化、媒体による膨潤を含めた余裕を確保します。

三つ目は、圧縮率を上げれば密封性能も比例して高くなると考えることです。過度な圧縮は、ゴムの損傷、相手部品の変形、締結荷重の増加、長期的な反力低下を招くことがあります。密封性は、圧縮率だけでなく、接触の連続性、表面状態、圧力方向、押出しすき間、材料の長期特性によって決まります。

四つ目は、材料変更を形状変更なしで行うことです。硬さや配合が変わると、同じ圧縮率でも反力、摩擦、復元性、媒体適合性が変わります。改善するには、材料変更時に圧縮荷重特性、温度特性、圧縮永久ひずみ、応力緩和、流体適合性を再確認します。

五つ目は、相手部品を完全な剛体として扱うことです。薄いカバー、長いフランジ、締結点間隔が広い構造では、ゴム反力によって相手部品が変形します。その結果、締結点間で圧縮不足になることがあります。3D CADで板厚、フランジ幅、リブを見直し、必要に応じて相手部品を含めた解析を行います。

六つ目は、締結トルクだけで圧縮量を管理することです。摩擦、ねじ状態、座面状態、作業方法によって軸力が変動するため、圧縮率が安定しないことがあります。可能であれば、圧縮ストッパーや段差を設け、締結後すき間を形状で管理します。

七つ目は、組付け途中の状態を確認しないことです。完成状態では問題がなくても、部品を差し込む際にゴムを切る、ねじる、めくる可能性があります。アセンブリ上で組付け経路を確認し、入口部の面取り、保持形状、作業空間を設計します。

八つ目は、ゴム部品のコーナー形状を単純化しすぎることです。直線部と同じ断面を急な角度で曲げると、内周側で材料が余り、外周側で伸びることがあります。成形品、打ち抜き品、押出材の接合品ではコーナーの挙動が異なるため、製造方法に合った形状を検討します。

九つ目は、解析結果の最大応力だけで合否を決めることです。ゴムの解析では、局所的な数値が接触条件、要素形状、材料モデルの影響を受けることがあります。接触の連続性、反力、変形方向、張り出し量、相手部品の変位を組み合わせて判断します。

十個目は、初期試験だけで長期性能を判断することです。組付け直後は十分な反力があっても、時間、温度、媒体、繰り返し荷重によって低下する可能性があります。一定時間保持後、温度変化後、繰り返し動作後の状態を確認し、必要に応じて圧縮率、材料、溝形状を見直します。

これらの失敗は、圧縮率という一つの数値だけに設計判断を集中させたときに起こりやすくなります。3D CADでは、寸法、形状、接触、逃げ、公差、相手部品の剛性、組付けを一つのアセンブリ上で関連付けて確認することが重要です。

まとめ

ゴム部品の圧縮率を適正化するには、単純に部品を何%つぶすかを決めるだけでは不十分です。初期厚さまたは基準断面と締結後すき間を明確にし、材料特性、逃げ空間、接触状態、公差、組付けばらつき、長期変化を含めて検討する必要があります。

第一の基準は、自由状態の厚さまたは断面と組付け後のすき間から、用途に合った名目圧縮率を定義することです。第二の基準は、材料、硬さ、温度、時間による挙動の変化を織り込むことです。第三の基準は、中実ゴムの側方変形や発泡材固有の圧縮挙動を考慮し、必要な逃げ空間を確保することです。

第四の基準は、平均的な圧縮率だけでなく、必要な位置に連続した接触が生じているかを確認することです。第五の基準は、ゴムと相手部品の公差、表面状態、膜厚、組付け位置のばらつきを積み上げることです。第六の基準は、3D CADや解析の結果を試作と実測によって検証し、設計条件へ戻すことです。

3D CADを使えば、自由状態、締結前、締結後、最小圧縮、最大圧縮といった複数の状態を同じ設計データ上で比較できます。断面表示、干渉確認、寸法パラメーター、公差条件、構造解析を組み合わせれば、圧縮不足、過大圧縮、逃げ不足、接触の途切れを設計段階で見つけやすくなります。

一方で、ゴムの挙動は非線形であり、材料や使用環境による影響も大きいため、3D CADだけで最終性能を保証することはできません。設計計算、適用規格、材料情報、解析、試作、耐久試験を段階的に組み合わせることが、手戻りを減らし、安定した品質を実現するための現実的な進め方です。

屋外設備や大型構造物に組み込まれるゴム部品では、設計室内の寸法だけでなく、実際の設置位置、周辺形状、施工後の取り合いを確認することも重要です。現地形状を設計へ戻す必要がある場合は、LRTK Phoneなどの現場計測手段と3D CADを組み合わせることで、設計データと現地条件の差を確認しやすくなります。ただし、ゴム部品の圧縮状態そのものは、現場形状の取得だけで判定せず、締結後寸法、材料特性、試験結果を含めて評価します。

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

LRTK Phoneの使い方・実例を見る
資料請求導入相談
現場をスマホで3DスキャンLRTK Phone実例を見る